いってこい実力至上主義の教室へ   作:嘴広鴻

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3-3 前人未踏の地に生息する人喰い虎

 

 

 

――― 佐倉愛里 ―――

 

 

 

 あれは今回の夏休みの旅行についての説明を茶柱先生からされた週の金曜日の夜のことだった。

 自室のお風呂から上がって携帯を手に取ったところ、ちょうどのタイミングで私たち6人が普段使っているグループチャットに清隆くんからのメッセージが入ったことに気づいた。

 ちなみに清隆くんのアイコンは、前に釣ったというアナゴの顔のアップ写真。つぶらな瞳が可愛い。

 

 私たち6人というのは私、波留加ちゃん、櫛田さん、堀北さん、軽井沢さん、そして清隆くん。要するに清隆くんと、清隆くんと付き合っている女子たちのグループのこと。

 いきなり清隆くんが5人もの女の子と付き合うことになったらクラスの皆に騒がれると思ったけど、

 

「綾小路が女子と付き合う……って、綾小路って女に興味あったの!?」

「ハニトラ避けのカモフラージュ? ああ、なるほど。納得したわ」

 

 って感じに、あの山内くんと池くんですらも驚いたのは清隆くんが女性に興味があったということの方だったし、実際のところはハニトラ対策だと教えたらアッサリと納得された。未だに清隆くんのことを嫌っていそうな2人だけど、嫌っている以上に清隆くんのとんでもなさを理解しているからだろう。

 これも清隆くんの人徳……人徳? いや、普段の行い……所業……うん、清隆くんの普段の所業のおかげだと思う。

 まぁ、50億っていう多額のプライベートポイントの衝撃の方が大きかったみたいだし。

 

 そして波留加ちゃんが“効率厨”と形容する清隆くんの性格のせいか、このグループチャットは連絡事項以外で使われることはあまりない。清隆くんが生徒会の用事で遅くなったときの連絡とか、堀北さんが『スーパーの無料食品に牛肉発見。残り3つ。暇な人集合』ってときの連絡に使うことがあるぐらい。

 堀北さんには勉強や料理を教わったりとお世話になっているので、食事目当ての波留加ちゃんと一緒に堀北さんからの招集には積極的に参加している。

 むしろ清隆くんを除いた女子5人だけのグループや、坂柳さんを入れたグループチャットとかの方が使用頻度は多い。

 だから清隆くんがこんな夜遅くにそのグループチャットへ書き込むなんて珍しい、と思ったのを覚えている。

 

『3万ポイントずつ送った。これで今度の旅行用の水着を買ってくれ。複数可。アクセサリ等可。

 ただし、波留加と愛里はビキニで頼む。明日、見せてくれ。その際は波留加はジャージの下に、愛里は制服の下に水着を着て部屋まで来てくれ』

 

 思わず三度見した。

 一目見て清隆くんが送ってきた文章だと理解できずに流して、もう一度見たけどやっぱり清隆くんからのメッセージとは思えなくてグループの再確認をして、グループは間違ってないと確認できてからもう一度メッセージを見直した。

 私が混乱から立ち直れずにいると、女子5人の方のグループチャットで反応があった。

 

『どいういこと?』

『落ち着いて、櫛田さん』

『きよぽん、携帯落として誰かに拾われた?』

『清隆は酔ってるに1票。みりんで』

 

 そういえば清隆くん、高そうな本みりんを買ってたっけ。

 でも、本みりんには確かにアルコールが10%以上含まれているけど、みりんにはコーラの5倍近いカロリーが含まれているからスポーツマンの清隆くんはみりんをそのまま飲んだりしないと思う。

 

『3万振る込まれてる』

『櫛田さん』

『ホントだ』

『本物の清隆くんですね』

『性に目覚めた?』

『それはないわね』

『パンダを発情させるより難しいじゃん』

『坂柳さんに報告しなきゃ』

『彼氏の甲斐性ってことでポイントくれるのはおかしくはない、かな?』

 

 うん。清隆くんは私たちと一緒に過ごすときはかかるポイントは全部払ってくれるし、カモフラージュとはいえ付き合い始めてからの最初の夏なんだから、彼氏としての義務を果たすために水着を買ってくれるのはおかしくない。

 それに理事長との話し合いの結果らしいんだけど、清隆くんはなるべくプライベートポイントを消費することにしているようだった。なんでも使い切れないプライベートポイントを残してそのまま卒業するというのは、学校側にとってはあまり望ましくないことらしい。

 もちろん経済感覚がおかしくなってはいけないから、普段の生活では無料商品をなるべく使ったりと節約することは忘れてはいないけど、ここぞというときはプライベートポイントをなるべく使うようにしているみたい。

 例えば、今度の夏の旅行では坂柳さんの身体のことを考えて彼女は不参加の予定だったんだけど、かかる費用は清隆くん持ちでドクターヘリを準備するなどして坂柳さんも旅行に行けるように学校と色々と相談していた。

 だから水着購入用のポイントを私たちに送ってくれるのはおかしくはない。

 

