ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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【最終章その3】

 対フォルテを想定しチョイナ科学省が極秘に開発した高性能自律型ネットナビ3体組「S・(サイ)Y・(ユー)(キー)三人衆(自称」。

 世界基準のカスタムネットナビを大きく上回る基本ステータスを誇り、フィジカル特化・複数属性攻撃・広域殲滅能力とそれぞれ大きな特徴を持っている。

 ステータスに重きを置き過ぎたせいで2体ほど頭脳(オツム)が悪くなったのが唯一にして最大の欠点かつ汚点なのだが、まぁそこは良いにしよう(良くない)。

 

 『ニョイボウ』による圧倒的リーチと剛腕によるパワーで相手をねじ伏せるバスターロッド・G。

 

 『ジュフ』という独自のユニットプログラムを介した多彩な属性攻撃で盤面を埋め尽くすメガウォーター・S。

 

 強烈な吸引と放出でどんなネットナビや置物でも自在に動かし、自身も『チョキンバコ』なる置物系バトルチップを配置して駆使するハイパーストーム・H。

 

 パワー・属性攻撃・行動妨害と、三つの特色を持つネットナビ相手にどう戦うのかといえば――

 

 

――プログラムアドバンス『ダブルヒーロー』による瞬殺である!

 

 

『凄いパワー、そしてスッキリ感だった……』

 

「バトルチップの引きも最適解、これが怒りの力ってヤツなのか?」

 

「怒りの感情だけでこれほどまでとは……暫く封印するぞ、ブルース」

 

『はい。我々には早すぎる力です』

 

『『シリアスモード中お邪魔しますが、しれっと激レアPA使ってんじゃないよ!!』』

 

 解き放たれた怒りのパワーに慄く熱斗達に向けてバスターロッド・Gとメガウォーター・Sが叫ぶ。ボロボロになっても叫ぶ気力はあるのだから恐ろしいタフネスである。

 

 『イアイフォーム』・『カスタムソード』・『バリアブルソード』のソード系高レアチップに加え『ロックマン』または『ブルース』のナビチップを使う事で発動できる、恐らくこの二人以外は使えないであろうPA『ダブルヒーロー』。

 光裕一郎の努力もあってロックマンをなんとかナビチップ化、炎山との友情の証として互いのナビチップをトレードし、このプログラムアドバンスが誕生したのだ。

 

『炎山なら兎も角、んなレアチップ3枚もどうやって手に入れたよ!?』

 

「ジャスミンの景品交換で貰った」

 

 どうせ近い内にレギュ落ちするしって放置して、それをジャスミンがパクって景品化したものであった!熱斗は欲しい景品を定めてからポイントを溜めるタイプ!

 

「こっちはこっちで片付いたぜ!」

 

「イカ殴りでちゅね」

 

「いやタコやっちゅーねん」

 

「殴ったのはブタだけどね(笑」

 

「やいとちゃん黒い黒い」

 

『ぶひぃ~ん……』

 

 ハイパーストーム・Hは呪い被害者3人組+女子2人組+バブルマンの計6人にボコボコにされているし。

 フォルテ並に強いので無双するのかと思いきや、そもそも癖が強すぎて真価を発揮しにくい系ネットナビだったらしい。

 

『ハァハァ、美少女ナビに襲われる悦び』

 

憤怒(フンヌ)ッ』

 

『ぶひぃ~』

 

 前言撤回、女の子(ロール)の踵落としを食らって悦ぶ変態なだけだった。

 

 かくしてボロボロとなったS・(サイ)Y・(ユー)(キー)三人衆は積み上げられるが。

 

『さぁ、呪い拡散プログラムを止めるんだ!』

 

『いやだもんね~イデデデデデ大王!?』

 

『往生際が悪いでガス! ワガハイらの呪いも解くでガスよ!』

 

『クケーっ!』

 

 キングマンちゃん様の圧し掛かり、パンダガッツマンのグリグリ、グライドシタッパーのクチバシ攻撃を受けても拒み続けるハイパーストーム・H。これでHP0にならないぐらいに高防御力なのがむかつく。

 

 呪いエネルギーを知っているのはハイパーストーム・Hだけなのでどうするか……あまりボコボコにしてデリートしちゃったら情報も手に入らなくなるし……そう悩んでいると。

 

「ここでワテ登場やで~」

 

 満を持してロウ・スィ所長が登場……何故かセグウェイに乗って。

 

「ロウ・スィさん、なんとかできるの?」

 

「伊達に呪いエネルギーを研究しとらんで。つーわけで、ホイ」

 

 セグウェイから降りたロウ・スィは熱斗達に近づき、彼らのPETに1枚の紙を張り付ける。

 そして両手を合わせ目を閉じ、ぶつぶつと呪文のようなものを唱え……暫くすると。

 

『うわ、わ?』

 

 ロックちゃんを皮切りにガッツマン・グライド・キングマンの身体から煙が吹き出し彼らを覆い尽くす。

 それでもロウ・スィは呪文を唱え続け……止めた頃になって煙が晴れていくと、4人はいつもの姿を取り戻した!

