老トレーナーの晩餐会   作:品☆美

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どこかで見たおじ様

マイルチャンピオンシップが終わった。

結果はオグリちゃんとバンブーメモリーさんの大接戦の末にハナ差でオグリちゃんの勝ち。

レース前にオグリちゃんと一緒に六平さんが用意してくれた過去のマイルチャンピオンシップのビデオを分析したけど、どの年のマイルチャンピオンシップよりも今回のレースが凄かったと私は思う。

これでオグリちゃんは去年の有マ記念とマイルチャンピオンシップでGⅠレースを二つ制覇した事になる。

菊花賞と今年の秋の天皇賞を制覇したスーパークリークさん、春の天皇賞と宝塚記念を制覇したイナリワンさんとGⅠ勝利数で並んだ事になる。

世間ではこの三人を『三強』と称して大いに盛り上がっている。

尤も、今の私達は世間の評価に構っている時間は無い。

マイルチャンピオンシップから一週間後にはジャパンカップ、ジャパンカップから一ヶ月後には有マ記念なのだから。

六平さんは全ての取材を断って今週をオグリちゃんの回復とジャパンカップの対策に充てる。

私もトレーナー見習いとして出来る限りの協力をするつもりだ。

勝利の余韻を味わう暇もなく次のレースの準備に勤しむ。

ジャパンカップは各国のウマ娘が集う世界最高峰のレースと言っても過言じゃない。

去年のオグリちゃんはオベイユアマスターさんとタマモクロスさんの後塵を拝して三着。

でも、あれから一年経ってオグリちゃんは成長した。

きっと今のオグリちゃんなら負けないはず。

だから私も精一杯がんばろう。

絶対に勝とうねオグリちゃん。

 

 

「それじゃ書類の提出と装備の点検をしてきます」

「すまねぇが頼む。それが終わったら今日はもう帰ってかまわねぇぞ」

 

そう言って六平さんは机に置かれた書類や資料に視線を戻す。

とても忙しそうだけど、これでもマイルチャンピオンシップ前に比べたら随分マシになってる。

元々オグリちゃんはマイルチャンピオンシップに出走する予定はなく、秋の天皇賞の後はジャパンカップに出走する手筈だった。

でも、どうしてもマイルチャンピオンシップに出走したいとオグリちゃんが願った結果、急遽マイルチャンピオンシップに出走する事態になってしまった。

マイルチャンピオンシップとジャパンカップは全く違うレースだ。

レース場が違うし、距離も違うし、勾配も違う。

ウマ娘は出走するレースに合わせて様々なトレーニングを行い、入念なレースプランを講じ、丹念にコンディションを整える。

六平さんによると準備期間を考慮すれば三週間から一ヶ月につきレースを1回が妥当という事だ。

ジャパンカップからマイルチャンピオンシップに出走予定を変更して準備期間もギリギリだったのに勝っちゃうオグリちゃんって何者なんだろう?

 

「オグリの奴は絶対に参考にするな、ありゃ規格外の怪物だ」

 

熟練トレーナーの六平さんにとってもオグリちゃんは想像の外にいるらしい、ちょっとだけ怖い。

次のジャパンカップはそんな怪物じみた世界各地のウマ娘ばかりが集まったレース。

いつにも増して入念な準備を整えなくちゃ。

私の実家はスポーツ用品を扱うチェーン店を経営してる。

子供の頃から日常的に関わってきたのでスポーツ関連の品に対する知識と目利きはプロに匹敵するという自負がある。

材料さえ有れば蹄鉄を自作出来るのが私の取り柄の一つ。

脚力が強いウマ娘は蹄鉄の消耗が激しく、オグリちゃんもその例に漏れない。

オグリちゃんは家が貧乏であまり装備に頓着しないからいろいろ試すのが楽しい。

ジャパンカップに向けて最適な装備を整えるのが私の役割。

必要書類を提出したら装備の点検と補修だ。

 

「すまない、そこの君」

 

誰かに呼び止められた気がしたので耳を動かし声の聞こえた方へ向ける。

 

「あぁ、書類を持ってる君だ」

 

背後から聞こえた声の主に視線を向ける。

其処にはスーツ姿の大男が立っていた。

私が150cm未満の小柄な体という事実を差し引いてもかなり大きな男性だ。

たぶん190cmぐらいの高身長。

身に纏っているのは有名ブランドの高級スーツなのでかなりの収入がありそう。

顔立ちは整ってるけど頭髪は白みがかり目尻や口元の皺から年配だと判る。

トレセンにいるならウマ娘に関係する人だろう。

何処かで見た事あったかな?

 

「あぁ、すまない。尋ねたい事があるので声を掛けた」

 

均整の取れているがやや威圧感のある外見に似合わず声と口調は優しげだ。

少なくても悪人ではないだろう。

 

「えぇと、私ですか?」

「うん、確か六平のチームに所属していたと思うんだが」

 

どうやら六平さんの知り合いらしい。

たぶんレース関係で以前見かけたのかもしれない。

 

「はい。私は選手じゃなくてスタッフ研修生ですけど」

「あぁ、間違いじゃなかったか。六平はトレーナー室に居るかい?」

「今日は朝からトレーナー室に居ます。今も居ると思いますけど」

「わかった。ありがとう」

 

男性は私に礼を述べるとトレーナー室に向かって歩き出した。

ゆっくりとした歩みだが大柄なので歩幅が広い。

あのペースなら数分でトレーナー室に辿り着くだろう。

 

「やっぱり何処かで見たと思うんだけどなぁ?」

 

記憶を手繰るが上手く思い出せない。

かと言ってこのまま立ち止まっても仕方ない。

書類提出を済ませたらオグリちゃんの装備を点検しなきゃ。

結局あのおじさんが誰なのか思い出せないまま私は廊下を歩き始めた。




シブい見た目で天然のオジ様は好きですか?
私は大好物です。(隙自語
という訳で初のウマ娘二次創作、シンデレラグレイ題材です。
私の産まれた頃がオグリ全盛期(年齢がバレる)で家の近くに某競馬場が合って幼い頃は休日の父に連れられて競馬場に行っていました。
オグリキャップの縫いぐるみは今でも実家にあります。
なのでウマ娘作品ではシンデレラグレイが一番好きです。
そしてオグリキャップのレースでどれが一番好きかと問われたら89年のマイルチャンピオンシップが一番好きなのです。
あとウマ娘ではオグリキャップの次にバンブーメモリーも好きなので。
バンブー可愛いよバンブー。
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