魔法祖父ソルグランド ~TS転生した祖父は魔法少女の孫娘を見守る~ 作:永島ひろあき
ソルグランドの出現は永遠の闇に閉ざされた世界に、なんの前触れもなく太陽が再び姿を見せて、その光で果てしない闇を追い払い、その熱で冷たく凍えていた世界にぬくもりをも与えたようなものだった。
この瞬間、人類と妖精ばかりでなくエゼキド側までもが、不測の事態に戦闘中にもかかわらず思考を止めてしまったことからも、ソルグランドという魔法少女の影響力がいかに凄まじいかが分かる。
当のソルグランドはヒノカミヒメが使った天交抜矛を目印にして、神隠しの応用で空間跳躍する前に状況を把握していたから、数多の神々の手から成る美貌に戸惑いの色はない。
隣に羽ばたく夜羽音もラグナラクの投入による戦線の押し込みには、思うところのある表情だが、焦りなどとは縁遠い佇まいである。
「マルザーダ司令、遅参をお詫び申し上げます」
ラグナラクを邪魔汰退悪呂土が締め上げている光景を目の前に、夜羽音は例によってカラスの妖精の振りをしながら、ザンエイのブリッジに魔法通信を繋げた。
軍服、軍帽の妙齢のマジカルドールに入っているマルザーダは、わずかな間も置かず通信に応じた。実のところ、ブリッジでは常の冷静沈着さを忘れた度肝を抜かれた表情を浮かべていたのだが、夜羽音からの通信ですぐさま思考を切り替えたのは、流石と言えた。
『いや、遅参の理由が彼女であるのならば、問題にはなるまい。ヒノカミヒメ君がもう二度と会えないと明言していたソルグランド君が、どうして復活しているのか、問いただしくはあるが、残念ながらそれが許される状況ではない。戦況の把握は?』
「問題なく。ヒノカミヒメを筆頭とする突入部隊がツイノエ中枢に向かい、待ち構えていたボイドリアと交戦中。相違はございませんか?」
『その通りだ。付け加えるなら帰還ポイントであるザンエイ破壊の為に、ラグナラクが出現したが、君達には可能な限りの速度でヒノカミヒメ君と合流し、敵首魁アンテンラの撃破を委ねたい』
果たして復活したソルグランドが以前の通りの強さなのか、同一人物であるのか、復活した方法は?
尋ねたいことはマルザーダばかりでなく、この場に居る誰もが、それこそアンテンラすら知りたい情報だったが、マルザーダは口にした通り、それを後回しにした。人類にとってもっとも求められているのは、ソレではないのだから。
「承知いたしました。ソルグランドさん、聞こえていらしたでしょう? 可能な限り、速く、とのことです」
ソルグランドはにっと快活に笑った。姿を見せてから戦場に居る魔法少女やマジカルドール、妖精達から寄せられる安堵と信頼の情が奔流のように流れ込んでいて、毎秒ごとにプラーナが増えている。
かつては多大な消耗と引き換えに苦殺那祇剣を放ち、倒したラグナラクを相手に真上大我専用に生み出された再生、あるいは新生したソルグランドの力がどこまで通用するのか。
この決戦の舞台で口にするのは憚られるが、力試しにはちょうどいい相手であった。
「全部、この耳に聞こえていましたとも。全部、このソルグランドにお任せあれ。誤解を与えてしまったお詫びも兼ねて、まずは目の前のデカブツから片づけて見せましょうや。さあ、いくぞ、邪魔汰退悪呂土!!」
創造主の発破を受けて、邪魔汰退悪呂土の八つの頭がその巨体と元となった逸話に相応しい迫力で鳴いた。例え心強き者であろうとも、精神の奥底に深い衝撃を受ける鳴き声を受けても、ラグナラクに怯む様子はない。
元より心など無きもの。更には星を喰らう怪物である。いかに日本にその名も高き大怪異、天災の化身と同じ音の響きを持つとはいえ、どこまで通じ得るのか?