 おかしくはないけど、私と波留加ちゃんには水着の種類を指定するのは清隆くんらしくない気が……というより、ジャージと制服の下に水着を着て部屋まで来てくれって指示が随分とマニアックな気がする。

 そのせいか櫛田さんの動揺が凄いことになってたし。

 

『どうする?』

『私は元から買うつもりだったから買うよ。

 でもどうして私には水着の指定がないのかな?』

『だね。見せるのはともかく、買うのはいいでしょ』

『じゃ、明日の午前10時にケヤキモール集合で』

『了解』

『おk』

『わかったよ』

『わかりました』

 

 ビキニかぁ。グラビアの撮影で着たこともあるから清隆くんにビキニ姿を見せるのはいいとしても、クラスの他の男の子に見られるのは恥ずかしいなぁ。

 清隆くんと付き合うことになってから私がグラビアアイドルをしていたことをクラスの人たちに少しずつ匂わせてきたから、最近はクラスの他の男の子が私を見る目が変わってきた気がする。清隆くんと付き合うことになったのも、男子の私を見る目が変わってきたことが理由の一つでもあるのだから。

 清隆くんが守ってくれているとはいえ、いくら清隆くんでも男子の視線までは防げな…………くはないかもしれないけど、防ごうとしてくれたら清隆くんの殺気でクラスの空気が最悪なことになりそうなのでそんなことは頼めない。

 

 といっても、清隆くんが私のストーカーを利用して学校の弱みを握ったことを皆に知られたから、私へ向けられる感情は今のところ同情が一番大きい。

 

「清隆くんに任せたらいつの間にか凄いことになって、いつの間にか終わってました」

「「「「「だろうね」」」」」

 

 あのストーカーの件の説明をクラスの皆にした時の反応もこんな感じだったし。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 翌日の土曜日、午前のうちに5人でケヤキモールに水着を買いに行った。

 

 私は清隆くんからビキニを指定されていたので、グラビア撮影のときに着たことがある水着に似たのを見つけたのでそれを選んだ。水色のフリルで縁取りされた黄色のビキニで、前に着た水着よりも布面積は広いので露出はマシになっている。

 というか、あの撮影のときに着た水着ぐらいに布面積が狭くて肩紐部分が本当に紐みたいに細かったら水着が身体に食い込んで痛いの。特に胸を支える肩の紐。撮影する短い時間だけとかならまだいいけど、あんな水着で遊び時間を過ごすのはキツイことになりそう。

 それと流石にビキニだけでは恥ずかしいので、水色のワンピース水着と肌を隠せるラッシュガードも余ったポイントで一緒に購入させてもらった。

 

 そういえば私がグラビアアイドルをやっていたことを清隆くんが知っていたことにずっと疑問を持っていたけど、清隆くん本人に聞いてみたらマンガ週刊誌とかを結構読むらしい。なので普通に雫のことはグラビア写真で知っていたようだった。

 清隆くんは政治家志望ということだから、そういう低俗と思われそうな本は見ないと思い込んでいたけど、逆にこれからの時代の政治家志望だからこそマンガやアニメみたいなサブカルチャーを知っておく必要があると思っているみたいだった。確かに日本のマンガやアニメは海外でも有名になったし、国会で総理大臣が全集中の云々と発言したりする世の中だものね。

 

『……は? いや、佐倉が雫のことを触れなかったから、オレも普通にマナーとして触れなかっただけだぞ。

 そもそもグラビア写真のときと耳の形が同じだろ?』

『???』

 

 だけど、どうして私=雫だと気づいたのかを聞いたとき、不思議そうな顔でそんな風に逆に聞き返してくるのは止めて欲しかった。清隆くんの話では人の耳の形というものは滅多に変わらないらしいから気づいたらしいけど、それがさも当たり前のことのように話さないで欲しいと思う。

 うーん、やっぱり清隆くんの基準というものがまだわからないよ。

 

 

 それはそれとして、何を着るか悩んでいた波留加ちゃんたちだけど、私と同じようにビキニとワンピースの水着の両方を買うみたいだった。

 

「うーん、やっぱりビキニだと傷跡が目立つかな……」

 

 赤のビキニを着た軽井沢さんが、鏡で自分の左脇腹にある傷跡を確認しながら唸っている。

 なんでも小さな頃にガラス戸に突っ込んでしまったときにできた傷らしく、この傷跡を気にして今まではビキニは着てこなかったようだけど、高校生になってせっかくの初めての夏だということでビキニにチャレンジすることにしたみたい。

 清隆くんの傍にいるなら傷も目立たないだろう、というのがチャレンジを決めた理由らしい。実際そうなるだろうしね。

 

「大胆過ぎるかな……いや、布面積もだけど上も下もサイドが紐ってのが……」

 

 波留加ちゃんがやけに大胆な白のビキニを選んでいる。

 私と同じくらい胸の大きい波留加ちゃんだと、あの肩紐の細さだと後でツラいことになりそう。注意しておいた方がいいかな。

 

「これどう思う、堀北さん?」

「可愛らしいんじゃないかしら」

 

 櫛田さんは露出はあまり多くなく“可愛い”という表現がよく似合うオレンジベースのフリルがふんだんについたビキニを、堀北さんはシンプルな黒のビキニを選んでいた。

 櫛田さんは赤のハイビスカスの髪飾りを付けて、暖色系統の色にまとめてイイ感じにおさまっている。堀北さんは特に飾り気のない格好だけど、あの黒ビキニはシンプル過ぎて自分に自信がなければ逆に着られないタイプだと思う。

 でも、その前に2人が選んでいたワンピース水着のカットラインがやけに大胆だったのが気にかかる。ビキニを指定されなかった櫛田さんと堀北さんはビキニではなく、ワンピースの方で清隆くんに勝負をかけるつもりなのだろうか?

