いってこい実力至上主義の教室へ   作:嘴広鴻

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2-9 “米作りは土作り”なら“人材育成は環境整備”

 

 

 

『…………』

『??? おい、どうした清隆?』

『…………』

『沖縄に行ってきたようだが、何かあったのか?』

『…………』

『清隆?』

『……手も足もでなかった』

『清隆???』

 

 

 

――― 堀北学 ―――

 

 

 

「さて、それでは何から話しましょうか?」

 

 ソファーに座った俺たち。綾小路の正面にテーブルを挟んで坂柳理事長が座る。そして綾小路の隣に俺が座って、俺の正面には真嶋先生が座っている。

 さて、綾小路はいったい何を話してくるのやら。

 

「じゃあ、まずは清隆くんの要求から聞かせてもらおうかな? それを聞かないままだと話のすり合わせもできないからね」

「オレの要求としては簡単ですよ。結んだ契約を履行して欲しいです。それとストーカーの件の対処ですね」

「ああ、ストーカーについては任せて欲しい。清隆くんが懸念していたことだけど、卒業後や佐倉さんのご家族の身の安全もちゃんと確保しよう」

「ではお任せします。

 でも無理だったら言ってください。最悪は恵利央さんにお願いすることになりますんで、そのときは外部と連絡を取る許可が欲しいんですけど……」

「僕が絶対に何とかするからそれだけはやめてね」

 

 エリオウさん? 綾小路の父が政治家ということだから、もしかすると警察関係の人か?

 

「―――で、後は契約に関してですけど、これはもうそのままですね。

 坂上先生から50億プライベートポイント。龍園たちからは10億プライベートポイントを。ケヤキモールの従業員も入れたらあの放送を聞いた人は600人を超すと思いますけど、そこは500人分に負けておいてあげますよ。

 それと入学式の日に作った貸しを使いますので、Cクラス生徒のここ半月ほどのメールやチャット履歴の開示をお願いしますね。貸しの消費は4個ぐらいでどうです?」

「連帯責任、だね。

 でもいいのかい? 1週間以内に10億プライベートポイントの支払いなんてできるわけがないから、下手をしなくともCクラスの生徒の大半が退学になるのかもしれないよ?」

「それがどうかしましたか? 初手で勝負を決めるのはこの学校の教育方針的におかしくはないと思いますけど?

 茶柱先生にも言いましたが、オレは別にルールは破っていませんよ。嘘もついてませんし、100%進学率・就職率を保証するのはAクラスだけ、なんて入学後に言う学校よりマシじゃないですかね?

 まぁ、マナーやモラル違反かもしれませんけど、それも冤罪吹っ掛けてきた龍園たちを叱らなかった坂上先生よりマシじゃないですかね?」

 

 綾小路が言うことは一理はある。

 退学者の数と賠償額がとんでもないことになるのが問題なのであって、他クラスを蹴落とすことや学校からプライベートポイントをせしめようとする綾小路の行動自体は、別にこの学校ではそうおかしいことではない。むしろ実力主義という意味では正しいだろう。

 少なくとも法律的・倫理的に考えるのなら、綾小路の言う通りに学校や坂上先生の発言・行動の方が問題になるはずだ。

 

「成守さんもご存じでしょうけど、オレは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って感じで、基本的に()()()()()()()()()()()()ことにしています。

 学校がそういうレベルの所業をするなら、オレも同じレベルの所業で返しますよ」

「清隆くんはそういうところが綾小路先生と違うね。綾小路先生は好まないと自覚されながらも、必要ならば外面を取り繕うことを怠らなかった。しかし、清隆くんはむしろ外面を取り繕わずに行動することが多い。

 まるで損切りするかのように、それで自分から離れていくならその人とはそれまでだ、と言うかのようにね」

「だって世の中には、オレが少しでも相手のことを慮って引いたら、それが当然のことだと考えて図に乗って更に押してくるような人もいますからね。お互いがお互いのことを慮るならともかく、オレのことを慮らない人のことをオレが慮ってやる必要はないでしょう」

「……そういう人がいるのは確かだね」

「今回の件もそれと一緒です。

 学校は実力で生徒を測り、評価する。だからオレは学校と同レベルの所業で実力を示した。いや、同レベルじゃないですね。オレのしたことは違法ではありませんが、100%進学率・就職率を保証するなんてお題目が嘘だったら誇大広告で違法です。違法じゃないから同レベル未満ですか。

 龍園は冤罪を吹っ掛けてきて、坂上先生はそれに怒らずに保身に徹した。龍園のしたことは犯罪ですし、坂上先生も教育者としてはあるまじき行為をしました。だからオレは同レベル未満の所業で反撃した。

 それだけです」

 

 ……前々から綾小路は変わっていると思っていたが、もしかして綾小路は世間の風に晒され続けてしまってスレてしまったのだろうか?

 父親が政治家ということだし、そちらの関係で小、中学校に通うことができなかったと聞いているから、もしかしてとんでもない政治活動家に迷惑をかけられた過去でもあって、このように捻くれた上にスレてしまったのだろうか?