ラグナラクの蛇体の表面が風の吹いた水面のようにさざ波を起こす。
ある種の液体金属とプラーナの集合体としての特性を持つラグナラクは、微細なコアを除けば決まった形状はないに等しい。
時折、虹色に煌めく銀色の蛇体から無数の棘が生えた。先端が単分子ほどの厚みしか持たない、この世でもっとも鋭い棘と言えた。
しかし、それは虚しく邪魔汰退悪呂土の能力の鱗に阻まれて、かぁん、と金属を叩く音を連続して響かせるきり。
シンプルな強度ばかりでなく魔法、プラーナ、神通力、概念の絡む守りが、とある惑星の地表から地殻まで貫いたラグナラクの棘を跳ね除けたのだ。
だが通じない事もラグナラクにとっては想定の内。なにしろ地球で接敵した魔法少女達は、アンテンラの想定を超える現象を多々起こしてきたのだ。ましてやソルグランドならば。
直ちに新たな攻撃に映ろうとしたラグナラクだったが、邪魔汰退悪呂土の牙から体内へと、ごぷりと水音を立ててどす黒い液体が流し込まれていた。
それは不死たるケンタウロスの賢者が死を望んだ猛毒。紛れもなく人類史有数の大英雄にもまた死をもたらした蛇毒。ギリシャ神話に刻まれたる大怪物ヒュドラの毒に他ならない。
ラグナラクの蛇体に、機能にエラーが発生し始めていた。大神の子たるケンタウロスを、十二の試練を乗り越えた大英雄に死をもたらした猛毒。
それにソルグランドによるアレンジが加えられたことで、宇宙各地でいくつもの文明と戦ってきたラグナラクにとっても、未知の毒となり、呪いとなる。
身体を変化させた金属製の棘が先端からどす黒く変色して腐れ落ち、三百メートル超の巨体の一部が内側から泡のように膨れ上がり、罅も走り始める。
あるはずの無い苦痛に苛まれたかのように身悶えるラグナラクの巨体を、邪魔汰退悪呂土の首の中でもひときわ大きな首がぐるぐると絡みついて、一層強く締め上げる。
表皮も体内もヒュドラ毒に侵されたラグナラクの巨体は、加えられる圧力の凄まじさに耐えきれず、次々とひしゃげてゆく。それは地球の核の最深部で発生する圧力さえ超えている。
ソルグランドの新たな身体は日本神話群の叡智と趣味の結晶だが、オプションとして他神話から提供された武器や逸話、怪物達のエッセンスをベースにしたコピー品が存在する。
邪魔汰退悪呂土もオリジナルベースの首は一本のみで、他の七本は他神話群から提供された、竜・蛇に類する怪物や神のエッセンスをベースにしている。あるいは霊的な遺伝子をベースに、というべきだろうか。
一本はギリシャ神話のヒュドラ。そして今、ラグナラクを締め上げているのは北欧神話に於いてミドガルズを取り巻くほどの巨躯を誇る世界蛇ヨルムンガンド。
一つの世界を取り巻くほどの巨躯ゆえに、ヨルムンガンドの締め付けによって加えられる圧力は、一つの世界を破壊しかねないレベルとなっている。
万全な状態ならまだしも、ヒュドラ毒によって蝕まれているラグナラクにとって、これは耐えられるものではなかった。
更に今一つ、三本目の首が動く。
戦場にある者は誰もが目を疑った。結界の外に広がる戦場、その天地に千にも達する魔法陣が描かれて、そこからまさしく千種もの魔法が発動したではないか。
炎、雷、水、風、土、氷、毒、麻痺、錆び、混乱、眠り……基本的なものからなにから、おびただしい魔法攻撃によって、ラグナラクばかりでなく、無数の魔物と機械兵器が一斉に撃墜されて、ザンエイのレーダーから敵影が激減する。
この千の魔法を扱った首こそはゾロアスター神話に語られる、あらゆる悪の根源を成す有翼にして三つ首の龍蛇アジ・ダハーカ。その苦痛と苦悩と死を表すという三つの首を、一つにまとめたる首である。
曰くアジ・ダハーカは敵対する勢力との戦いで千の魔法を操り、大いに苦しめたという。