 

 

 ……カモフラージュのためとはいえ清隆くんと付き合うことになったのだけれど、こうして皆と行動を一緒にしているとふと思うことがある。

 清隆くんを含めた私たち6人の関係はいったいどういうものなのだろう?

 

 清隆くんを除いた私たち女子5人は友達と言っていいと思う。

 中間テストに向けた勉強会で仲良くなった波留加ちゃん。この学校で一番仲の良い人は誰かと問われたら、私は波留加ちゃんの名前を上げるだろう。それに波留加ちゃんはサバサバとした強気な性格で、私は密かに波留加ちゃんみたいな強い女性になれたらいいなと思っている。

 クラスの人気者で人当たりの良い櫛田さん。実のところ、入学当初はどこか裏がありそうな櫛田さんのことは苦手だったんだけど、清隆くんに振り回されて素の性格を外に出し始めた最近の櫛田さんには好感を抱いている。清隆くんのフォロー、頑張ってください。

 清隆くんへのツッコミ役兼実験台役の軽井沢さん。それこそ入学当初の乱暴そうな彼女は苦手だったけれど、清隆くんの実験に付き合わされて悲鳴を上げる軽井沢さんを見ていて苦手意識が薄れていった。それに私もスタイルを維持するためにジムに通い始めたけど、その時に軽井沢さんからアドバイスを貰ったりするぐらいの仲になった、

 清隆くんの部屋で一緒に料理をする……というより料理を教えてくれる堀北さん。入学当初はハリネズミみたいな堀北さんだったけど、ダイスビンゴで地獄を味わってからは人が変わったようにお淑やかになった。強く生きてください。たまにサイコロを見てフラッシュバックを起こして震えないで。もう大丈夫だから。

 

 そして私たちの彼氏、ということになった清隆くん。

 清隆くんのことは好きか嫌いかで言ったら……それは好きなのだろう。それは波留加ちゃんたちも同じだと思う。

 

 波留加ちゃんは「本気で告白されたら考えるかなー」って言って、櫛田さんは「告白してくれたら嬉しいな」って言っていたけど、あの2人が私たちの中で一番清隆くんのことを意識していると思う。清隆くんが私たちを意識していないことに不満を抱いている、と言った方がいいだろうか。

 櫛田さんは男子に人気があるし、波留加ちゃんも美人で胸が大きいから男子から注目されることが多かった。だけど清隆くんはそんな2人のことを他の女の子を見る目と同じような目でしか見ないところに、波留加ちゃんたちは不満を抱いているのだと思う。

 ……不満というより、猫じゃらしに全然反応してくれない猫をムキになって反応させようとしている感じかな?

 

 軽井沢さんと堀北さんも清隆くんのことは好きなことは好きなのだろうけど、既に彼氏彼女を飛び越えて家族になりかけてる気がする。2人は教室で過ごしているときよりも、清隆くんの部屋で過ごしているときの方がリラックスしているように見えるんだもの。

 特に軽井沢さんだ。教室と清隆くんの部屋両方で一緒に過ごしているうちに気付いたけど、どうも教室で過ごしている軽井沢さんは常に気を張っているように見えるときがある。櫛田さんが言うには女子の間のヒエラルキー云々ということらしいけど、きっと清隆くんの部屋でならそれから解放されてリラックスできているんだろう。

 堀北さんは怠惰という言葉とは無縁の人だけど、それが清隆くんのお世話をすることに生き甲斐を見出し始めているというか、あんな風に健気にお兄さんのためにも動いていたのだとしたら、お兄さんも堀北さんが他のことに目を向けて欲しいと考えるのは仕方がないんじゃないかと最近は思えてきた。

 

 そして私は、私が清隆くんがどれくらい好きなのかは、私でもまだよくわからない。

 私が清隆くんに抱いている想いが、友人としての好意なのか異性としての恋心なのかの区別が付けられていないのは、きっと私には今まで親しくなった男の子なんていなかったからだろう。清隆くんを普通の男の子と一緒にしていいかはわからないけど。

 だからもし、清隆くんが私たち5人のうち、私以外の誰か1人を本当に好きになって選んだとしたら、ちょっとは悲しいかもしれないけどちゃんとおめでとうは言えるぐらいの好き……というのは我ながらわかり難いだろうか? そして私を選んでくれたら幸せな気持ちになれると思う。

 