 

「なるほど。清隆くんの言いたいことはわかった……けど、それだけじゃないんだろう?

 いや、今言ったことも本音で要求したのも本気なんだろうけど、僕たちにも譲れないことがあって、そのままの要求では受け入れることができないぐらいはわかっているはずだね?」

「それはもちろん。学校に譲歩する用意はありますよ。

 要するに、今後のクラス対抗への影響を少なくすればいいのでしょう?」

「ああ、もちろん今回の件は仕組まれたことであっても、僕たち学校の責任が大きすぎるのは認めよう。だから清隆くんへの手当をしないわけにはいかないけど、それでこの学校の教育方針を壊すようなことは認められない。

 先ほど清隆くんが言った100%進学率・就職率を保証するのはAクラスだけ、というのも、生徒間の競争をマンネリ化しないためにも必要なものなんだ。だから6クラス分の生徒をAクラスに上げるようなプライベートポイントを支払うわけにはいかないね」

「クラス替えに必要なプライベートポイントを、2000万から2億にでもしたらどうです?」

「ダメだね、そんなことは。都合が悪くなったら事前に示していたルールを変えるだなんて、学校への信頼が失われてしまう。学校からはそんなルール変更を言いだすことはできないね」

「つまり学校としてではなく、生徒からプライベートポイントを使用しての校則変更の申請があればいけるわけですね?

 実は今年の生徒会選挙のときに…………いや、それは別件ですから後回しにしましょうか」

「清隆くん???」

 

 今度は何を企んでいるんだ? 生徒会選挙だと?

 

「それと良い機会ですから、今言ったAクラス特権について聞きたいことがあるんですけど?」

「何だい?」

「希望したところへの進学・就職を100%保証するAクラス特権なんですが、その“希望したところ”の定義って何ですか?」

 

 “希望したところ”の定義?

 

「……どういう意味かな?」

「例えばの話ですけど、帝都大学の医学部に進学したい生徒がいたとします。

 Aクラスでこの学校を卒業して、無事に帝都大学の医学部に進学できました。これなら“希望したところへの進学”となりますよね?」

「それは当然だね」

「では、その生徒が帝都大学の医学部に進学したい理由が何らかの病気、例えば膵臓ガンについての研究をしたい、という理由だったとします。ああ、病気については適当ですので気にしないでくださいね。

 で、実は膵臓ガンの研究は帝都大学よりも京都大学の方が力を入れていたとすると、大学の事情を知っているであろう担任の先生は京都大学への進学を薦めたりしますか?」

「それも当然だね。

 君たち生徒よりも僕たちの方が大学の情報について集めている。生徒の願いを叶えるには別の大学の方が適していると判断したのなら、そちらの大学への進学を薦めることは当然のことだよ。もちろん生徒の希望進学先が第一だけど」

「なるほどなるほど。

 ちなみにその場合だと学校が薦めた方の大学に進学しても、生徒が元から希望していた大学に進学しても“希望したところへの進学”となりますよね?」

「それは……そうだね」

「それなら別の例えとして、その生徒の出来が良くなくて、希望したところの大学に進学してもついていけずに中退しそうだから、もうちょっとレベルの低い大学に進学することを薦める、ということもありますか?」

「……それもそうだね。生徒の希望進学先が第一だけど、大学のレベルについていけずに生徒が挫折することが目に見えているなら、身の丈に合った大学への進学を薦めるのも僕たちの仕事だろう。

 僕たちは批判されてしまうこともしているかもしれないけど、決して生徒を不幸にするためにこの学校を運営しているわけではないんだからね」

「ええ、それはそれでいいんですが、要するに“希望したところへの進学”ってぶっちゃけ“浪人するか、もしくはこの大学に進学するかを選べ”って二者択一で進学を選ぶんだったら、それは“希望したところへの進学”ってことになるんじゃありません?」

「……生徒が納得していれば“希望したところへの進学”になると思うよ」

 

 フム。ここら辺の定義は考えたことがなかったが、確かにややこしい定義になってしまうな。

 しかし、綾小路の言う通りだと、浪人さえしなければ100%保証の範囲内になってしまうわけか……。

 

「つまり、Aクラスは希望先への進学・就職を100%保証するけど、進学先を誘導しないとは言っていない。

 そしてBクラス以下については希望先への進学・就職を何一つとして保証しない、と言われましたけど、別に希望先への進学・就職できないとも言われていないですよね?」

「誘導、という言葉は外聞が悪いなぁ。

 それに確かにBクラス以下でも希望先への進学・就職ができないわけじゃない。本人の頑張り次第じゃないかな」

「堀北先輩、3年生って進路について何か言われています?」

「俺か? ……いや、まだ1学期ということもあるのか希望する進学先を考えておけと言われたぐらいで、具体的なことは特に言われてはいない」

「でしょうね。

 そもそもAクラス卒業が確定するのは3年の3月になった時点です。もしかすると3月1日の時点でクラスの入れ替わりが起こる場合もありますけど、その場合の進学はどうなるか考えたことありますか?

