偽物の仮面と真実のアイ   作:ななち

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上昇負荷(イチャイチャ不足)により人間性を失った作者

スッ ベリベリ ボンッ

(|)<「どこにも行ったりしません。あなたの愛があれば、私は不滅です」


内なる黎明卿を呼び起こす為に、アニメ再視聴してました。情緒が死にました。頑張ります。


☆21話

 

 ……私は、もしかしたら今。人生で一番選択を悩んでいるのかもしれない。

 ベッドの上に広げられた洋服。片っ端からクローゼットから出したソレを眺めて、コーデを頭の中で組み合わせて、一体どれが一番可愛く見えるのかを考えてる。

 それもこれも、マナトが突然あんな事を言ったからだ。

 

 

 ――――……デートしましょうか。

 

 

 デート。逢引き。最初は聞き間違えかと思ったけど、もう一回聞いたら同じ事を言われたので間違いじゃなかった。

 

 ……デート。えっ、デート――デート!?

 いやでも、私達"家族"だし……"恋人"ってわけじゃないし……ん、あれ。でももう"恋人"より進んでない? 一線超えかけてるし。

 

 そりゃ、ずっと側にいてほしいとか、一緒にお風呂とか一緒に寝ようとか、"家族"になってほしいとか、いっぱい思ったし言ったしやったけど!

 いざデートって言われると、なんか意識しちゃう! デートって何着ていけばいいんだろう!?

 

 

「どうしよ……」

 

 

 待ち合わせ時間まであと1時間を切ってる。

 一緒の家に住んでるんだし、一緒に行けば良いんじゃないかって最初は思ったんだけど「デートは待ち合わせからやりませんか」って言ってマナトは先に出ちゃった。

 ……マナトの好みの服装……ダメだ、いっつも「アイさんは可愛いですね」って言ってるからどれが好みか分からない!

 

 

 「……こういう時は!」

 

 

 頼るべきは友人! 並べた服の写真撮って、"B小町"のLINEグループに投下! えーと、"マナトとデート行くことになったんだけど、どれ着ていけばいいと思う?"っと……既読一気についた。もしかして皆暇してる?

 

 ミネちゃんから返信。"どれでも良いじゃない。あなた基本全部似合うんだから"。うん、ありがとう。でも今聞きたいのはそういう事じゃない……!

 ニノちゃんは……"お腹締め付けない服装がいいよ~"。それ、多分お腹いっぱい食べる事想定してるよね。

 ナベちゃんからは……"決め手は下着から。透けてる黒の下着"――そんなの持ってないって!

 あと、皆全然"マナトとデートに行く"について触れないね!?

 

 そういえば、"B小町"のメンバーってそういう浮いた話全然ない子ばっかだった。いや、アイドルやってて浮いた話あっちゃダメなんだけど。

 ……私は、ほら。"家族"だし。戸籍上は、一応兄妹だし。

 

 

 ……王道なのはガーリー系かな。いや、でもなんか意識しすぎてるって思われない?

 一応だけど変装で帽子と眼鏡付けるし、それに合わせてユニセックス系とか……ううん、でもそれだといつもと大して変わらないし。

 あえてスポーティーな感じで攻める……攻めるって何? 闘いに行くの、私?

 

 

「き……決まんない……!」

 

 

 迷ってる内にも時間はどんどん過ぎてく。チクタクっていう時計の音が、余計に私を焦らせていく。

 流石にこれ以上迷ってらんない……! 初デートで遅刻とか、印象が悪すぎる! マナトがそれでどうこう言わない事はわかってるけど!

 

 

「…………よし」

 

 

 そうして私が手に取ったのは……黒の下着。うん、透けちゃいないけど、持ってはいる。

 ……なんか脱がされる事想定してるよね、このチョイス。どうしよ。

 

 前はこう……勢いで致しちゃいそうになったけど。いざ、色々と意識させられると、顔が熱くなっていくのが分かる。あの時の私、すごい事しそうになってたんだなぁ。

 

 

「ふー……」

 

 

 覚悟を決めろ、星野アイ。そういう事になるかはともかく、気合を入れるのは別に悪くない……はず。

 頭の中でコーデも固まった。今日の勝負服は、これだ――!

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 少し胸元の開いた襟なしのシャツ。オーバーサイズ気味の夏用のコート。ちょっと大胆に脚が出るデニムのアシメ系ショートパンツと、メッシュベルト。足元は白のスニーカー。

 16歳の誕生日にマナトから貰ったラピスラズリのネックレスを着ける。あとは小物を入れる用の手提げバッグと、帽子と少し色の入った眼鏡を掛けて、完成。よし。

 

 ……アイドルやってると、周囲からの視線も大体わかるようになる。自分のルックスの良さも自覚してるし、今日は気合入れてるのもあって一段と可愛い私になってるだろうから、視線の数も多い……あ、彼女さんっぽい人に腕抓られてる人いた。

 

 昼下がりって事もあってか、人通りの多い駅前のロータリーを抜けて、隣に建ってる商業施設の中に入る。確か待ち合わせ場所のカフェは……あった。

 ドアベルの音と一緒に、冷たい空気が私を包む。外が暑いから天国。

 

 

「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」

「あ、待ち合わせなんです」

 

 

 店員さんにちょっとだけ会釈して、店内を見回す。マナトの事だから、本でも読んで待ってるはず――いた、角の机。

 近づくと、マナトも私に気付いたのか、慣れた手つきで本に栞を挟んでバッグに仕舞った。

 

 

