リムルとリィンはとりあえず現状戦えるゴブリンを集めて貰った。が、
『牙狼族と戦うのは期待できそうに無いな……貧弱そうだし、装備がボロボロだし』
しかし、向けられる視線は信仰に近い眼差しであり、その眼差しに苦笑いを浮かべながらリィンは
『この視線……今までの人生の中でも別系統でプレッシャーを感じるよ』
と言う。リムルは息を吐き
『それじゃあ、話していくか!気の利いた言葉とかフォロー頼むぜ』
『OK、合わせていくね』
軽い打ち合わせを行いリムルはゴブリン達に
「皆、状況はわかっているか?」
真面目に質問をする。
「はい!生きるか死ぬかをかけた戦いになる、と覚悟はは出来ております!」
バンダナをゴブリンが敬礼しながら即答する。周囲のゴブリンも姿勢を正して身構える。
「気負う事はない、気楽にな。最善を尽くす、その事だけを考えろ!」
そういう時ゴブリンから歓声が巻き起こる。その反応を見てリムルは照れていた。
「よし、手分けをするか。俺は負傷者の様子を見に行く。ヒポクテ草の回復薬があるしな。元気な皆はリィンと村の防御を高めておいてくれ!」
「話を聞いた通りだよ。私の班……元気な皆は村の防御を高めるよ!」
「はい!!」
ゴブリンは元気よく返事をしたので準備を開始する。周辺の木々を翼で切り倒し、瞬時に翼で切り分けて加工する。それを使い、協力し柵を作り始める。柵を繋ぎ合わせるのに魔糸を繋ぎ合わせたり、柵に触れながら
(こういう時に、柵に魔力を通して強化できたら良いのにな)
と思い、柵に魔力を流し込む。急激に込めるのは壊れると何処かの漫画で見たような記憶があるリィンは急ぎ過ぎず、丁寧にされど手早く最適化をして魔力を込める。
《告、『魔力強化』のスキルを獲得しました》
(デフォルトの技術じゃないんだ……)
そんな事に驚きながらも防備を固める。ただの木の柵がリィンの強化により鋼鉄程度の防御力を持つようになった。
「よし、まだ時間ある。柵の内側から外へ向かって攻撃出来る武器はある?例えば、槍とか弓矢とか。あるならあるだけ持ってきて!」
「分かりました!」
バンダナのゴブリンと数名のゴブリンが武器を持ってくる。
「これだけあれば十分」
槍や弓矢にも魔力強化を施していく。その姿をゴブリン達は不思議そうに見ている。そして、魔力を込め終わった槍とか弓矢を村の裏側の木々で試さす。
「それじゃあ、試しに一射と一突きお願い」
「分かりました!」
槍の一突きと弓矢の一射で木はいとも簡単に折れて倒れる。それを見たゴブリンは驚きながらリィンの方を見る。リィンも驚いた表情を浮かべながら
「少し、魔力込めすぎたかな。ま、まぁ、一時的なものだし大丈夫だよ。よし、目の良い子は弓矢を装備して斥候にお願い」
そういうと、斥候を行おうとするゴブリン達が命に代えてもやり遂げますと言う表情をしていた。リィンは斥候のゴブリンに
「言っておくけど、情報は生きて戻って来ないと意味がないよ。自分達が無茶をして君達という戦力失ったら勝てる戦いも負けに近づくと思って。第一に優先……先に考えることは生きて情報を持ち帰る事。深追い、奇襲が目的じゃないからね」
と念を押して斥候に行かせる。その後、リムルと合流し、鋼糸、粘糸、魔糸を柵の周りに展開し、罠を作り防備を更に強化する。時間の限り行っていると
「なんか……張り切り過ぎたな」
「簡単な防備と言うより、要塞だよね」
防御性能が要塞かなとリムルとリィンが思ってしまうほどに汲み上げられてしまった。
「まぁ、ここまですれば大丈夫だろ。後は」
「私達が前線に出て罠を突破してきた牙狼族を迎え撃てばいいだけ……だね」
その後、二人はゴブリンに廃材を集めさせて見張りを行う。つもりだったが
「とんでもない!リムル様、リィン様にそのような事をさせる訳には行きませぬ!!」
