実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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ウェルと今日のことで話をしている。

 アレイシアとリタとの会話を聞いてニヤけてしまっていたらしい。

 

「顔、ニヤけてましたよ。何考えてたんですか?」

「何でもないよ」

「そうですか。……それにしてもアレイシア様って事前にお話しを聞いていましたけど、かなり変わった方ですよね。何ですか緊張のしすぎで停止するって。直接見るまで何かの冗談かと思いましたよ」

「そこが可愛いところだよ」

「惚気はやめてください」

 

 ウェルは僕がアレイシアを褒め出したら惚気るなと一喝してきた。

 いや、別に多少惚気てもいいじゃん……いや、やめておこう。話していて恥ずかしくなってくる。

 話の話題を変えようと思い、ふと疑問に思ったことができた。

 僕は元から耳が良くてアレイシアについて知れた。だが、ウェルから見たアレイシアはどう思ったのか。

 アレイシアは周りに誤解をされやすい。少しでも理解者を増やしておきたい。

 特にウェルは僕の専属のため、理解をしてもらいたい。

 

「ウェルはどう思った?」

「どう……とは?

「アレイシアのこと。実際に会ってみて」

「そうですね……やはり無愛想な方……と思います」

 

 ウェルはですが、と続ける。

 

「今日、直接様子を窺っていると一番に思ったのは苦労されている方なんだと思いました」

「どうしてそう思ったの?」

「場の空気と言いますか……リタさんを除いて屋敷の使用人たちは少し冷たい視線をしているなと思いました」

 

 ウェルはよく気がついている。

 なるほど。少し視線を感じていたが、そういうことだったのか。

 ウェルの意見を聞いて思っていた疑問がなくなった。

 それにウェルはアレイシアについて知ってくれたようで安心した。

 

 多分僕もこの耳の良さがなければ彼女の良さに気が付かなかった。いや、気がつこうともしなかった。全く、過去の僕はなんでこんなことを思っていたのか。

 本当にアレイシアに申し訳ない。

 でも、僕が耳がいいこと、アレンというキャラに憑依したこと、これらのことを考慮する……もしかしたら。

 

「僕とアレイシアが出会ったのは運命だったのかもしれないな」

「惚気話はやめてください。不快です」

「あ、そういえばウェルは独身だったね。そんなに拗ねないでよ。きっといい相手が見つかるって」

「本当にムカつきますね、あんた様は。女心が理解できず空回りしたくせに」

「あんた様って口悪すぎでしょ!しかも、僕、結構気にしてんだから。花はいいとして、手作りを渡すの今思ったら失敗だったと反省しているよ!」

「なんですか、贈り物を馬車に忘れるって。馬鹿じゃないですか?」

「いや、それはあえてしたことで」

「非常識にも程があります」

 

 いや、ウェル口悪すぎだろ。

 どれだけ独身だって指摘したこと気にしてるんだよ。

 

「でも、結果的にうまくいったわけで」

「旦那様に報告していいですか?」

「いや……それは……ごめんなさい」

「いいでしょう」

 

 この立場が逆転する主従関係に慣れつつある僕っていったい。

 とにかく独身などのワードはウェルには逆鱗らしい。

 

 今後は気をつけようと思った。

 

 

 

 

 

 ちなみに、周りの理解者に恵まれたのは僕も一緒だ。ウェルがいたからこんな風に立場に関係なく言い合える相棒ができた。

 

 まぁ、ウェルは調子に乗るから絶対に言ってやらないが。

 

 こうしてアレイシアとの初対談が終わった。

 次はデートだ。

 

 しっかりと準備をして備えたいと思う。

 ひと段落ついた。

 

 そう思ったのも束の間だった。

 

「アレン……ちょっと来なさい」

 

 我が屋敷に着くと少し機嫌の悪い父上からお声がかかった。

 父上から書斎に来るように言われた。

 ……いや、父上、僕アレイシアの件以外何もしてませんよ。

 いや、ウェル……まさか、告げ口しやがったな。

 

 

 

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