ガチ恋勢の恋模様〜傍観者的に大変そうだなぁって思いましたまる〜 作:色月 茉夜
ガチまる第15話、投稿します。
「‥またその話か。もういいって」
僕が話を出した途端、表情が曇るバヤ。バヤからしたら自分を人間不信にしたのが配信者という立場だ。もう戻りたくないというのも本心だろう。
「バヤが本気で配信から離れたいなら僕もそれを尊重するよ。でも、あなた配信好きでしょ?」
「‥う」
言葉を詰まらせるバヤ。その様子から本当に配信が嫌いになったわけじゃないことが察せられる。
確かに最終的にはリスナーに裏切られたがそれまでの配信全てが悪い思い出だった訳がない。弾けなかった歌を弾けた時にはめちゃくちゃ嬉しそうだったし、感動したという声を聞いて喜んでいた。それに。
「きっとみんなバヤが帰ってくるのを待っているよ」
そう言って僕は喋ったーのツイートを見せる。
#リンユウ、というハッシュタグを付けて彼の歌やトークの切り抜きを載せてツイートしてくれている人がいっぱいいた。彼のリスナーも居たし、配信者仲間も居た。色んな人が彼の復帰を待ってるのだ。
と、僕のスマホが鳴る。メッセージを見て、ホントあの子はタイミングがいいなとニヤける。
「バヤ、ほいっ」
「え?うぉっとととっ!?い、いきなり自分のスマホ投げる奴がいるかよ!」
「いいから。ほら開いたやつ見てみなよ」
怪訝そうな顔で僕のスマホを見るバヤ。そこに書いてあるのはある人からのメッセージで。
ゆきり:ツマキぃ、もしユウの家に行くことがあったら行って欲しいことがある。
ツマキ:今ちょうどリンユウくんの家にいるよ。彼にスマホ渡すから直接話しな。
ゆきり:わかった。こんにちは、ユウ。あなたに渡すものがあるから送るね。
そう言ってゆきりんから送られてきたのは一つの画像そこには。
"リンユウ!また一緒にイベント出ような!待ってるぜ!"
"リンくん、ゆっくり休んでね。また絶対ギター聴かせてねっ!"
"リン元気にしてる?元気がない時はいっぱい歌ったら元気が出るよ。"
寄せ書きアプリで送られたたくさんの言葉だった。ひとつひとつがバヤへ、そしてリンユウの心に届く。
「うっ‥みんな優し過ぎるよな‥」
「あなたのリスナーだからじゃないの?優しいのは」
うっすらと涙を浮かべるバヤ。何度も何度も寄せ書きを読む。そんな彼を見て僕も口を開く。
「そりゃ裏切られたら悲しいし辛いし逃げ出したくなるよ。でも、あなたの帰りを待ってる人がいるうちは頑張ってみてもいいんじゃない?」
無責任に僕は言う。だって僕は配信に関してただの傍観者だ。もう彼の枠のリスナーじゃないし、僕からしたらバヤはただの親友だ。だから───決めるのはコイツだ。
「なぁ、ツマさん。みんなまた配信来てくれるかな?」
「さあ?僕にはわからん。まあ宣伝ツイートぐらいはしてやるよ」
「ははっ、よっしゃじゃあ夜までにばら撒いてくれ」
「‥あいよ」
ネットの世界は分からない。顔も知らない連中相手なんだから、裏切りも嘘も辛いことも悲しいことも沢山あるだろう。
だが。少なくとも。
「何歌うかなぁ〜?」
ギターを弾く彼の目は、ただただ楽しそうだった。