 思うんだけど、もしそうなったとしたら坂柳さんとはどんな顔をして会えばいいんだろう? このことについて波留加ちゃんたちとも話し合ったことはあるけど、結局結論は出なかった。

 坂柳さんの事情は高校生にとって重過ぎる話です。

 

 清隆くんは清隆くんであまり私たちに対する態度は変わっていない、というより、付き合う前から紳士的だったから今よりも仲良くしようにも進展する余地が残っていない。

 いや、彼氏彼女ということで不埒的な意味で進展する余地は残っているんだろうけど、流石にカモフラージュという名目でのお付き合いのうちにそこまで進むのは二の足を踏む。せめて私のこの気持ちにハッキリと名前がついてからだろう。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「じゃあ、見せてもらおうか。

 まずジャージを着てきた波留加と桔梗からで頼む」

 

 だからこんな風に水着姿を見せてくれなんて言ってくる清隆くんに、どんな反応をしたらいいかわからないんだよ。

 うう、夜になって清隆くんの部屋で水着姿を見せることになったけど緊張する。波留加ちゃんたちもいつもと違って部屋に入ってから大人しいし……。

 

「波留加は白のビキニで桔梗はオレンジのビキニか。

 うん、似合ってる。波留加は奇麗だし、桔梗は可愛いぞ」

 

 5人並んでベッドに座った清隆くんの前に立つ。

 そして指定された波留加ちゃんと櫛田さんがジャージを脱いで清隆くんに水着姿を見せる。でも清隆くんは相変わらず冷静で、女子高生が目の前でジャージを脱いで水着姿になっても照れもしない。

 いつもの波留加ちゃんと櫛田さんならそんな清隆くんに対して文句の一つでも言いそうだけど、どうやらこんな間近で水着姿をジックリと見られていることが気になり過ぎていっぱいいっぱいになっているみたい。時折、手で身体を隠しそうになりながら耳まで真っ赤にして清隆くんに水着姿を見せつけている。

 

「次は……」

 

 ジックリと波留加ちゃんと櫛田さんの水着姿を堪能していた清隆くんが、隣に置いてあったカバンの中をゴソゴソと探り始めた。もしかして探してるのはカメラ? 水着姿を撮影しちゃうの?

 土曜日の夜。もちろん明日は日曜日なので、今日は夜が遅くなっても問題はない。そんな状況で一室に集まって水着姿を男の子に見せる女の子たち。

 いや、清隆くんがそんなことを求めるなんて予想もしていな……くはあんなことを言われたからしていなかったわけじゃないけど清隆くんだから信じられなかったというかでも水着姿を見せてなんて言われたらそういうことを想像しちゃうしそもそも他に求められるようなことが思い浮かばなかったわけで…………え、ホントに?

 同じことを思い浮かべたのか、私の隣に立っていた堀北さんがゴクリと生唾を飲み込んだ音が聞こえた。

 

 つ、次は私たちも脱ぐのかな……。

 清隆くんが求めるなら、私は……。

 

 

「じゃあ、波留加はこのウェストポーチをお腹のちょっと上、胸の下に位置するようにつけてくれ。桔梗はセラミック包丁を挿したレッグホルスターを太ももの内側につけて、それで2人ともジャージをまた着てくれ。ウェストポーチとレッグホルスターが目立たないか見たい。

 ああ、包丁はちゃんとケースに仕舞ってからホルスターに入れてあるから安全だぞ」

 

 

 清隆くんがカバンから取り出したウェストポーチを波留加ちゃんに、映画で見るような軍人さんが腕や太ももに銃やナイフを装備するためのベルト、レッグホルスター?というものを櫛田さんに差し出す。

 思わず波留加ちゃんと櫛田さんの方に視線を向けたけど、波留加ちゃんは宇宙の真理を知ってしまった猫のような表情を、櫛田さんはスンって一気に感情が抜け落ちた表情をしたのが見えた。

 

 ……やっぱり清隆くんは清隆くんかぁ。

 そっかぁ。胸の下に合わせるようにウェストポーチを付けて欲しかったから邪魔にならないビキニを指定したんだ…………そっかぁ、そうなんだね。

 そういう不純な異性交遊を強要してこない清隆くんだからこそカモフラージュとはいえ私も付き合おうと思ったのだけれど、いくら何でも勇気を出して水着姿を見せる私たちにそれは酷いんじゃないかな?

 

「…………」

「コラ、桔梗。危ないから包丁をケースから出すんじゃない。

 どうした? まるで某魚河岸の三代目みたいな顔をしているぞ?」

「……とりあえず刺す前に聞くね。どうしてそんなこと頼むのかな?」

「え? 刺すって言った?

 ……いや、今週、夏休みの旅行について説明があっただろう。それについてちょっと不審に思ったことがあって、学校側から荷物を隠して島へと持ち込める方法を考えているんだ」

「不審に思ったこと、ですか?」

「ああ、5人にも聞いておこう。

 今度の旅行は予定だと最初の1週間は無人島に建てられているペンションで過ごすことになっているが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 えっ? 無人島……に従業員がいるかどうか?

