7☆ストリートボーイズ   作:太陽に恋したライオン

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番外編:ある雨の日から続く未来

急に雨が降り出した日

 

LEONはRIKUKIに誘われて、普段あまり行かない遠場のゲームセンターで遊んで帰ってくるところだった。

 

雨が降り出しそうな天気に家路を急ぐ途中、か細い鳴き声が聞こえた。路地裏に弱った捨て猫を見つけると、飼えないとわかっていても、ほっておけなかった。折しも、雨が降り出してしまい、弱々しい子猫の体温が下がらないように上着の中に抱き抱えた。雨から守るために背中を丸めて、怖がらせないように静かに歩いた。

 

突然、LEON!と呼ぶ声に、振り返るより先にJUNだとわかったが、一体どこから現れたのかと不思議だった。

 

JUNは車で通りかかったらしく、ビショ濡れのLEONに目を丸くして、車に乗れと言ってくれた。さすがに遠慮したが、強引に車に連れて行かれた。案の定、運転手さんに悲鳴を上げられたが、JUNは、全く意に介さなかった。

 

(Jのそういうとこは、毎度驚かされるな)

 

車の窓から見てて、どうして気がついたのかも驚きだが、ビショ濡れのLEONを何の抵抗もなく、車に乗せようとするところは、すごいと思う。

 

普段、のんびりマイペースなようでいて、実は真っ直ぐで頑固なJUNは、一緒にいて元気がもらえる存在だ。不器用なLEONを笑わずに傍で応援してくれる、RIKUKIと同じく唯一無二の友達なのだ。

 

JUNの家でシャワーを借りて出てきた時、実は、家政婦さんが帰って、2人きりなんだとわかり、急に緊張してきてしまった。いつも3人でいる事が多く、部屋に2人きりになるような状況はあまりない。

 

その上、雨が止まないし、親もいないから泊まっていけば?と、言われ、思わず、RICKYも呼ぶ?と照れ隠しに口走ってしまう程、実は動揺していた。でも、JUNの優しさを無下にするのは悪いと思い、動揺を隠して甘えさせてもらう事にした。

 

そんな状況だったので、お酒を飲む事になって、ほっとした。お酒のおかげで、段々リラックスしてきて、普段通り話す事ができた。

 

その内、女の子と付き合うにはどうしたらいいか、という話になった。JUNが女の子にモテるのが羨ましいと思っていたが、何故か女の子達に囲まれているJUNを見ると、寂しくなってしまうところもあった。

 

女の子とキスしてみたい、とつぶやいたら、JUNに「練習してみる?」と言われて、一瞬耳を疑った。

 

JUNは恥ずかしそうに、冗談だと誤魔化そうとしたけれど、先に、体が動いた。

 

初めてのキスは、触れるだけだったが、それだけで理解してしまった。欲しかったのは、JUNだったんだと。

 

思わず、そのまま抱き寄せて、深くキスを重ねた。JUNは驚いて身を捩らせたが、抵抗する事なく受け止めてくれた。全身に熱が回って、JUNへの想いが溢れてくるのを感じた。

 

ドンっと付き飛ばされて、ようやく我に返った。JUNは泣きそうな顔をしていたが、嫌がっているようには見えなかった。

 

"JUNが好きだ"

 

真っ直ぐに、今やっと気が付いた自分の気持ちを伝えた。

 

JUNは、何かを堪えるように、"無理だ"と言った。

 

JUNは、マイペースだが、人の気持ちや周りの雰囲気を察してしまい、自分の気持ちを隠しがちだ。JUNの本当の気持ちが知りたかった。もし、JUNがLEONと同じ気持ちなら、何があっても守りたい。

 

確かに、今の日本はマイノリティに厳しい。でも、そんな事で想いを消したくない。それなら日本から出て行けばいい、と言うと、JUNはビックリした顔をしたが、次の瞬間には、泣き笑いのような顔で、"LEONが好きだ"と言ってくれた。

 

気持ちが通じた幸せを噛み締めたが、2人を取り巻く状況は一筋縄では行かなかった。

 

7☆ストリートボーイズの成功と解散

 

事態はめまぐるしく変わっていった。

 

"これから、どうするか" を考えた時、LEONは個人的な想いだけを考えるわけには行かないと悟っていた。

 

JUNの才能を埋もれさせてはダメだと思った。JUN自身も、大勢の観客の前で歌う意味と自信がついて、覚悟ができたようだった。JUNだけでなく、他のメンバーにも同じ事が言えた。

 

皆で、アメリカへ行ってチャレンジしてみたい

 

LEONが抱いた夢は、JUNと2人で静かに暮らすという、もう一つの願いとは、相反するものだった。

 

「JUNにはたくさんの人を幸せにできる力がある。JUNの歌声をこのまま、埋もれたままにするなんて、宝を亡くすようなものだ。本当は、JUNを独り占めにしていたいところだけど、それは我儘だってわかってる。JUNだけじゃなくて、RICKYやMAKOTO、ドラゴンガーディアンズの皆と一緒にもう一度、夢を掴みに行きたい」

 

JUNに気持ちを伝えると、JUNはLEONの肩に頭を預けて言った。

 

「俺も、このまま終わりたくないって思ってた。でも、もし、みんなでアメリカへ行こうってなったら、当分、2人きりの時間は取れないよな…」

 

「すぐには難しいけど、落ち着いたら2人だけで暮らそう。JUNとの事は諦めたりしないから」

 

「約束、だぞ?それに、俺やみんなの事ばかり考えてないで、ちゃんと自分の事を考えてくれよ?一人で頑張らないって約束してくれないと一緒に行けない…」

 

JUNの言葉には、LEONへの愛情と思い遣りが溢れていた。前回は全てを一人で抱えこもうとして、失敗したのだ。

 

「わかってる。同じ失敗を繰り返したりしない。みんなの意見をしっかり聞いて、任せるところは任せて、みんなに甘えさせてもらうよ。JUNには、特に甘えちゃうと思うけど、いいよね?」

 

「うん…俺も、甘えさせてもらうからな!」

 

JUNが頬を染めて答える顔が可愛いくて、LEONは堪らず、キスを返しながら、まずはRICKYに相談しようと考えるのだった。

 

 

END

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