艦これ2 〜影の反攻〜   作:蒼海 輪斗

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第四部隊…瑞鶴を中心とした、影の艦隊大規模機動部隊の誘引を目的とした機動艦隊。第一部隊を空襲から守るため、大規模機動部隊を北へ誘引し攻撃するための部隊だった。


第十四話 エンガノの若鶴

 スリガオ海峡での決戦が行われている中、瑞鶴たち第一遊撃部隊、第四部隊はエンガノ岬沖にて、影の艦隊大規模機動部隊を発見していた。

 

 「こちら瑞鶴!索敵機より入電。『我、敵大規模機動部隊ヲ発見ス』」

 

 数時間に及ぶ索敵の結果、遂に影の艦隊大規模機動部隊を発見したのだ。

 

 「敵は正規空母6、軽空母5、戦艦数隻、巡洋艦、駆逐艦多数!!」

 

 索敵機から送られてきた情報を瑞鶴は読み上げる。流石は第二次あ号作戦で第一機動艦隊を壊滅させた大規模機動部隊だ。こちらの戦力をも上回っている。

 

 「全艦、航空隊発進準備!!」

 

 瑞鶴は叫び、矢筒から矢を取り出し、弓にかけ構える。

 

 「稼働機、全機発艦!!」

 

 瑞鶴が矢を放つ。放たれた矢は瞬く間に彗星艦爆へと姿を変える。

 

 「さぁ、私達も発艦開始よ。」

 

 「はい、お姉様。」

 

 蒼永と大永も小銃を構え、射撃する。放たれた銃弾が瞬く間に今度は流星艦攻へと姿を変える。

 

 「全機発艦!!」

 

 千歳たちも攻撃隊を発艦させる。烈風、彗星、流星が編隊を組んで上空へと舞い上がっていった。

 

 「上空直掩機も発艦させておかないとね。」

 

 瑞鳳が瑞鶴に言う。

 

 「そうね。分かったわ。」

 

 瑞鶴たちはまた弓を引き、烈風を発艦させる。烈風が力強く大空へと舞った。

 

 「今のところ敵機は見えないわね…」

 

 「まあ、そうなるな。まだこちらとも距離があるし、攻撃隊の到着には時間がかかるはずだ。」

 

 伊勢の言葉に日向は冷静に分析して返す。伊勢と日向は航空戦艦ではなるが、瑞雲は第三部隊の最上に渡していたため積んでいない。

 

 「航空戦力が乏しいが、なんとかするしないな…」

 

 日向は飛んでいく攻撃隊の編隊を見上げながら、そうつぶやいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンガノ岬沖 南部

 

 大量の駆逐艦が航行し、空母艦隊が北へ向かって北上している。影の艦隊の大規模機動部隊、第一航空打撃艦隊だ。この艦隊には影姫はいないものの、Elite、後期型が集中的に配備されており強力な航空戦力を持っていた。

 

 「報告します。索敵機が敵機動部隊を発見しました。」

 

 戦艦七十型後期型が旗艦である、空母十一型後期型へ報告する。

 

 「そうか。分かった。…これより攻撃隊発艦を開始する。」

 

 空母十一型後期型が叫ぶと、他の空母や潜母700型たちが攻撃隊の発艦を開始した。影の烈風、影の彗星艦爆、影の流星、さらには戦艦七十型後期型から発艦した影の橘花も飛び立っていった。

 

 「まもなくこちらに攻撃隊が来るだろう。全艦隊、対空戦闘準備!!」

 

 空母十一型後期型の命令により、防空軽巡洋艦である軽巡二十型後期型が対空砲を構える。

 

 「このまま海の藻屑となるがいい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「索敵機より緊急電!!『敵艦隊ヨリ発艦シウル航空機確認。対空警戒厳トセヨ。』」

 

 索敵機が影の艦隊の攻撃隊発進を確認し、旗艦の瑞鶴へと緊急電を送っていたのだ。

 

 「これは早いうちにやってくるわね…」

 

 クールな表情を保ったまま大永は口を開く。

 

 「追加で直掩機を発艦させます!!」

 

 蒼永は再び小銃を放ち、烈風を発艦させる。蒼永型航空母艦は90機もの艦載機が収容可能なため、予備機が多いのだ。

 

 「全艦隊、対空見張りへ厳とする!」

 

 瑞鶴は艦隊に指示を出している。蒼永たちは瑞鶴の指示通り、対空砲、対空機銃の準備を行う。

 

