海軍省…東京都千代田区、霞が関にある旧海軍省跡に20XX年、日本国防軍が設立された時に全く同じ構造で建設された。以後、日本国海軍の海軍省となった。提督たちや省職員たちからは”赤レンガ”の愛称で呼ばれている。
成田空港 日本国防軍専用滑走路
数多くの旅客機が離着陸するなか、今まさに、滑走路へと着陸しようとしている航空機がある。
日本国海軍の連山だ。護衛の零戦もついている。海軍丙事件からの反省なのだろうか。日本国内なのに関わらず、零戦が12機もついている。
連山が空港の日本国防軍専用滑走路へと着陸する。扉が開き、栗林が降りてくる。
下士官 「栗林大佐。まもなくお迎えが来ますのでもう少々お待ち下さい。」
栗林 「わかりました。海軍省には予定通り到着すると伝えてください。」
下士官 「了解しました!」
そして栗林は、迎えにきた車に乗り込んでいった。
二時間ほど走り、霞が関に到着した。栗林は車から降り、海軍省の正面玄関に立った。
栗林 「海軍省にくるのは随分久しぶりですね。」
弥生 「弥生は初めて来ました…。」
どうやら弥生も栗林と一緒についてきたようだ。
栗林 「上官には敬礼ですよ。」
弥生 「わかりました…」
栗林と弥生は、そのまま正面玄関から海軍省内へと入っていった。
海軍省 中央広間←(あるか知らんけど勝手につくった)
栗林たちは中央広間で時間まで待つことにした。
中央広間には、歴代の海軍大臣や軍令部総長の写真が飾られている。さらに、連合艦隊の歴代長官や連合艦隊の歴代旗艦の写真も飾られている。
職員1 「いつ見てもここはすごいよなぁ。」
職員2 「ああ、写真に飾られている軍艦が俺たちの今暮らしている国を守ってくれたと思うと感謝に尽きないな。」
基本的に海軍省の職員たちは、午前中は仕事で省職員室にいることが多いが、今の時間はお昼どきに近いため少なからず職員がいる。
この中央広間は、職員たちの憩いの場としても機能しているのだ。
栗林 「そろそろ時間なので大会議に向かいましょう。」
弥生 「はい…」
海軍省 大会議室
海軍国防会議…。それは一年に二度海軍省で開催される各鎮守府の提督、補佐官、上級将校が参加する会議である。深海棲艦の出現による、海軍設立から10年ほど経っているため、今年で二十一回目の開催だ。
議長としては、海軍大臣が務め、副議長は軍令部総長、三大鎮守府の提督が代表議員を務める。
決まりとしては、原則各鎮守府からは提督自らが出席することや、秘書艦を連れてくることなどがある。(呉鎮守府は提督が行方不明のため、代役として栗林が来た)
議案については、防衛予算や海上自衛隊との連携、脅威を増す深海棲艦や影の艦隊への対応などが決められる。
時刻はヒトサンマルマル。
海軍大臣 「これより、第二十一次海軍国防会議を開始する。」
総勢200名を超える会議出席者が頭を下げる。そして、椅子に着席する。
軍令部総長 「じゃあまずは、今年度の予算について…」
栗林と弥生は、代表議員席に着席して会議の成り行きを見守っていた。
会議開始から2時間ほど。
軍令部総長 「じゃあ次に、影の艦隊の対策についてなにか意見がある者は挙手!」
すると、舞鶴鎮守府提督の加藤隼が手を上げた。
加藤 「最近は影の艦隊も我々の無線傍受を行い、海軍丙事件のような事件を起こすと考えられます。これ以上犠牲を出さないためにも新暗号の使用を行ってはいかがでしょう?」
栗林 「(なるほど。海軍丙事件のときは無線傍受を受け、暗号が解読されたために襲撃を受けました。確かに新暗号を利用すれば影の艦隊も暗号解読には多少なりとも苦労するはずですね…。)」
栗林が脳内で伊藤の意思を分析する。
栗林 「(さすが蒼海提督と長年友人の友人である伊藤少将ですね。)」
審議の結果、伊藤の案は採用されることになり、来月から新暗号は導入されるようだ。
さらに1時間。
海軍大臣 「最後に私から重大な報告がある。しっかり聞いてもらいたい。」
海軍大臣の言葉に、全員が顔を向ける。
海軍大臣 「一昨日の国会で、フィリピンからの輸送が途絶え途絶えになっていることが問題視された。おそらく影の艦隊の襲撃によるものだろう。このままでは我々のみならず、国民の生活さえも脅かすことになる。よって、我ら日本国海軍の戦力をもってフィリピンを蹂躙する影の艦隊の完全殲滅作戦を計画する!」
