偽物の仮面と真実のアイ   作:ななち

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やはりイチャイチャ……イチャイチャは全てを解決する……!

前回を書いて上昇負荷を受けた身体が治りました。

(|)<「暖かく見守りましょう」


☆10話

 

 "劇団ララライ"のワークショップでの日々は、おおよそ2カ月ぐらいで終わった。

 もうちょっと"演技"を学びたかったなーと思ったけど、元々劇団に所属する、というよりは今後の為の縁結びの意味合いが強いってマナトが言ってたから、まぁ仕方ないのかなって思う。

 えーと……大地さん? も「次に来るときは、俺が脚本した演劇に参加してもらうぞ」って笑ってたし。ちょっと楽しみにしてる。

 

 

「お風呂あがったよー」

 

 

 ここ最近は、マナトに甘えてない。佐藤社長が「マナトがいないとマジで何にも出来なくなるぞ」って口うるさく言ってくるから、自分の事は自分でやるようになった。

 最初は毎日甘えていたのが、週六日になって、二年経ってようやく週五日に減らした所なのだ。ペース的には大成功だと思う。これ以上減らすのは無理かもしれないけど。

 

 リビングに入ると、ソファに座ってスマートフォンを弄っているマナトの姿が目に入る。

 珍しいな、って思った。家にいる時で、家事や掃除をしてない時のマナトは本を読んでる事がほとんどだから。エゴサとかも全然やってないみたいだし。

 ちなみに私はエゴサは結構やるタイプ。検索の過去一覧のトップは「マナト かっこいい」だ。

 

 確か今日は佐藤社長もミサエさんも仕事の付き合いで遅くなるって言ってたから、今は家にマナトと二人きりだ。普段から遠慮なんてしてないけど、ちょっと大胆になってみよう。

 

 

「なーに見てるの?」

「っと……」

 

 

 ソファ越しに後ろから抱き着いてみる。ふわりとしたマナトの甘い匂いが、私の鼻をくすぐる……なーんでこんな甘い匂いするんだろ。私専用の麻薬成分でもあったりするのかな? 

 ……っていうか、マナト大きくなったなぁ。昔は私と同じぐらい線が細かったのに、今じゃ少し首が痛くなるぐらい背が高くなったし、がっしりしてるし。細マッチョっていうんだっけ、こういうの。腕とかいい筋肉付いてるし……わ、腹筋割れてる。

 

 

「アイ、さん……っ! くすぐったいんですが……!」

「あ、ごめん」

 

 

 しまったしまった、つい遠慮なしに触っちゃった……いや、同じベッドで寝てるから、私は毎日触られてるようなものだし許されるはず。

 マナトの肩に顎を乗せて、手元のスマートフォンの画面を覗き込む。そこには、"HOME SHOP"という……多分、不動産関連のホームページが表示されていた。間取りとか、家賃情報が書かれてるし合ってると思う。

 なんでこんなの見てるんだろ、って疑問符が浮かぶ。そんな私の様子で察したのか、マナトが困ったように笑った。

 

 

「まだ先の話かもしれませんが、私も18歳になります」

「うん」

「それを機に、斉藤社長の家を出ようと思ってます」

「……うん?」

 

 

 家を出る。でる。デル。アウト? 

「まぁ、こういうサイトに載ってる所には引っ越さないでしょうけど」とマナトが言ってるけど、頭に入ってこなかった。

 えーそっかー。家出ちゃうのかー。そっかー。

 

 

「んーじゃあ、私の荷物も整理しないとだね」

「…………………………そうですね」

 

 

 ? なんかマナトの返事にすっごい間があったような。そんなおかしな事言ったかな。

 

 

「どうして出るの?」

「施設で言うなら、満18歳がいられる限度ですから。それに──」

「それに?」

「……あの部屋は、本来であれば斉藤社長のお子さんが住む予定の部屋ですから」

 

 

 ……んー、そもそも子供作る気あるのかな、あの二人。ミサエさんとか「美少年と仕事したい」ってブツブツ言ってた気がするんだけど。

 にしても、家を出るのかぁ。うーん。

 

 

「2LDKは欲しいねー、私とマナトの部屋欲しいし」

「ああ、確かにそうですね……うん?」

 

 

 私とマナトの部屋と、いつか増える"家族"の部屋。あ、でもそしたら3LDKの方が良いかな。どれぐらい増えるか分からないし。

 

 ……こうやって、当たり前に考えちゃうぐらい、私はマナトに依存してるんだなって自覚する。言葉にするなら……愛してるって言葉になるのかな。

 でも、私はそれをマナトには言えない。言えてない。だって、それがホントか嘘か、分からないから。

 

 アイドルになって、"B小町"の皆と一緒に踊って、愛してるってファンに伝えて、ファンに愛してるって言ってもらって。でもその度に、私の中で──お母さんに捨てられた私が囁くんだ。

 

 

 愛してる──────本当に? 

 

 

 愛してる──────嘘じゃないの? 

 

 

 自分の言葉にも、ファンの言葉にも……マナトの言葉にも。笑顔の裏で、ずっと疑ってる私がいるんだ。

 いつか、本心で言ってみたい。心の底から、皆に愛してるって言ってみたい。きっと、そうしたら。

 

 

「ほっ!」

「っと……アイさん、危ないですよ」

「えへへ、大丈夫大丈夫」

 

 

 ソファを飛び越えて、マナトの隣に着席する。そのまま横になって、膝に頭を乗せた。膝枕、結構久しぶりにしてもらうかも。

 マナトがスマートフォンを仕舞って、私の頭を撫でてくる。何も言わなくても、私が一番してほしい事をしてくれる。

 

 

「ねー……マナトぉ……」

「なんですか、アイさん」

 

 

 マナトの声が遠くなっていく。なんでこんなに、安心できるんだろう。きっと、君が私から離れないって分かってるからかな。

 

 あの日、君は私に"家族"になろうって言ってくれた。互いに愛する心があれば、"家族"になれるんだって。

 

 ……本当に、嬉しかったなぁ。どれだけ嬉しかったか、君に分かる? 

 

 ……でも、私はまだ君に愛を返せてない。

 

 だから、だからね──

 

 

「……私、君と……"家族"になりたいなぁ……」

「……!」

 

 

 頭がふわふわしてくる。瞼が重いや。ちょっと眠るには早いけど、もうこの心地良さに任せちゃいたい。きっと、明日にはマナトの腕の中で起きる事になるんだろうなぁ。

 

 

 

「…………アナタがそう望むのなら……()は……」

 

 

 

 おやすみなさい、マナト。

 

 





弊小説のアイはマナトというSECOMとカウンセリングを同時にこなすスパダリがいるので、悪い男に引っ掛かりません。

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