と言われてローテーションを組むことで休む事もさせた。そして、斥候舞台が無事に帰ってきて、牙狼族が移動開始したことを知る。
「なら、こっちも仕上げをしようかリィン」
「そうだね。最後にここに糸を設置して」
開口部に粘糸と魔糸を張り巡らせる。準備は整った。後は迎え撃つのみ。回復したゴブリンにも作戦の流れを伝えて休んでおくように伝える。
そして、夜。遠吠えと共に牙狼族が攻めてきた。警告をするために、リムルと角や翼を出していないリィンが立っていた。
「そこで止まれ!このまま引き返すのなら何もしない!さっさと立ち去るがいい!」
「もしも向かってくるなら、痛い目を見るよ?」
それを聞いた牙狼族のリーダーは唸り声を出しながら
「スライムと人間ごときが我ら牙狼に命令するとは!あの柵をなぎ倒せ!ゴブリン共を血祭りに上げろ!」
ボスの咆哮と共に牙狼族が突撃してくる。怯えるゴブリン達にリィンは言う。
「練習したこと、ここまで準備した自分達を信じる!しっかり前を向く!」
その言葉を聞きゴブリン達は柵の外より迫り来る牙狼族をしっかりと見据える。
そして牙狼族が柵に攻撃しようと迫った時、罠が牙狼族に牙を剥く。攻撃を仕掛けた牙狼族は血飛沫をあげて跳ね返される。更に、ゴブリンに行くかれて、身体に穴を開けて地面に転がる者までいる始末である。
牙狼族のボスは狼狽えることなく、様子を伺う。リムルもリィンもその場から動かず、何かした様子もない。しかし、何が起こったか様子を伺うことで見ることが出来た。
「糸……!」
忌々しげにリムルとリィンを睨みつけながら牙狼族のボスは問う。
「お前達の仕業か……!!」
「そうだ!」
「その通りだよ」
それを聞いた牙狼族のボスは唸り声をあげながら
「矮小な魔物と人間風情が捻り潰してやる!!!」
飛び出して行く。
「親父殿!?」
横に控える牙狼族の呼び掛けに応じることなく駆け抜ける。
ゴブリン達はボスが消えたように見えたが、リムルとリィンには止まって見えるほどだった。先に倒されていた牙狼族を超え、鋼糸を噛み切り、肉薄し飛びかかるが、空中で動きが止まる。
「糸が一種類だけだと思ったか?」
「中々動けないでしょ粘糸」
リィンとリムルは余裕そうな声色を崩さずボスに言う。
「こんなもの……!」
糸を食いちぎり脱出を図ろうとするボスにリムルは
「水刃!」
水の刃を放ち首を刎ねる。ボスはその一撃をもってして絶命する。
「聞け、牙狼族よ!お前等のボスは死んだ!お前等に選択させてやる!服従か、死か!」
そのリムルの言葉を聞き、リィンは念話にて。
『そんな事言ったら、ボスの仇だ!とか服従する位なら!とかになって全滅するまで戦うことにならない?』
そう聞くとリムルは止まりながらリィンに慌てたように言う。
『……そうじゃん!やっべミスった!どうしよ!あっ、いや!ボスの死体があるんだから利用して切り抜けるしかねぇ!』
リムルは捕食者で牙狼族のボスを捕食し、解析する。
そしてボスの牙狼族に擬態する。
「クククッ、聞け!今回だけは見逃してやる!我に従えぬと言えるというならば、この場より立ち去ることを許そう!!」
牙狼族の擬態のまま、大声の『威圧』の咆哮を行う。その咆哮よりゴブリンも被害を被っている。
(これで逃げ出したらいいけど……どうなるんだろう)
リィンは耳を抑えることなく、咆哮し威圧し続けるリムルの後ろ姿を見ながら、何時でも戦えるように身構えていた。しかし
「我等一同、貴方様達に従います!」
服従宣言と同時に全員が平伏する。
「「はい?」」
思っていたと違う反応に戸惑いながらも平伏している姿を見てリィンは
「かわいい犬みたいだね」
ボソッとつぶやいたのであった。
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