 そもそも卒業生がどのように進学したか知ってます?」

「……いや、知らないな」

 

 正確には、そのことについて考えたことはあるが、結局のところ結論はでなかった。卒業した先輩に聞いても答えてくれなかったしな。

 おそらく2学期、3学期になると本格的に進路についての話が進んでいき、その際に希望する進学先を学校に伝えることになるだろう。

 今のままAクラスで卒業できれば希望先へ無事に進学できるのだろうが、もし3月1日の時点でAクラスの地位から落ちてしまったら、いったい俺たちの進路はどうなるのだろうか。

 

「具体例を挙げて考えてみましょう。

 まず“Aクラスは希望先へ進学させるけど、Bクラス以下は自分で何とかしろ”と学校が言う場合」

「それはありえんな」

「ですね。下手したら100人以上の浪人を作るだけになります」

 

 Aクラス卒業が確定するのは3年の3月1日。

 しかし、国公立大学の入学共通テストの前期日程が行われるのは1月で、後期日程が行われるのは3月だ。

 だからBクラス以下で卒業しても後期日程の試験には間に合うのかもしれないだろうが、この学校では特別試験のせいで他の高校のように受験勉強に力を入れることができない。しかも後期日程は募集する人数が前期に比べて少ないことで、前期日程の受験よりも合格難易度が高くなっている。

 確か例年だと合格倍率が前期日程が10倍以下なのに対し、後期日程は13倍ほどになるはずだ。退学者のことを考えなかったらBクラス以下の120人が後期日程の試験に挑むことになるのだが、それでは10人も合格者がでれば御の字だろう。もしくは後期日程受験でも希望する大学のランクを本来よりも大きく下げれば合格も可能かもしれないが、おそらくそんなことは生徒も学校も望むことはないだろう。

 そもそも貴重な前期日程の試験を見逃す理由はない。

 私立大学も結局は同様だ。前期日程が2月、後期日程が3月に行われるところが多いのだろうが、日程が違うだけで問題点は変わっていない。

 ではBクラス以下は前期日程で最初から受験すればいい、となるかもしれないが、その場合だと特別試験も放っておいて受験勉強に励む生徒が続出するだろうな。それではBクラス以下が受験勉強に力を入れることで、3年生の特別試験は全て有名無実になってしまう。それは学校が望むところではないはずだ。

 

「では次に“生徒から第一希望と第二希望の進学先を聞いておいて、Aクラスだったら第一希望、Bクラス以下だったら第二希望に進学させる”場合」

「それもありえん。

 そんな方法で進学先が決まるのならば、俺がDクラスの生徒だとしたら本来の第一希望の進学先を第二希望で届け出る。そしてわざとAクラスに上がることのないように、クラス対抗では自らのクラスの邪魔をするだろう」

 

 そんなことになったら生徒の成長意欲が失われてしまい、クラス対抗の意義すらも失われる。

 生徒は望むかもしれないが、学校が望むことではないだろう。

 

「うーん、オレは堀北先輩とは違う意味で無理だと思うんですけどね」

「どういうことだ?」

「いや、単純に320の進学先を準備しておいて、3月1日にAクラスで卒業するクラスが決まったら必要なくなった160の進学先に『あ、オタクを希望していた生徒が〇クラスで卒業になりましたんで、お願いしていた内定はキャンセルさせてください』なんて舐めたことを言う必要がありますが、堀北先輩だったら進学先の大学だろうが就職先の会社だろうがそんなこと言う勇気あります?」

「……言えんな、それは確かに」

「禍谷園の社長にそんな舐めたこと言ったら、この学校に乗り込んできて成守さんに張り手かましますよ、絶対」

「ははは、怖いけど、あの人ならやりそうだなぁ」

「あらかじめこの学校のシステムを伝えておいて、内定キャンセルがあるかもしれないことを伝えておくのもアリですが、オレにはこの学校にそこまでの力があるとは思えませんね。いくら日本政府の後押しを受けていたとしてもです。

 海外と違って日本では人を採用するのはそんな軽いことではありません。特に大学では募集定員がある程度決まっていますからね」

 

 フム、なるほどな。

 俺は生徒からの視点だけで考えていたが、一般社会の視点からは綾小路の考えの方が重要なことだろう。

 綾小路は俺と違って既に社会人としての活動を行っている。その経験が考え方の違いを生み出したのかもしれないな。

 

「で、最後にオレが一番可能性があると思っているヤツです。

 “生徒全員を希望先に進学させようぜ、メンドクセェ”と学校が考えた場合」

「清隆くん、言い方」

「……綾小路。それは……」

「いや、だって……絶対この方が手間かからないでしょう?」

 

 手間!? そう言う次元の話ではな……くはないのか。

 

 一つ。Aクラスだけ学校の権力で希望先に進学させて、Bクラス以下は自分で何とかさせる。ただし浪人生が100人以上でるかもしれない。国と浪人生の保護者から文句を言われる。

 一つ。Aクラスを第一希望、Bクラス以下を第二希望に進学させる。ただし、320の進学先を用意しておいて、Aクラス卒業が決まったら160の進学先に内定キャンセルをお願いする必要がある。予定を狂わされた大学、会社から絶対に文句を言われる。