この千の魔法に神通力ばかりでなく、他神話群の魔法まで組み込まれて、その威力は星間戦争文明の兵器にも、即死級の威力は発揮していた。
そしてアジ・ダハーカの首は自らにも魔法を当てて、わざと傷を作るとそこから爬虫類を思わせる怪物達が次々と生み出されて、残る魔物と機械兵器達へと襲い掛かって行く。これもまたアジ・ダハーカの持つ異能の一つであった。
ただし善の側に立つソルグランドの手が加わり、ソルグランドが曲がりなりにも魔法少女を名乗っていることから、生み出された爬虫類は可愛げのある、デフォルメされた見た目であったが。
八岐大蛇、ヒュドラ、アジ・ダハーカに続く四本目は、インド神話に語られる干ばつを齎す災害蛇、ヴリトラである。
時に巨人とも伝わるヴリトラは大いなるヴィシュヌ神より、雷神インドラとの戦いを止める条件として、特権を獲得している。
木、岩、武器、乾いた物、湿った物、インドラ神の武器ヴァジュラなどによって傷つかず、敵対するインドラ神は昼も夜もヴリトラを殺すことは出来ない、という特定の条件に対して無敵の守りだ。
邪魔汰退悪呂土の首として落とし込むにあたり、対インドラ神に限定された条件を緩和し、あらゆる攻撃に対してこの条件を適合させ、その代わり無敵ではなくダメージの減衰へと効果を低下させることで成立させている。
それでもなお破格の防御性能には変わりなく、また邪魔汰退悪呂土の生来のタフネス、堅牢な鱗、尋常ならざる再生能力によって、ラグナラクやボイドリアであっても一筋縄では行かない極めて高い耐久力を持つ。
そしてこれほど強大な存在をいくら創造主とはいえ、ソルグランドとて簡単に運用できるはずもない。だが、それにもカラクリがあった。
五本目の首はラグナラクに攻撃を加える素振りもなく、首を捩じって尻尾の一つを自ら咥えていた。距離を置いてみれば、それは『∞』のごとく見えただろう。
蛇の脱皮を生命の再生、不老不死と連想し、永遠を象徴するウロボロスだ。エジプト、古代ギリシャ、アステカやネイティブ・アメリカンと永遠の循環を表す蛇のイメージは、世界各地に見られる。
このウロボロスをベースとする首が、八つの尻尾の内、自らの尻尾を咥えている限りにおいて、邪魔汰退悪呂土は常にプラーナの補給を得られる。
流石に常時、最大値を維持しているわけでもなく、また召喚に掛かるプラーナの消耗はソルグランドが負担しなければならない為、問題がないわけではないが、一度、ウロボロスの循環が始まってしまえば、敵対者にとっては目を背けたくなるようなエネルギー供給機関と化す。
六本目、エジプト神話において太陽神ラーと敵対する闇と混沌の象徴たる大蛇アペプ、あるいはアポピスをオリジナルとする首は、秩序を破壊せんとし、太陽の運行を妨げる者である。
往々にして邪悪なる蛇、竜とは秩序を破壊するものだが、太陽神と戦い、朝と夜を巡らせるアペプは特にその性質を強く持つ。
この首はただ存在するだけで敵対者の秩序、すなわち思考や精神の平静をかき乱し、指揮系統という戦場における秩序を著しく喪失させる。
アンテンラからの通信は滞りなく、指示も途切れることはなく、スタンドアローン時のプログラムも全てが正常でありながら、アペプが居るだけですべて目も当てられないほど劣化するのだ。
アジ・ダハーカの首によって、千単位で放たれ続ける魔法に晒される魔物と機械兵器達の動きはまるで熱病に浮かされるか、あるいはひどい酩酊状態にでも陥ったかのようだった。
こうなるとザンエイの各火器、マジカルドールや魔法少女達からすればろくに狙いをつけなくても当てられる絶好の鴨だ。魔物達の撃破相度は飛躍的に増加した。
