実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 シンは仕事をサボっていたウェルの姿を見て呆れ、少し怒っていた。

 

「いやーその……掃除です」

「では何故座っていた?」

「ゆ、床の掃除をですね……」

「私には手には何も持っていないように見えるのが?」

「あ……すいませんでした!」

 

 シンの質問にウェルが勢いよく頭を下げて謝罪をした。

 

 シンってこんなに怖いんだ。

 ウェルに悪いことしちゃったなー。でも、サボってんのが悪いよね……うん。

 

「この部屋の掃除が終わり次第、私の元に来なさい」

「……はい」

「アレン様、行きますよ」

 

 ウェルはシンの言葉にしょぼんとして返事した。

 シンはドアを閉め、そのまま僕の手をひきその場を後にした。

 

『まじかよー。やっちまったぁ。……最悪。はぁ』

 

 僕とシンが部屋を出た後、ウェルの愚痴が聞こえた。

 もしかして反省してないか?

 ……今度同じような場面に遭遇したらもう一度やろうかなー。そう思っていると再びウェルの言葉が聞こえる。

 

『少し休憩するだけだったのに。……はぁ。……さっさと終わらせて、シンさんのところ行くか」

 

 

 うん?ウェルって結構真面目なのかな?

 悪いことしたなぁ。僕はウェルに心の中で謝罪をした。

 

「アレン様」

「うん?」

 

 隣を歩くシンが話しかけてきた。

 どうしたんだろう?僕は少し真剣な表情してるしシンに少し身構えてしまう。

 

「アレン様は立派な人間にならなければいけません。先ほどのウェルのようになってはいけませんよ」

「うん?」

「……少し難しかったですかね。そうですね。将来、大きくなったら悪い人になってはいけませんよ」

 

 3歳児にわかるようにシンは言葉を言い換えた。

 とりあえず会話の流れから3歳児ならしそうな返答をする。

 僕は先ほどウェルがいた部屋を指差しながら発言した。

 

「わるいひと?」

「それは……」

 

 シンは少し困った顔をした。

 いや、別に困らせるつもりはなかったんだ。年相応の反応が難しいんだ。

 

「いえ。ウェルは努力k……頑張り屋さんですよ。それにすごい人です。ただ、ちょっと悪さをしてしまっただけですよ」

「ふーん」

 

 そうか、ウェルは努力家なのか。

 厳格なシンにここまで評価される人はなかなかいない。

 

 シンは他の使用人たちの評価は良くも悪くも厳しい上司と言われている。

 仕事に手を抜くことは許されない。

 

 基本シンは人をここまで評価する人ではない。

 

 少しお灸を据えるだけのつもりだったけど、ウェルに悪いことをしてしまったな。

 ……いかん、そろそろ何か返答しなくては。

 

「ぼくがんばりやさんになる!」

「頑張ってください」

「うん!」

 

 言ってて恥ずかしくなるけど、我慢だ我慢。

 ここで、本性を出すのはいけない。

 子供らしく年相応に。

 

 僕は自分にそう言い聞かせた。

 

 毎回子供のふりして過ごすの面倒臭くなってきた。

 3歳の演技をしながらだと行動に制限がかかる。

 今後のことを考えて何か策を用意した方がいいかもしれない。

 

 また今度考えよう。

 

 僕は思考を整理し、意識を父上探しに切り替える。

 

『ああ。早く仕事を終わらせてユリアンとアレンと一緒にいたいなぁ』

 

 あ、ここだ。

 

 それから探すこと数分。ついに父上の声を発見した。

 

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