最強と謳われ畏れられた超魔神皇という前世持ちの現役JCは、ダンジョンが存在する現代日本で人間生活を謳歌する   作:華洛

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第7話 【ナイトメア】級モンスター

 

“「月の雫」の他のメンバーはいないの?”

 

「今日は京華ちゃんと私だけです」

 

“中層を2人で攻略とかマジ?”

“探索者ランキング7位『剣帝』が一緒だからってヤバくない”

“いや、『剣帝』は中層で起こったスタンピードを単騎で壊滅させた実力者だぞ。ヨユーヨユー”

“アメリカ探索者ランキング10位は、深層探索できる実力者だったけど、中層で重体になって引退することになった話を知らない?”

“あれはナイトメア事案だろ。例外中の例外”

 

 ダンジョンは上層・中層・下層・深層の4階層に分かれている。

 基本、どんなモンスターも自分がいる階層よりも上層にいく事はない。それは数少ないダンジョンそのものに布かれているルール。

 しかし例外的な存在がある。

 それが「ナイトメア」の呼称が付く、EXTRAモンスター。

 「ナイトメア」の呼称がつきEXTRAモンスターは、己の意思で階層を自在に移動が可能であり、その実力は正に悪夢そのものだった。

 ある過疎配信者曰く、

 

『ダンジョン深層攻略した時に感じたけど、深層最深部のボスよりEXTRAモンスターの方が強いとか詐欺も良いところだよ。

EXTRAモンスターが強かったから、最深部のボスも期待してたのに。

分かり易くRPG風に例えて言いますけど、深層ラスボスがレベル100とすると、EXTRAモンスターはレベル3000ぐらい?

これを見てる視聴者――はいないけど、アーカイブには残ってるので、見た人は覚えておいて下さい。

EXTRAモンスターを斃せる実力があれば、深層攻略とか余裕です。逆につまらなくなる可能性もあります!!』

 

 等と力説していた。

 

「EXTRAモンスターの出現率はかなり低いですから、心配の必要は有りません」

 

 絵馬は流れるコメントを見ながら胸を張って応えた。

 

「絵馬さんは、EXTRAモンスターに遭遇したことはあるんですか」

 

「う、うん。まだ二つ名持ちじゃない。ランキングも1000位ぐらいの時に1度だけ。

アレは文字通り「悪夢」という名称がつくに相応しい強さだった

師匠が殿を務めてくれたお陰で、なんとか今の私がある感じです」

 

 遠い目をしながらも、京華の問いかけに絵馬は答えた。

 

“『剣帝』の師匠って、伝説の『天剣』か”

“『天剣』?”

“今の世代は知らないか。知らないよなぁ”

“あの時代は、まだDTubeはなくて、映像も今ほど鮮明じゃなかったもんな”

“天から剣の才能を与えられたと言われるほどの実力者だった”

“あの人の剣に魅せられて剣の道に進んだ人も多かった分、逆に凄すぎて剣の道を絶ったのもそれなりに居たみたいだ”

 

 コメント欄が、『天剣』の話題に染まりつつあった。

 京華は絵馬をそっと見ると、いつもの天真爛漫の雰囲気はなく、あまり触れられたくない雰囲気を出していた。

 こういう時は、全く別の話題を出しても意味がないと、事前に習っていた京華は、興味のあったEXTRAモンスターについて絵馬に聞いた。

 

「あの、絵馬さんが遭遇したEXTRAモンスターってどんな物だったんです?」

 

「EXTRAモンスター。シューティング・スター・プラチナ【ナイトメア】

全身を白金(プラチナ)色の鎧で、装飾品のないただただ実用性を重視した魔剣を持ってる。

――正直、今の私でも勝てる可能性は」

 

「絵馬さん! もしかして……あんな感じですか」

 

「え」

 

 京華が指さした方向に、それは悠然と立っていた。

 先程、絵馬が語った通りに、白金色の鎧と妖しい輝きを放つ魔剣を携えて。

 

