実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 本来王族直属暗部を動かすのは国の大事のとき、例えば戦争やら紛争が起きる予兆が出たとき国王の指示の下彼らは動く。

 今回のフローラの件で何故動かせたのかはわからない。確かに国家転覆罪は有罪だが、確証がない。

 多分レイルの手腕なのだろう。

 

 また、暗部が動いていることは普段は伝えることはない。では、ギルメッシュたちに教えたか。乙女ゲームの情報を隠すため、国家転覆罪を信用させるため。

 誰が空想上のことを信じられるだろう。乙女ゲームからの情報では誰も信じない。絵空事と捉えられて終わる。

 

 だが、それが暗部がつかんだ情報だとすれば話は変わってくる。

 暗部は裏の仕事をこなす。実際僕の出自や前世やら乙女ゲームやら……その情報を言わなきゃいけない状況を作られた。

 

 小さい綻びから確信の情報を集める収集能力は油断ならない。

 

 ようは乙女ゲームの情報は暗部が掴んだ情報だとすると都合がいいんだ。

 

 だが、暗部に頼りっきりでは合理性に欠けるし、適材適所がある。

 市場を知らべるのは商人固有の情報網を頼った方がいいし、荒事だと騎士の方が都合がいい。

 

 あまりにできすぎている。今思えば、レイルがクルーガーとギルメッシュに声かけたのってこれが目的だったりするのだろうか。

 

 つまり、10歳の頃にはすでにこれを計画していたり……怖い。わずか10歳でこんなこと考えて行動するとは。

 やはり聡明と謳われただけあるな。

 

「ーーま、要点はこんなところかな。僕とフローラたちが例のカフェに行って証拠を確保する」

 

 大方説明を終えると二人は考え込む。

 情報の整理をしているのだろう。

 考えがまとまったであろうギルメッシュが僕に視線を向け話しかけてくる。

 

「……大丈夫なのかよ」

「まぁ、確かに確実性に欠けているのはわかるけど」

「そうじゃねぇよ」

 

 作戦の不安を言いたかったのかと思ったが違うらしい。

 

「んな危険な薬を盛られることがってことだ。服用したら正気でいられるかわからねぇのに。現にバカ王子だとかオーラスすらおかしくなってる」

「ああ、そのことか。もちろん対策はしてあるさ」

「対策……ですか。一つ伺いますが、直接食すのですよね?」

 

 ギルメッシュを安心させるため、話そうとするがクルーガーは視線を厳しくしている。

 

「うん、もちろん食べないと信用させられないからね。メニューを聞く限り飲み物ってことがわかったんだ。だから、セバスさんからこれを預かってる」

 

 僕は懐から白色手のひらサイズの球体を取り出す。

 スポンジのように柔らかく、球体の一部から白い紐のようなものが4本一点から飛び出ている。紐の先は輪っかのようなものが付いている。

 これは暗殺対策で用いられるものらしい。

 球体を飲み込んで紐を歯につける。

 

「これを設置して毒を口に含んでもこの柔らかい球体が毒物のみ吸収してくれるらしい。実際にやってもらって検証は済んでるよ」

「……にわかには信じられませんね」

 

 うん、僕もいまだに信じてなかった。でも、実際にやってみたけど効果はすごかった。

 なんで、毒のある飲み物を飲んだら、毒の部分だけスポンジが吸収できるのか原理がわからない。

 

 しかもちょっとした固形物ならしっかり噛んで飲み込む時に紐の引っ掛かっている歯を動かす、舌を使って紐を動かせばによって喉に流し込める。

 その時、固形物に毒が入っている可能性を捨て切れないが、そこは明日は飲み物だけ頼む予定。

 

 アリスからも乙女ゲームの情報を聞いたが、お店限定のスペシャルドリンクがアイテムだって言っていた。

 頼み方が少し特殊で合言葉が必要だとか。

 カフェ自体は普通のものだが、その合言葉で注文することで薬入りのドリンクを頼めるらしい。 

 

 仮に固形物があっても対策はある。僕は懐から取り出すとクルーガーはメガネを掛け直し凝視する。

 

「それは……粉ですか?」

「……どんな効果あるんだ?」

「粉の色が変化することで毒を判別できるらしい」

 

 二人は僕が取り出した毒対策道具に視線を向けている。

 初めて見るとそんな反応するよな。僕も前世で聞いたことない。

 暗部が研究を重ねて開発したとか。

 

「王族守るために必死に開発したんだって。聞いた話だけどね」

 

 二人ともまだ納得していないらしく首を傾げている。

 

「……試してみる?ここに効果が薄い痺れ薬あるけど」

 

 納得できないなら試すに越したことはない。僕は使うのでセバスさんから直接手解きを受けた。

 二人は顔を見合わせ、代表してクルーガーが問うてくる。

 

「アレンさんは試したのですか?」

「そりゃもちろん。完璧に使えるまで何回も試したよ。毒を誤って飲み込んでしまったな。毒って縁なかったけど不思議な感覚なんだよ。微量とはいえ痺れ毒の中にもいろんな種類があって、効果や持続時間が違うんだよ。おかげで耐性できたなぁ」

 

 遠い目をする僕。

 数日とはいえかなり訓練したな。毒飲んだら解毒薬飲んで動けるようになったらまた繰り返した……あれ、なんで二人はドン引きしてるんだよ。

 

「いや、そんなに言うなら大丈夫なんだろう」

「……無理はしないでくださいね」

「……うん」

 

 なんとなく察しえくれた。

 毒については触れないでくれるようだ。

 

「……それで、気になることとかある?わかる範囲で答えるけど」

 

 微妙な雰囲気になったので話を切り替える。

 

「いや、特に問題ない」

「私も概要はわかりました」

「……わかった」

 

 即決かよ。僕は説明聞いた後、何回も間違いないか確認したのに。

 二人やっぱ頭の回転早い。

 感心している中、レイルは表情を引き締める。

 

「仕掛けるのは次週の夜会。時間をかければそれだけ情報の露見することもある。最低限のリスクで早めに事を済ませたい。……目的の日は直近で行われる学院の夜会だから」

 

 ギルメッシュが騎士たちの協力を仰いだ。

 クルーガーが商人の伝手で情報網を借りた。

 僕も短い中訓練し、技術を身につけた。

 

 短い機関で準備は整い後は実行するのみ。

 

 実行の場はエルス学院の定期夜会。そこで全てを終わらせるために実行する。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、明日も早い」

 

 話すことも終わったので今日は解散となった。

 

 

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