艦これ2 〜影の反攻〜   作:蒼海 輪斗

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呉鎮守府…三大鎮守府の一つであり、海軍設立前から海自呉地方総督部が置かれていた。海軍設立後は、呉鎮守府として海軍に引き渡され以後歴戦の提督たちが着任している。他の鎮守府とは違い、陸軍の駐屯連隊や海軍の陸戦隊が駐屯しておりかなりの陸上戦闘力を持つ。また、対空砲陣地が形成されているため防空火力も高い。海上自衛隊と兼用している軍港もあるため、海上移動も容易に行うことが可能。


第五話 深海からの訪問者

呉鎮守府 陸軍駐屯兵 兵舎

 

長谷川     「はあ〜。一昨日はやばかったなぁ〜。」

 

連隊員1    「そうですね…。艦爆が近づいてきた時は焦りました…。」

 

連隊員2    「遂に沿岸砲の出番が来たかと思いましたよ…」

 

 連隊員のみならず、連隊長の長谷川も脱力している。一昨日の影の艦隊の襲撃により、長谷川たち陸軍駐屯兵たちも機銃や対空砲を利用して対空戦闘を行ったのだ。

 一時は沿岸砲の射程圏内に入ったことにより、砲撃命令が出されたほどだ。(実際は砲撃していない)

 

連隊員1    「まあ、鎮守府が無事でよかったです。」

 

長谷川     「ああ、そうだな。」

 

連隊員2    「そういえばまた新しい作戦が海軍省のほうから出されたらしいですよ。」

 

長谷川     「そうなのか?海軍は忙しいなぁ。陸軍(俺たち)は何も来てないからなぁ…。」

 

 確かに長谷川たち陸軍は本土の防衛が主任務であるため、海軍ほど忙しくはない。それに比べて海軍は忙しい。

 

連隊員1    「でも、あれほど打撃を与えれば敵もそうそう攻めては来ないでしょう。」

 

連隊員2    「そうですよ。こちらの被害もそれなりですが、相手は深刻ですし。」

 

長谷川     「ああ、確かにそうだな。だが、油断してはいけないぞ。もしかしたら敵が体制を整えてる準備期間かもしれないぞ。」

 

連隊員1    「ちょっと、連隊長。怖いこと言わないでくださいよ〜。」

 

長谷川     「いや、可能性は十二分にある。気を引き締めていかないとな。」

 

 そして長谷川はいつもどおり、仕事へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本庁舎 執務室

 

十六夜     「新しい作戦、ですか?」

 

栗林      「はい。フィリピンの救援らしいです。」

 

長門      「フィリピンの救援ですか…。物資の問題ですか?」

 

栗林      「それもありますけどフィリピン共和国から救援の要請もきていたので本来の目的は救援です。レイテ湾には影の艦隊の大規模機動部隊、戦艦部隊、水雷戦隊、魚雷艇郡が確認されています。現在の日本国海軍の全勢力を用いてフィリピンの制海権を奪還するのが本作戦の内容です。」

 

金剛      「レイテですカ…」

 

 金剛が暗い表情でつぶやく。史実では金剛はレイテ沖海戦後、日本に帰投中に米潜水艦の雷撃を受けた沈没している。レイテでは嫌な思いがあるのだろう。

 

十六夜     「今回は他の鎮守府からも応援がくるんですよね〜?」

 

栗林      「そうですね。いくら三大鎮守府の呉鎮でも単体で突撃は完全に自殺行為ですからね。」

 

 栗林がそう言うと、今まで口を閉じていた弥生が口を開く。

 

弥生      「…確か佐世保鎮守府、舞鶴鎮守府、横須賀鎮守府からも艦隊が出撃するそうです。」

 

長門      「それで、どのような編成で…」

 

栗林      「影の艦隊に大規模空母機動部隊がいることを考えると、やはり防空能力が高く高速性に優れている艦むs」

 

 その時、栗林の声を遮って執務室のドアが開け放たれた。そこには息を切らした憲兵が立っていた。

 

憲兵      「栗林大佐!!大変です!!」

 

栗林      「どうしたんですか?」

 

憲兵      「今埠頭で深海棲艦が確認されました!!」

 

全員      「!!?」

 

 全員が驚愕の表情を浮かべる。それはそうだろう。深海棲艦などここ2年の間見ていないのだ。それに呉鎮守府に侵入してきたということは、鬼級や姫級の可能性が高い。

 

栗林      「武装はどうなっていますか?」

 

長門      「そうだ。攻撃してくるようでは私が相手になる。」

 

 栗林と長門が憲兵にそう問う。すると憲兵は

 

憲兵      「それが、武装は一切確認されません…」

 

栗・長     「え?」

 

憲兵      「それにかなり損傷しており戦闘能力はほとんどないと思われます。」

 

十六夜     「とりあえず会えばわかると思うからいきましょうよ〜!」

 

栗林      「は、はい。そうですね…。」

 

 そうして栗林たちは埠頭へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

埠頭

 

陸軍駐屯兵1  「名前は?」

 

???     「湾岸棲姫。コッチハホッポコト北方棲姫ダ。」

 

北方棲姫    「ポッ。」

 