 一つ。素直に生徒全員を希望先へ進学させる。

 

 ……ああ、明らかに最後の方法が一番手間がかからないな。というより、前の2つは後始末がめんどくさすぎることになる。

 他にも進学させる方法はあるかもしれないが、考えてみたら素直に全員を希望先に進学させた方が余計な仕事は増えない。

 

「……つまり、俺たちのしているクラス対抗に意味はない、と?」

「いや、あると思いますよ。

 この学校がそれぞれの大学に入学させることのできる生徒の人数は、無制限ではなくてある程度の数が決まっているはずです。Aクラスから順番にその枠を手に入れることができるんじゃないですかね?」

「なるほど。それなら進学先の大学にとっても都合がいいな。入学する人数が決まっているのだから、予定を狂わされることは少なくなる」

 

 よかった。俺たちのしてきたことには意味があったんだな。

 大学の優先入学枠が懸かっているのならともかく、まさかこれまでのクラスの皆の頑張りが無意味だったらやるせなくなってしまうところだった。

 

「そもそもクラス編成が不自然じゃありません?

 実力順にAクラスから配属していったように茶柱先生は言っていましたけど、堀北先輩の3年Aクラスでも“コイツよりBクラスのアイツの方が凄いな”と思えるクラスメイトがいたりしませんか?」

「……言い難いが、確かにそういう者もいるな。

 しかし、本当に実力順のクラス編成にしたら、向き不向きがあれどAクラスが当然のように勝利してしまうだろう。ならば、ある程度クラス対抗が均衡するように調整をするのではないか?」

「それもあるんでしょうが、クラス編成が今のようになっている理由って、生徒の進路をクラス内でバラバラにすることじゃないですかね? そうすればクラス内で優先進学枠を奪い合うこともなくなるわけですし」

「そういうことか……」

 

 入学前に聞いた宣伝通り、希望したところへの進学率・就職率100%というのは、実はAクラスだけではなくB~Dクラスも含んでいるということか。

 だから騙された形で入学した割には、卒業生によるこの学校の噂や誹謗が世間に出回っていないわけだ。ずっとこのことについて不思議に思っていたがそういうことだったのか。

 1年の初めにBクラス以下は進学保証をされないと学校に騙されたように通達されるが、最終的に実は全員が卒業後の進学保証があって騙されていなかったことがわかったとしたら、この学校を誹謗する卒業生がいないのもおかしくはない。

 むしろ4月のときの2、3年生のように、後輩たちを生暖かい目で見守るようにするだろう。

 

「志望大学に入れなくても、志望学部に入れたら“希望したところへの進学”になりませんかね。広義の意味的に」

「便利な言葉だな。広義の意味的にとは」

「いやー、だって実際“希望進学先に入れるのはAクラスだけ”って詐欺じゃないですか。高育が訴えられたって聞いたことないですから、卒業生はそれなりに納得して進学や就職はしたんだと思いますよ。

 それに甘やかすのは生徒のためになりませんからね。4月中の1-Dみたいになりますから。それなら実は思ったような進学ができないことで脅して、勉学に発奮してもらった方が学校としてもいいじゃないですか」

「ああ。この学校を卒業さえすれば好きな大学に入ることができる、と入学後もずっと信じていたら、努力することを放棄する生徒がでるかもしれないな。

 やりようとしては乱暴だが、Aクラス特権で生徒を発奮させるのは生徒のためになっているとも言えるだろう。先ほど理事長がおっしゃったようにな」

「ええ。なので譲歩する範囲ですが、もし50億プライベートポイントを貰えたとしても、積極的にクラス移動に使わないことは約束します。

 というか、オレの予想があっていたならDクラス全員でAクラスに移動したとしても、移動先のAクラス内で更に優先枠の取り合いが行われるならクラスメイトの実力を考えると分が悪い気がするので、クラスメイトのことを考えると素直にDクラスのメンバーのままAクラスに上がることを考えた方がよさそうなんですよね。

 それと“プライベートポイントを使ったクラス移動の権利行使は一生徒につき一度のみ”って校則を追加してもらえませんか? そうすれば別のクラスへ移動をしてからそのクラスでクラスポイントを減らす行動をしまくって、再び別のクラスに移動して同じことをして、最後には元のクラスに帰ってくる、なんて戦略は使えなくなります。

 それならオレのクラスメイトがクラス移動を望んできても『え? オレと別のクラスに行くのか? 別にいいけど、これからは容赦しないぞ』と言えば思い留まってくれるでしょう」

 

 こんなことを仕出かした綾小路の発言には重みがあるだろうな。

 

「フム。1年生はそれでいいかもしれないけど、上級生はどうするつもりだい?」

「2000万プライベートポイントに匹敵するものを渡されたら、対価として2000万プライベートポイントを渡します」

「例えば?」

「……さぁ??? 特に思い付きませんね」

「そういうことなら構わないけど……恨まれるよ?」

「タカリに優しくする筋合いはありません。

 ああ、それと『急募。大日本銀行に就職を希望するなら2000万プライベートポイントをプレゼント。先着50名』なんて募集はしないでおきます」

「どうしてそんなこと考えついたの???」

「片原の爺さまに『50人ほど大日本銀行に就職させてください』って成守さんがどういう顔でお願いしに行くのか、オレ、気になります!」

「清隆くん、もしかして僕のこと嫌いなのかい?」

「いや、本気で知的好奇心です。でも、そんなことを言われたら片原の爺さまは大爆笑するだろうなぁ、って……」

「あの御仁だったら確かに爆笑するだろうけどさぁ!」

「それで? 最後に一応聞いておきますけど、オレの予想はあってますか?」

 