 ……そう言われたら従業員がいる無人島って言葉的におかしい、のかな?

 

 

 

――― 橋本正義 ―――

 

 

 

「―――そういうことですか。言われてみれば確かにその通りです。

 無人島のペンションで働く従業員とは矛盾していますね。従業員がいたら無人島ではありません。綾小路氏が疑問を抱くのも当然かと」

「うん。でも綾小路くんから聞いた後にネットとかで調べてみたけど、ホテル関係者以外の島民がいなかったら無人島、ってことにしている無人島ホテルもあったんだよ、金田くん。

 だけどこの学校でしょ。綾小路くんの考えは無視はしないでおいた方がいいと思って、私たちも事前に少しは準備してたんだ」

「補足しておくと、綾小路はこの島へプロテイン等の持ち込みが許可されるかを先生に確認したらしい。宿泊施設によっては外部からの飲食物の持ち込みは禁止されているところもあるからな。

 とはいっても綾小路としては持ち込みが禁止されるとは思っておらず、あくまで念のための確認のつもりだったようだが、綾小路の予想に反して先生からは島へのプロテインの持ち込み禁止を言い渡されたらしい。そのことをキッカケに今回の旅行を不審に思い始めたとのことだ」

 

 神崎の言葉に納得をする。

 なるほど。プロテインの持ち込み許可か。スポーツマンである綾小路らしい気付き方と言えるかもしれないな。

 もしかしたら綾小路のその質問があったからプロテインの無償配布がされることになったかもしれない。学校としても部活で頑張っている生徒が食事を抜くことで体調を崩したり、身体パフォーマンスが落ちることは望まないだろう。

 

「流石に島にペンションがなくて、こんなサバイバルのようになるとまでは綾小路も予想していなかったがな。

 しかし、食事は自分たちで準備するキャンプみたいになるかもしれないと、旅行前から既に綾小路は予想していた」

「フム、なるほど。確かにトイレや風呂がついていて雨風を避けられる宿泊施設が準備されていたら、食事などは自分たちで用意することになったとしても、それならサバイバルではなくキャンプの範疇に収まるだろうな。そのぐらいの難易度ならちょっと変わった林間学習と言えなくもない。

 学校側のバカンスという言葉もそこまでおかしくはないだろう。綾小路の予想は的外れではあるまい」

「それで前もって役に立つ道具を島に持ち込む準備をしてたってか。

 ハッ、しかもその方法が、胸のデカい女がシャツの下にウェストポーチを隠すなんて……いや、これは逆に綾小路らしいのか?」

 

 龍園の言葉に思わず一之瀬の身体を見てしまう。

 スタイルの良さでは学年で一、二を争う一之瀬なら、確かに教師にバレずにシャツの下に隠したウェストポーチで物資を持ち込めるだろう……って、イカンイカン。ちょっと一之瀬を見過ぎたか。

 一之瀬の視線は神崎に向けられていたので俺が見ていたことは気づかれなかったようだが、俺の斜め後ろに立っていた神室から足に蹴りを入れられた。

 スマン。いくらなんでも不躾だったな。

 

 しかし、胸の大きな女の子は服装によっては太って見られるのがイヤだと思っているって話は聞いたことあるが、まさかそれを利用するとは……。

 乙女心を理解していない綾小路が考えそうなことだぜ。多分、櫛田や長谷部には怒られただろうな。

 

「……というか神崎くん。いい加減、土下座するのやめてよ。

 私は気にしてないからさ」

「しかし、俺はクラスのためとはいえ、一之瀬にセクハラ染みたことを……」

 

 スッ、と土下座したままの神崎から目を逸らす。

 目を逸らした先で葛城と鬼頭と金田が視界に入ったが、俺と同じように神崎から目を逸らしているようだった。

 

 ちなみに一之瀬たちBクラスが綾小路からこの旅行の不審点を聞いていたのは、以前のCクラスとの諍いの件の際にDクラスの情報収集を手伝った礼として綾小路から教わったからだった。

 その情報収集の手伝いというのもCクラスをハメることを計画していた綾小路にとってはあまり意味のないものだったようだが、それでも思惑はあれど実際に協力をしてくれたBクラスに礼をするのは綾小路らしいな。信賞必罰をシッカリとして今後もDクラスに協力をしたら見返りがあることを実際に示したのだろう。

 

 ただ、綾小路から話を聞いたのは一之瀬ではなく神崎だった。

 むしろ話をするときは女子を連れてくるなと念入りに注意されたらしいが…………こんなことは女子へ言い難いよなぁ。

 

 今度の旅行に不審な点があること。

 もしかしたらバカンスではなく、キャンプのようになるかもしれないこと。

 プロテインのように持ち込みは制限されるものがあること。

 そして、綾小路が思い付いた教師の目を掻い潜って島へ物資を持ち込む方法。

 

『……何故、一之瀬ではなく俺に言ったんだ?』

『いや、おまえは胸が大きいんだから胸の下にウェストポーチ隠して物資の持ち込みしろ、ってオレから一之瀬に言ったらセクハラじゃないか。神崎から言ってくれよ』

『つまり俺が一之瀬にセクハラをしろと?』

『オレ、彼女できたし。彼女たちに不誠実なことはしたくないなぁ』

『ハニトラ対策のカモフラージュの彼女だろうがっ!

