ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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【最終章その1】

ロウ・スィの研究所は設備の手入れや掃除が行き渡っているだけでなく、地図もとても丁寧だ。

 「この先、呪いエネルギー研究室」と各国の言語で書かれた案内に従い、一刻も早くこのバカ騒ぎを終わらせようと熱斗達は走る。

 

 おかげで大した時間も掛けずに「呪いエネルギー研究室」に到着。電子ロックはされていなかったらしく、センサーが反応して自動で開く。

 

 大きなサーバーとモニターが幾つも並び、ガラスドームで覆われた小さな湖が点在する広い空間。

 その中心部であろう大きなモニターとサーバーの前に、一人の少年が彼らを待ち構えていた。

 

「え、炎山?」

 

「……」

 

 なんとなく察した一同を代表して熱斗が歩み寄ると、察せられていると理解した炎山は無表情のまま顎でプラグインを指す。

 不気味なまでに無言と無表情を貫く炎山を見て確信した……してしまった熱斗はPET画面で複雑そうな顔をしているロックちゃんと頷き合ってモニターに接続。

 

 遅れてデカオ達もモニターの前に集まると、研究サーバーの電脳エリアにプラグインたロックちゃんを待ち受けていたネットナビを目撃し……目を丸くする。

 

『オレだ』

 

「『ウソだろブルース!?』」

 

 敢えて驚愕し叫ぶ光兄弟。しかし驚愕したのには理由がある。

 

 風もないのに靡く美しい銀髪!

 

 見事な曲線を描くボディライン!

 

 そして増強された胸部装甲!

 

 何故かアニメ表現のようにキラキラと輝く、そりゃもう美しい女体化ブルースだったからだ!

 

 

 

―――

 

バトルネットワーク・ロックちゃん!?

~老師求めてチョンナ一周!~

 

最終章「後片付けはバカ騒ぎの後で」

 

―――

 

 

 

「アカン……胸がキュンってなったわ」

 

「トラキチさん!?」

 

「その気持ち解るわ……世界が嫉妬する、モデルのような美貌よ!」

 

「ス、ストンナちゃんの方が可愛いでちゅもん」

 

「素直になっちまえよチサオ、ロックちゃん以上の美人さんだってな」

 

 オフィシャルが動けず、先に一人で到着したはずの炎山が未だに黒幕を倒していない。

 トンチキがトンチキを重ねる珍事を体感したこともあり、ブルースが呪いに掛かって混乱しているんだろうなーとは察していた。

 そして蓋を開けて見れば、幼馴染組+1が思わず惚れてしまうかのような美女になっていたと。

 

「どうして炎山とブルースがこんなことに」

 

「……ブルースに呪いをぶつける為に、50名の悪党ナビ共が命がけかつ見事な連携プレーでオフィシャルに突撃してきたんだ」

 

『えぇ……』

 

 光熱斗とロックちゃんが唖然としているが、気にせず炎山の脳裏にあの時の光景を映し出す。

 

 まるで死地に飛び込むシャーロ軍人のように勇敢に突入するチンピラどもが、ブルースを女体化させた瞬間に世紀末のヒャッハー共の如く狂喜乱舞し、最後は美女ブルースにデリートされたのだった……恍惚の表情で感謝しながら。

 

 控えめに言ってシュールである。

 

「というわけでオレ達が最後の刺客だ。ここで退場してもらうぞ」

 

「なにが『というわけで』なんだよ、なにが!?」

 

「チョイナのお尋ねナビが一体、ハイパーストーム・Hの命令だ。呪いを治すワクチンを渡す代わりにお前らを足止めしろとな」

 

『オフィシャルのエースがなんであんなギャグキャラみたいな悪党の言う事聞いてるの!?』

 

 光熱斗最大のライバルにしてクールキャラである伊集院炎山が、オナラで相手を気絶させるようなネットナビの言う事を聞いていることが本当に信じられないが……理由はある。

 

『炎山さm』

 

「やめろ喋るなこっちを見るな!オレの性癖を壊さないでくれ!!」

 

 そう、それこそが応え。(ソウル)の叫びであった。

 

「炎山はああいう女性が好みなんやなぁ」

 

「炎山、オメーも意外と男の子してんなぁ。ボイン好きだったのかよ」

 

「そんな生暖かい目でオレを見るなトラキチにデカオ!」

 

 女体化に性癖を開きかけているという点を除けば、お堅い伊集院でも美人さんに弱いのだと共通意識が芽生えるのも無理はない。

 メイルとやいとの女性陣からのブーイングを他所に、取り乱す炎山の肩に手を乗せるトラキチとデカオだった。因みにチサオは本命一筋を貫くそう。

 

『これどうすればいいんだろう……』

 

「わからん……」

 

 ただでさえ精神的に疲れているのに、最強のライバルがこんな感じだなんてなんかイヤだ。

 

