実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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間話 アリス

「ーーわかりました。では、次に異性と手を握り合った件について詳しく」

「だからね。あれは必要なことであって疚しいことはなにもないんだって。事前に手を握られることがあるかもしれないって言ったよね?」

「ええ、もちろん窺っております。少し認識違いがあるのかもしれません。お聞きしているのはどのように握られたかということ」

「……いや、細か過ぎだよ」

 

(あはは。少しアレンさんには申し訳ない事したっすね)

 

 アリスは目の前で行われているアレイシアがアレンに詰問していることに苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 時は昨夜に遡る。

 アレンがフローラたちとカフェに行き、解散した後、ユベール家の管轄の居酒屋を貸切り、報告と情報のすり合わせのため集まっていた。

 

 メンバーはアレン、レイル、ギルメッシュ、クルーガー、セバス、アレイシア、リタ、アリスの8人。

 

 それぞれが役割を果たし、集まった。

 アレン、セバス、アリスの3人はフローラとのデート。

 クルーガー、レイルは薬物の流通を探ること。

 ギルメッシュは近衛兵にブランデーを渡し予定や潜入に関する打ち合わせなど。

 

 

 進捗は順調、驚くほど上手く行き過ぎて怖いくらいだ。

 だが、第二段階に移行するための証拠を手に入れることもできた。

 

 話し合いは1時間ほどで終わり、即時解散となった。

 

 終わった後、アリスはアレイシアに声をかけられた。「アレン様はどのようにお過ごしだったでしょう?」と問い詰められた。

 別に隠すことでもないのでアリスは全てを教えた。

 真剣にメモを取るアレイシアの表情が曇っていることは気にせずに全てを話し終えた頃にはアレイシアの目のハイライトはうっすらとしていた。

 

 その後、どうすれば一番アレン反省させられるか案を聞かれて、アレンに土下座させて自分は見下すように椅子に座りあったことを問い詰めると効果的だと教えた。

 そして次の日、しっかりと睡眠をとったアレンが疲れがなくなったのを確認したあと、アレイシアがサロンに呼び出した。

 アリスも同室にいるのは一緒にいてほしいと言われたから。

 結果、今の構図となった。

 

(……アレイシア様、少し遠慮がなくなったっすね)

 

 アリスは目の前の光景を見てふと思った。

 前まではアレンに嫌われたくないと思いが強く自分の主張は薄かった。だが、今は独占欲が漏れださんばかり。

 

(アレイシア様と友達になって、ツンデレ属性に加えてまさかヤンデレ属性まであるとは思わなかったすね)

 

 アリスは冷静な分析をする。

 そんな彼女は思考する中でアレイシアがこんなに可愛らしい性格をしていたなんて、すごいなと感心していたのだった。

 

(まさか、こんな展開になるなんて転生した時には思いもよらなかったっすね)

 

 

 

 

 平民アリスは秀才であり、乙女ゲームの前世の記憶のある転生者でもある。

 アリスがこの世界に転生したとわかってから建てた目標……それは「攻略対象を遠くから眺めること」だ。

 

 そのために彼女は努力を重ね、エルス学院に入学を果たした。

 

 だが、アリスは入学後一つの決定的なミスを犯した。

 それは彼女の推し「アレン=ユベル」に接触をしてしまったことだろう。

 

 入学できたことで少し浮かれ始めた。

 しかもアレンと同じ学年、クラスとわかり己を律する理性が爆発してしまったのだ。

 

 結果、接触をしてしまった。

 正気に戻った時には時すでに遅し。アレン本人とアレイシアが共にいた。

 

 まぁ、運良くアレンが転生者だったこともありことなきを得た。

 下手したら入学当日に休学やら退学の可能性もあった。

 

 その後は縁があり、アレンの友人を紹介してもらったり、アレイシアという身分を超えた友人もできた。

 

 結果だけ見ればアリスの暴走は良い方向に進んだのだった。

 

 だが、面倒ごとに巻き込まれたのはいうまでもない。

 もう一人の転生者フローラの暴走を逆手にとり、国家転覆罪の罪を被せるだなんて物騒なことに関わることになった。

 

 隠し攻略キャラ、エルドウィン=グラディオンに目をつけられたことが始まりだ。

 自分の待つ乙女ゲームの知識を逆手に取りたいからと声がかかったんだ。

 

 そして、入念な打ち合わせの後、計画は始まった。

 

 最初にアリスの役目はアレンのサポートだった。

 想定しているシナリオとズレたらすぐにセバスに報告する。

 シナリオはゲーム通り進んだ。

 アリスは役目を全うすることができたのだ。

 

 

「……アレン様?……今わたくしとお話ししているのですよ?人と話す時は相手の目を見るように習わなかったのですか?」

「いや、そんなことは」

 

 その声を聞いてアリスは我に帰った。

 思い耽って良すぎたらしい。

 

 アリスの声も少しボソッと呟いていた部分があった。

 

 アレンの耳はその僅かな音声を逃さなかった。なに考えてんだよと文句の視線を向けていたらしいがそれが、アレイシアにバレて怒らせてしまった。

 そんなことはいざ知らず、アリスは苦笑いを浮かべていた。

 

 

 その後はアレンが事の顛末を全て話し終え、アリスと話していた内容と相違ないことが確認されるとアレイシアの機嫌は元に戻った。

 

 だが、アレイシアは周りが見えていなかったからか、冷静になったアリスを見た。

 自分が呼び出したのに忘れていたらしい。

 アリスを自分の顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 深夜のことだった。就寝に着く前、アリスはふと何か大切なことを忘れているような感覚に陥いる。

 

(……そういえば何か大切なことを忘れているような。逆ハーレムルートはもう突入したっすけど……えーと)

 

 考えた末、アリスは大切なことを思い出した。

 

(攻略対象のライバルキャラが大変っす!)

 

 それは前世にて乙女ゲームの裏設定まで網羅しているアリスだから思いついたこと。

 

 「オトファン」にはシナリオの後日談において起こるかもしれないifストーリーが存在する。そこには攻略対象のライバルキャラのその後の物語も存在していたのだった。

 

 

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