あれからしばらくしてあの監督は賞を取ったわ。
やっぱあの人、凄いわね。人は見かけによらないわ。
私やアクアの頑張りもあるけど星野アイ?だっけ?
そう、星野アイの演技がかなりいい感じなのよ。
あの映画以来、星野アイはテレビに出る様になって
色々と活躍しているわ。やっぱすごいね、アイは。
アイの出てるドラマも見たけどまあいい感じに
面白いわね。やっぱおもしれー女だよアイ。
私も頑張らなくちゃ。それから私の歌ったピーマン体操の歌がオリコン1位になってたわ。2位がザ・マッドサタンとかいうバンドになってたわ。
そして私は今、仕事に来てるわ。そういえばあかね?
だったっけかな。あのいまいちパッとしない
ルイージみたいな子とはいつ邂逅するんだろ。
多分そのうち会うかもしれんけど。
今日は劇団あじさいのオーディションね。私の場合は
合格決定の出来レースだけど。
「私、かなちゃんのファンなの」
あかねちゃんと会ったわ。どうやら係の人が私とあかねちゃんを勘違いしてそこに私が遭遇した形よ。
「そう…」
「この帽子もかなちゃんに憧れてね、それで…」
私に憧れるなんて嬉しい事言ってくれるじゃないの。
「それは嬉しいわ」
「そ、そう!?」
あかねちゃんの顔色が良くなり、嬉しそうになる。
「それでね、かなちゃんの合格が決まってるって聞いたけど」
「ええ決まってるよ」
「えっ!!?」
驚くあかねちゃん。しかし悲しい事にどこの業界にも出来レースはあるのよね。
「あらかじめ合格が決まっていて形だけの試験やオーディションを受けるのを出来レースっていうのよ。」
「出来レースなんてどこの業界にもあるのよ。珍しくないわ。」
「か、かなちゃんはそれでいいの?」
「色々と思う所はあるけどまあ構わないわ」
「演技が優れてる子より有名な子や出したら金になる子の方が選ばれるわ。それと運の良さも大切よ。」
「まあだからといってちゃんと演技もするべきだけど」
私なりにあかねちゃんに持論を語る。
「それにさ、稼げる時に稼ぎたいのよ。いつまでも私の人気は続かないし。」
「え?」
あかねちゃんは驚いて思わず声を漏らす。
「子役の寿命は以外と短いのよ。天才子役と言われてた子も大人になるに連れて一端の役者にしかならないのが大半よ。」
「子役から大物女優や人気タレントになるのはごく少数の上澄みぐらいよ。」
「でもかなちゃんならきっと大丈夫だよ!!」
「そこまで信じてくれるのは嬉しいわありがと。でも私でも油断は出来ないわ」
「まあ可能性は0じゃないから出来る限り食らいつくわ」
「それとあなたに言っとく事があるの」
「な、なにかな?」
「雑用やってるアシスタントには横柄に振る舞わず当たり障りなく振る舞う方がいいわ。」
「彼らが将来、現場を仕切ったり役者を選ぶ立場になるからよ」
「それとあなたは遅く芽が出るタイプね。最初は目立たないし垢抜けないけど時間が経つと徐々に成果を出すタイプね。」
私はあかねちゃんの元から去った。
それから三年後、私の人気に徐々に陰りが出てきて
お母さんも余裕が無くなったのか周囲を省みない
言動をする様になり、周りに無茶振りを押し付けた。
私も母親の言動にやんわりと苦言を呈するが
母親はろくに聞かず逆にヒスる始末。
そんな母親に見切りをつけた私は母親に期待を
するのをやめた。現場に迷惑をかける母に代わり
謝罪する時もあった。現場の人達には割りと愛想
良く接するので原作よりはマシな状況に持って
これたけどやはり結果は芳しくない。
「まあこんな物よね。仕事が減ったのは残念だけど
あんまし未練は無いしまあいいか。」
「泣いて喚いても現状は変わらないからとりあえずだらけるのに限るわ。」
ちゃんちゃん♪
次の話からは暗殺教室とクロスオーバーする予定です。
多分、3話ぐらいで終わりますが。