毒を操るのはヒュドラばかりではなかった。七本目の首はインド神話における天地創造の逸話である乳海撹拌に助力した、ナーガ王ヴァースキのエッセンスを加えられている。
その長大な身体を綱代わりにマンダラ山に巻き付いて、乳海を撹拌する重要な役割を担ったヴァースキであるが、あまりの苦しみに耐えかねて、世界を破滅させかねない猛毒ハーラハラを吐き出してしまう。
幸いシヴァ神がこれを飲み干したことで世界の破滅は免れたが、七本目の首には毒液に触れた部分のみに害を加えるよう調整されたハーラハラ毒モドキが蓄えられていた。
神殺しにして英雄殺しのヒュドラ毒に加え、世界を破滅させるハーラハラ毒までもラグナラクに襲い掛かって、星を喰らう怪物は急速に破滅の坂を転がり落ちて行く。
そして八本目の首は古代中国神話と道教に語られる人類の創造神、女媧を由来とする。
子孫繁栄に繋がる婚姻の女神、楽器を作った音楽の神とも伝わる女神との縁を与えられた首は、ウロボロスと同じように味方を支援する力を発揮していた。
数ある人類の創造神の一柱としての性質から、その影響力の及ぶ限りにおいて『人類』の存在が保証され、生命力の増強、更に存在に補正が掛かる。分かりやすく言えば、運が良くなるのだ。
ウロボロスのエネルギー供給によって、女神女媧に由来する首の与える恩恵もまた半永久的に継続され、魔法少女とマジカルドールはビクトリーフラッグの支援と合わせて、更に戦力強化の恩恵を受けられる。
ソルグランドの復活と邪魔汰退悪呂土の出現、わずか二つの要素によってザンエイ周辺の戦闘は、一気に人類側優勢となった。
惑星ナザンでの戦闘は総がかりに近い戦力で撃退したラグナラクも、対ラグナラクを想定して鍛え直したソルグランドによって、完全に封じ込まれている。
対侵略的存在用決戦神罰存在『邪魔汰退悪呂土』。エゼキドに連なるものすべてに大いなる災害をもたらす八つ首の大蛇は、まさしくその存在意義を果たしていた。
そして見る間に追い込まれたラグナラクの頭上、四百メートルの位置にソルグランドの姿はあった。人生初の宇宙遊泳に中身である真上大我は少なからず感動していたが、なにしろ状況が状況だ。緩みは欠片もない。
その手には弓矢が握られ、周囲にはかつてラグナラクに放った数々の神話の弓矢が出現する。その種類と威光はナザンにおけるラグナラク戦よりも数を増し、ツイノエの一角を地球の神々の意思が覆うかの如く輝いている。
「魔よ、禍よ、虚無となれ。これは天意である! 天之魔禍虚弓、天覇破矢!!」
ヒュドラ毒とハーラハラ毒によって体内から蝕まれ、ヨルムンガンドに締め上げられ、アジ・ダハーカの千の魔法に撃たれ続けるラグナラクに向けて、邪魔汰退悪呂土の首に当たらないように矢は自ら動いて、確実にラグナラクにのみに突き刺さって行く。
第一波の矢がひび割れ、ぶくぶくと膨らみ、腐ったラグナラクの装甲各所に致命的な破滅をもたらし、装甲としての役割を失わせる。そうして露となった体内へと第二波、第三波が飛び込んでゆく。
創造主との意思疎通はバッチリの邪魔汰退悪呂土は即座にラグナラクの身体から離れて、ヴリトラの守りにプラーナと神通力を回しながら、結界内部へと素早く後退する。
そしてザンエイのブリッジでマルザーダやガルダマンらが、固唾を飲んで見守る中、ラグナラクの体内から極彩色の光が洪水のように溢れ出し、宇宙各地で無数の命を貪った怪物は跡形もなく消し飛んだ。
最大の脅威を最高の援軍が打ち払った光景に、人類側の士気は天井知らずに跳ね上がった。ツイノエ周辺の宇宙を振るわせるかのように、誰もが歓喜の声を上げて、それに呼応してプラーナも上昇する。
主人の攻撃の余波がまだ残っている中、邪魔汰退悪呂土は次の獲物を求めて結界内部から飛び出す。女媧の首による支援、アジ・ダハーカの首から生じるデフォルメ爬虫類の援軍と千の魔法も継続している。
