【長期更新停止】やはり俺の人間関係は中学時代からどこか可笑しい   作:Mr,嶺上開花

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1話を騙ったプロローグです。


1話 雪ノ下雪乃は毅然としている

 

 

 

義務教育は善意でもなく、悪意でもない。

 

そもそも世の中に善意で展開される物は慈善事業以外あまりない。ましてや政府の基本事業である、打算の無い事に貴重な税金を消費しないだろう。

 

この日本全土の子供に義務として教育を受けさせるのは要約すると二つの理由に集約される。

一つは常識やモラルの定着化、これによる影響は主な例を上げると犯罪率の低下だ。犯罪は悪いこと、いけないことだと小さい頃から教えればその考えが誰でも身につく。洗脳教育とも言えるだろう。

二つ目は言わずもがな、優秀な人間の育成だろう。この国の次世代を担っていく跡継ぎを残すのはどの国でも大切なことだ。当たり前の事だが、とても重要だ。

 

これらの点を踏まえると、やはり義務教育というのがこの国を形成する上での優先事項になり多額の資金を国が投資するのは言わずもがなである。

 

 

しかしつまり、それをよくよく考えてみると俺たち義務過程の学生に求められている物は第一にモラルの定着だ。もう一つは別に全員に対象を取って居るわけではない、優秀な人間に任せておけば良いだろう。

だから定期試験で良い点を取る、何て事は別に国は求めてないという事実が分かる。そんなの個人の勝手であってそれは義務ではない。それに成績不審によって義務過程で退学になるなんて事例は聞いたことはないのだから気にする必要はないだろう。敢えていうなら気にするのは担任教師と両親くらいだ。そう思えば人数的には3人だ、麻雀だったらジャストで全員敵だ。俺だったらそのくらいの人数の抗議は軽く聞き流せる。

 

それに俺の場合、両親と担任のどちらもそこまで俺の点数に関心があるわけではない。むしろ無関心だ。特に担任には未だに名前も覚えられてないはずだ。なぜなら未だに授業中に一回も名前を呼ばれたことが無い。両親にも自己申告しない限りは勝手に内申の書類に家の判子を押しても全くばれない、嬉しいのか寂しのか分からん状態である。

 

 

まあそんなわけで、お手軽簡単にこんな結論が浮かび上がる。

 

ーーーテストでどんだけ悪い点数を取ろうが、犠牲になるのは俺の内申と少しのポジティブ精神だけだということが。

 

 

ヒラリと俺の手から舞い落ちた数学と書かれた答案用紙には、数多ものバツ印が赤く、殴書きされていたのは言うまでもない。点数は言わない、言わないって言ったら言わない。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ国語の模範解答と回答用紙を返すぞー」

 

そんな教師の宣言と共に前からどんどん回ってくる模範解答の用紙。これって毎回後ろに回す時に手渡しで回すと後ろの人が奪い取ったように感じるんだよな。

 

 

「1番から順番で来い、良いなー?二度は言わんぞ?」

 

なぜか教師はそう強調しつつ一番から順々にテストを返していく。その間表情は殆ど変えてない。…いや、たまに険しい表情をして返す時もある、ほんの少しだが。それを受け取った生徒の様子を鑑みるにあまり点数が宜しくなかったのであろう。ナンマイダブツ。

 

 

1人1人にテストを返す時間は短かったためか、ハ行である俺の順番もすぐに回ってきた。

 

「比企谷……」

 

 

おいコラ何で険しい表情しながら声漏らしてテストを渡してくるんだよ。点数悪くても何も無いとは言えむっちゃ焦るだろ?

 

ちらりと渡された点数を見ると書かれていた数字は97点、推測するに大体1ミスか2ミスと言ったところだろうか?

…何でこの教師物凄く険しい顔してるんだ?それとも生徒の不安を見て楽しむ趣味でもあるの?

 

 

「……もう少し他教科の成績も上がればな……」

 

 

聞こえてんぞおい。

 

意外とそれはそれで気にしてんだからあまり口に出さないで欲しいんだけど。じゃないと俺の豆腐メンタルが傷つくだろ。

 

 

それに今回の国語の全体的な平均点は40後半だから別に良いだろ?他教科気にするなよホント。

 

 

そんなことを思っていると、前から少し大きな声が聞こえた。発言元はあの教師だった。

 

「雪ノ下、流石だな。また全教科95点以上だ。他の人もこれを見習うように」

 

 

うわ、ロクなことしないなあの教師。確かこの担任…だったはずだ。だからその、雪ノ下の点数を全教科知ってるのか。

それにしてもその発言は非常に危うい、これが俺主催のミニテストだったら0点をあの教師には上げてやるくらいバッドな答えだ。

 

人は優秀であるほどに羨まられ、嫉妬され、ハブられる。それがこの世界での真理だ。優秀さと生きづらさは紙一重と言っても良い。だから優秀な人は必ずしも負の感情には機敏なのだ。それは多分あの雪ノ下…て人も同じだろうと思う。

 

 

 

だが、あの雪ノ下はまた少し違った表情をしている。何か、周りを、クラス全体を見下して居るようにも感じる。現に全く気にした様子もなく、淡々と礼を言って自分の席に戻って行くだけだ。

 

俺は彼女を知らない、全くと言って良いほど。しかし、愚かだが、推測することは出来る。内容はあまりに幼稚で浅いのだけれど。

 

 

…きっと彼女は害意から身を守るため、自分にプロテクターをかけて居るのだと思う。そしてきっとそれは他人を見下すことで発動している。俺には彼女がどんな経験をしたかは分からないが、他人と無関係でいれば、全く無関心を貫き自分に驕ってさえいれば悪意から逃れられると感じたのだろう。

 

 

 

もちろん俺はその彼女の結論を穢す気も、壊す気も一切ない。だがしかし、もしそうなら俺には受け入れられないだろう。

なぜならその結論は、自分の視界の中の他人を醜く映さなければ受容不可能な、常に自己を正しい肯定しなければ存在が出来ない酷く崩れた物だからだ。

 




わけわからなくてすみません。。

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