出会った翌日、SHOTAはMAKOTOを銭湯に連れて行って、色々と聞き出した。
やはり、MAKOTOは、アメリカからやってきた帰国子女だった。ハーフのような彫の深い顔立ちだが、両親とも日本人だそうだ。日本語は喋れるが英語に慣れているので、一度頭の中で変換して日本語にしているらしい。そのため、無口になっていたのだ。
実は、音楽とダンスが好きな陽気な奴だとわかり、すっかり打ち解けて仲良くなった。
そこでSHOTAは、MAKOTOをドラゴンガーディアンズに誘った。MAKOTOは、何だかわからない様子だったが、面白そうだと思ったらしく、仲間になってくれた。
クレイジードッグズについては、危ないことをしている連中だから、近づかないように釘を刺した。今度一緒にイベントへ行って証拠を押さえる計画を話して、一緒に行く約束をしたが、MAKOTOは、イベントそのものに興味があるようだった。
イベント当日、RYUSUKEに軽く化粧を施して、別行動で潜入した。ちょっと軽くお白いをして、口紅を引いただけで、すっかり女っぽくなったRYUSUKEを見て、SHOTAとSHUNは感心してしまった。
イベント会場は人でごった返していたが、なんとかLEONを見つけた。RYUSUKEが近づいてLEONに話しかけた。SHOTA達は、少し遠くから見守っている。
「最近噂のサプリが欲しいんだけど、売ってくれる?」
LEONは、RYUSUKEを一瞥すると、ニヤッと笑った。
「どこで聞きつけて来たか知らないけど、これは、誰にでも売ってるんじゃないんだ」
「女にしか売らないって聞いたけど?」
「それはそうだけど、信頼できる人にしか売らないから、ファンクラブの会長さんを通してる。それに、君、女じゃないよね?」
ばれている…
「誤解してるかもしれないけど、たぶん、君が思ってるようなものじゃないし、必要でもないと思うよ」
LEONに子供を諭すように言われ、RYUSUKEは赤面した。退散しようとしたが、SHOTAが乗り込んできた。
「もうちょっと、詳しいこと聞かせて欲しいな」
「悪いけど、ここで騒ぎを起こしたくない」
押し問答をしていると、周りが野次を飛ばしてきて、騒ぎになってきた。その上、RYUSUKEを女だと勘違いしたJUNのファンクラブの女の子達がRYUSUKEに詰め寄ってきて、SHUNが割って入ったりと、騒ぎが飛び火している。
SHOTAがこの状況でMAKOTOの姿が見えないことに気が付き、心配になって探すと、いつの間にか、ステージの前に行ってしまってる。しまった!と思ったが、RIKUKIに見つかった。
「お前、この前の奴だな?今日は一人か?」
「いや、ドラゴンガーディアンズのみんなと一緒だけど」
「何だって?!何しに来やがった?!」
(や、やばいって!)
SHOTAが慌てて、MAKOTOを連れ戻そうと近づこうとしたが、人が多くて中々近寄れない。
怒号が飛び交い、誰が口火を切ったかわからないが、あちこちで乱闘が起きて、大騒ぎになってきた。RIKUKI達の町の人間とSHOTAの町の人間が入り乱れて騒ぎだして、収集がつかない。
遠くでパトカーのサイレンが聞こえて来た。
(まずい!)瞬時にLEONが動いた。
お客を無事に帰すため、乱闘をかいくぐって、ステージに上がり、マイクを使って、すぐに喧嘩を止めて解散するように怒鳴る。
RIKUKIとJUNに促して、お客を誘導していく。いつの間にか、SHOTA達も手伝ってくれていた。
とにかく、広場から全員を逃がして、裏路地まで走った。
「はぁー、ここまで来れば、大丈夫だろ。さっきは、手伝ってくれてサンキュー」
肩で息をしながら、LEONがSHOTAに礼を言った。
「ま、警察沙汰はお互いに面倒だからな」
SHOTAがゼエゼエと息を整えながら応えた。
「お前らが絡んで来なきゃ、こんな事にはなってねーだろーが!」
息を切らして真っ赤になったRIKUKIが怒鳴る。
「おめーらが俺らの町の人間にも、変な薬売ってるからだろーが!」
SHOTAがRIKUKIを睨みつけ、一発即発な雰囲気だ。
LEONが観念して、口を出す。
「その話だけど、完全な誤解なんだよ。中身はただのビタミン剤だから…」
「はぁ?じゃあ、何でコソコソ売ってんだよ?!」
「それは、こっちの事情があって…。実は、Jの愛用してるビタミン剤にブロマイドをつけて、ファンクラブ限定で売ってたものなんだよ。変に出回ると困るから、素性のわかっている人にだけ売ってたんだけど、人気が高い上に数量限定だから、プレミアがついちゃってさ。コッソリ売ってたら噂が変に広まって、尾ひれもついて話が大きくなっちゃったんだ」
「何だそりゃ・・・。何でそこまでコソコソする必要があったんだよ!」
「だって…」
「おい、何の話だ、聞いてないぞ?!」
JUNがカンカンになってLEONに詰め寄ってきた。
LEONはJUNには内緒でブロマイドを売っていたのだ。売った金はLEONのプライベートマネーではなく、イベントの活動資金にしており、チームのために始めたことだった。ファンクラブの女の子にせがまれたという理由もある。
それでも、絶対にJUNが怒ることがわかっていたので、JUNにばれないように、コソコソやっていたら、変なところで話が大きくなってしまい、どうしたものかとRIKUKIと困っていたところだったのだ。
SHOTAはすっかり拍子抜けして、JUNに平謝りしているLEONを呆然と眺めていた。SHUNは、そんなSHOTAがおかしくて、ニヤニヤが止まらなかった。RYUSUKEはしらーっとしている。
MAKOTOは、と言えば、いつの間にか、RIKUKIと音楽の話で盛り上がっていた。HIPHOP好きの2人はすっかり、意気投合してしまい、一緒にラップをしようと盛り上がっていた。
「よし、次のイベントは合同でやるぞ!!」
突然、RIKUKIがぶち上げた。
「は?何言ってんだ?」
SHOTAは呆れたが、SHUNは何やら乗り気だった。
「え!楽しそーじゃん!やろーぜ!」
「あ、俺はパス」
RYUSUKEは高みの見物を決め込むつもりらしい。
JUNの猛抗議からようやく解放されたLEONがRYUSUKEに話しかけた。
「お前ってさ、いつもカメラ持ってるよな?イベントの写真撮ってくれない?」
LEONは、懲りずに何やらまた考えているらしい。
こうして、思いがけなく誤解が解け、チーム合同でイベントをすることになったのだった。
END