『仕方ない……ちょっとくすぐったいぞ』

 

 オレも本意ではないが戦わせればならない。ブルースへそう言って戸惑うロックちゃんに近寄り……。

 

ーもにゅん(ロックちゃんのナニを掴む音)

 

ーぼにゅん(ブルースちゃん自身のナニを掴む音)

 

『ーーーフッ』(勝者の笑み)

 

『ーーッ!?』(勝敗を理解した敗者の顔)

 

 その時ロックちゃんに電撃走る。

 

『熱斗くんオペレーションよろしく!』

 

「いやいやいや」

 

 ナニに対抗心燃やしているんだ兄さん、の意を込めて熱斗が言う。

 だが本ナビは至って真剣だった。呪いで女になった期間が長かったからか、勝ち誇って胸を揺らすブルースに敵意を向けまくっていた。

 

『手伝うわロックちゃん!』

 

「今のは私でも許さないんだから!」

 

「ロールにメイル!?」

 

 おおっとここで女の子コンビの参戦だ!ロール.EXE、トランスミッション!

 

『ありがとうロールちゃん! 卑怯とは言わせないぞブルース!』

 

『フッ……どうやらお荷物という訳ではなさそうだな。良いだろう』

 

「なんでノリノリでセクシーポーズとってんねんブルース」

 

「おいオメーのネットナビだろどうにかしろよ」

 

「……ちょくしできない」

 

「おちゃ美味しいでちゅ」

 

「ジャスミンったら良い茶葉くれたわねぇ」

 

 これが【女の戦い】と言うヤツか……疲れ果てた今の熱斗にはついていけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「心の疲れは人を狂わせるよねー」

 

 優しく熱斗の背を擦ってきたのは、これまた予想外な人物だった。

 

「……シュン!?」

 

 思わず後ずさるぐらいに熱斗は驚いた。

 突如として現れた少年……帯広シュンの素性を知らないデカオ達は首を傾げるが、現在はオフィシャル預かりの身となっている、元ネットマフィア「ゴスペル」の首領である。

 

「フリーズマン、やっちゃって」

 

『解りました、シュン』

 

 PETを接続し、シュンのネットナビであるフリーズマンをプラグイン。背後を取られ振り向くブルースの頭を掴む。

 

『な、何を!?』

 

『解呪プログラム、インストール』

 

 黙々と告げると、ブルースの体から煙が噴き出し、フリーズマン共々白い煙に包まれる。

 急展開に固まってしまうロックちゃん&ロールちゃん、そして熱斗達。しかしシュンだけは得意げに笑みを浮かべている。

 

 煙が晴れると、手を離したフリーズマンと……豊かな曲線が消えたブルースの姿が。

 

「ブルース、無事か!」

 

『は、はい……軽くなりました』

 

 元の性別に戻ったブルースを見て喜ぶ炎山。ここまで無邪気に喜ぶだなんて、よっぽど美女ブルースが堪えたんだろうなぁと熱斗達は思い……ある重大な事に気付く。

 

「シュンにフリーズマン、今のって!?」

 

「さっきロウ・スィ所長から借りたマスターキーで手に入った、ネットナビ用の解呪プログラムだよ。オフィシャルの申請でハッキングしたのは良いんだけど解除キーが必要で困ってたんだ」

 

「オフィシャルの申請?」

 

「女体化ブルースが目に毒過ぎるからなんとかしてくれってさ」

 

 ケタケタ笑うシュンに対し、一同はオフィシャルですら惑わせたのか……と美女ブルースの恐ろしさに複雑な思いを抱くのだった。

 実際、炎山は人目も気にせずPET内に戻ったブルースを慈しみの笑顔で見つめているし……「本当に戻って良かった」と言わんばかりに。きのどくなやつ。

 

「解除プログラムは使い切りだけど、後でロウ・スィ所長から新しいプログラムを作ってもらえばオッケーだね」

 

「あ、ありがとうシュン!」

 

「いいのいいの。アホみたいな理由で豹変する熱斗くんなんか見たくなかったし」

 

 ロックちゃんとブルースは手遅れだったけど、と言って再びケタケタ笑うシュン。

 

 今更ながら冷静に考えると、なんであんな事をしてしまったんだろうと、羞恥心で一杯になって顔を真っ赤にするロックちゃんとロール。女の嫉妬は時に魔獣に変えるのよ。

 

『さて、残るは……』

 

 恥ずかしがるロックちゃんを眺めてニヤニヤしてたフリーズマンが徐ろに振り返る。

 

 

 

 

『むぁーて待てぇい! 解呪プログラムなんて聞いぃーてないぞー!』

 

『私の夢とエロマンスの邪魔は許さんぞーい!』

 

『出来ればこのまま帰りたいんだが』

 

 

 満を持して登場、SYK三人衆!

 

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