ガチ恋勢の恋模様〜傍観者的に大変そうだなぁって思いましたまる〜   作:色月 茉夜

20 / 31
こんばんにゃ。色月と申します。そうだ京都に行こう(滞在時間3時間)。でもラーメンは食べたい。京都行ってラーメンかいってツッコミは無しで。

ガチまる19話、投稿します。


第十九話 ある厨二病患者の暗鬼

そのゲームを始めたきっかけは本当に偶然だった。小学校でパソコンを使って調べ物をするという宿題が出たから、親父のPCを借りた。ケータイが当たり前になった現代っ子には簡単過ぎる宿題はあっという間に終わり、hetubeでも見ようかと思った時だった。一個のアイコンが目に止まった。

 

「これ、親父がいつもやっているゲームだよな?」

 

それは、魔物を狩ってレベルを上げてギルドに入って魔王に挑むという王道のオンラインゲームだった。課金要素があるからか、血が流れる演出が子供の教育に悪いからか。まあともかく親の都合でさせてもらえなかったゲームだった。

 

親父は毎晩のように夜中まで、通話ソフトを繋げながらやっていた。あまりに騒ぎ過ぎて母さんに怒られていたこともあった。そう言えば新しいギルドメンバーが入ったとか言っていたな。名前は確か───そうだTsumaki。

 

こっそりと親父のアカウントでログインすると屈強な、俺からしたら悪趣味な装備を身に付けた親父のキャラクターが出る。ホームページで操作方法を調べながら動かしていると、ポロンと音が響きビクッとなる。驚いたわけじゃない、ただいきなりだったからびっくりしただけだ。

 

Tsumaki:あれ、Osaさん?こんな時間に珍しいですね。

 

チャット欄に表示されるメッセージ。勝手にログインしたのがバレたら怒られると、慌ててチャットの打ち方を調べる。

 

Osa:おz1まkさk9kま

Tsumaki:‥は?

 

‥言い訳をさせて欲しい。学校のパソコンに比べて親父のPCはキーボードのタップに違和感あって打ちにくいし、なんかピカピカ光って気が散る。だから、俺がタップミスしても仕方ない。

 

Tsumaki:‥もしかして乗っ取り?運営さんに言うべき?

 

そのメッセージに慌てて文字を打つ。このままじゃ父親のアカウントが停止されて、勝手にゲームしたどころじゃないほど怒られる。

 

Osa:ちがうんだこれはおれのちちおやのあかうんとなんだ

 

慌てたため変換すらできず、ひらがなのみの文章を送る。返事が来ず、漢字で同じ文章を打ち直していた時、彼からの返事が来た。

 

Tsumaki:えっと、"違うんだこれは俺の父親のアカウントなんだ"でいい?

 

伝わったことに急いで書き掛けの文章を消す。

 

Osa:ああ!

Tsumaki:なるほど、あなたはOsaさんの息子さんってことか

 

息子じゃなくて娘なんだけど、と思った瞬間いつものように"俺"と打っていたことに気付く。訂正しようにも俺のタイピングの遅さじゃまた待たせてしまうだろう。

 

それにしても信じてくれるとは思わなかった。意外とその‥バカなんだろうか、この人は。

 

Tsumaki:そっかそっか息子ねぇ‥‥え、息子?

 

と、彼の言葉が不審になる。なんだ、俺が息子だと何か変なのか。

 

Tsumaki:あのー、息子くん?聞いてもいい?

Tsumaki:Osaさんって‥おじさんなの?

Osa:え。

 

そして俺は、親父のキャラが実は女性キャラなこと。ボイスチェンジャーを使って女性になり切っていたこと。語尾は"にゃ"で一人称は、"おさにゃん"なこと。

仲間には───"16歳のJK(巨乳)"を名乗っていたことを知ったのだった。

 

 

 

Tsumaki:ルカ、そっちよろしく!

Luca:おう!

 

彼からの出逢いから数ヶ月、俺は自分のPCで自分のアカウントを作ってこのゲームにログインしていた。簡単に言ったがものすごく大変な数ヶ月だった。

 

親父の痴態を知った後、俺は自分のPCが欲しいこと、そして彼が居るオンラインゲームをやりたいことを伝えた。

親父から告げられた条件は、全国一斉にやるテストで全国順位100位以内に入ること。正直あの時期は思い出したくもない。

 

まあその日々があったからこそ、俺は最新型のゲーミングPCで彼と遊べているのだが。

 

Luca:くらえっ!

Tsumaki:よっしゃあ!勝った!ルカGJ!

 

俺の必殺技で魔物は一斉に倒れる。飛び跳ねて喜ぶ彼に近付くと、2人でハイタッチのエモートをする。

 

Luca:はぁ、疲れた。

Tsumaki:体力ギリギリだったねぇ。ほら、ルカ。ヒールドリンク。

Luca:おう。さんきゅ。

 

ちなみに俺と彼はボイチャではなく、文字で会話している。正確には声を自動で文字に変換する機能を使っているのだが。だってほら、戦い中とかチャット打つ余裕ないし。まあ誤変換も多いから、今みたいに余裕がある時には自分で打っているのだが。

 

なぜこんな面倒なことしてるかというと、ある理由がある。それは。

 

Tsumaki:ん、手紙?えっと‥あ、ルカ。Osaさん‥お父さんがギルドのみんなで狩りにいかないかだって。

Luca:えー、猫耳猫語のネカマ親父とかよ。

Tsumaki:そういうなって。ギルマスだし‥あなたあの人の息子でしょ。

 

そう、彼が俺のことを───男だと思っているからだ。訂正するタイミングが無かったわけではない。だが、性差が無く関わってくれる感じが心地よくて言いそびれてしまった。

 

Luca:げ、俺にも送ってきやがった。

Tsumaki:よし、休んだら行こっか。

Luca:仕方ないか、よし行くかツー。

Tsumaki:あいよ、ルカ。

 

勘違いしないで欲しいのだが、俺たちに恋愛はない。親友でもリアルの繋がりでもない。ただ単純に、仲良い2人。そんな普通の物語だ。




Luca
本名:西川悠
年齢:9歳(小学4年生)
アバター:黒髪の爽やかメガネイケメン
使用武器:狼神の弓(ツマキに作ってもらった)
備考:初めて1ヶ月でまだレベルが低いため初期ダンジョンでレベリングしている。若さパワーでチャットと操作は1日で覚えた。

Tsumaki
本名:飛川真月
年齢:20歳(大学3年生)
アバター:白髪のじじい
使用武器:氷撃の杖(自作)
備考:始めて3ヶ月の新人抜けたて。戦いよりも制作の方が好きなので戦闘経験はあまり高くない。制作スキルはギルド内ダントツ。

Osa
本名:西川 春彦
年齢:35歳(会社員)
アバター:めっちゃかっこいい(自称)激ダサ(他称)鎧を着た猫耳少女
使用武器:死神屠剣(SSSRの宝箱報酬)
備考:猫耳の中身おっさん。語尾が"にゃ"の中身おっさん。ストゼロを愛飲する中身おっさん。ギルマス。ついでにLucaのリアルパパ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。