最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第18話 常識?非常識?

 

「そんなステンレス包丁で、霊がどうにか出来る訳がありません!!」

 

「いや、出来るからね? どうせなら素手でも祓えるけど?」

 

 天使は私の言葉を何が何でも否定したいようだけど、事実だからなぁ。

 そもそも私が武器を使うのは、素手でするよりも手加減をやりやすいからだ。

 今はダンジョンで発散できてるけど、ダンジョンに潜るまではちょっと力を入れたら思った以上に威力が出る事が多く、玲衣奈の時には家を半壊させてしまった事もあった。

 

「蘭。「終焉(エンド・オーダー)」はどうしたの」

 

「ああ。アレ? 先の件でお父さんに怒られたから、謝罪(わいろ)としてあげたよ」

 

「……あんなに嬉しそうに啼いていたのに」

 

 確かに啼いていたけど、あいつが嬉しそうに啼いていたのは超魔神皇の方であって、私の方ではないからね。

 会話を試みても、上から目線で、頑固で、我が儘で、どうしようもない刀だった。

 超魔神皇が喚び出した「クリエイティブ・スライム」は、超魔神皇が錬金術の要素を取り入れて造り出した魔物である。

 「クリエイティブ・スライム」は、10000以上の武器を呑み込み、あの時の私が望んでいた一振りの刀「終焉(エンド・オーダー)」を産み出した。

 呑み込んだ武器が神話や伝説に登場する武器があった影響があったのか、なんだかプライドが青天井ぐらい高かった。

 ちょっと言い争いになったので、優しい私は「終焉」に、宇宙を永劫に彷徨うか、マリアナ海溝に沈むか、スクラップとなるか、大人しく私の言う事を聞くか、4択を与えたにも関わらず、どうしても私には使われたくないと言ってきたので、お父さんに渡した。

 ――勿論、お父さんの言う事をきちんと聞くように、しっかりと教え込んである。

 

「蘭。桜香にダグソーで買った、そのステンレス包丁で霊を斬れるところを見せてあげて」

 

「オーケー」

 

「桜香。蘭がステンレス包丁で、霊を斬ることが出来たら、文句を言わずに蘭と協力することを認めなさい」

 

「……分かりました」

 

 天使は明らかに分かってない表情だったけど、この場で言い争っても時間の無駄だね。

 私達はビルの中へ入った。

 霊は明るさを嫌うから、ビルの電気は付けずに、月明かりと懐中電灯の光だけで、ビルを探索する。

 

 ……つまらないなぁ

 

 ダンジョンなら雑魚でも沸いてくるけど、ここは何も沸いてこない。

 別にダンジョン深層レベルのモンスターが出てきて欲しいなんて贅沢は言わないけど、質がない分、数が出てきて欲しい。

 

「――。前方に浮遊霊が一体」

 

 手に持っていたステンレス包丁を振るった。

 きっと地縛霊の持つ魔力に引き寄せられてきた下級霊。

 声を出す間もなく消滅する。

 

「――ちょっと待ってください。何をしたのですか」

 

「え。包丁で斬ったんだけど?」

 

「10メートルぐらい距離がありました! ありえません!!」

 

「いやいや、斬撃を飛ばす程度のことで、そんな非常識みたいに言われても困る。ね? きょーちゃん」

 

「普通は出来ないわ。絵馬さんだって、集中してしないとできない芸当よ」

 

「……コツを掴めば簡単なんだけど」

 

 うーん、ダンジョンで見た時は、あの人はもう少し出来る人だと思っていたけど、まさか斬撃を飛ばす程度のことを集中しないとできないなんて。

 無いとは思うけど、もしかしたらコツを知らない可能性もある。

 同じダンジョン探索者で配信者なんだから、機会があればコラボとかして、コツを教えてあげるのもいいかもしれない。

 

(――やめた方がいいのでは? 天才と凡人とでは、全てにおいて違いがあります)

 

(たかが斬撃を飛ばす程度で何を言ってるの。別に刀剣に魔力を溜めて、ビーム兵器みたいに放出しろとは言ってないからね。アレはちょっと難しくて、魔力量と才能が必要なだけど……)

 

(深層で出遭ってから数ヶ月経ちますが見た事無いですね。そんな事が出来るのですか)

 

(出来るけど――しないよ。それだと殲滅ゲーになって、闘っていると実感がなくなるもの)

 

 私がダンジョンに戻る理由は、戦闘欲求の解消目的で、ストレス解消じゃあない。

 だから術式関係は極力使わないようにして、物理攻撃主体で探索している。

 

(舐めプをして足下を掬われないようにしてください)

 

(舐めプじゃあないよ。今のところ、私が全力を出してまで闘える相手がいないからね)

 

 全力を出せる相手は今世で出会った中では、高次元生命体の病原菌みたいなヤツか、阿頼耶識さんぐらい。お父さんとお母さんは、いまいち実力が把握できないんだよね。

 全力と言っても『奥の手』を使用するのは、極力として避けたい。

 超魔神皇の力という強大な力への反動で、ダメージを受ける事ともう1つデメリットがある。私が超魔神皇という生命体へと近づいてしまう事である。

 今の私は1%程度、超魔神皇と成っている。

 人として生きたいと願った超魔神皇の願いに反するので、あまり使用したくはなかった。

 あの時はきょーちゃんがいたから仕方なく使用したけどね。

 あくまで、私は人間として、この生を満喫したいと考えている。

 

「この部屋よ」

 

 クエビコと雑談をしていると、目標の場所へと辿り着いた。

 今までの霊とは違う気配を放っている物がいるのは感覚で把握できた。

 うーん、本当にたいした事がない霊なんだけどなぁ。

 でも気になるのは、阿頼耶識さんが言ったことだ

 

『私からすればどうでもいいことだけど、きっとキミの運命には多少の影響があるかもしれないし、ないかもしれない。ま、占いみたいなものだから、気にする、しないとキミに任せる』

 

 きょーちゃんが依頼を受けて来たから、もしかしたらきょーちゃんが酷い目に遭う可能性があるかも知れないからと、警戒はしていたけど――。

 ここまで来ても、脅威には感じない。

 きょーちゃんの実力は把握しているので、この部屋にいる地縛霊程度なら、苦戦することもなく祓える、ハズ。

 万が一のことを考えて、私がドアノブを回し、部屋の中へと入った。

 

 

 

 

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