 綾小路のその言葉に、理事長がチラリと俺のことを見やる。

 

「ああ、堀北先輩だったら大丈夫ですよ。努力を怠ることはしない人ですからね」

「……坂上先生ではないけどノーコメントだよ。生徒に今の時点で話せることではないね。

 ただ、言えることがあるとすれば、先ほども言ったように“決して生徒を不幸にするためにこの学校を運営しているわけではない”よ。それに浪人生を大量にだすのは、この学校の後押しをしている国としても望ましくないだろうね」

「わかりました。今のところはその返答でいいでしょう。

 でもよかったです。もし“諸君の99%は1%の玉を磨くための捨て石である”とか言われていたら、この学校もオレを研ぐための砥石になってもらうところでしたよ。その場合、学校に文句は言わせません」

「納得してくれてよかったよ。

 ……もしかしてこんな大きなことを仕出かしたのは、避けられない状況で僕にこの質問をするためだったのかな?」

「さて、それはどうでしょうか?

 ああ、それと研ぐための砥石じゃなくて、栄養補給のためのエサの方が表現的に正しいかもしれません。50億プライベートポイントで3年の3月中に間に合うようにCPUとかメモリみたいな小さくて軽いパソコンパーツを大量注文しておいて、卒業後に学校外にそれらを持ち出して売り払う。換金率5割は固いですね」

「本気でやめてくれ。いくら学校が国の後押しを受けているとはいえ、予算にだって上限はあるんだ。

 そういえば、そういう意味で50億プライベートポイントなんてものを支払えるわけはない、と言ったら、どこまで妥協してくれるのかな?」

「……は??? どうしてです?

 今言った大量注文さえ禁止にしておけば問題ないでしょう?」

「何を言っているんだ、おまえは?」

 

 50億だぞ?

 1学年で1クラス40人が4クラス。それが3学年いるのだから、退学者のことを考えなければ全校生徒は40×4×3=480人。

 1年の最初の4月に10万プライベートポイントを支給されたが、もしそれが12ヶ月続いていたとしたら、1人当たり1年間で120万プライベートポイントの支給となり、それが480人分ともなると1年間で5億7600万プライベートポイントが生徒に支給されることになる。

 それだけでも大きな支出となるのに、綾小路が要求している50億は本当の意味で桁が違う。こんな金額を支払うことなどできないだろう。

 

「綾小路、平年の8倍以上のプライベートポイント支出を要求しようとするのは、いくら何でも強欲過ぎないか?」

「え、でもクラス対抗や学校の運営に支障がなければいいんですよね?」

「50億なんて支払えば学校の運営に支障がでるに決まっているだろう」

「??? どうして???」

 

 うん? ……綾小路のこの顔は、別に俺を煽ったり馬鹿にしている感じではないな。

 本当に俺の言っていることがわからないという困惑顔だ。

 

「えっと……プライベートポイントですよ? 現金じゃないんですよ?

 しかもクラス移動の権利は使わないんですよ???」

「それがどうした? 1プライベートポイントが1円の価値があるのは聞いているだろう?」

「は? ……あー、なるほど。そういうことか。堀北先輩の言いたいことがようやくわかりました。

 あー、でもどう説明したらいいかな?

 ……まずですけど、堀北先輩がさっき言った“平年の8倍以上”というのは、退学者がおらず、全クラスのクラスポイントが1000だった場合の1年間に生徒へ支給されるプライベートポイントの総額の8倍以上、ということを指してるのでいいんですよね?」

「そうだな」

「しかし、実際の各学年クラスポイントの平均は、おそらく400から700の間ぐらいで落ち着くでしょう。

 そして学食や寮の食堂、そして特別試験の際に学校へ支払うプライベートポイントだってありますので、1年間で学校以外、つまりケヤキモールの店なんかに生徒が支払うプライベートポイントの総額はおそらく3億もいかないでしょうね」

「……それはそうかもしれないが、しかしそれがどうかしたのか?」

「どうしたもこうしたも、堀北先輩は1プライベートポイントが1円の価値があるって言っていましたけど、たった3億円ぐらいでケヤキモールを運営できると思ってます? 人件費だけで足がでるでしょう?」

「何だと?」

「ケヤキモール内の店に限らず、学校近くにあるコンビニとかも合計すると、学校の敷地内に出店されている店は20店舗以上はあるでしょう。正確な数は数えたことないですけど。

 で、ワンオペなんて無理ですし、店の規模によって従業員の数も変わってきます。警備員とかも必要でしょうし、学校の教職員以外でこの学校の敷地内で働いている人が100人いたとします。

 1人当たりの人件費を500万円としたら。それだけで年間5億円が吹っ飛ぶんですけど?」

「ム?」

「言っておきますが、安く見積もってですよ。1人当たり人件費が500万円だったら、年金とか健康保険料とか税金を取り除くとその人の手取りは年間で300万円台です。ちなみにその人の税込年収の1.2倍ぐらいが、その人にかかっている人件費と考えればだいたいあってるらしいです。

 この学校の特殊さからするとアルバイトなんて雇えないでしょうし、しかも出店している企業から派遣されている社員だったら、その企業が支払っている賃金のままですから更に高くなりますよ」

「それは……確かにそうかもしれないが」

「堀北先輩、社員食堂とか行ったことあります?」

「は?」

 

 どうして社員食堂なんて話がでる?