陸軍駐屯兵2  「そこの魚みたいなのは?」

 

湾岸棲姫    「駆逐イ級ダ。」

 

イ級      「イ〜。」

 

陸軍駐屯兵3  「どこから来ましたか?」

 

北方棲姫    「深海カラ来タ!」

 

 埠頭では陸軍駐屯兵による、事情聴取的なことが行われていた。そこへ栗林たちが到着する。

 

栗林      「どういう状況ですか?」

 

陸軍駐屯兵1  「あっ、栗林大佐!はい。先程憲兵が発見し、我々に報告しました。」

 

十六夜     「これがイ級か〜。」

 

イ級      「イ〜!」

 

 十六夜が駆逐イ級をまじまじと見る。十六夜は建造されてからほとんど深海棲艦を見ていなかったため、とても興味をしめしている。

 

栗林      「どういう経緯でここに来たんですか?」

 

北方棲姫    「逃ゲテキタ。」

 

栗林      「はい?」

 

湾岸棲姫    「悪イ。言イ方ガ悪カッタナ。影ノ艦隊ト言エバワカルカ?」

 

栗林      「はい。もしかして…」

 

湾岸棲姫    「ソウダ。ヤツラカラ逃ゲテキタ。我々ノ同法ハモウホトンド全滅シタ。生キ残ッタノハ知ッテイル中デハ我々ダケダ。」

 

北方棲姫    「逃ゲテタラ、ココ着イタ。」

 

陸軍駐屯兵2  「…みたいな感じです。」

 

イ級      「イ〜!!」

 

 軽く説明が終わると栗林が口を開いた。

 

栗林      「なるほど。そういうことですか。」

 

湾岸棲姫    「ソウイウコトダ。ヨッテ我々ハアナタ方ニ危害ヲ加エルツモリハナイ。ソコデ頼ミガアルノダガ…」

 

栗林      「なんですか?」

 

湾岸棲姫    「シバラク匿ッテクレナイカ?」

 

北方棲姫    「頼ム。」

 

栗林      「…。少し時間をください。元帥に確認をとってきます。」

 

 そう言い栗林は庁舎へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉鎮守府 本庁舎

 

 栗林が提督室で元帥に電話をかけている。元帥が電話にでたあとは、これまでの一部始終を話した。

 

栗林      「そういうことなんです。」

 

元帥      『いや〜〜〜〜。それは驚いたな…』

 

栗林      「見たところ艤装もなく敵意は確認されません。一応許可をもらいたいんですが…」

 

元帥      『彼女たちも影の艦隊から命からがら逃げてきたのだろう。追い返すのは可愛そうだしな。…分かった。許可しよう。もしものことがあったらすぐに連絡するように。』

 

栗林      「了解しました。では失礼します。」

 

 そう言って栗林は電話を切った。

 

栗林      「さて、これから忙しくなりますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

海軍省 元帥室

 

 栗林が電話を切ると元帥は受話器を置き、再び書類仕事を始めた。

 

元帥      「(まさか深海棲艦が呉鎮守府にたどり着くとはな…。驚いた。蒼海君がいたら本当に驚いていただろう…)」

 

 元帥はそう思いながら書類にサインを書いていく。

 

 

 すると外がだんだんと慌ただしくなっていった。

 

元帥      「?何事だ。」

 

 元帥が気になり部屋の外へ出る。すると、省職員たちが第二資料室と職員室を行ったり来たりしている。

 第二資料室は提督の履歴や戦果についての書類等を保管している資料室だ。ここを行ったり来たりしていることはどこかの提督に関することが新たに加えられたのだろう。そこで元帥は一人の省職員に声をかける。

 

元帥      「どうしたんだ?」

 

 元帥が声をかけたのは、省職員であり自らの部下である”田中 正福”だ。

 

田中      「元帥、大変です。」

 

元帥      「なにがか?まさか空襲か!?それともまた貿易船が撃沈されたか!?」

 

田中      「大丈夫です。安心してください。実は…」

 

 そう言い田中は元帥に耳打ちした。元帥の目が大きく開かれる。

 

元帥      「それは本当か!?」

 

田中      「間違いはありません。軍令部総長にも連絡をお願いします。」

 

 田中はそう言うと、敬礼をして自分の仕事へと戻っていった。

 

元帥      「これは深海棲艦以上に大変だ…!」

 

 元帥はそのまま階段を駆け上がっていく。軍令部総長の部屋は4階であり、ここは2階である。しばらく立つと、息を切らして元帥が軍令部総長の部屋の前に立った。

 そしてドアを勢いよく開く。

 

バァン!!

 

軍令部総長   「ちょっ、ドア〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

元帥      「総長、大変です!!」

 

軍令部総長   「なっ、何!?急にどうしたの?」

 

 そして元帥が声を放った。

 

元帥      「蒼海提督が、生きています!!」

 

軍令部総長   「えっ?」

 

 

 

 

次回   ただいま




海軍丙事件…蒼海輪斗提督がブーゲンビル島にて、影の艦隊の戦闘機”菊花”によって乗機である連山が撃墜された事件。輸送機の護衛を見直す問題となった事件でもあり、今だに蒼海提督は行方不明であり海軍では戦死扱いとなっている。
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