名前の由来は、RIKUKIにある。
気に入らない言動にはすぐに噛み付き、ケンカっ早い。ニヤっと笑うと犬歯が覗く見た目と相まって、いつの間にか狂犬と恐れられるようになった。
そんなRIKUKIと常に行動を共にしてるのがLEONとJUN。3人とも背が高く、並ぶと相当威圧的だ。見た目はイケメン揃いでモデルみたいなのに、やる事がイカれてるという事でついた仇名がクレイジードッグズ。
LEONの印象も、どちらかというと、大型犬に近い。普段は比較的温厚でのんびりしてそうに見えるが、いざとなると見た目より俊敏で頭が回る。優しい目を隠すために、いつもサングラスをかけている。RIKUKIがリーダーのように思われているが、その実、コントロールしているのはLEONだ。ただ、表に立ちたいという欲はなく、RIKUKIとJUNを助けたり、一緒に遊んでるだけで、いつの間にかチームとして周りに人が集まるようになってしまった。
JUNは女顔の優男。子供の頃、家が金持ちで抵抗しないJUNを上級生達がカツアゲしている現場をRIKUKIとLEONが目撃し、大乱闘になってからの付き合い。その後も、言い寄って来る女の子からの誘いを断らずに、彼氏を名乗るヤンキーに絡まれたりと何かと問題をおこしては、RIKUKIとLEONが割って入ってくる。本人に悪気はなく、ビビってる訳でもなく、ただ面倒なだけなのだが、そんな他人の面倒事に首を突っ込んでくるRIKUKIとLEONが面白くて一緒につるんでいる。JUNだけはドッグというよりパンサーのイメージで、クレイジードッグズという名前はダサいと思っている。
実は、JUNは歌うのが好きで、とても上手い。RIKUKIのボイパとラップを合わせて広場で遊び半分に歌ってたら、人が集まるようになった。どうせだからとLEONがお金を徴収してみたら、いい小遣い稼ぎになる事がわかり、すっかりイベントにしてしまってる。商売上手なLEONが色々と売りさばくようになって、その筋の人からも目をつけられるようになってしまっても、うまく立ち回ってなんとかやっている。誰からも好かれる人柄な上、根回しも上手いLEONは揉め事を収めるのが本当に得意だ。
そんなこんなで、いつの間にかクレイジードッグズの名前は近隣にも知られるようになっていた。
LEONは、名前が変に知られるようになってきたので、余計な揉め事を起こさないように、RIKUKIの行動には注意していた。
今日もいつもの広場に集まる予定だったが、胸騒ぎがして、早めにRIKUKIを迎えに出た。こういう時のLEONの勘は恐ろしく当たる。町外れの方に向かっていると、遠くから「おい!待てって!」と叫ぶ声が聞こえた。
LEONは、やれやれと溜息をつきつつ、声がする方へダッシュで向かった。
RIKUKIを見つけると、変わった髪色の奴を真ん中にして、やや背の低い垂れ目の男と対峙していた。
垂れ目の男は、風貌から隣町で噂をよく聞くSHOTAではないかと思われた。
(やっぱり、揉め事を起こしてる…)
「弱い者イジメしてんじゃねーよ」
SHOTAの言葉に早速、カチンときたRIKUKIが噛み付くように大声を上げる。
「はぁ?ただ、どっから来たか聞いただけだろーが!お前のとこの奴なら俺らの町でフラフラさせんなよ!」
「ここはお前らの町じゃなくて俺らの町だけどな!」
ちょうど、微妙に境界線になってるエリアをウロウロしてたらしい。
変わった髪色の奴はSHOTAも知らない奴みたいだ。事の成り行きをヘラっとしながら見ている。
(意外と度胸があるのか、変人なのか…)
「「お前、誰だ?!どこに行こうとしてたんだよ!!」」
2人に急に怒鳴られた当人は、一瞬ビクっとしたが、ヘラっと笑って
「・・・わかんなくて」
「何が?!」
「帰り道。迷子なんだ」
「「はぁーーー?!」」
SHOTAとRIKUKIの声がハモった。意外と波長が合うのかもしれない。
周りが勝手に騒ぐ中、迷子のそいつは、MAKOTOと名乗った。今日引っ越してきたばかりで、ワクワクして散歩してたら迷ったらしい。
RIKUKIはすっかり呆れ返っている。潮時だと察したLEONがRIKUKIの肩をグイッと引き寄せた。
「悪いな!後はそっちに任せた!俺達は先約があるから!」
RIKUKIは何か言いたそうだったが、大人しくLEONの言う事に従った。
「え!?おい!」SHOTAは不本意だったが、ただの誤解でいたずらに争いを起こすのもどうかと思い、踏みとどまった。
(あの体の大きい奴がNo.2のLEONか、でかいな…)
体格に少しコンプレックスのあるSHOTAは羨望の眼差しで背中を見送った。
(あの切れやすいRIKUKIを黙らせて強引に連れて行くとか、すげー奴だな)
兎にも角にも、この迷子を保護するしかない。観念して、自分の町へ連れ帰った。
「おっせーよ!」
LEONとRIKUKIが広場に到着すると、JUNがむくれていた。本人曰く、早く来たお客の相手をして、したくない愛想を振りまいて?いたらしい。
(ただ、話かけられたら相槌を打って、聞いてるフリをしてただけのくせにww)
LEONは苦笑いをした。
「悪いな!ちょっとトラブルに巻き込まれてた!今から飛ばしてくぜ!」
RIKUKIの煽りで一気に客のボルテージが上がる。
(ホント、そういう才能はすごいなww)
LEONは感心しながら、客に飲み物や食べ物を売って回った。
イベントが終わってからRIKUKIに聞いてみる。
「何で、あのMAKOTOって奴に声かけたんだ?」
あまりRIKUKIが大人しそうな相手に自ら絡みに行く事はない。LEONには不思議だった。
「あ?いや、別に…ただ何となく、日本語が話せないのかと思って…」
(RIKUKIは尖っているように見えて、本当は優しいから、MAKOTOが一人で困ってないか気になったんだな)
LEONがフッと笑みを浮かべてると、後ろからJUNにヘッドロックされた。
「ジェイ?!」
「お前らだけ楽しそうにしやがって!`ちゃんと俺にも教えろよ!」
「わ、わかったから、Give up〜!」
JUNは3人の中で一番背が高い。JUNの腕をバンバン叩きながら、その内MAKOTOも仲間になれないかなと思う。ヘッドホンで音楽を聞きながら町を歩いてる奴なんて珍しい。音楽が好きなら手伝ってくれるかもしれない。
(SHOTAが黙ってないかもしれないけどww)
3人でワチャワチャしながら、新しい何かが始まる予感を感じていた。
END