 「そろそろ攻撃隊が接敵する頃ね…。」

 

 「なんとか攻撃できればいいけど…。」

 

 千歳と千代田は心配そうに空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第四部隊の攻撃隊は、すでに影の艦隊迎撃隊と交戦状態になっていた。影の力を受けて攻撃力が増した影の烈風後期型は攻撃隊の流星艦攻、彗星艦爆を次々と撃ち落としていく。

 攻撃隊の直掩の烈風も、襲いかかる影の烈風後期型に果敢に向かっていく。数の上では相手が上だが、練度ではこちらが上回っている。序盤は劣勢を強いられていた攻撃隊だったが、烈風制空隊の必死の攻撃によりほとんどの攻撃機が敵大規模機動部隊上空へと到達できた。

 

 

 

 流星艦攻は雷撃のため高度を下げていく。影の艦隊の前哨を行っていた駆逐十六型後期型が対空射撃を開始する。さらに軽巡二十型後期型も対空射撃を開始する。

 恐ろしい対空砲火が攻撃隊を襲う。対空砲火に被弾し、流星艦攻は一機ずつ墜ちていく。それでも果敢な流星艦攻隊は敵艦隊に接近、遂に空母を射程圏内に捉えた。

 

 「バカな!?あの弾幕をくぐり抜けただと!?」

 

 空母十一型後期型は驚愕する。その時、流星艦攻隊は一斉に魚雷を投下した。投下された航空魚雷はまっすぐと空母に向けて直進する。

 

 「クソっ…!!」

 

 空母十一型後期型は高速航行を行い、魚雷を回避する。

 

 しかし、上空からも脅威は迫っていた。彗星艦爆だ。高高度を飛行していた彗星艦爆隊は迎撃機の攻撃を受けなかったため、ほとんど損害を受けていなかった。

 彗星艦爆も一斉に急降下を開始する。空母十一型後期型は降下音に気が付き、上空を見上げる。しかしもう手遅れだった。

 

 彗星艦爆隊は一斉に爆弾を投下した。投下された爆弾は影の艦隊へと降り注いでいく。まずは駆逐十六型後期型に命令、そのまま爆発を起こし轟沈した。続いて重巡二十一型後期型、軽巡二十型後期型数隻に爆弾が命中し軽巡二十型後期型は轟沈。重巡二十一型後期型も大破へと追い込まれた。

 

 「くっ、ふざけた真似をっ!!」

 

 空母十一型後期型たちも回避をしているが、数隻が攻撃隊の猛攻を前に被弾、大破していく。そこへ旗艦の空母十一型後期型は雨のように降り注ぐ爆弾を、合間を縫って回避していく。

 

 

 「だが攻撃できるのも今のうちだ。まもなく我々の攻撃隊が到着するだろう。これで奴らは終わりだ…」

 

 

 空母十一型後期型は邪悪な笑みを浮かべていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 空母十一型後期型の言う通り、影の艦隊の攻撃隊が第四部隊の上空へと現れていた。

 

 「敵機確認!!主砲、三式弾装填!」

 

 伊勢と日向が主砲に三式弾を装填する。影の艦隊攻撃隊は大編隊を組みながら少しずつ近づいてくる。

 

 「主砲、砲撃始めっ!!」

 

 伊勢と日向が主砲を砲撃する。周囲に爆音が響渡り、三式弾が発射される。発射された三式弾は影の艦隊攻撃隊の中心部で炸裂した。

 次々と散弾が飛び、攻撃隊を撃ち落としていく。しかし高速を誇る影の烈風、影の彗星艦爆、影の橘花は三式弾をくぐり抜け、艦隊に接近してくる。

 

 「全艦、対空戦闘始めっ!!」

 

 瑞鶴の号令により、全艦が対空射撃を開始する。烈風も攻撃隊の迎撃を開始する。その迎撃を防ごうと影の烈風も交戦を開始する。

 影の艦隊攻撃隊は、物量に物言わせて烈風制空隊の包囲網を強行突破する。影の流星艦攻は雷撃進路をとり、影の彗星艦爆は急降下のため高度をとる。

 

 「伊勢、そっちに行ったぞ。」

 

 「分かってるわよ!」

 

 伊勢と日向は接近してくる影の流星艦攻に対して、噴進砲を発射する。

 

 噴進砲は対空用に開発されたロケット弾であり、時限信管を備え、爆発による破片で敵機を攻撃するため、高い防空能力を有していた。

 