 くそっ、こんなことなら俺1人で来ずに、柴田や浜口も連れてくればよかった……』

『クラスメイトを地獄への道連れにするのか。意外と鬼畜だな、神崎』

 

 カラオケ店に呼びだされて綾小路からそんな話を聞いた神崎は、苦悩しながらも綾小路の考えと島への持ち込み方法を結局は一之瀬に伝えたらしい。

 今みたいに一之瀬に土下座しながら。

 

『地獄とまで言うか?』

『いや、キツイだろ。このことを一之瀬1人だけ呼び出して伝えるのはマズいだろうから、何人かの女子の立ち合いのもとで言わなきゃならんのだぞ?』

『た、確かに。これを一之瀬に一対一で言うのは色々とマズいだろうな。

 …………え、本当に俺がやるのか?』

『これを渡しておこう。良心の呵責に耐えられぬ時つかってもらうがいい』

『何だ、この“すとろんぐぜろ”と書かれたハリセンは?』

 

 その際は一之瀬にハリセンを渡して俺を叩いてくれと頼んだらしいが、一之瀬としても困っただろうな。今も土下座されて困ってるし。

 白波は凄い冷たい目で神崎を見て「“すとろんぐぜろ”も持ち込めばよかった」なんて呟いているしさ。浜口も急いでこの場から逃げるわけだ。

 

「そんなわけで私たちも少しは物資を持ち込めてるんだ。

 例えばライターなんかを持ち込めてるから、Cクラスから貰えるマッチはAクラスが受け取っていいよ。それとマニュアルも。その代わり、Cクラスからの簡易トイレはBクラスが貰ってもいいかな?」

「……Cクラスからの懐中電灯を2つともこちらに、そしてBクラスに支給されたマッチもこちらに譲っ「ピィィィーーーッ!」……ム?」

「私たちのベースキャンプの方から聞こえたホイッスルの音……ということは、浜口くんがベースキャンプに到着して集合をかけたみたい。Cクラスから買うポイントの配分とかは取り引きの詳細は後回しにしようか。

 じゃあ、私たちは一度ベースキャンプに戻ってクラスの皆の意見を聞いてくるね。30分ぐらいで戻ってくるよ」

「ホイッスル? そんなものも持ち込んでいたのか……。

 わかった。物資の取り引きは後に回そう」

「うん、なるべく早く戻ってくるね。

 走るよ。千尋ちゃん。神崎くん」

「わかったよ、帆波ちゃん」「ああ」

 

 そう言って走り去っていく一之瀬たち。短い距離で既に白波がちょっと遅れ気味だけど、そこまでBクラスのベースキャンプとは離れていないから大丈夫だろう。

 

「Bクラスからも前向きな回答を貰えた。

 鬼頭、神室。スマンが一度Aクラスのベースキャンプに戻って、クラスの皆に今の話し合いの様子を説明して、Cクラスから物資とリーダー情報を購入することについての同意を改めて得ておいてくれ。それと真嶋先生にも契約時に立ち会ってもらうつもりなので、予定を空けておくように伝えてくれないか」

「いいだろう」「ん」

「……しまった。一之瀬へ星之宮先生にも契約時に立ち合いをしてもらう方がいいことを伝えていなかったな。

 龍園。そういえば坂上先生はどちらに? 契約を結ぶ時に坂上先生に立ち会ってもらうつもりなら、今のうちに呼んでおいた方がいいのではないか?」

「……坂上は体調不良で船の中だ」

「体育の先生にこの試験での担任代理を務めて頂いています、葛城氏」

「……そういえば学年全体で説明があったときも、坂上先生の姿を見かけなかったな」

 

 あー、坂上先生ってまだ駄目なんだ。最近になって数学の授業に復帰したけど、審議の後は半月ぐらい休んでいたもんな。

 しかも何て言うか、復帰後の坂上先生は薄くなってた。

 といっても薄くなってたのは髪の毛じゃなくて、色というか生気というか影というか存在感というか、儚げになってしまっていた、って言葉が正しいのか? あの審議のせいでダメージを受けたんだろうけど、ただのダメージじゃなくて最大HPごと削られてしまった感じって言えば想像付きやすいか? 少なくとも白髪は増えてたな。

 いくら坂上先生本人に請求が来なかったとはいえ、自分のミスで50億ものプライベートポイントを学校が支払うことになってしまったんだから、気に病むのもそりゃあ仕方がないだろうけどさ。

 

 

「……しかし、これからどうするべきか……」

 

 葛城が大きく溜息をつく。

 確かにこうなってしまっては、この試験で勝利することは既に難しい。もちろん勝利の定義にもよるけどな。

 

