『怯えるなと言ったろうが……いや、そこの有翼族に似たような奴は怯えてはいないな……』
『すごい!生まれて初めて竜見た!ドラゴン見た!こんなことないよね!スライムさん!』
『お、おう……。なんか、テンションが高いな……いやまぁ、らしいと言えばらしいいか……はぁ』
スライムはヴェルドラにビビりながらも凛に呆れて大きく溜息をつく。その後、ヴェルドラと話す凛とスライム。ヴェルドラは意外な程に話好きで親切だった。スライムと凛の話を聞き、転生者と転移してくる異世界人があると言うことを凛とスライムに話す。
『しかし、ものすごく希な生まれ方をしたな、お前ら。異世界人も転生者も居るにはいるが、異世界から転生、魔物になり生まれるなんぞ我の知る限り事例はない』
『異世界人って……自分達以外にもいるんですね』
『他の人にも会えるかな。探しに行ってみる?』
スライムに聞く凛。スライムも頷きながらに
『そう…だな、同じ境遇とまでは行かなくても、似たようなヤツ居そうだしな』
『…そうか、行ってしまうのか』
ヴェルドラは露骨に寂しそうにしょんぼりとする。
『ええと、ヴェルドラさんはここから動かない……動けないんですか?』
『……ここに封印されてるからですか?』
『そうなのだ!300年前に勇者に封印されて以来このままよ!勇者は強かったぞ!見た目は可憐な少女と言った感じだったが、ユニークスキル『絶対切断』と『無限牢獄』を駆使して封印せしめたのだ!』
楽しそうに勇者の事を語る。ヴェルドラの周りには魔力の障壁が貼られていてそれが影響で出れないのではと凛は考えて
(この障壁、『貫通者』の中の『解析鑑定』でどうにかならないかな?)
そう思い、解析をするが……結果は現状物理的に破壊は不可能。というのが分かり、解析し続ければ最終の結果は出ないことが分かる。凛が思考から戻ると
『よし、じゃあ俺達と友達にならないか?あんたもいいだろう?』
『え?も、勿論!いいけど!』
『スライムと有翼族擬きの分際でこの暴風竜ヴェルドラとトモダチだと!?』
『え、嫌ならいいけど……』
『え……いや?ですか?』
スライムは無理強いはしないよと言い、凛は悲しそうに言う。
『馬鹿お前!誰も嫌だなどと言っておらぬだろうが!!』
『え そう?じゃあどうする?』
スライムのその問いに腕を組み、チラチラと凛とスライムを見ながら
『そうじゃなぁ…どうしてもと言うなら……』
ツンデレを全開に言うものだから二人は揃って
『『どうしても だ(です)』』
と断言をして
『嫌なら絶交!二度と来ない!他の異世界人探しに行こう!』
『おー!』
『ちょっ!し、仕方ないな!我が友達になってやるわ!』
ヴェルドラは腕を伸ばしスライムと握手をし、凛とも握手をする。爪先で。凛は喜び、ヴェルドラとスライムは照れる。
『さて、じゃあこの封印をどうするか……』
『その事なんだけど……。私の解析鑑定の効果で解析してみたけど……現状はどうにも出来ないみたい』
『お、お前も同じスキル持ってるのか!「大賢者」!』
スライムは『大賢者』というスキルと話し込み、ヴェルドラに提案する。
『提案なんだが、「大賢者」と話して……ヴェルドラ、俺の胃袋の中に入らないか?ヴェルドラは結界の内側から、その情報で俺の「大賢者」が解析をするし、俺達も外に出られるしいいと思うんだけど!』
『い、胃袋に!?』
スライムの提案に凛は驚いたように声を上げるが
『…ククク、クハハ。クハハハハハハ!!』
突然ヴェルドラが大きく笑う。
『面白い!是非やってくれ!』
『い、良いんですか?』
『ああ、ここで寂しく待つより共に「無限牢獄」を破る方が面白かろう!!!』
『よし、じゃあ早速「ああ、だが、待て」ん?』
ヴェルドラが了承し、スライムが捕食しようとしたときヴェルドラが急に静止をかける。
『お前たちに名前をやろう。お前たちも我ら共通の名を考えよ!同格ということを魂に刻むのだ』
『共通の名前かぁ』
『名字みたいなものじゃない?』
『だよな……ヴェルドラって暴風竜の異名だったよな?安置だけど思いついたぞ?』
『安置でいいなら、私も思いつたよ?せーので言ってみる?』
凛とスライムは息を合わせて
『『せーの、テンペスト!!』』
テンペスト。英語で嵐を意味する言葉。暴風から着想を得て出た答えがテンペストである。安置と言えば安置だが
『素晴らしい響だ!今日から我はヴェルドラ=テンペストだ!!!』
ヴェルドラはテンペストという名を気に入った。そして
『スライムのお前には「リムル」と言う名を授ける!リムル=テンペストを名乗るがいい!そして……もう一人はその翼……有翼族……では無いな。有翼族には角は無い、足も人のように細く華奢だが、その鱗は竜の鱗だ。どちらかといえば竜人に近い。竜人でいいんだな?』
『はい、竜人だと思います』
凛は頷き答える。翼の件があるため、断言が出来ないのが仕方ないのだが
『ならば、お前には「リィン」という名を授ける!リィン=テンペストと名乗るがいい!』
この時、凛はリィン=テンペストとなる。リィンの頭の中に新たなスキルが浮かぶ
【エクストラスキル『魔力変換』『魔力吸収』を獲得】
『では、頼んだぞ!』
『ああ!始めるぞ!』
そしてリムルの【捕食】でヴェルドラはリムルの胃袋に入る。それと同時にリムルと【大賢者】は解析を始める。
『さてと、二人きりなったし。聞きたいことがあるんだ……いいか?』
リムルがリィンに向き尋ねる。リィンは首を傾げながらしゃがみこんでリムルを見る。
『改まってどうしたの?リムル』
『いや、リムル=テンペストとして話すと言うより、三上悟として、話したいんだ。なぁ、お前の人間の時の名前って四宮凛じゃないか?』
『え?は?…三上…悟?嘘でしょ……悟は通り……魔に』
突然の事に頭を殴られたような錯覚に陥るリィン。
『その、反応……やっぱりそうか。まぁ、俺の葬式の話の聞いた時からなんとなk』
『悟!』
リィンはリムルを抱き上げて涙を流していた。
『久しぶり!会えて……嬉しいよ!』
『ああ、俺も会いたかった!久しぶりだな、親友……!』
リムルはリィンが泣き止むまでそばに居た。偶然の再会、死に際に願ったことが数奇な運命を経てここに辿り着く。
『にしても凄いよな!互いに死んで、記憶持ったまま洞窟でモンスターに転生して』
『ホントだよね。私もまさかこうなるとは思わなかったよ』
二人は出口に向かいながら昔話や転生の件について話していた。
『でも、俺はお前の最後は納得がいかないと言うか……』
『それは言いっこなしだよ……。私は、あの死は仕方ないと思ってるし』
『お前あるよなぁ。自分の事になると割とドライなの』
リムルは内心大きなため息をついていた。他者を思いやる気持ちがあるし、人間味もあるが、自分の事となると合理的に考える所がある。リィンに対して相変わらずだとため息が出たのだ。
『まぁ、それは一応置いておいて……行くんだろ?』
『勿論、外を目指して行きましょう!』
『そうだな、頑張るぞリィン!』
『うん!』
こうして一匹と一人の洞窟の外を目指す冒険が始まる。