転生したら幼馴染がスライムになっていた件   作:皐月の王

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率いる者と名付け

戦いとは終わったら終わりという訳には行かないのだ。今回の戦いにて牙狼族側には数匹の犠牲が出ている。その死体をそのままにする訳には行かず、リィンはゴブリンから弓矢を借り、少し離れた所に移動する。

 

「この辺りなら大丈夫かな」

 

地面に向かって魔力を込めて放ち穴を数匹分用意する。そして、先の戦いで死した牙狼族を穴に入れる。それをリムルは隣で見ながら

 

「埋葬してやるのか?」

 

「まぁね。必須じゃないだろうし、やる必要性は無いんだろうけど……。私がそうするべきだと思ったんだ」

 

リムルは静かに見ながら

 

「そうだな。そうしてやるのが一番だな」

 

その後土を被せて手を合わせて埋葬する。そう言った文化は無くとも、供養するべきだと転生前の文化がリィンとリムルを動かした。

 

その後、ゴブリン達はそれぞれの家に寝かせたり、焚き火付近に寝かせ、牙狼族は村の周辺で寝かす。

 

「リィンも休んどけよ。俺と違って休息が必要な体なのは変わらないんだからな」

 

「そうは言うけどリムルも眠れないとしても休むべきだよ。思考し続けるのは精神的に辛いんだから。ま、私達いい歳してるから言われなくともだろうけどね」

 

「ハハハ、それは言わない方が良いだろ?」

 

「違いないね」

 

そういいながら、リムルのそばで縮こまるように横になるリィン。

 

「それじゃあ、休ませてもらうねリムル」

 

「ああ、朝になったら一番に起こしてやるから、安心して休めよ」

 

リィンは安心した表情を浮かべながらに目を瞑る。

 

「おやすみリムル」

 

「ああ、おやすみリィン」

 

そう言葉を交わして、リィンは眠りにつく。深い眠りだったのか夢を見ること無く、日の出と共に自然と目覚めることが出来た。背伸びをしながら陽の光を浴びる。

 

「起きたな。おはようリィン」

 

「うん、おはようリムル」

 

互いに挨拶を交わす。その頃にはゴブリンは整列して、牙狼族も同じように並んでいた。

 

『改めて見るとどうするんだよこれ……。ゴブリンだけじゃなくてこんな沢山の犬まで……誰が面倒見るんだよぉ』

 

『仕方ないじゃん……私達はゴブリンの守護者になっちゃったし、ワンチャン……牙狼族は私達に従うと言ったし。面倒を見るとしたら私達だろうし』

 

『そうだよなぁ……。少しだけ後悔しそうだよ』

 

『とりあえず頑張ろ?ね?』

 

リィンが苦笑いを浮かべながらにリムルを励まして話を進める。

 

「はい!聞いてください!これから君達にはペアになって一緒に過ごしてもらいます!」

 

リムルがそう言うが皆は首を傾げながらに見てきた。リィンは続けて説明する。

 

「ペアと言うのは二人一組の事だよ。ゴブリンと牙狼族、一人づつで一緒に座って欲しいということだよ」

 

リィンの説明を受けてゴブリンと牙狼族はそれぞれ顔を見合せたり、視線を交わし、素直に二人一組のペアになっていく。

 

「よし!昨日の敵は今日の友!これからは互いに力を合わせて仲良くするんだぞ!」

 

リムルが大きな声でそう言うと、ゴブリン、牙狼族は返事をして了承する。

 

「互いに助け合って協力するようにね」

 

リィンも付け加える。そして本題に入るようにリムルが話し始める。

 

「それで、これから大切なのは衣・食・住です!食べ物を探し、家を作ったり、村の守りを強化するためのチームを作ろうと思う。まずは……」

 

その時リムルは話を詰まらせる。何を言うのかを察していたリィンはリムルに言う。

 

『そう言えばこの子達に名前あるのかな?何時までも君とか村長とか言い続けるのも不便じゃない私達が』

 

『リィンもそう思ってたか。実は俺もなんだよなぁ……よし、この際だし村長に聞いてみるか』

 

リムルは隣に控えていた村長に尋ねる。

 

「そう言えば村長達に名前ってあったけ?」

 

「普通魔物は名前を持ちません。名前が無くとも意思の疎通ができますから」

 

「そうなのか……。でもあった方が便利だから、俺とリィンで名前を付けようと思うが良いか?リィンは良いだろ?」

 

「私は大丈夫だよ」

 

そう言った直後、ゴブリンや牙狼族は歓喜してお祭り騒ぎになる。

 