 

「ロックマン!」

 

『うわ、うわぁ……! 軽い、体が軽いよ熱斗くん!』

 

「良かったなぁガッツマン!」

 

『ガス~、やっぱワガハイはデカオ様が作ってくれたこのボディが好きでガス!』

 

『あぁ……短い間だったのに、いつものボディがこうも懐かしく感じるとは……クケッ』

 

「グライド、口癖残ってるわよ」

 

「やれやれ、一時はどないなるかと思ったでキングマンちゃん?」

 

『意地悪は止せトラキチよ……』

 

「ぎょほほほ、解呪成功やで~」

 

 三者三様で喜ぶ彼らを祝福する幼馴染達を前に、ロウ・スィは見た目に似合わず朗らかに笑う。

 そんな所でモニターから『ギャーッ!?』と叫び声が聞こえて何事かと振り向けば、画面にはいつの間にか元気になったハイパーストーム・Hが電波塔の前で唖然としていた。

 

『ちょ、ちょい待ちなシャイニング!? 拡散プログラムの呪いも消えとりますよ~!?』

 

「そらお経を唱えたんやから、それに関する呪いは全部消えたで。枯れた泉も含めてな」

 

「お経?」

 

 orz状態となったブタナビは放っておいて、ロウ・スィの言葉が気になって続きを促す。

 するとロウ・スィは神妙な顔を見て虚空を見上げる……その視線はどこか悲し気に見えた。

 

「あのな、このノロイテキイズミーは元は溺れて死んでもうたヤツらの怨念なんや。遥か昔になろうとも泉の水が枯れようとも、呪いっちゅうもんは弔う……つまり死者を思いやることをしない限りは残ってまうんや」

 

 ワテは成仏を促しただけやで、と付け足し。熱斗達、そして呪いの被害にあった電子生命体(ネットナビ)がその意味を知る。

 

「それならなんで研究してたんでちゅか?」

 

「……あの呪いはな、どんな生き物でも通用するんや。ニャンニーチュアンの呪いを受けたなら、ヨボヨボの爺さんでも、下半身が動かなくなった患者でも、たちどころに元気な若い娘に変身するで」

 

『けど延命になるわけじゃないわ。僅かな命でも元気よく過ごすことはできるけど』

 

 メディの言った事で熱斗とロックマンが連想したのは、重い心臓病を患った親友。今は手術で克服したが、彼のような重い病に蝕まれた人間にとって、この呪いは救いになれたかもしれない。

 

「せやけど研究も進まへんし、亡霊の怨念をそのままにするのはあまりに酷やと最近思うようになってなぁ……成仏させるための手段をアレコレ探しとったんや」

 

「その成果がさっきフリーズマンが使った解呪プログラムさ。一般人でも呪泉郷の呪いを解けるようにね」

 

『ワタシには解らないが、ロウ・スィのように経を唱えれば一発で解けるようだがね』

 

 帯広シュンとフリーズマンが肩を竦める。呪い……死者の無念が全て晴れた今、解呪プログラムもお役御免となったが為に。

 

「死んだ者への弔い……か」

 

「後でお供えでもしとくか?」

 

「タラコ唇の坊主の言う通りにしとき、供えといて損はないで」

 

「誰がタラコ唇だ!」

 

 遠い目をしていた熱斗達だが、ロウ・スィとデカオの漫才で一気に空気が変わり、笑いに包まれた。

 短いようで長い時間だったが……時々は死んだ者を思い出してお参りやらなきゃなと、熱斗は思った。

 

 

 

 

 

『……あーっ!? 3バカがいないでガス!?』

 

『しまった空気に流されて見逃してた!』

 

『くっ……オフィシャルネットナビとしてなんという失態……!』

 

『けどニョタイカに比べたら~?』

 

『まぁマシだな』

 

『それでいいんプクかブルース……』

 

『ねぇフリーズマン、居たのなら凍らせるなりしておけばよかったんじゃ?』

 

『関わりたくなかったから放置してしまった。すまんな』

 

『この冷静さ正しくフリーズマン』

 

 そもそも捕まえてもまた逃がしそうだし、とは後のオフィシャルネットバトラー達の総意である。

 

 

 

――

 

 こうして事態はようやっと終結。DNNにも協力を仰ぎ、呪いのナビカスパーツはお祓いされたことで今後影響は出ないと公表された。

 中には元に戻ったロックマンに悔し涙を浮かべるネットナビも居たが、概ねロックマンの復帰は喜ばれた。オフィシャルに至っては元に戻ったブルースを盛大に祝ったほどだ。

 

 加担者になりかけたストンナはプリンセス・プライドとキロクラム夫妻にこってり叱られクリームランドが責任を持ってテレビの前で謝罪。

 ストンナの性格を知る多くのファン達はある意味で納得し、罰則であるオヤツ抜きの期間を延長したことで手打ちとした。これも罰だストンナよ。

 

 逃げられたチョイナ三バカについては今も逃走中。ウラインターネットの一部のヒールナビまでもが協力を申し出たほどだし、懸命になって捜索している。

 次に出るときはまたトンチキイベントが起こるんだろうな……と思う幼馴染+1組であった。できれば関わりたくないけど関わらざるを得ないんだろうなあの3バカと。

 

 そんなこんなで落ち着いた所でチョイナからニホンへ帰還、イチャイチャ楽しんでツヤツヤになった光夫妻に暖かく迎え入れられて夜となり……。

 

「……なぁロックマン。思ったんだけどな」

 

『なんだい熱斗くん?』

 

 

 

 

 

「あの間ロックマンは彩斗兄さんじゃなくて彩斗姉さん(・・・)になってたんだよな」

 

 

 

 

 

 

『……わ、悪い冗談は止してよ熱斗くん……もう寝たら?』

 

「おー。おやすみロックマン」

 

『お休み熱斗くん……』

 

 この時ロックマンは思った……そういえば熱斗くんはロックマンを男として見てくれたが彩斗の時はどう見たんだろうか、と。

 

 それを聞く勇気がロックマンには無かった、どっとは~ら~い~……。

 

 

 

―完―




やっとオマケ編が終わりました。どうしてここまでかかったんだろうと我ながら思います(汗

近い内、エグゼ4編へ向けて活動報告にて募集がございます。
エグゼ4編に関するアレコレも記載する予定でございます。お待ちください。
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