イベント当日
ステージは会場の中央付近に作った。観客が踊れるように四方にスピーカーを設置している。ライブ専用の会場ではないので、音響が厳しいが、ノリでなんとかするしかない。
MCはRICKY、DJはRYUSUKEだ。
「みんな、待たせたな!準備はいいかぁ!!?」RICKYの声が会場中に響いた。
(これなら、いけそうだ)
RICKYの声は抜群にマイク乗りがいい。
LEONは会場の端で全体をチェックしていた。
「まずは、メンバーを紹介するぜ!ドラゴンガーディアンズから、DJ、RYUSUKE!」
わっと拍手が起きる。
「同じく、ダンサーのSHOTAとSHUN!」
ウォー!という男の声とキャーという黄色い女の声が上がった。SHOTAは男に、SHUNは女にモテる。
「クレイジードッグズからプロデューサーのLEONとラッパーの俺、RICKY!」
ワーっという大きな声と拍手が起きた。
「そして、ボーカル、J!」
キャー!!!とすごい歓声が沸き上がった。Jは女のファンが圧倒的に多い。
「もう1人、ボーカルの新しい仲間を紹介するぜ!」
MAKOTOが登場すると、途端に観客がざわつき始めた。RICKYは予想してた反応に不敵にニヤっと笑って、
「まずは自己紹介代わりに行くぜっ!」
RICKYの合図で鳴っていたバックサウンドが消え、アカペラで歌い上げるMAKOTOの声が響いた。
観客が息を呑んだのがわかる。一瞬の静寂。
次の瞬間、爆音と共に、MAKOTOの歌に合わせてSHOTAとSHUNが踊り、JとRICKYも歌い始めた。
ウワーっ!!!と観客の声援がどよめきとなって、会場が震えた。LEONはビシビシと肌に伝わる熱狂に確かな手応えを感じた。
1曲終わって、RICKYが再び観客に問いかける。
「どうだ?俺らの新しい仲間は?イケてるだろ?MACKだ!!よろしくな!」
観客が拳を突き上げて、ウオーっと声援で応える。
「え?」MAKOTOが思わずRICKYを振り返った。RICKYからMAKOTOという名前はコールしにくいと言われていたが、MACKと呼ぶとは聞いて無かった。
若干、不本意だったが、これだけの観客の前で紹介されては"聞いてない"とは言えない。
(適当だなー)
苦笑してしまうが、観客の掴みはバッチリだった。
(やってやるしかないな)
MAKOTOは腹を括った。
MAKOTOの声はマイク乗りがすごくいい。中音が特徴的だ。高音が得意なJとの相性はバッチリだった。その上、RICKYのラップと掛け合いもできて、ダンスもできる。鬼に金棒状態だ。SHOTAもテンションが上がってしまい、ダンスでぶちかまし過ぎて、周りを見てないとSHUNに小言を言われる始末だった。
7☆ストリートボーイズの初めてのライブは大成功で幕を閉じた。反響はすごくて、口コミで噂は瞬く間に広がった。DJの合間にRYUSUKEが撮った写真を雑誌社で取り上げてもらったり、作ったチラシもあっという間になくなった。早々に、次の公演も決まったが、既に場所が手狭になっていた。
2度目の公演も満員御礼の大好評で終わると、大手の音楽プロダクションから声がかかった。本格的なライブ会場での公演も成功し、あれよあれよという間に正式に契約する話になった。メジャーデビューできるというので、有り難い話ではあったが、LEONは些末な不安を感じていた。しかし、メンバーが乗り気だったので、横槍は入れず、サポートに努めた。
レコードのジャケットにはLEONとRYUSUKEの写真も入れてもらえた。初めてのレコードを手にした時、全員が感無量となって、7人で掴んだ夢が形となった事を喜んだ。
しかし、喜んでばかりもいられなかった。運営事務所は彼らをアイドルグループとして売出したいと考えていた。特にJUNとSHUNの人気の高さとMAKOTOの歌の上手さに注目が高く、偏った売出し方や思っていないような事を言わされたり、したくない仕事が増えていった。メンバーと運営事務所の間に入って嫌な仕事を受けずに済むようにかけあったり、不満を聞いたり、頭を下げたりする事が続いて、LEONが疲れきって病みかけた時、LEONを庇ってRIKUKIとSHOTAが切れた。
「俺達のやりたいようにできないなら、辞めてやる!!」と担架を切って、運営事務所と大喧嘩したのだ。LEONも2人の気持ちがわかっていたので、今回は口出しするのを諦めた。大騒ぎになって、違約金だの、訴訟だのという話になったが、JUNとRYUSUKEの親が優秀な弁護士を雇ってくれて、裁判沙汰になるのは回避できた。
とはいえ、日本の芸能業界からは追放同然になってしまった。
7☆ストリートボーイズは解散した。
一枚のレコードと伝説を残して…
END