ガチ恋勢の恋模様〜傍観者的に大変そうだなぁって思いましたまる〜   作:色月 茉夜

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こんばんにゃ。色月と申します。会話する時、天気の話はNGだとよく言われますが先日私の推しが、『私のところは今日寒かった。みんなのところはどうだった?』という絶対盛り上がらない会話を振ってきやがったわけです。私がもう考えまくって、『寒くて冷凍マグロになるところだったよ!』と冗談で返したら『ごめん、この話はやめよ』って言われました。どういうことやねんっ。

ガチまる第10話、投稿します。


第十話 真実

『まきたんの手術、無事成功しました!』

 

次の日の朝、バヤは喋ったーでそう報告した。

 

あの後、ゆきりんから届いたメッセージには返事はしなかった。いいのかと言われたら、僕には答えが出せない。だが少なくとも間違ったことはしてないと思っている。

だが───僕はすぐにそれが間違いだったと気付かされた。

 

『今日はこの歌を歌ってください』

『あっ、でも、今日はみやのリクエストが‥』

『は?妹はまだ手術したばかりで苦しんでるんですよ!あなたは妹を見捨てる気ですか!』

『わ、わかりました!みや、ごめん明日歌うから‥』

『ちょ、ちょっとリン!』

 

あの感動のライブの次の日からもまきさんのお姉さんはバヤの配信に来ていた。だが、その様子はあの夜とは全く違った。

 

『明日はDMで送った、妹が歌って欲しいリストから選曲してください』

『ちょっと、いくらリンが優しいからって‥!?』

『嫌ならいいですよ?リンユウは病気の妹を見捨てたクズって触れ回るだけですから』

『あかりんも大丈夫だから‥。わかりました、まきたんが退院するまではなるべくリクエスト通り歌います』

『なるべくじゃなくて絶対です。妹が可哀想でしょう』

 

バヤが歌う歌ひとつひとつにケチを付け、曲を勝手に決めさせ、まさに配信を───いや、"バヤ"を我が物にしていた。

 

ゆきりん曰く、お姉さんがリクエストしていたのが全てまきさんが前にリクエストして弾けないと断られたり、他のリスナーのリクエストを歌っている間に配信終了時間になってしまったりした歌らしい。

 

その横暴な配信は、いつしか彼から笑顔を奪っていった。

 

"ツマキぃが選んだのはこれでいいんだよね"───頭の中でゆきりんの言葉が回る。僕が言わなかったことで一夜にして配信は崩壊した。それは、僕の責任だ。

 

そして、それは突然だった。

 

"しばらく活動を休止します"

 

バヤが書いた言葉を見て、本人にメッセージを送るが返事どころか既読も付かない。ゆきりんにも聞いてみると、すぐに返事が来た。

 

ゆきり:みやちゃんが別の枠で偶然まきたんを見かけたんだけど、ユウのこと話してたんだって。リンユウは私の言うことならなんでも叶えてくれる、病気だって言ったらすぐ信じるって。みやちゃんはそれをスクショしてユウに送ったの。

 

つまり───彼は真実を知ってしまったのだ。

ゆきりんと話している間にバヤからもメッセージが届く。

 

スクショの内容をまきさんのお姉さんに聞いたところ、彼女はあっさり自分がまきだと認めたらしい。そして彼をブロックすると、Eleven Studioの名前もプロフィールも変えた。彼の推しマークを付けたり応援する気持ちを書いた愛のこもったプロフィールは、全く違う人を応援する文章になっていた。

 

それがこの騒動の結末だった。

結果的には彼の枠を荒らす原因も排除できた。だが、信じていた人にあっさり裏切られ応援する想いを踏み躪られた彼には、深くそして消えない傷を残したのだ。

 

優亮:ゆきりんから聞いた。ツマさん俺に言おうかめちゃくちゃ悩んでくれたんだろ?

真月:ごめん、バヤ。僕言えなかった‥。

優亮:いや、ありがとう。あの日、確かに俺がしたかった配信ができた。みんなでまきたんの手術成功を祈って歌って。すげぇ楽しかったし幸せな時間だった。

真月:バヤ‥‥。

優亮:だけど‥‥ごめんな、ツマさん。

 

 

 

俺、もう歌えないよ。

 

 

 

 

 

 

そして、大人気ライバー“リンユウ“は活動休止とともにトップランキングから姿を消した。突然の彼の休止にファンの間では憶測が流れ、それでもなお信じて待つ者、彼を見限って離れる者など様々な人が生まれた。

 

そしてEleven Studioが始まった春はいつしか過ぎ去り、大波乱の夏も終わり秋が始まった。

 

 

 

リンユウは帰って来なかった。

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