『な、なんだ?名前をつけるだけだろ?』

 

『よ、喜んでもらっているからいいんじゃない?』

 

そうして手分けして名前を付け始める。二列に並んでもらっての名付けが始まった。

 

「じゃあ、村長から……亡くなった戦士の息子の名前は何だったんだ?」

 

「リグルです」

 

それを聞いたリムルは少し考えて

 

「そうか……それじゃあ『リグルド』だ村長の名前はリグルドだ!」

 

そう言うとリグルドと名付けられたゴブリンは泣いて喜んでいた。それを見ながらリィンはバンダナのゴブリンの方を向き

 

「それじゃあ君はお兄さんの名を引き継いで『リグル』だね。これから頑張ってねリグル」

 

「はい!ありがとうございます!リィン様!」

 

「息子にこの名を継ぐことを許してくれるとは、感動で涙が止まりません!!」

 

大喜びするゴブリンを前にリムルとリィンは苦笑いを浮かべながら名付けを続けるのであった。

 

名付けをする際には名前が被らないように交互に名付けを行っていた。そんな時、リグルドが心配そうに

 

「リムル様、リィン様……大変有り難いのですが……、その、宜しいのですか?」

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、リムル様達の魔力が強大なのは存じ上げておりますが……そのように一度に名を与えられるなど……大丈夫なのですか?」

 

「え?名前を着けるだけでしょ?大丈夫じゃない?」

 

「ああ、名前つけるだけだろ?問題無いだろ」

 

リムルとリィンはそう言い名付けを続ける。だが、リグルドの言っていたことも気になるリィンは牙狼族の一体を名付けた後に聞いてみることにした。リムルがボスの息子に嵐の牙で嵐牙と言うのをつけたことを聞きていた。そして目の前に居る牙狼族もボスの子同様に他の牙狼族とは異なる風格を感じた。

 

(それじゃあ、ヴェルドラの竜と私の竜人と言う繋がりから取って……)

 

リィンは目の前に居る牙狼族に名を授ける。

 

「君の名前は竜牙。 嵐牙と共に牙狼族の皆を引っ張り、ゴブリンの皆を守ってね」

 

「はっ!リィン様の命しかと聞き届けました!」

 

リィンは大袈裟だなぁと思いながらも尻尾を嬉しそうに振るう竜牙を見る。

 

(嵐牙と合わせて嵐竜、暴風竜ヴェルドラを意識したコンビになって欲しいな)

 

そんな事を考えながら、先程リグルドが言っていた事が気になり数秒から数十秒先の未来を見る。その未来の光景ではリムルがグッタリとして、返答が出来ない状態になりリグルド達が大慌てする光景が見えた。

 

「っ!リムル大丈夫!?」

 

その未来を見たリィンがリムルの方を見た時には既に時遅く、グッタリとしており、リィンの呼び掛けにも応答が出来ない状態であった。

 

「リムル!どうしたのリムル!」

 

「ああ!リムル様!」

 

リィンの顔色は真っ青になっていく、自身でも上手く息が吸えてない息苦しさを感じる。生前のお通夜、葬儀がフラッシュバックする。しかし、

 

(自分が取り乱したら、皆に伝播する……!落ち着いて……!解析鑑定で状態を調べないと……!)

 

リィンはリムルに触れて解析鑑定を行う。そして原因を突き止める。魔素が一定値を下回ったことによる低位活動状態(スリープモード)になっていると分かる。つまり、生きており命に別状はないという事だ。

 

「はぁ……はぁ……無事……何だね……良かったぁ……」

 

リムルを抱きしめて、力無い声をもらす。自身の呼吸を整えながら、ゆっくりと皆に説明する。しばらくリムルは動けない事を伝え、休ませられるところに休ませたいと伝えた。

 

「分かりましたそれではこちらへ。リィン様は大丈夫ですか?リィン様もリムル様同様に名付けをなされてましたが……」

 

「わ、私は大丈夫。ユニークスキルで魔力切れはそうそう起こさないし、回復も早いから……」

 

「ですが、顔色が優れませんぞ?ご無理はなされないでください」

 

「ありがとう、リグルド」

 

休める所にリムルをゆっくりと下ろし、リィンもその日食事を摂り、眠りについた。翌日起きて外に出ると

 

「おはようございます!リィン様!」

 

見知らぬガタイのいいゴブリンが居た。

 

「ええと……どちら様?」

 

「この村の村長リグルドでございます!!」

 

マッスルポーズを決めながら話すリグルドを見てリィンは天を仰ぎ、一日が始まるのを感じていた。

 




リィンのトラウマスイッチが少し押されましたw
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