 絵馬は慌てて剣を抜いた。

 油断は全くしてなかった。ダンジョンではちょっとした油断が命取りになるケースは山ほどある。

 DTubeを行っていたが、初めての子――京華もいた為、いつも以上に念入りに辺りを警戒・索敵に気を張っていたほどだ。

 だというのに、感知範囲内にいたにも関わらず、京華に指摘されるまで、気がつきさえしなかった。

 

(あ、あはは、はは。目で捕らえてるのに、感知、できないや

もう笑うことしかできないよ

目の前の敵は、私とは次元が違うほどに――ただただ強い)

 

 大きく1度呼吸をすると、振り返ることなく静かに絵馬は、京華へ向けて言った。

 

「京華ちゃん。逃げて。私じゃ、アレには、勝てない。

けど、京華ちゃんが逃げることが出来るだけの刻は、「剣帝」の名にかけて稼いでみせる」

 

「そんっな」

 

「それに、言い方は悪いけど、京華ちゃんを気にしながら戦えるほどの、余裕はないんだ」

 

 絵馬は京華に対して足手まといだと言い切った。

 そもそも京華以外の「月の雫」のメインメンバーが居たとしても変わらない。誰かがいた所で、多少の数が居たところで、どうにかなる相手ではないのだ。

 京華は理解すると、血が流れるかもしれないほど拳を握りしめると、絵馬に背を向けてダンジョン上層に向けて走り出した。

 

「――視聴者の皆さん。ここからは私への一方的な蹂躙が始まるでしょう

グロ描写とかも普通に出てくると思うので、ここからの視聴は皆さんにお任せします。

後、「月の雫」のメンバーへ、ごめんなさい。

きっと京華ちゃんは、自分を責めるだろうから、しっかりメンタルケアしてあげてね」

 

“おい……おい。冗談、だよな”

“近くに探索者はいないのかよッ”

“居たとしても、『剣帝』が潜っているのは青木ヶ原樹海のダンジョンだろ。直ぐには無理だ”

“しかも相手は『ナイトメア』級のモンスターだ。日本探索者ランキング7位ですら、死を覚悟するほどだ”

“生半可の実力者は死ににいくようなもの、か”

 

 コメント欄には絶望のコメントが流れる。

 それを見る余裕は絵馬には無かった。

 絵馬が歩んできた人生の中でも、極限の集中力。

 京華を少しでも遠くへ逃がすために刻を稼ぐこと。

 目の前に現れた「シューティング・スター・プラチナ【ナイトメア】」との戦闘を長引かせ、今後に備えて少しでも情報を後生へ残すこと。

 その2つを達成するためにも、簡単に負けるわけにはいかないと心に決め、深呼吸をして剣を握り、足を踏み出した直後、それはいつの間にか、絵馬の制空権内に入っていた。

 

(はやっい――)

 

 この瞬間ですら、まだ相手を感知することが出来ない。

 歯を食いしばり剣を「シューティング・スター・プラチナ【ナイトメア】」へ付け付けるも、剣が切り刻まれて刀身部分は無残にも地面へ落ちる。

 そして「シューティング・スター・プラチナ【ナイトメア】」は、剣を振り上げた。

 

(あ、死んだ。ごめん。京華ちゃん。偉そうな事言っても、ほとんど刻を稼げなかった。ごめんなさい)

 

 目を瞑り、京華や「月の雫」の事を走馬灯のように思い出す。

 だが、いつまで立っても痛みはなく、恐る恐る目を開けると、そこにはボロボロの制服で額のところに穴が空いた少女――蘭が、間に入り、振り下ろされる直後の腕の部分を押さえ込んでいた。

 

「――簡単に死なないで下さい。きょーちゃんは凄い泣き虫なんですからね。

せっかく強くなる為に入った「月の雫」のリーダーである貴女が、死んだりしたらトラウマになってきっと落ち込みます。

何かあると直ぐに抱きついてきて、胸でわんわんと泣いて、そういう日は私を抱き枕にして寝ないといけないぐらい、メンタル弱々な子なんですよ

まあ、そういう所が可愛いんですけどね。

いつも委員長風の毅然とした態度なのに、そういう弱さを見せられるとグッと来ませんか」

 

 

 

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