 

「会社にある社員食堂ってのはその会社自身が運営している場合と、違う給食会社に委託して運営している場合があるんですよ。で、その会社自身が運営している場合はいいです。問題は給食会社に運営を委託している場合なんですが、主に3つの形態があります。

 一つめが単価制契約。これは要するに社員食堂の売り上げそのものが、社員食堂運営のための経費と給食会社の取り分となる形態です。まぁ、会社内にレストランを出店させるようなものです。

 二つめが補助金制契約。これは社員食堂の売り上げの他に、給食会社へ会社から補助がだすことで食堂を運営する形態です。定食一食毎に100円補助だすとか、売り上げの何%追加で補助をだすとかです。

 そして三つめが管理費制契約。これは会社が運営経費全てを給食会社に定額を支払うことで食堂を運営する形態です。調理委託というか、要するに下請けで社員食堂の運営を任せる形です。

 さて、この学校の敷地内にある店は、社員食堂のように外の企業に出店を委託している形態で運営しているようですが、いったいどの契約形態で出店しているのだと思います?」

 

 単価制契約。補助金制契約。管理費制契約。

 聞いた限りではそれぞれ違う契約方法だが、支払われるプライベートポイントの総額に上限があるこの学校内で出店されている店が契約を結ぶのなら……

 

「補助金制契約か管理費制契約……いや、出店企業も利益を得たいだろうから、定額が支払われる管理費制契約だろうな」

「でしょうね。年間で人件費等の経費込みで数百万円~数千万円を支払うから出店してください、って形だと思います。こんな購買者数が限られている場所で出店するだなんて、定額の儲けがなきゃ企業もやってられないですよ。

 特にメガネ屋とかどうすんですかね? 例えば1年間に学校敷地内にいる約半分、300人が2万円のメガネを購入したとしても、年間売り上げは600万にしかならないんですよ。そんなんだったら従業員を2人用意するだけで足がでますって。

 それとも堀北先輩だったら『おっ、今月は新作のメガネフレームが発売されているな』って感じで、毎月のようにメガネ買い替えますか?」

「……流石にそれはしないな。

 しかし、おまえの言いたいことはわかった。

 ケヤキモールの運営費用はあくまで“日本円”で一定額が学校から企業へと既に支払い済みになっているので、ケヤキモールでプライベートポイントをいくら使ったとしても学校の運営に問題はないと言いたいのだな?」

「予約注文を除けば商品が売り切れたらそれでお終い、って感じの商売でしょうから、生徒間同士ならともかくとして、店ではインフレもデフレもないんじゃないですかね?

 ケヤキモール中の商品を買い占めて値段を吊り上げるとしても、外からいくらでも商品は仕入れることができますから無駄でしょうし」

 

 なるほど。それなら確かにプライベートポイントがいくら生徒の間に出回ったとしても、先ほど言った大量注文さえしなければケヤキモールの運営には影響を及ぼさないか。

 

「それともし、この学校の敷地内の店で単価制契約が可能だとすると……ラーメン屋ぐらいかな?

 家賃と光熱水道費が学校負担ならラーメン1杯あたりの原価は200円以下で可能。1人当たりの売り上げ単価を1000ポイントとすると1日で客数が……いや、やっぱり駄目ですね。1日30人の客、つまり学校にいる5%の人間が毎日通ったとしても、儲けは1日当たり3万に届きません。けど、実際は1日で30人すら客はいないでしょう。

 出店自体はできるかもしれませんが、企業が儲けを求めるならここで働かせる人員を使って外で商売した方がマシです。管理費制契約だったら安定した収入を得られるから、それならまだ会社としてもいいでしょうけどね」

「世知辛いな。購買者の絶対数が少な過ぎるのが原因か」

「いいものなら売れるなどというナイーヴな考え方は捨てろ、とは言われますが、そもそも買う人がいないんじゃ、いいものだろうが悪いものだろうがどうしようもないですねぇ。

 せめて補助金制契約で1プライベートポイントを2円換算とかすればいけるかもしれませんが、それは学校がやりたくないでしょうし、そもそも購買者数が少ないと生徒間の一過性のブームの発生で売り上げの増減が激しくなり過ぎる可能性もあります。売り上げの変動幅が大きくなるのは、企業としても学校としても望ましくないでしょう。

