実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 一連の流れがあり、始まった4人のお茶会。

 色々と疑問に思うことが多く、レイル(自分から敬称と敬語はいらない言われた)に答えてもらったが、想定通り仕組まれたお茶会だった。

 

 権力の差し替え。

 それが今回レイルがお茶会を開いたわけ。

 下級貴族を見下す連中、ガスパルのような貴族の家。

 黒い噂が流れている家。中立派の権力を減らしつつ、どんな人でも、平等に接することのできる家を選別、孤立していて有力な新たな家を派閥に入れることが目的。

 

 ガスパルとギルメッシュ、犬猿の両家。

 孤立しているウォーウルフ子爵家のクルーガー。

 

 聞いて驚いたのだが、ギルメッシュとクルーガーはもともと友人関係にあるそうだ。

 三人で話し合い、今回のことを起こした。

 全て宰相の指示で行ったが、やり方は全て三人で話し合い決めた。

 

 もともとガイアス辺境伯とウォーウルフ子爵家はどこの派閥にも所属していなかった。

 財力のウォーウルフ家、武力のガイアス辺境伯。

 どうしても他の派閥に取られることは避けたい。また、所属をさせたとしても権力のバランスが崩壊する可能性がある。

 だから、権力のバランスを保つため、派閥の不安要素を除去するために今回の策を実行したらしい。

 

 ちなみに僕をお茶会に招待したのは派閥に入れておきたいのと、見定めるため。

 

 権力の牽制にもなると考えた。

 

 本来は少しガスパルたちのような家を中立派に畏怖を覚えさせて徐々に削ぎ落とそうと考えていたらしいが、僕が想定外の行動をした。

 過程をすっ飛ばして差し替えの目的を達成させたらしい。

 

「まさか、こんな展開になるとは予想していなかった。アレンを招待して正解だった」

「……僕がガスパルのような思考の持ち主だったらどうしてたんだい?」

 

 ご機嫌のレイルに問いかける。

 確信はなかったはずだ。レイルとセバスさんが事前に調査していると聞いたから知っていたと思うけど、確信はなかったはずだ。

 

「なに、ラクシル様に見込まれたアレンなら問題ないと確信していた。ラクシル様はガスパルのような貴族連中を嫌っているからね。人間性は信用しているんだ、思考はぶっ飛んでいるが」

「……ぶち殺しますよ?」

 

 思わず言ってしまう。いや、少し変わってると言われるのは許そう。

 だが、最後の一言は余計だ。

 ラクシル様を出したまではいい。

 だが、どこをどう判断したらそうなるんだよ。

 本当のことだし別にいいけど。

 

「私相手にそんな暴言を吐くところとか」

「そう誘導したのはレイルでしょ?……いくら寛容な僕でも限度があるよ」

「本当に自覚してないのかい?……自分の胸の内に聞いてみろ」

 

 自分の胸?

 ……僕の行動は何か間違っていたかな?

 いや、そんなはずはない。少しズレた行動はしたが,それ以外はいたって普通。

 僕は人として間違った行動していないし。

 

「……何か問題でも?」

「はぁ……自覚なしか。クルーガー、ギルメッシュ……新たな友人に教えてやってくれ。今後のために矯正させるべきだ」

「レイルは失礼なことを言っている自覚はないの?……怒るよ?」

 

 呆れ顔で言うレイルには失礼なこと言ってる自覚あるのか?

 レイルは2人に意見を求める。

 2人は悩んだた末、ギルメッシュが言葉を発する。

 

「よくわからんが、少なくとも自分より位の高いやつに喧嘩売るのはおかしいと思うぜ」

「何か申し開きは?」

 

 ギルメッシュとレイルの順に話しかけてくる。

 いや、なんだよ申し開きって。

 こっちにも正当な理由がある、なので包み隠さず話す。

 

「僕は社交界では浮いていた。誰がどの家の人か顔と名前が一致していなかったんだ。だから、会話内容から立場を予測したんだけど、失敗してしまった」

「そんな不確定要素があるのに博打に出る時点でおかしい。貴族間の問題に発展しかねないからな。普通ならしない。……まぁ、少なくともコーラル侯爵家と退席した家とは縁が切れる、帰ったら今日あったことを君のお父上に説明するんだ」

 