 綾小路のDクラスはリーダーを当てられなかったら大勝ちで、リーダーを当てられても前準備をしていた分だけ小勝ち。

 俺たちAクラスと一之瀬のBクラスはボーナスポイントは期待できず、クラスポイントは得られてもその分だけのプライベートポイントは支払わなければならないので中勝ち。

 龍園のCクラスはクラスポイントは得られないけど、それ以上のプライベートポイントを得られるのでどうなっても並勝ち、ってところか。

 

 どのクラスも負けはない。

 あえて言うならリーダーを当てられてボーナスポイントを失った場合のDクラスは負けに見えるかもしれないが、それでも結局はABクラスもボーナスポイントを稼げていないので大きな差はないだろう。島中を走り回った綾小路と須藤と三宅の労力が無駄になった、という意味では負けかもしれないがな。

 そしてCクラスはどのような状況になっても、プライベートポイントの確保によってある程度の勝ち逃げは決まっている。

 

 要するにまとめると、

 

 Dクラスのリーダーを当てられなかったらDクラスの勝利。

 Dクラスのリーダーを当てられたらCクラスの勝利。

 

 って感じだな。ABクラスはどっちにしろ負けはしないが勝ちもしない、という状況だ。

 最初の特別試験で単純に勝ち負けがハッキリするよりタチが悪いな。あっという間に試験の主導権をCDクラスに握られて脇役になってしまったというのは、心情的に後々の試験で響いてくるぞ。

 

 必死に打開策を考えている葛城を見る。

 これは別に葛城が劣っていたわけではないだろう。坂柳がこの試験を休むことになって葛城が指揮を執ることになったが、そのことについて誰も文句は言わなかった。そのぐらいに葛城の実力はクラスで認められている。

 ましてや入学当初の坂柳と葛城でクラスの主導権を争っていた時とは違って、今となってはもう坂柳がリーダーで葛城が実行部隊隊長、って感じに役割分担されていて、わざわざクラス内で権力争いをするような無駄もなくなっている。普通に戦えばBにもCにも勝てるだろう。

 

 ただ、Dクラスは綾小路がぶっ飛び過ぎているからなぁ。

 

「随分と悩んでいるなぁ、葛城」

「試験から降りたおまえは気楽そうだな、龍園。

 ……仕方あるまい。以前、坂柳が綾小路をフリーにさせると厄介なことになる、とは言っていたが、まさにその坂柳の言う通りになってしまったんだ。綾小路を甘く見ていたつもりはないが、まさか綾小路の行動が本当にこんなにも早いとはな……」

「フン、今回は降りたといっても、次の特別試験からはどうかな? 今回、得られるプライベートポイントに加え、テメェらを手玉に取ったという実績でCクラスの士気は上がるぜ。

 ウチのクラスの連中にも勝利体験を味合わせるために、わざわざスポット探しとかをさせて試験に参加したって体裁を整えてるんだからな」

「…………」

 

 ああ、やけにCクラスの生徒に指示を出してると思ったら、龍園はそういう細かいことも考えていたのか。

 ほとんど焼け石に水だろうけど、何もしないで船に戻るよりは達成感があるだろうな。

 

「まぁ、あんまり気を落とすなよ、葛城。

 仮に坂柳の姫さんがこの試験に参加できてても、結果はそんなに変わらなかったと思うぜ」

 

 気を落としている葛城に思わず声をかけたが、慰めじゃなくてこれは本心だ。

 坂柳がいれば綾小路がやっている複数人でキーカードを持つことと、顔を隠したXを連れてスポット巡りすることは思い付くことはできたかもしれないが、そもそも俺たちAクラスだと思い付いたとしても実行できないだろう。

 複数人でキーカードを持つことだけは実行できても、こんな試験が開始されて1時間ちょっとで島のほとんどを走り回ってスポット巡りすることをできるヤツはAクラスにはいない。

 運動が得意な鬼頭なら単純に島中を走り回るだけなら可能だろう。それこそ須藤や三宅のように綾小路の先導に従ってスポット巡りについていくことはできるかもしれないが、スポットを自分たちで探しながら、という条件が付くなら無理だろうな。

 しかも、洞窟に向かう際に綾小路たちとすれ違ったときに見えたが、綾小路は小柄とはいえ人を1人抱えながら平気な顔をして走ってやがった。アレは鬼頭でもマネできないだろ。

 

 いや、もし坂柳が参加していたとしたら、そもそも洞窟のスポットは綾小路が取ると思って捨てていたかもしれないか。洞窟へ向かったロスがなければスポットを2つ3つ多く確保できてて、ボーナスポイントを50くらい多く取れたかもしれない。

 そう考えたら結果もそこそこ変わっていたかもしれないが……それも想像に過ぎない。

 坂柳は頭はいいんだろうが、こんな慣れていないだろうサバイバル状況でも頭を働かせることができるかはわからないしな。

 

 

 さて、これからどうするかねぇ。

 もちろんこれはAクラスをどうするのかではなく、俺がどうするのか、の話だ。

 

 俺は是非ともAクラスで卒業したい。

 だから綾小路をウチのクラスに引き入れることには積極的に賛成している。今回の試験で確信した。綾小路がAクラスに入りさえすれば勝ち確だ。

 

 それはそれとして俺たちのクラスがAクラスから転落してしまったときに備えて、2000万プライベートポイントを使って俺を新Aクラスに移動させてもらえるよう、他クラスの主要人物との交流を深めて俺が使えるヤツだと思ってもらえるようにしている。

 だが、綾小路が手に入れた50億プライベートポイントのせいでその展望が狂った。

 この場合はマジでどうすりゃいいんだよ? 綾小路と釣りをしてる時に冗談気味に2000万ポイントをくれって言ったけど、綾小路は『生徒の学習意欲を削ぐ気はない』ってアッサリ断ってきたしな。

 

 なら、坂柳が綾小路に勝てるのか?

