最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第17話 バッティング

 

「きょーちゃん、こんばんは。もしかしてこのビルに用事があったりする?」

 

「そうよ。学校が学生向けに掲示している依頼の中にあったから受けてきたの。そういう蘭はどうしているのよ。夜の散歩にしては、家から随分と離れているみたいだけど?」

 

「ほら、あの件でお母さんが怒って、お小遣いが半額にまで減されたんだ。なんとかする為にも、アルバイトすることにしたのだけど、まだ仮採用の段階でさ。ここの依頼が達成したら、正式採用される形になる予定」

 

「……雅さんは普段余り怒らないけど、怒るとコワイタイプよね」

 

「うん。間違いない」

 

 きょーちゃんの言葉に私は何度も頷いた。

 お母さんの恐さは、あまり言うと怖くなるので、置いておくとして。

 まさかの依頼がバッティングしているとは……。

 一応、阿頼耶識さんに確認しておこう。アルバイトとはいえ、報告連絡相談は大切だからね。スマホを取り出して阿頼耶識さんにかけた。

 ……さっきからきょーちゃんの後ろにいる同年代ほどの子が、睨んできているので、不正がない事を確認するためにも、スピーカーへと切り替える。

 

『もしもしー、どうしたの。もう終わった?』

 

「これからです。……それよりも、別の所とバッティングしたみたいですけど、大丈夫ですか」

 

『ビルとかの霊災はバッティングする事は間々あるから大丈夫。

私に依頼してきたのは地主だけど、バッティングした方の依頼主はビルの所有者とかじゃあないのかな』

 

 きょーちゃんへ視線を送ると、きょーちゃんは頷いた。

 

「……みたいですね」

 

『でしょう。土地と建物が違った場合は、大人の事情でバッティングする事はよくあるから気にする必要はないよ。

バッティングしたなら協力して仕事すれば、双方から仕事したって事でお金貰えるし、労力は半分で済むし、良い事ずくめ。……バッティング先に嫌われてなかった場合だけどね!

神威に視て貰っているように頼んでるから、何かあればそっちに言って。私は今、ちょっと手が放せない「――っ❤」からさ』

 

 最後の方の、妙な必死で我慢しているけれど漏れてきた喘ぎ声って、声質からして永久……。

 ま、まあ、きょーちゃんは分からなかったようだし、それについてはツッコミは止めておこう。

 

「目的は同じみたいだし、一緒に行動する?」

 

「ええ。こちらこそ、よろしく、」

 

「お待ちください! 京華さま」

 

 きょーちゃんが承諾しようとした所で邪魔が入った。

 ずっときょーちゃんの後ろで、私を睨んでいた女子だ。

 

「……桜香」

 

 天使(あまつか)桜香(ほのか)

 確かきょーちゃんの取り巻きの子で、なんか従者のような立ち位置の子だ。

 実力はきょーちゃんには及ばないけれど、人型の式神を2体使役できるということで、同年代の子では優秀な部類に入る。

 

 見て分かるように私は、この子というか、きょーちゃんファンクラブに属している人達からあまり良く思われてはいなかった。(嫌われているとも言う)

 式神一体も使役できない私が、100年に1人の天才と謳われているきょーちゃんと仲良くしているのは、大変面白くはないようだ。

 正直、私はこの子達には興味もなにもない。実力にしろ、術式にしろ、見て覚える所が何一つとして無いのだから仕方が無いよね?

 

「京華さまは、「それ」に対してあまりに甘すぎます。

式神一体も使役できない落ちこぼれには、もう少し序列というものを分からせるべきです。第一に「きょーちゃん」なんて馴れ馴れしいを通して馬鹿にしているのですか!?」

 

「そんなつもりはないけど――。なら、今から改めて呼ぶ事にするよ。

――京華――。

天使もこれで良い……」

 

 あ、これはヤバイ。

 「きょーちゃん」ではなくて「京華」と呼ぶと、ショックを受けたようで目元に涙を堪えていた。

 これは冗談にしないと、後できょーちゃんが天使へ体罰を与えかねない。

 

「じょ、ジョーダン。ジョーダンだからね。きょーちゃんって呼び名は、きょーちゃんへの親愛の証しみたいなものだから、簡単に変えるつもりはない。

もし変えるとしても、誰か他の人手はなく、きょーちゃんから変えて欲しいって頼まれた時だけだよ」

 

「――――っ」

 

 そんなに睨まれましても!

 こう言わないと、キミがきょーちゃんに体罰をされるかもしれないんだからね。

 泥を被る覚悟で恥ずかしいセリフを吐いたというのに……。

 

「その格好はなんですか! まるで耐性のない普通の服ではないですか。霊災を舐めきっているとしか思えません!」

 

「? ちょっと何を言ってるか分からない。

攻撃ならされるまえに斃せばいいし、毒や呪い関係は、実際に受けて自分自身へ耐性をつけるんだよ?」

 

「あなたこそ、何を言ってるのですか?」

 

 そんな非常識な人を見る目でもられても困る。

 耐性のある服装とかアクセサリーに慣れたら、基本全裸になるお風呂に入るときに襲われたりしたらどうするのさ。

 無抵抗のまま呪われて潔く死ぬつもり?

 私は御免蒙るけどね。

 

「武器も札も一枚も持たずに来ているのは非常識です!!」

 

「あー、あれって大量に持ち歩くとかさ張るからさ。

それに札とか使用しなくても、普通に斬れば斃せるから、別に無くてもよくない?

これがあれば大抵のものは、問題無く斬れるよ」

 

 ここに来る途中にある100円ショップ「ダグソー」で購入した税込み330円のオールステンレス万能包丁を、ショルダーバッグから取り出して天使に見せた。

 

 

 

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