ガチ恋勢の恋模様〜傍観者的に大変そうだなぁって思いましたまる〜 作:色月 茉夜
ガチまる22話、投稿します。
舞香とのイチャイチャ(?)を済ませたところで、いよいよ届いた段ボールを開ける。中にはタッパや使い捨てのケースが入っていた。
「おぉ、すごい量。はい、バヤ」
「ん」
ケースを出してはバヤに渡してテーブルに並べてもらうのを繰り返す。
『タッパのは唐揚げとか焼きそばだから温めてね』
ようやく落ち着いたらしい舞香がそう言う。ちなみにカメラはONしているが画面は僕の方に向けている。舞香の中の妥協点がそこだったらしい。まあ首を伸ばせばバヤからも見える角度なんだけどね。
「はいよー。バヤよろしく」
「おう、ついでにメシ持ってくるわ」
そう言って両手にタッパを持って部屋を出て行くバヤ。すると画面の方から大きなため息が聞こえた。
『はぁぁ、疲れたぁ』
「お疲れ。少しは慣れた?」
『‥誰かさんが意地悪してくれたからちょっとだけね』
「それはなにより」
実際顔こそ合わせてないがバヤとも普通に話せてはいた気がする。荒療治ではあるが少しでも早くバヤと顔を見て話せるようになって欲しいとは思う。
「おまふぁせー」
「バヤ、ありがと‥っておい」
戻って来たバヤだったが、なぜか口をモゴモゴとさせていた。いやなぜかって言うか、いい匂いがするタッパを見れば察しがつく。
「なんだよ。唐揚げなんて食べてないぞ?」
「誰も唐揚げとは言ってないよ。で、お味は?」
「さいっこう!」
「舞香、この人逮捕していい?」
『ゆーすけは唐揚げ抜き』
「なんで!?」
「『当たり前だ(でしょ)』」
唐揚げを僕の手前に置いてバヤから遠ざけつつ、目の前に並んだものを見る。
「こりゃすごいねぇ。ご馳走だ」
「なぁ、もう食べていいか?朝ご飯食べてないから腹減ってさ」
「はいはい。じゃあ舞香」
『‥ん』
僕が両手を合わせると、気付いたバヤも追従する。
「「いただきます」」
『‥どうぞ』
挨拶を終え僕は真っ先に唐揚げに手を伸ばす。
「んっ、おいしい。舞香料理上手だね」
『‥ありがと』
照れているのか小さく呟く舞香。ニンニク醤油の香ばしい風味がご飯によく合う。
「これはサーモンマリネかな?すごいな、こんなのまでできるんだ」
『別に簡単だよ』
「24歳独身男性の料理スキルをなめるんじゃないよ。目玉焼きが精一杯だ」
『‥ふふ』
一個一個しっかり味の感想を伝える僕だったが我が友人は。
「ん?なんだツマさん」
「勢いよく食べているところ悪いけどそろそろ感想のひとつは言おうか」
いつの間にかバヤの目の前のおかずは半分以上が減っていて、ご飯も2杯目になっていた。ちょ、その卵焼き僕まだ食べてないんだけど。
「んー?味の感想ねぇ‥じゃあ舞香さん」
『なぁに?』
「めっちゃうまいっ!!!」
それは感想というにはあまりに子供染みていて具体性にも欠けて。
『‥そっか』
だが───恋する少女には最高の感想だったらしい。彼に見えない角度で真っ赤な顔して微笑む舞香。
ずるいなぁ、僕が頑張って取った舞香の笑顔を簡単に取っていきやがって。
そんな呟きは心の中にしまい、僕も料理を口に運ぶのだった。