 TRPGプレイヤーにとって固定値は正義かもしれませんが、お役所仕事にとって固定経費は神聖不可侵の聖域です。変動したら仕事が増えてめんどくさくなるので、学校としても固定経費の支払いが楽でしょう。

 だから単価制契約はここでは無理で……あっ、確か夏休みに占い師をケヤキモールに出店させる計画がありましたが、そういう期間限定の短期出店で必要経費が人件費オンリーのものなら単価制契約もいけるのか……」

 

 なるほど。興味深いな。

 これが学生ではない、社会人の考え方というものか。

 

「というわけで、プライベートポイントを50億貰っても問題はないでしょう。

 ああ、もし50億プライベートポイントを支払ってくれるなら、Cクラスから支払ってもらう予定の10億プライベートポイントは放棄してもいいですよ。そうすればCクラスもまだまだクラス対抗をやっていけるはずです」

「それは助かるよ。

 助かるんだけどまいったなぁ。話が通じる分だけ、逆に厄介なことになってる気がするよ。妥協すれば今後も学校の教育理念に沿った運営をすることができそうだけど、妥協せずに清隆くんの申し出を断ってしまうと今後は容赦してくれなくなりそうだ」

「この学校のやり方に思うところはありますが、逆にこういう学校が日本に一つぐらいあってもいいだろうとも思います。

 けど、オレのことを慮ってくれない学校ならば、オレも学校のことを慮ろうとは思いませんね。

 それと忘れていました。入学式の日に茶柱先生は卒業時にプライベートポイントを回収すると言っていましたけど、実際は現金へと換金してくれるんですよね? その換金の上限を定めても構いません」

「……どうして知っているんだい?」

「上級生の人と話をしても、卒業生から餞別として余ったプライベートポイントを貰った、なんて話が一切でてこなかったからですよ。

 それに高校卒業後に大学に入学するのでも会社に就職するのでも、新生活の準備をするためにはお金が必要ですからね。それを考えたら予想はつきます」

「それもそうか。清隆くんはアチコチの部活に顔をだしているようだから、上級生と話す機会も他の1年生より多いから気づきやすいか」

「ええ。他に注意点はありますかね?

 さっきも言いました通り、今後のクラス対抗への影響を少なくなるように配慮しますし、教育方法としてのクラス対抗を否定するわけではありません。ですので学校の教育方針には付き合ってあげますよ。

 ただ今回のことでオレはわざわざ学校の望む土俵で戦って実力を示しましたので、オレとオレの周りの人間の今後の学生生活において不自由しないぐらいのプライベートポイントを貰いたいだけです」

 

 フム、今までのことをまとめると

 

・綾小路は自他問わず、プライベートポイントによるクラス移動の権利を積極的に行使しない。

 というより、Dクラスの場合は行使しない方が希望先への進学がしやすいのでは?

・学校は“2000万プライベートポイントを使ったクラス移動の権利行使は一生徒につき一度のみ”という校則を追加する。

・綾小路は『急募。大日本銀行に就職を希望するなら2000万プライベートポイントをプレゼント。先着50名』のような類の募集はしない。

・綾小路はケヤキモールで店の運営に影響を及ぼすような大量注文は行わない。

・綾小路は学校の教育理念を邪魔する行動をしない。

・学校は50億プライベートポイントを綾小路へ支払う。

・綾小路はCクラスに請求している10億プライベートポイントを放棄する。

 

 要するに綾小路は理事長たちにこう言っているわけだ。

 

『学校の思惑に付き合ってやるから、学校生活に不自由しないプライベートポイント寄こせ。

 Aクラス特権? 表の意味でも裏の意味でもいらん』

 

 となると、綾小路がこれ以上変なことを仕出かさなければ、学校もこれから変わらず運営していくことは可能だろう。

 もちろん綾小路を信じるという前提があっての話だが、綾小路のことだから意図的に悪意を持ってこれ以上は裏切ることをしないだろう。綾小路だって学校をこれ以上裏切ったとしたら、本格的に学校を敵に回すことぐらいは理解しているはずだ。

 

「……ところで清隆くん。今までの君の考えを誰かに言ったことはあるのかな?」

「いえ、まだ言ってません。5月1日の時点で大半のことを考えついていましたが、まだ語るべき時ではないと思ったので言うのは止めました。

 ただストーカーの件は特に口止めされていませんでしたので、今頃は鈴音たちが有栖と一之瀬にだけは話すことになっています」

「えっ? ……真嶋先生?」

「あっ」

「いや、不特定多数に話すのはマズいかもしれませんけど、他にも変なヤツがいないとは限らないんですから、せめて他クラスの女子のリーダーにだけは話しておくべきでしょう。言っておきますけど、そこは譲りませんよ。もちろん殺人未遂については話していないはずですので安心してください。

 Cクラスの女子に話すかはこの話し合い次第ですね。退学者が大量に発生する可能性はまだあるので下手したら二度手間になります」

 

 それにもし綾小路の推理がすべて正しかった場合、確かにAクラス特権はなくても構わないのだろう。それは実力でどこにでも進学できる綾小路だけでなく、Dクラスのクラスメイトやそれ以外の生徒にとってもだ。