「ごめん、時間ギリギリになっちゃった」

「大丈夫ですよ。暑かったでしょう、何か頼みますか?」

「んー……じゃあ、アイスカフェオレ」

 

 

 ちょっと涼みたい気分なのは間違いない。お冷を持ってきてくれた店員さんに注文して、アイスカフェオレの到着を待つ間、マナトの姿を眺めてみる。

 ……こうして見ると、王子様系だよねマナト。シンプルなジャケットとシャツとパンツだけなのに、なんか滲み出てる雰囲気がソレっぽい。

 

 

「……何かついてますか?」

「ううん、かっこいいなーって思っただけ」

「……?」

 

 

 首を傾げられた。多分、どこを見てかっこいいと言われたのか分かってない。私も思った事をそのまま言ったから、具体的に説明を求められても困るけど。

 店員さんが持ってきたアイスカフェオレを、ストローで吸い上げる。口の中に広がる苦味と甘みで、ようやく一息付けた気がした。

 

 今回のデートについては、プランはマナトが練ってくれた。だから私もどこに行くのか、とか聞いてない。一緒に考えるのも良いかなーと思ったんだけど、マナトが考えるデートコースも楽しみだったから全部お任せ。

 

 

「この後どこ行くの?」

「ええ、ここに行こうかと思ってます」

 

 

 そう言ってマナトが差しだしてきたのは、2枚のチケット。デフォルメされたイルカがプリントされている。

 

 

「水族館?」

「はい。お互い、行ったことないな、と思いまして」

 

 

 ……そういえば、マナトとこういうレジャー施設的な場所に行ったことってなかった気がする。施設にいた頃は、経済力的にそもそもそんな所行けなかったし、アイドルと役者になってからは、お互いにレッスンとか仕事とかで予定合わない事も多かったし。

 そもそも、そういう雰囲気になった事……無かったなぁ。なんか、遊びに行くーとかじゃなくて、隣にいるだけでお互いに満足しちゃってた感じがする……いや、満足してるんだけど。

 

 に、しても水族館かぁ。マナトが机に出したチケットを手に取って、ちょっとスマフォで調べてみる……距離的にも結構近めで、デートスポットとして有名な場所だった。

 

 

「へー、イルカショーとかやってるんだ」

「餌やりコーナーもありますね」

「おおー……なんか面白そう」

 

 

 すごいデートっぽい会話をしている気がする。いや、デートなんだけど……世間一般的な男女の距離感ってこんな感じなのかなぁ? うーん。

 

 カフェオレを飲み干す。カラン、って氷が溶けてグラスに当たった音がした。

 

 

「それじゃ、そろそろ行きましょうか」

「うん」

 

 

 そう言って伝票を手に取ったマナトが席を立った。それを追いかけて、カフェオレいくらだったかなーと思いながら財布を取り出そうとしてたら、サクッと纏めて会計されちゃった。むぅ、出そうと思ってたのに。

 

 

「別に出したのに」

「ハハ、じゃあ次回のデートでお願いします」

 

 

 次のデート、かぁ。そうだよね、1回で終わりなんて勿体ないもんね。

 

 ドアベルが鳴る。外に出ると、顔に叩きつけるような熱気が襲ってくる。今日は過ごしやすい天気って予報では言ってたけど、冷房効いてる所から出るとやっぱり暑い。

 夏休みだからか、人も多いなぁ。学生とか、親子連れが多いのかな。もしはぐれちゃったら、探すの大変そうだなぁ……とか思ってたら。

 

 

「はい、アイさん。はぐれるといけないので」

 

 

 そう言って、マナトが手を差し伸べてきた。そっか、手を繋いでおけば問題ないよねってその手を取ろうとして――少し緊張してる自分がいる事に、驚いた。

 えっと、手汗とか大丈夫かな。というかハグとかキスとかやってきたのに、なんで私、手を繋ぐぐらいで緊張してるんだろ。

 

 ためらいがちに伸ばした私の手を、マナトが優しく握る。うー、なんか私ばっか緊張してるみたいで恥ずかしい。

 ……っていうか、なんかマナト手馴れてない? 歩幅合わせてくれるし、正面から人が来たらさりげなく庇おうとしてくれるし。もしかして経験アリ――いや、ないない。ない……よね?

 

 ちらりとマナトの横顔を盗み見る。いつもの余裕そうな笑顔。別に自分でリードしたいってわけじゃないけど、なんかこう……手玉に取られてるみたい――――?

 

 

 

 ………………んん? あれ?

 

 

 

 ………………マナト、耳、赤くない?

 

 

 

 

 

「…………えいっ」

「っ!? ……アイさん?」

 

 

 優しく握られてた手をほどいて、指を絡ませてみる。恋人繋ぎってやつ。あと、密着するようにちょっと胸元に引き寄せる感じで距離を縮めて……分かりやすいぐらい動揺してるね、マナト。

 へー、ふーん、なーんだ、そうなんだ。マナトも緊張してるじゃん。余裕でーすって顔するの上手いなぁ。今からでもアイドルになれるよ。

 

 

 ……可愛いなぁもう!

 

 

「えへへ、早く行こ行こ!」

「ちょ、アイさん? 引っ張らないでください……!」

 

 

 やだよー、だ。えへへ、なんか胸がポカポカするなぁ。

 こんなところ、写真撮られたりしたら大騒ぎになるかな。うーん、超仲の良い兄妹って事で押し通すしかないか。ま、いいや!

 

 今日は楽しもう! マナトと()()に!

 

 





一皮むけば、たんなる16歳と18歳。

そろそろキャラ崩壊タグ入れた方が良いんじゃないかって思い始めてます。
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