大会議室にざわめきが広がる。元帥がざわめきが広がる会議室内を鎮める。
海軍大臣 「作戦名は、”捷二号作戦”だ!参加兵力は三大鎮守府はもちろん、横須賀鎮守府、下関鎮守府からも出撃してもらいたい。皆の活躍を期待する。」
海軍大臣のあとに、元帥が付け加えた。
元帥 「日本国の興亡はこの一戦にある!各員、一層奮励努力せよ!!」
提督たち 「「「はいっ!!」」」
提督たちが力強く返事を返した。捷二号作戦は三週間後に発令される予定である。それまでに参加する鎮守府は準備を万全にしておくように指示が出された。
これにて、第二十一次海軍国防会議は終了した。
海軍省 大食堂
フタヒトマルマル
栗林たちは海軍省の食堂で少し遅めの夕食をとっていた。
西沢 「捷二号作戦、ねぇ…。うちの戦力で大丈夫かなぁ…」
伊藤 「おいっ、仮にも三大鎮守府の提督だろ!提督が弱気じゃ、艦娘たちが満足に戦えないだろ?」
西沢 「まあ、言ってることはごもっともだけどさぁ…」
伊藤 「庄内さんもそう思いますよね?」
伊藤が西沢の秘書艦である、庄内に声をかけた。
庄内 「へっ?あ、まあ、そうですね…。」
突然話をふられた庄内は、曖昧な返事を返す。
中村 「そうですよ。三大鎮守府の提督は常に慎重で強くあるべきです。時には決断力も必要なのでしっかりしてください。」
伊藤の補佐官である、”中村軍一”が西沢に言う。
中村は伊藤の補佐官になる前は、横須賀鎮守府で憲兵隊の隊長をしていたため、常に厳格で真面目なため冗談が通じない。また、曲がったことが大嫌いであるため、海軍の法を犯すものに対しては容赦しない。(事実、何人かが彼の手により殺害された模様)
西沢 「はい…。わかりました。」
佐世保鎮守府の提督である西沢も、中村には頭が上がらないようだ。
栗林 「とにかく、三大鎮守府である我々がおそらく艦隊の主力になるでしょう。軽く調べたところ、フィリピンのルソン島、レイテ島近海に機動部隊を伴う影の艦隊が制海権を強奪しているようです。スリガオ海峡も閉鎖されているようですし、物資の輸送は容易ではないでしょう。」
庄内 「よ、よくそこまで調べましたね…。あの短時間で…」
弥生 「…大丈夫。学さんはすごく頭がいいからこれくらいすぐに計算できる…」
庄内 「そ、そうなんですか…」
栗林が話を続ける。
栗林 「作戦のなかでもっとも困難になるのはスリガオ海峡の突破でしょう。スリガオ海峡にはかなりの数の影の艦隊が海峡を蹂躙しているとのことです。さらにレイテ湾には、影の艦隊の大規模機動部隊が確認されています。」
伊藤 「大規模機動部隊…!?」
庄内 「正規空母はどれくらいの数だと思いますか?」
栗林 「軽く考えて12隻はいるでしょうね。」
西沢 「じゅ、12隻!!?」
栗林 「夜なので声抑えてください。」
西沢 「あっ、うん…。でも、12隻って一艦隊でだよね。それってヤバくない?」
弥生 「……」コクコク
栗林 「どうやら何が何でも影の艦隊は、本気で日本をつぶしたいみたいですね。恨みがあるのはわかりますが、これはどう考えてもやりすぎです。」
中村 「栗林君の言う通りです。確実に物資を止めて、じわじわ弱らしてくるつもりのようです。」
栗林 「そんなことはさせません。なんとしてでも、この国…日本を守って、平和な海を取り戻しましょう!」
栗林の言葉に全員が強くうなずいた。
海軍省 軍令部総長室
元帥 「捷二号作戦の詳細は各鎮守府に伝えました。」
軍令部総長 「そう、ありがと。…父さんもすごい作戦を思いついたものだなぁ。フィリピンを防衛しないと、この国の未来はない、か…」
そう言い、軍令部総長は机に飾ってある写真を眺める。それは三大鎮守府の提督と自身が写っているものだ。
軍令部総長 「蒼海君が戻ってくるまでに、立派な人間になってないとね…」
捷二号作戦まで、残り三週間
次回 深海からの訪問者
深海棲艦…突如として世界中に現れた、正体不明の大艦隊。幅広い艦級が存在し、その圧倒的な戦闘力で人類から制海権を奪い取った。その頃から、艦娘たちと戦闘を始めていた。
しかし、影の艦隊の出現後は影の艦隊に蹂躙され、絶滅戦へと突入。戦艦級や空母級などが容易く撃沈されていき、20XX年現在はほとんど確認されなくなった。