 答えはノーだ。頭脳はもしかしたら互角なのかもしれないが運動能力に差があり過ぎる。それに綾小路は優れた運動能力で頭脳を活かし、優れた頭脳で運動能力を活かすという反則みたいなことをしてくるのが厄介だ。

 現に今回のこのサバイバル試験で行っている、複数人でキーカードを持って上で顔を隠したXを運びながらのスポット巡りなんて、まさに頭脳と運動能力の両方を活かしている証拠だろう。

 そもそも坂柳本人が綾小路の方が凄いということは認めている……というか、積極的に自慢しているしな。

 

 綾小路は下手をしたら一気に400~500クラスポイント程度を稼いでしまいそうな勢いだ。これだとそう遠くないうちに綾小路率いるDクラスは上のクラスへと昇り詰める。

 だからこのまま坂柳が率いる泥船に乗り続けるわけにはいかない。

 それにこのまま坂柳に従うのが何が嫌だって、坂柳は勝っても負けてもどっちでもいいと思ってそうなところが嫌なんだ。

 もちろん坂柳は綾小路に全力で挑むのは間違いないとは思っているが、坂柳は勝っても負けても喜びそうなんだよな。綾小路に勝てたらそれはそれで喜ぶんだろうが、綾小路に負けても自分が選んだ男はこんなに凄いんだ、って感じに喜びそうだ。無敵かよ。

 

 しかしそうすると、今のAクラスを裏切って綾小路の味方をして俺を綾小路のクラスに入れてもらうか?

 ……無理だな。そんなことをしても綾小路は受け入れてくれない。坂柳に非がない状態でクラスを裏切ったとしたら、綾小路は俺を信頼しないだろう。

 いや、むしろ受け入れられた場合の方が最悪だ。綾小路は常日頃から相手に合わせた対応をすると言っている。もし俺が裏切ったとしたら、俺も裏切られる覚悟を持っているべきだという考え方で、俺を散々使い倒してボロ雑巾の様に捨てるだろう。

 

 そもそも綾小路に恩を売るのが難しいんだよなぁ。

 綾小路の性格なら下手に恩の押し売りをしても不興を買うだけだし、前もって裏切り宣言をしておいたら坂柳にチクられるだろう。チクられるというか『オレからは話さないが、有栖に聞かれたら答える』って対応になるだろうな。そして俺は坂柳に不審に思われない自信はない。

 綾小路が自分のクラスに入れてくれることがあるとするなら、それは俺が特別試験で善戦して綾小路の目に留まって『面白いヤツだな、気に入った』と思われた場合か。そうすれば3年生の2月後半辺りにお情けでAクラスに入れてもらえると思う。

 でも気に入られ方次第だと、活きのイイ獲物と思われて『殺すのは最後にしてやる』ってなるかもしれないのが怖いんだよな。

 Dクラスの女子は綾小路のことは大型犬に例えることが多いんだが、もう俺には綾小路のことは二足歩行して人間に紛れてるクマにしか思えなくなってきている。何かのキッカケで綾小路が暴れたらどうしようもなくなるし、そもそも人間じゃクマに勝てねーじゃん、絶対。

 

 まぁ、まだ1年の夏休みだ。今の時点で結論を出すことは危険だろう。それにどうせ近いうちに綾小路がまたやらかすだろうしな。

 今の時点でできることは真面目に特別試験に挑んで俺の有用性を綾小路へ見せるぐらいか。しばらくは真面目に過ごしておいて、綾小路が望むものを見つけられるように様子を窺っておくことにしようかね。

 

 

 




きよぽん(森のクマさん)「友達だよな、オレら?」
正義くん「お、おう……」
康平くん「……そうだな」
隆二くん「…………」
ドラゴンボーイ「違ぇよ」
洋介くん「も、もちろんだよ」

 きよぽん、男友達がいない説。
 ハーレム築いているヤツはダメですね、やっぱり。


 それと流石に包丁を持ち込むのは洋介くんと鈴音ちゃんに止められました。
 原作の描写からすると、荷物の検査はしてもボディチェックはされないみたいですから持ち込みし放題ですね。それに荷物の検査自体も生徒が159人もいることで1人につき1分もかけていられないでしょうから、検査をすり抜けて密輸する方法はいくらでもありそうです。

 ちなみにきよぽんアイコンのアナゴの顔のアップ写真は、切断面は見えてません。
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