遥か遠くまで続く砂の地。国境が敷かれることはなく、占領されることのない地を、集団が装甲車と共にいた。
「周囲索敵!!」
「敵影無し!!遮蔽物無し!!」
「よし!!各員、交互に休憩!!」
スーラ共和国陸軍第七師団38番中隊。その中隊長は、装甲車の指揮席から、周囲にいる警戒兵を見下ろしながら、装甲車の荷台へと視線を向ける。
「整備はどうなってる」
「今のところ不具合は出てません。予備パーツもありますので問題はないでしょう」
装甲車の荷台には、人の横幅5人分にもなる機械が置かれ、整備士が各所のハッチを開けたり、砲身の掃除をしたりと忙しくしている。
「今回は試作兵器のテストだからな……心配なのはわかるがそこまでしなくていいんじゃないか?」
装甲車の運転手が隊長に話しかけた。
「必要なんだよ……今回はテストして帰って来いじゃねぇからな」
「そうですけど……でも、クァバリル帝国兵を倒して来いだろ」
「失敗したら死んでこい、だからな」
「分かってますよ。その覚悟はしてきてますから」
スーラ共和国とクァバリル帝国は、戦争をしている。
スーラは連合23国の支援を、クァバリルは連邦9国の支援を受けている。俗にいう世界大戦だ。しかし、その世界大戦は過去に7度も起こり、発生地から遠い国では「またか」という呆れた様子で支援もしないところも出てきた。
そして、広大な砂漠、シシカンラ砂漠において、クァバリル帝国の陸軍基地が確認された為、試作兵器の有用性を確かめるという。
「目標地点までのこり500mです。既に敵警戒区域内に侵入しています。くれぐれも気を抜くことがないように」
「了解。よし、オペレーターからの言葉、ちゃんと胸の奥にしまっとけよ。おーい、パイロットさんよ」
後部の専用席の、顔が見えない人の方を見た。
「…………ったく、ダンマリか」
「機密を漏らさないようにしてるんですかね……?」
「さぁな。さ、最終チェックをしとけよ」
「フフフフフ………フハハハハハハハ!!」
クァバリル帝国シシカンラ砂漠第9基地前線指揮官室。そこで、派手な服を着た青年が高笑いを上げていた。
「輸送部隊だかなんだか知らないが、位置がバレバレだぞ!!」
お腹を抱えながら、レーダーにうつるその影から、何かの舞台が近づいていると3時間前からわかっていた。
「まぁ、優雅なティータイムのいい肴にはなった………さてと。そんなありがたい娯楽を提供してくれた敵さんには、プレゼントをしなくちゃな……」