ツイノエの内部からはまだまだ魔物と機械兵器が姿を見せ、直に別の星に派遣されている魔物達も姿を見せてくるだろう。それでもこの瞬間、紛れもなく人類は優勢に立っていた。
更に念の為、風土埜海食万と天交抜矛を更に追加で五振りずつ作り出し、自動迎撃機能を付加して、周囲に展開しておく。
そしてもう二つ、ソルグランドは新たな肉体の天賜と共に付与された権能を起動する。
「千引の岩の彼方より千殺の呪いを怨敵に振り撒かん 千引の岩の此方より千五百の生を賜らん
曰く伊邪那岐が黄泉の国に死した妻、伊邪那美を求めて向かい、対面した後、腐敗したその姿に恐れおののいて逃げ、地上へと達した時、千引の岩で黄泉の国への入り口を塞いで、二柱はかくの如く言葉を交わしたという。
伊邪那美は夫の不義理に怒り、日に千人を殺すと告げ、ならばと伊邪那岐は日に千五百人の子を産ませようと応じた。これは日本神話における人間の生死の起源と言える。
更に伊邪那岐が黄泉の国の穢れを祓う為に禊を行うと様々な神々が生まれ、左眼から天照大神、右目から月読、鼻から素戔嗚の三貴子が誕生したのだが、いかにソルグランドでもこの神話を完全再現する力は持たない。
その代わりにソルグランドの認識する敵に対し、最大千体同時に呪詛を付与し、味方に対しては最大千五百人まで、身代わりの命を一つ付与する。
落命した瞬間に身代わりが発動して、受けた傷や消耗したプラーナを最大値まで回復させるという、神の御業の模倣と称するに相応しい効果であった。
ビクトリーフラッグ、女媧の首、そして自身による三重の支援が行き届いたのを確認してから、ソルグランドはマルザーダに改めて通信を繋いだ。
「マルザーダ司令、俺はこれからコクウさんと共にヒノカミヒメを追います。この場は邪魔汰退悪呂土と皆さんに一任したく。よろしいでしょうか?」
『ああ、それが最適解だろう。ヒノカミヒメ君ならば待ち受けるボイドリアを倒せるだろうが、消耗は避けられまい。なにより君の復活はなによりの報せとなって、突入部隊の士気を上げてくれる。姿を見せればなおさらだ』
「ありがとうございます。では、大急ぎで向かわせていただきます」
『よろしく頼む。君のような若者に人類と妖精の未来を担わせてしまってすまない』
心の底から申し訳なさそうなマルザーダに、ソルグランドは苦笑を零しそうになった。中身を考慮すれば、マルザーダよりもいくらか年上なのだ。
そうとは知らないマルザーダは、ブリッジクルー共々、通信画面越しにソルグランドへと最大限の敬意を込めて敬礼を送った。
『君の武運を祈る』
「ありがとうございます。必ず地球へと笑って帰りましょう。その為に全力を尽くします」
虚空に投影される立体映像を閉じ、ソルグランドは傍らのコクウこと夜羽音と視線を交わす。
「それじゃあ、行きますか」
「ええ。魔物との長い因縁に一つの区切りをつける絶好の機会です。聖上ばかりでなく他の神話群も期待しておりますよ」
「そいつは責任重大だ」
からからと笑いながら、ソルグランドは天津甕星神の権能に加え、各神話の伝令や旅を司るか、彗星や流星の化身とされる神々の権能を用いて、ヒノカミヒメ達を追う。
一歩を踏み出す直前、戦場にスカイガンナーやクリプティッドエヌ、ジェノルイン、アシュラゴゼンやファントムクライ、ダンシングスノーなど見知った魔法少女達の姿を見る。
今も信じられないという思いと、ソルグランドならと期待に瞳を揺らす少女達に、ソルグランドは任せろと言わんばかりに微笑を向ける。その微笑が与えた効果を確かめる前に、ソルグランドと夜羽音は光と化して戦場を駆けた。
邪魔汰退悪呂土は最終決戦まで温存していたネタでした。