最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第33話 けいやく

 

『――ほんと? せいめいじゃなくて、あたしでいいのよね』

 

「ええ。道満さんの弟子で良いですよ」

 

『ぐすっ。それ、じゃあ、ししょうとでしの、けいやく』

 

 目元を袖で擦りながら道満さんは立ち上がった。

 私の目の前まで来ると、道満さんは私の肩に両手を置くと顔を近づけてきて――唇を重ねてきた!

 しかも、舌を入れて絡めてきて、なんか、凄くイヤらしいっ

 押しのけるために魔力をバーストさせようとした時、道満さんは不可視の力で吹き飛ばされ壁に激突すると、そのまま崩れ落ちた。

 

『驚きました。まさかフルダイブ型VRシステムを通しているとはいえ、ただ観るだけで干渉できないという事柄を覆し、仮想空間から現実へ超能力で干渉をしてくるとは――』

 

 クエビコは珍しく驚きの声をあげた。

 それよりも、私は突然キスされた事により立ち尽くしていた。

 

『? まさかファーストキスだったのですか?』

 

『そ、そうだよ! 当たり前じゃん。

あ、でも、こういうのって同性だとノーカンってよく言うよね』

 

『一部では言われているようですが……。

そんなに異性とのキスをしたい欲望丸出しでは、あの神威という男に隙を付かれて奪われるかも知れませんよ』

 

『あ。それはない。絶対にない』

 

 なんでか分からないけど、なんか未来が変わった辺りからあの人のこと、かなり苦手になった。

 苦手というよりは嫌いレベル?

 確かに乙女ゲーに出てくる攻略対象者レベルの顔面偏差値なのは認めるけど、どうも私とは相性が良くないみたい。

 特に何かされたという事はないんだけど……ほんとなんでここまで、あの人のことを嫌っているのか、私自身も把握できていないので、上手く言い表す事ができないけど……。

 

『……LANのファーストキス事情には全く興味が湧きませんが、先程の物理的にあり得ない干渉が起きた事で、システムがダウンしました

ありえない事を起こしたことで、システムサーバーでかなりの負荷があったようです』

 

『え。つまり――』

 

『現在は配信ができない状態です。

復旧は地上の作業次第となりますが……

早くて明日となるでしょう

私としても地上から干渉してきたと言う事は、超常的な存在に地上へ私を通して干渉される可能性があるということ。

少し自己プログラムのセキュリティ強化を行いますので、どのみち今日の配信は無理です』

 

 

 

 そんなことがあって配信は中断。

 結局、サーバーとシステムが復旧したのは、スマホの時計を見た限りでは朝方となっていた。

 大凡で8時間程度で復旧したという事なので、技術者の皆様には頭があがらない。

 

「それではLAN。匠の里へ行くということで構わないんだね」

 

「はい」

 

 蘆屋道満さんが仕掛けた術式を破るために使用した小太刀。

 亀裂が入ってもう使用出来ないこの小太刀は死んだも同然……。

 上等の業物だったのでせめて供養をしようとした所、このマンダラ1階層には匠の里という場所があって、そこには刀匠などが集まっているらしい。

 一応、そこには武具の墓場もあるらしく、失敗した武器、破壊された武器などが葬られているという。

 

「職人気質ってヤツかしらね。アイツらって性格が悪いし、面倒くさいのよ」

 

「――師匠には面倒くさいって言われたくないと思いますよ」

 

「何か言ったかしら、弟子」

 

 睨んできたので明後日の方向を向いて顔を逸らした。

 

「まあ、道満の言は間違ってはないさ。

ただ刀匠の中でも、妖刀しか作れない村正殿は少し可哀想とは思うがね」

 

「妖刀しか作れない、ですか?」

 

「地上で有名な妖刀と言えば「村正」だろう?

その制作者である千子村正殿は、妖刀制作者という人々の認知を押し付けられて、造る物全てが妖刀となってしまうのさ」

 

「……」

 

「まあ、あたしも清明には勝てないって認知を押し付けられている身としては、痛いほど気持ちは分かるわ。

その認知がある以上、あたし達がどんなに努力しても、変える事は出来ないのよ。

――でも、だからって自棄になって妖刀を乱造した挙げ句に、酒に溺れるのは関心しないけどね」

 

 どうやら村正さんは、酒瓶1個と自作の妖刀を交換していたようだ。

 その為、ピンキリではあるものの、一時期は村正作の妖刀が溢れた事で、所持者たちがバトルロイヤルする一大イベントが起こったらしい。

 ……なんだろう、そのワクワクしかないイベントは。

 もしも次回開催があれば、参加したい。

 バトルロイヤルはかなり激しかったらしいが、最終的には無銘が止めに入ったという。

 

「無銘?」

 

「世界には村正以外にも、妖刀や魔剣の制作者は大小としていた事だろう。

その名も無き制作者たちの集合体が「無銘」だ。

本名はあるかもしれないが、本人が無銘だと名乗っているので、そう呼ばれている」

 

「製作技術は劣るけど、妖刀を制禦する力量は村正以上よ

だから、村正バトルロイヤルを止める事が出来たんだけど――」

 

「――無銘ってどんな人ですか」

 

「変態よ」

 

「変態だね」

 

「そ、そうですか」

 

 真顔で二人は言い切るのであった。

 

 

 

 そんな雑談をしている頃。

 地上では1本の封印されていた妖刀が目覚めて、事件を起こしていたことを――

 まだ、この時の私は知らないでいた。

 

 

 

 

 

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