ガチ恋勢の恋模様〜傍観者的に大変そうだなぁって思いましたまる〜   作:色月 茉夜

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こんばんにゃ。色月と申します。割とブラッキーで救いがない系なこの小説を書いているとどうしても気持ちが落ち込んできてしまうので、メモ書きでギャグ要素強めなのを書いて中和しています。ちゅーはしてません。ちゅーしたい。

ガチまる第9話、投稿します。


第九話 救し者なき応援歌

次の日、バヤの配信開始通知をタップし入室する。

 

『ツマさんやほ!今日頼むな?』

 

彼の言葉に返事を打つ間も無く、入室音が立て続けに響く。

 

『リンくんこんばんはっ!』

『危うく寝ちゃうところだったよ〜』

『お仕事お疲れ様、リンくん!』

 

イツメンのバヤのファンがコメントを打つ。当初の予定では夜10時に配信開始する予定だったがバヤの仕事の都合で既に夜中1時になっていた。

 

『ユウ、こんばんは』

『ゆきりんもいらっしゃいっ!』

 

ゆきりんの名前を見て一瞬僕の目がたじろぐ。結局昨日は、"どうするかはツマキぃに任せるよ"の言葉で会話は終わった。ある程度リスナーが集まるが、肝心の彼女が居ない───と思った瞬間だった。

 

『こんばんは』

 

まきさんのアカウントで挨拶をする彼女の姉を名乗る人物。僕、そして恐らくゆきりんに緊張が走る。

 

『まきたんのお姉さん来てくださってありがとうございます!』

 

柄にもなくバヤが敬語で挨拶をする。そして、真剣な顔をすると。

 

『今朝まきたんのお姉さんと話したんだけど、まきたんの容態が急変して明日朝早くから緊急手術になったんだ。』

『え!?』

『本当なの、リンくん!?』

 

おいおい、聞いてないぞそんなの。リスナーたちも慌てたようなコメントが続く。まきさんのことを知らないリスナーも不穏な事態を察した様子で心配するコメントを書いている。

 

『今、妹が意識を失ってて‥でも声は届くと思うんです』

『うん。だから、みんなにお願いがある。今日の配信はまきたんのための応援歌をいっぱい歌いたいんだ』

 

バヤが真摯な想いをリスナーたちに伝える。本当にコイツはただただ応援したいんだろうなって改めて思う。純粋な想いで苦しんでいる人を救いたい、ただそれだけなのだ。

 

だが、そんな言葉に一雫の墨が落ちる。

 

『でもそれって今日は私たちのためには歌わないってこと?』

『あかりん、今日だけだから‥』

『でもリン!この間私が風邪引いて体調が悪いって言った時、応援歌なんて歌ってくれなかったよね!なのに、まきたんは特別なの!?』

 

枠内トップリスナーのあかりんさんがコメントを打つ。それを読んでバヤが口を開くが、みやさんもあかりんさんに追従する。

 

彼女たちの言い分もわかる。"まきたんのための配信"───つまりまきさんを特別扱いしているに他ならない。決してギフトアイテムを多く投げているとは言えないまきさんが、その何十倍もバヤのランキングに貢献している彼女たちより優先される。要は嫉妬だ、だが嫉妬という感情が一度流れるとその勢いは止まらない。

 

『それは‥‥』

 

バヤが口をつむぐ。彼女たちの言葉が全くの的外れでもないから言葉を続けられないのだ。今回は命に関わることだから、彼の中でも特別だったのだろう。だが、リスナーからしたら自分の時はしてくれなかったことを他の人にはするという悪感情だけ残る。

 

それを見ながら僕はゆきりんとの会話を思い出す。"まきたんは嘘をついている"。ここでそれを言えば、バヤも真実に気付けるかもしれない。少なくとも彼のファンたちにまきさんへの疑惑が生まれれば、どういうことだとなり今日の配信を続けるのは難しくなるだろう。

 

そう、真実を伝えられるのは僕だけ。

 

 

 

ツマキが 星空 を贈りました!

 

 

突然の高額ギフトにコメントが止まる。バヤも驚いた顔をして黙る。

 

「リンユウくん、君は今日彼女のために歌うって決めたんだろ。必死に歌を作ったんだろ。だったら───最後まで貫け!」

 

僕のコメントを、バヤは黙って読む。そして。

 

『ごめんなあかりん、みや。今日だけは、今日1日だけ、俺はまきたんのために歌う!まきたんが元気になるために俺は歌う!』

 

その言葉に今まで黙って見ていた他のリスナーたちがコメントを打つ。

 

『わかったよ、リン!まきたんの手術が成功するように祈ろっ!』

『そうだね!リンのオリジナル曲も聞きたいし、まきたんに届けよ!』

『なんだか事情はわからないけど、リンくんの歌ならきっと聞こえるよ』

 

続く言葉はみんな肯定の言葉だった。バヤの想いを知って今日の配信を認めてくれたのだった。

 

『‥ごめんね、リン』

『私もごめんね、リン!』

『全然いいよ!あかりん、みや!じゃあみんな盛り上げよろしくぅ!』

 

そして弾き語られるまきさんへの応援歌。それは、不器用で真っ直ぐなバヤらしいそんな歌だった。

 

僕は───真実を言えなかった。だがどうだ、今のこの配信は。全員がたった1人のために歌って応援して励ましている。嘘がきっかけかもしれないが、仮初かもしれないがきっとバヤが目指していた配信がそこにはあった。

 

そして、そこにゆきりんは居なかった。

 

 

 

 

 

 

『ツマキぃ。まきたんさっきまで新人の配信者のところでたくさんコメント打ってたよ。それはもうとても楽しそうに。手術前なのに。意識を失っているのに』

『ねぇツマキぃ。ツマキぃが選んだのはこれでいいんだよね?』

 

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