 そ……そうなのか。

 気づかなかった。いや、あれは必死だったんだ。

 そう思いつつレイルのアドバイス通り父上に報告しよう。

 

 そして、次はクルーガー……追い討ちをかけるように話しかけてくる。

 

「お披露目会の一件からですね……公爵家のご令嬢を初対面で口説くのはどうかと……普通はしませんね。いや、恐れ多すぎてまともな思考を持っている人ならまずしないかと」

「……で?」

 

 何か申し開きは……とレイルは目で訴えてくる。

 ……いや、あの時は必死でやっていたが。本音を言っただけ。

 

「あの時は必死だったんだ。……僕は本音を言っただけだよ」

「アレイシア嬢に見惚れたとか言ってたよな。あの鋭い目つきで威嚇している相手にそれをいう勇気は俺にはねぇな」

「なんで知ってるんだよ」

「いや、俺、お前の前に並んでたから……気づいてなかったのかよ。……俺はアレイシア嬢を目の前にしたら緊張しちまったな。墓穴掘るの怖かったし」

 

 レイルに説明したらギルメッシュが話に入ってきた。

 ……気づかなかった。

 ああ、今思えば白い髪色の奴いたなぁ、と思いつつギルメッシュは何か誤解しているようなので訂正しておこう。

 

「……一つ誤解しているようだから教えるけど、アレイシア嬢は緊張してしまっているだけ。僕の前でもそうなんだ。緊張しちゃって素直になれない。僕は今も必死になってどうにか心を開いてもらえるようにしているんだ。僕の大切な婚約者を悪くいうのは許さないよ?」

「急に惚気んな……てか、面倒くせぇなお前の婚約者。俺ならもっと素直な女がいいぜ」

「健気に頑張るところが可愛いんだよ」

 

 そこがアレイシアのいいところなんだ。

 だから、早く心を開いてほしいと思うけどなかなか踏み込めないんだよな。

 今度のお茶会で挽回せねば。

 

 ん?後ろから何か聞こえる。

 

『はぁ……』

『大丈夫ですか?』

『セバスさんすいません、ため息してしまい』

『心中お察しします。苦労されてるんですね?』

『……はい』

 

 後ろから聞こえる小声の会話が耳に入った。

 あ、ウェルとセバスさんか。……いやぁ、申し訳ない。

 

 内心謝罪をするも、今はギルメッシュたちの会話に専念する。

 考えを切り替える。

 多分僕の気持ちは婚約者がいなければわからないことだよな。

 いるのか?

 

「ギルメッシュには婚約者いないの?」

「まだいねぇな」

「そうか……いつか大切な人ができればわかるよ。仲良くなるために必死になれるんだ」

 

 やはりいないのか。わからない人に説明しても無駄だろう。アレイシアの良さはわかる人しかわからない。

 そう結論づけるも答えた後のみんなの反応はイマイチだった。

 

「……うぜぇ」

「うん、私も同意見だ」

「少しイラついてきました」

 

 ギルメッシュ、レイル、クルーガーの順に話してくる。

 三人は少しイラついていた。

 

 ああ、やはり(婚約者が)いない人にはわからないことか。

 誰かと恋バナ的な話で盛り上がりたいと思ったが、この三人では無理そうだな。

 

「その澄まし顔ムカつくからやめろ」

「ごめんごめん」

 

 どうやら顔に出ていたらしい。ギルメッシュに指摘され、すぐに真顔にして謝罪した。

 いや、そんなに殺意を向けないでよ。

 

 そんなやりとりをしているとクルーガーがため息をした。

 

「レイルさん、これを矯正するのは無理ですよ。本人に自覚がない、無意識にしている時点で手遅れです」

「はぁ……バカと天才は紙一重ということか」

「褒められると照れる」

「「褒めてない(ですよ)」」

 

 レイルとクルーガーにダブルパンチされた。

 まぁ、笑っているから大丈夫だ。よしとしよう。

 

「本当に貴族らしくない……アレンさん、一つお聞きしていいですか?」

「なにかな?」

 

 そう思っているとグルーガーが質問してきた。

 

「……純粋な質問です……貴方はウォーウルフ家をどう思いますか?……思ってることをそのまま答えてください。貴方の意見を聞きたい」

 

 突然振られた話題。だが、穏やかで真剣な表情をするクルーガーだった。

 

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