 発射されたロケット弾は影の流星艦攻に進んでいき、前方で炸裂した。炸裂したロケット弾は影の流星艦攻に次々とめり込んでいき、影の流星艦攻は次々に撃墜されていった。

 

 「やった!!雷撃機は撃墜したわ!」

 

 「まあ、そうなるな。」

 

 伊勢たちは雷撃機の撃墜に成功したが、物量で上回る影の艦隊の攻撃隊さらには向かってくる。

 特に瑞鶴たち空母への攻撃はとてつもなく激しい。影の彗星艦爆は集中的に瑞鶴を狙っている。瑞鶴は投下された爆弾を全力航行で回避していた。

 

 「っ!!しつこいわね!」

 

 あまりのしつこさに瑞鶴は思わず悪態をつく。影の艦隊は瑞鶴が旗艦であることは暗号解読により分かっている。旗艦を沈めれば艦隊の指揮は乱れる。それを狙って影の艦隊攻撃隊は瑞鶴に攻撃をしているのだ。

 

 影の彗星艦爆が一斉に爆弾を投下する。投下された爆弾は瑞鶴に向かって降り注いでいく。瑞鶴は必死に回避していくが、遂に一発の爆弾を無線機に受けてしまった。

 

 「くっ…!!」

 

 瑞鶴が痛みに声をあげる。しかし、さらに攻撃隊は襲いかかってくる。何が何でも瑞鶴を撃沈したいようだ。

 

 「まだ、まだ戦えるわ…。」

 

 瑞鶴は弓を構える。まだ艦載機は残っている。無線機を破壊された程度なら、まだ発着艦は可能だ。

 

 「これが私の、決戦だから!」

 

 瑞鶴は矢を空へ解き放つ。解き放たれた矢は烈風へと姿を変える。烈風は空を埋め尽くすほどの影の艦隊攻撃隊へと突っ込んでいく。

 

 「瑞鶴には幸運の女神がついていてくれるんだから!」

 

 おろした髪を振り乱しながら、若鶴は襲い来る攻撃隊を撃ち落とし続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後。

 

 いつまでたっても沈む気配がない瑞鶴を見て攻撃隊は諦めたのか、編隊を組み直しながら機動部隊へと帰還していった。

 

 

 「や、やっと…、終わった…」

 

 ボロボロになった瑞鶴はようやく安堵する。そしたら全身から力が抜けたのだろう。フラッと倒れかける。

 

 「危ない。」

 

 倒れかけた瑞鶴を蒼永が抱きとめる。蒼永も大永も傷だらけだが、瑞鶴より元気そうだ。

 

 「大丈夫、瑞鶴?」

 

 「た、大永さん…。はい、なんとか…」

 

 「あんまり無理しないほうがいいわね。このまま当初の作戦通りリンガ泊地に帰還しましょう。」

 

 「は、はい…」

 

 瑞鶴は蒼永に抱かれたまま返事をした。なにせあれほどの数の艦載機を相手に戦ったのだ。瑞鶴でなくても疲労が溜まる。

 

 「急ぎましょ。また攻撃隊がくるかもしれないので。」

 

 「そうだな。伊勢の言う通りだ。対空警戒は任せてくれ。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 そのまま役目を終えた第四部隊はリンガ泊地へ帰還していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンガノ岬沖

 

 影の艦隊大規模機動部隊は瑞鶴たち第四部隊の必死の猛攻撃により、多数の駆逐艦、巡洋艦を損失。空母も多くが修理に長期間を有するほどの損傷を受けていた。

 

 「派手にやられたな…。これは立て直しに時間がかかる。それより影浦提督になんて報告すれば…」

 

 

 

 

 

 

 第四部隊の活躍により、第一部隊への空襲はなくなり、帰投時にも空襲を受けることはなかった。 

 その後、空襲を受けなくなった第一部隊はレイテ湾に集合していた影の艦隊の大規模輸送船団を攻撃。大打撃を与え、影の艦隊のフィリピン駐在を困難にさせることに成功した。これにより、捷二号作戦は戦略的勝利をおさめたのであった。

 

 

 

 

次回   帰投




影浦提督…本名は影浦流星。影の艦隊を指揮する謎の人物。生命反応が無いため、故人であると推測されている。普段は南西諸島のとある島を本拠地とし、日本に対して攻撃を行っている。
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