 むしろ実力的に劣るDクラス生徒からすると、クラス内でAクラス生徒と競い合うことになるのは逆に不利になる。そしてクラス対抗で競い合うことは生徒の実力を高めるのに効果的だろうから、この学校の教育方針を特に邪魔することもなく付き合ってやろう、と。

 まぁ、綾小路の推測通りに生徒全員が希望した進学先へ進学できるなら、退学になりやすいかもしれないとはいえ、生徒を甘言で騙して入学させた理不尽な学校ではなくなるからな。あまり学校を責めるのも良くないと思ったのだろう。

 上から目線発言この上ないが、ここまで学校を手玉に取った綾小路が言うのなら仕方がない。

 しかし、綾小路が望むのは今後の学生生活に不自由しなくなるぐらいのプライベートポイント、ということなんだが、それにしてはちょっと桁が違い過ぎないか? それに学校がどう返答したとしても、最終的には50億プライベートポイントを支払え、という結論にするつもりなのは気のせいだろうか?

 

 学校が生徒を慮る → じゃあ綾小路(オレ)も学校を慮ろう。だから安心して50億プライベートポイント支払え

 学校が生徒を慮らない → じゃあ綾小路(オレ)も学校を慮らない。だから契約通りに50億プライベートポイント支払え

 

 という感じなので、どちらにしろ行き着く先は変わらない気がする。

 とはいえ、学校に対して配慮をする、との言質を取れる方がいいのは確かだ。

 学校としても綾小路に首根っこを掴まれた状態なので、今後は学校へ配慮する、と言われたら、クラス対抗に影響があるかもしれないが、これ以上の混乱を引き起こさないために50億プライベートポイントの支払いをするかもしれないな。

 それに要求を受け入れなかったら、学校に対する綾小路の配慮と遠慮がゼロになって次はもっと酷いことを仕出かしそうだし。

 

 しかし、綾小路がこれからは大人しくすることができるのかがそこはかとなく不安だ。

 アイツの場合は大人しくする気はあったとしても、素で何か余計なことを仕出かしてしまうような気が……。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

『年季が30年以上も違うんだから勝てなくて当たり前だけど、それでも少しは相手になれると思ったんだけどなぁ……』

『おまえがそこまで言うとは、黒木という男はそれほど強いのか?』

『完全に子ども扱いされた。オレはスピード寄りのバランス型だから、体格差もある上にあそこまで技術で上回られたら勝てんわ』

『怪腕流、か。そこまで凄いなら、ホワイトルームのカリキュラムに取り入れることも……』

『え? 暗殺拳習わせるのは流石に外聞的にマズくない?』

『おまえは沖縄まで何を習いに行ってたんだ???』

『いや、空手の部位鍛錬に興味あってさ。鍛錬方法は教わってきたぞ』




 よう実を読んでからずっと思っていたことを書いた考察回みたいなものでした。
 作者としてはこう考えたのですが、いかがでしょうか?

 他の二次創作では、B~Dクラス生徒全員を24億ポイント使ってAクラスに上げて1学年全員でAクラス特権を、と考える作者の方が多いようですが、プライベートポイントの発行も合わせて私としてはこうなるのではないかと考えました。
 どこにでも進学できるAクラス特権は、意味はあるといえばあるけど意味はないといえばないぐらい程度のものでしょうかね。競争率が高い大学の学部を志望しなければ、普通に希望先へと入学できるのではないでしょうか。
 ちなみに現実の東京大学医学部の定員は一般と推薦が100人ずつぐらいらしいですね。他の大学でも学部の定員は多くても200人ぐらいだと思うのですが、1学年160人全員がAクラス特権を使って同じ大学の同じ学部を希望したら学校はどう対応するんでしょうか? 私、気になります。

 それとプライベートポイントに関しても、このような財源の裏付けなしで無制限発行できるパチンコ玉、もしくはメダルゲームのメダルのようなものだと思いました。
 少なくとも原作でもプライベートポイントに税金はかかっていないはずです。
 大抵の税金は翌年に支払いをします。ですので橘さんを救う際に2000万集めた堀北先輩や、学年全体からもっと集めている南雲が税金に苦しんている描写はないですが、卒業して大学入学後に去年の分の税金の督促が来たりしたらイヤすぎますね。
 せめて卒業時に換金したプライベートポイントの分は税金処理しておいてから渡して欲しいのですが、現金化する際のレートでポイント時より価値が落ちると8巻で南雲が言っていますので、もしかして学外持ち出しの分だけには税金払ってます? それで換金レート落ちてます?
 なお、雑所得2000万円に対する税金だと、所得税と住民税を合わせると最大55%らしいです。
 ……高育さん、税務署から目ぇつけられてませんか?

 それとマジで生徒全員を希望先に進学させた方が手間はかからないと思います。
 御社の社内ルールで高額注文には相見積もりが必要なのはわかったんですけど、どうして勝てないとわかってるのに弊社がわざわざ手間かけて見積もりを出さにゃならんのですかね? ウチは当て馬かい? 付き合いあるから出しますけどさ。
 ……と、仕事上での苛立ちが参考になったわけではありません。
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