最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第21話 因縁

 

 A/Zは桜香を睨み付ける。

 悲鳴を上げた桜香は一歩後ろへ下がろうとしたけれど、足が絡まり床へ尻餅をついた。

 

「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ。桜香が、何をしたって言うの!?」

 

「この小娘が、蘭の邪魔をしたのだ。

――もし、この小娘が邪魔をしなければ、我が出現する事もなかっただろう」

 

「どう、いう、こと?」

 

「この小娘はな、京華。お前を殺そうとしたのだ

本来であれば、この小娘の小手先の技術など意に介さないが……。

今の蘭は前回の我(超魔神皇)本体の魔力を使ったことによる魔力回路へのダメージが、まだ完全に回復できていない。その為に、時を止めるほどの超高スピードを出すことができなかった。

そもそも小娘が邪魔さえしなければ、問題無く間に合っていたのが、邪魔をしてくれたお陰で2秒……間に合わなかったのだ。

それを蘭は未来視で視て、絶望に染まったことにより、トリガーが発動して我が顕臨(げんりん)した。

我が顕臨しなければ――京華、お前はあの骨に殺されていたのだぞ」

 

 私は信じられなかった。

 桜香は今通っている学校に入ってからの付き合い、もう1年以上の付き合いになる。

 学校の内外でも一緒にいる事も多く、慕ってくれてると思ってたのに……。

 

「どう、して――」

 

「……」

 

 問いかけても、桜香は首を下に向けて、何も答えない。

 しかしA/Zがつまらなそうに言う。

 

「ふん。ある意味で、この小娘は式神のようなものだ。

親の言うとおりに動いたのだからなあ。

今年の陰陽天覧会は――。まあ、それは良いか。

お前には止めるという機会はあった。ただ、それを選択せずに、こうなる未来を選択したお前に我は慈悲は与えん」

 

「――ッ。……私を、殺し、ますか?」

 

「自惚れぬなよ。なぜ我が、小娘を殺した咎を負わねばならぬのだ

我が顕れたことで、未来はリセットされたが、――小娘、残念なことにお前の未来は変わらぬ。

――【千殺万死】――」

 

 A/Zは桜香の頭を掴むと、無理矢理、視線を合わせる。

 ほんの僅かの間、見つめ合うと、A/Zは掴んでいた桜香の頭を外した。

 異変があったのは直ぐだった。

 桜香は苦しそうに呻き声を上げると、涙を流し、鼻血を出し、失禁までした。

 

「桜香に、何を、したの?」

 

「千の殺され方、万の死を体験している。

本来は全て終わった後に、死を迎える術であったが、リセットされる前の未来で、蘭が改造したように、無限ループする仕組みに作り変えた。

この術が解けるのは、術者の我と、蘭の父が持つ【終焉】のみ。

――京華。事後処理をする為、大人達を呼べ。何が起きたかは、クエビコが蘭の父に動画を送るであろうよ」

 

 クエビコ……?

 そう言えば蘭の動画チャンネルで良く名前を耳にしていた。

 動画と言う事は、この場にいるって事?

 気配がまるでない。

 

 とりあえず私はA/Zに言われたとおりにスマホを取り出して、学校へ連絡した。

 直ぐに対応の職員が来るようだ。

 来るまでの間、私はA/Zから色々と聞き出そうとしたけど、突然、私の背後へ隠れた。

 同時にガラスが一枚割れて、男性が突然入ってきた。

 

「――爆弾はッ」

 

 風がオフィス内を吹き回る。

 ただの風じゃあない。吹き荒れる風は、まるで何かを探しているようだった。

 

「ちぃ。嘘かよ!」

 

「――我が知る未来通り、キサラを逃したか。ここで少なくとも彼奴は再起不能には、しておくべきだったぞ、神威」

 

「お前……蘭じゃあないな。誰だ」

 

「――――」

 

 神威と呼ばれた男は睨んでくるが、私の背後に隠れてプイッと顔を背ける。

 なんか、ネコみたいで可愛い。

 沈黙が流れる。

 ――仕方なく私が答えた。

 

「この子は、今はA/Zよ。そっちは、ガラスを割って突然入って来たのに自己紹介は無しなのかしら」

 

「……俺の名は、阿頼耶識 神威だ。

A/Zと、言ったか。そんなに警戒されるほど、何もしてないだろ。

そもそもお前に似た京極蘭とさえ、今日が初対面だぞ」

 

「黙れ。変態の真性ロリコンめ」

 

「だぁかぁらぁ、俺はロリコンじゃあねえよ!!」

 

「黙れ! リセットされた未来ではあるが!

当時の蘭は、京華を喪って精神的に不安定で病みかけであり、あの計画を持ちかけたのは蘭の方からとはいえ、中学生だった蘭を抱いておいて、ロリコンでないとは、白々しすぎるぞ、神威!!」

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 は。A/Zのあまりの言葉に、一瞬、意識が飛んでたわ。

 落ち着きなさい。こういう時こそ、冷静でないと駄目よ、京華ッ。

 

「ねぇ、A/Z。さっきから未来がリセットされたって言ってるけど、具体的にどういう意味なの?」

 

「どんな行動をしても変わることのない絶対的な一本道の運命だったが、我が顕れ、京華が助かった事を切っ掛けに、未来は普遍的な変化が生じるようになった」

 

「なら、この目の前にいる顔が良いだけと男が、蘭を抱く未来はないということね!!」

 

「0%ではない。何かの拍子に、あの未来へ振り戻しになる可能性は、ある。あるが!

言っておくぞ、神威!!

我は常に蘭と共にある以上、そう易々と蘭を抱けると思わぬ事だっ」

 

「A/Zの言う通りよ。幼馴染みで、蘭と一緒にいた歴史が長い私が居る限り、貴方の横暴とも言える行為は出来ないと思いなさい!」

 

「いやいやいや、ちょっと待て。もうリセットされた未来だろ!?

ここは何時から『マ○ノリ○ィ・リ○ート』の世界になったんだ。

起こってもない未来の罪で文句を言われたくねえよっ」

 

 

 

 

 学校の職員、警察、陰陽庁の人達が来るまでの間、私達の言い争いが続くことになる。

 大人の人達がオフィスに到着すると、蘭を抱いたゲス野郎――神威は何処かへ消えていた。もう二度と現れて欲しくない。

 またA/Zも、神威が消え去り、大人達が来たことを確認すると、蘭へと姿を戻した。

 

 角が消え、髪もいつもの黒髪に戻った蘭は、直ぐに意識を戻すと、私に抱きついてきた。

 そして子供のように、蘭は大泣きをした。

 

『良かった。良かった! きょーちゃん、きょーちゃんが生きてる。生きてるよっ』

 

 この後、行われた事情聴取している間も、蘭は私をずっと抱きしめてくれていた。

 ……蘭が、こんなに心配してくれて嬉しさがある反面。とても悔しい気持ちがある。

 私が弱いから――蘭を泣かせてしまい、あり得た未来ではロリコン野郎に身体を差し出す事になってしまっていた。

 

 再度。私は心に決めた。

 絶対に強くなろう。

 蘭みたいに別次元の強さは無謀だとしても、せめて蘭が泣く事がないような、それぐらいの強さは手にしてみせる。

 まずは『スカル』を十二全に使役してみせる!!

 

 

 

 

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