最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第13話 類とも

 

 

 翌日。私は、自宅謹慎を解かれたこともあり、久しぶりに外に出た。

 自宅謹慎中は配信サイトでアニメを見るのも悪くは無いけれど、若い内は外で出るのが一番だね!

 未だに全速力を持っても、時間停止できるほど回復はしていないけれど、それに近いスピードで走ることは出来たので、永久との待ち合わせ場所へと向かった。

 

 永久と待ち合わせしていた場所は、ある駅前にあるコンビニの前。

 都心のコンビニは、週刊誌とかにヒモやテープをつけて立ち読みできないようにしている所が多く、例に漏れずにここのコンビニも立ち読みできないように処置をしてあった。

 私はとりあえず永久が私を直ぐに見つけられるように、コンビニ前で立つ。

 色々な人が通り過ぎていく。

 老若男女。忙しそうに早歩きするサラリーマン。学生。ジョギングする青年など。

 こうして人間を観察するのも、悪くない暇つぶしになる。

 

「蘭~~! ごめん。待った?」

 

「ううん。全然」

 

 首を横へ振った。

 目の前にいる子は、同級生の安心院(あじむ)永久(とわ)。

 陰陽師のきょーちゃん、お金持ちの玲衣奈と、少し変わった友達がいる中で、永久は数少ない一般人の友達だ。

 ……一般人の友達があまりいない事については、もしもクエビコが居たら「類は友を呼ぶからではないですか?」みたいな事を言われそうだけれど、気にしたら負けただ。きっと。

 

「輝夜ちゃんのお店は、ここからちょっと歩いた所にある路地裏だから、中々見つけることができないと思うから付いてきてね」

 

 永久とは何気ない会話をしながら、永久の案内に付いていく。

 10分ほど歩くと軽自動車がなんとか通れるぐらいの道幅しか無い路地裏へ入る。

 高いビルとビルの隙間であるため、日中だというのに少しだけ薄暗い。

 

「あそこのビルの2階が輝夜ちゃんがやっている万事屋「アンダーテイカー」だよ」

 

「へぇ……」

 

 築十年以上は経っているレトロな雰囲気のビルだった。

 私の偏見かもしれないけれど、探偵とか万事屋って窓に名称とか電話番号を貼っているものではないのかな。ほら、某有名な探偵アニメで主人公が居候としている探偵事務所でも貼っているし。

 ビルの一階はどうやらちょっとした喫茶店になっているようだ。

 正面右側にある階段を上ると、万事屋「アンダーテイカー」があった。

 

「……これって永久が言ってた輝夜ちゃんって人の趣味なの?」

 

「あ、あはっはっはっ――。そ、そうだけど。悪い人じゃ無いんだよ。……良い人とも言い難いけど(ボソリ)」

 

 永久が聞き取れないぐらい小さな声で何か言った。

 入り口の扉の横には、良く言えば奇妙な、悪く言えば趣味の悪い像が置かれていた。

 まるでクトゥルー神話に出てくる形容しがたき生物に似ていて、見ているだけでSAN値が削られていきそうだ。

 ダンジョン内で見たら瞬時に敵だと判断して斃す自信がある。

 

「輝夜ちゃんー。輝夜ちゃん? 輝夜ちゃんいるんでしょう。開けるね」

 

 永久が扉を開けると、臭いが酷い。

 これは酒臭さと――なんだろう? 今世で嗅いだことの無いが部屋から匂ってきた。

 

「永久?」

 

「ちょぉぉぉぉと、輝夜ちゃんとお話があるから、下の「ウイッチクラフト」で待っててくれるかな? 好きな物を頼んでくれて良いからね。輝夜ちゃんに全額支払わせるから好きなだけ高いもの頼んでいいよ」

 

「あ、はい」

 

 黒い笑顔でそう言われたら、私は頷く事しかできない。

 永久は扉の中に消えていった。

 そして扉の先から、怒鳴り声や泣き声や謝罪する声と三者三様の声と、物が壊される音が聞こえてくる。

 ――永久は一般人だと思っていたけれど、少し考えを改めないとダメかなぁ

 決して類ともではない、はずだ!

 扉の先から聞こえる音からして時間がかかりそうだ。

 永久に言われたとおりに、一階へ下りて喫茶「ウイッチクラフト」へと入った。

 

「いらっしゃい。空いている席にどうぞ」

 

 カウンターにいる女性から言われたので、窓際のテーブル席へと座った。

 ……あまり流行っていない、のかな。

 客は入ってきた私しかいない。時間帯が時間帯って事もあるだろうけれど。……場所が路地裏で、人が余りきそうにない立地条件だと仕方ないのかもしれない。

 手書きの用紙にラミネートされているメニュー表を見て、サンドイッチとカフェオレを注文する。

 店内に流れるジャズを聴きながら、スマホで電子書籍を読んでいると、5分ほどで注文した物を女性が持ってきた。

 

「ミックスサンドとアイスカフェオレになります。

――ところで貴女。さっき永久と二階に上って言ってたけど、「アンダーテイカー」に用事があるとかじゃあないわよね」

 

「あ。そこでアルバイト募集しているって永久に紹介されたので、今日はアルバイトの面接に来ました」

 

「――」

 

 女性は驚いた顔をすると、手に持っているお盆を床に落とした。

 すると私の方を、まるで信じられない者を見るかのような目つきで見てきた。

 

「……貴女、何歳?」

 

「14歳。永久と同じで中学2年生です」

 

「まだ人生をゴミ箱――ドブに捨てるには早いわ。辞めておきなさい

きっと死にたくなるような辛いことが事があったんでしょう

人生は短くて線香花火のようだけど、それでも明日への希望は誰にでも平等にあるわ

……でも、最終的に選択するのは貴女自身。後悔しないようにしなさい」

 

「は、はい」

 

 最後の方は憐憫を込められた目で見られていた。

 なんか、少しだけ帰りたくなってきた。かな。

 ――しかし、とりあえず会ってみてから判断しても遅くは無いよね。

 きっと永久も居てくれるだろうし、本当に危ないみたいなら最悪――

 

「あ、そうだ。もし輝夜が指一本でも触ってくるようなら、全力で殴ってもいいわよ

警察が来ても心配しなくていいわ。警察に問われたら、レ○プしようとしたからと証言してあげるから安心しなさい」

 

「あはっはっはは。あ、ありがとうございます?」

 

 ――私が顔に出やすいのか。それとも接客業に長けていそうな女性の観察眼が凄いのか。

 たぶん両方な気がする。

 

 

 

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