「貴様が我が同胞を殺し回った奴か」
「みなごろし、こどく」
「ぐ、こんなもの」
敵を殺していたら、細身の新しい敵が登場してきた。もしかして最初の敵は囮だったのかもしれない。
だがそんなことは問題ではない。だって本命だろうが、なんだろうが生物ならすぐに殺せるから。今も彼は幾多もの触手が迫っている。
彼も頑張って触手へと対処しようとしているみたいだが、無駄だ。一応触手も潰すか粘液をどかして内部を燃やすかすれば壊せる。
「みなごろし」
でも追加の触手があればそれも困難になる。質量の攻撃は質量でしか対処できない。細身の彼にはそれができるようには見えない。
――数分後
「こどく」
そう呟くと目の前には小さな立方体が残されるだけとなった。
「終わったか」
そう呟いて、ふと思った。今日は他の魔法少女が来てないな、と。最初にあった魔法少女には何故か粘着されているし他の魔法少女からも何故か追われている。そもそも敵がいたら遅くても現場には来るはずだ。少なくともいつもはそうだった。
……何かあったのか?
うわあ、まじか。敵もやるなあ。
「まさか、魔法少女たちを自分たちのホームである異次元に誘い込んで最終決戦に持ち込むとはね」
流石に最近狩りすぎていたのが不味かったかな。こんな大胆な手を使ってくるとは。一ヶ所に大量の戦力を結集させ魔法少女を誘き寄せ、敵と味方が入り交じった場所ごと魔法で転移させる。単純だけど有利になっていたら誘い込まれてしまう子はいる。
「ちょっと追い込み過ぎたかな」
確かにそれは問題ではあったかもしれない。ギリギリまで追い込むのは相手に大胆な手を使わせてしまうという点で悪手だったのかもとは思う。いやでも、まさかさあ本拠地に誘い込むとは思わないじゃん?
いや敵さん、いくらなんでも背水の陣過ぎない?
いや、分かるよ。対魔法少女用の主戦力を私がチマチマ潰していたから、もういっそのことこれ以上戦力を減らす前に全面戦争で私に集中させるためにしたんだろう。
でもさ、もうちょっと魔法少女を呼ぶ数を加減しようよ。戦力を分散させるとかいう考えはなかったのだろうか。
「ぎゎー!!?」
「く、くそ、強すぎる!?」
「……なんか楽勝すぎない?」
……ほら、戦力減っているのに、魔法少女を大量に呼ぶからこんなことになってるじゃん?敵さんがフルボッコされているの、流石に同情するよ?敵のボスは何をしているのだろうか。
「ミツケタ」
「え? っ! しまっ……」
そんなことを考えていたからだろうか。私は足下から忍び寄っていた存在に気づかなかった。その存在は私を黒い布のようなもので覆った。
「コッチニコイ」
謎の存在が言葉を発すると、私の前の空間がグニャリと歪んだ。
「ワガナはクロムデア」
「まさかの敵のボスが私にですか」
私は黒い煙を纏った三メートル以上はあるボスの前で呟いた。
「キサマノセイデワタシノメボシイユウシュウナブカガゲキゲンシタ、セメテオマエダケデモホロボシテクレル」
「……みなごろし」
まさかこんなことになるとはね。死んだかもしれない。