・サブタイトルは【雨垂れ石を穿つ】
・魔改造コンセプトは【ロックマンDASH2再現】
・組み合わせコンセプトは【チビッ子コンビ】
上文テルオは最近密かに話題になっているクリームランド在住のネットバトラー、ストンナ・キロクラムを嫌っていた。
紹介動画によれば彼女は齢8歳で防衛プログラムの研究に携わり、クリームランドの科学者として活躍。独自に防衛ウィルスを開発して使役、世界的に有名になった動画投稿サイト【WorldTube】を発案し(流石に開発したのはクリームランド企業だが)、スタンダード専門だがバトルチップ職人でもある。
裕福な科学者の両親を持ち、クリームランドの王女だけでなく国民の信頼も厚い……大企業の会長を祖父に持つテルオにとって、ストンナという少女は嫉妬の対象でしかなかった。
そんなテルオにチャンスが訪れた。
事の発端は、ナビを持ったストンナがA級ライセンスに合格し、ニホンのネットワークに姿を現し色々なネットバトラーにバトルを挑んでいるという噂を耳にした時。
天才と名高き少女と言えどナビを持って間もない初心者。勝敗は耳にしていないが、どうせ大した腕前でもないだろうとスパークマンを駆り出してそいつの元へ向かわせた。
そしてストンナ・キロクラムのネットナビを見て―――テルオとスパークマンは自分たちの勝利を確信した。
『まさかテメェがストンナのナビになったとはナァ―――良い身分じゃネェかバブルマンよォ!』
『プ、プクぅ……っ!』
スパークマンがちょっと威圧しただけで竦み上がって後退る小柄なナビ、バブルマン。
かつてテルオとスパークマンは、独りぼっちだった自立型ネットナビのバブルマンと会った事がある。だが第三者から見ればとても陰湿な物で、自身が有利な電気属性だったこともあってバブルマンを散々イジメていたのだ。
『むむむ、知り合い……という割にはガラが悪い方々です。電気属性だからってイキりすぎは良くないのです』
電脳内に現れるウィンドウ画面には、バブルマンのオペレーターであるストンナの無表情な顔が映し出される。バブルマンはそそくさとその画面の裏に回り込んで隠れだした。それが情けない上に可笑しくてテルオはカラカラと笑う。
「ははは! こんな泣き虫をナビにするとか、クリームランドの天才ってのはお飾りかぁ?」
『むっ……確かにビビりですが別に可笑しい所はないのです。可愛いじゃないですか』
『か、カワイイっていうなプク! ポクは仕方なくお前のナビになってやったんだプク!』
『ですです、バブルマンにお願いして改造もさせてもらったですし』
画面に向かってプンスコ怒るバブルマンと、無表情のまま頷くストンナ。
まさにガキの馴れあいそのもの。ますますテルオとスパークマンの笑いを誘い、普段の仲の悪さが嘘のように笑い声がシンクロした。
『ハンッ、そんなチビナビに電気属性のオレが負けるたぁ思えねえナ!』
「ごめんなさい勝てません見逃してください~って謝ったらバトルを止めてやってもいいぜ~?」
調子に乗ったテルオの挑発に腹を立てるも、威圧するスパークマンが怖くて前に出れないバブルマン。
怖さの余り涙が浮かぶが、画面内のストンナは―――。
『ぷひひ、悪口も三流なら頭も三流なのです。ゲラゲラバチバチ言ってて疲れないです?もーちょっと節度ってのを持たないと逆に舐められるですよ乾電池マンに泣き言ヤロー。そういう事言えるってことは言われた経験あるってことなんでしょー私だって浮かびませんよそんな煽り文句ぷぴぴぴーっww』
「『んだとぉっ!?』」
無表情なのに思いっきりふざけた口調で挑発し、まんまと挑発に乗るテルオとスパークマン。
これにはバブルマンもビックリして口をプクプク開かせるが、ストンナは構わず言葉を紡ぐ。
『いーからかかってくるですビリビリ三流ズ。丁度電気属性のナビ相手にどれぐらい
恐れる必要はないのですバブルマン、魔改造を施したアナタの
『頑張るのはポクなのにムチャ言うんじゃないプク!』
ゴー!と言わんばかりに指さすストンナに怒るバブルマンだが、ストンナはいたって真剣だ。
『いいですかバブルマン。私は戦う前から諦める腰抜けにはなりたくないし、アナタをそうならせはしないです』
『やってやってやりまくって、負けそうになっても踏ん張って、それでもだめなら諦める! 恐れるのはその後でいいんです!』
『そして簡単には負かせないです! 改造を施す前だとしても、バブルマンは強いってことを私が証明してやるです!』
バブルマンは不思議に思っていた。
表情が変わらないのに、拾ってくれた時と同じく溢れんばかりの熱意が言葉で伝わってきて。
散々イジメてきた仲でも特に怖いと思っていたネットナビが睨んできても怖くなくなって。
『プクー! 可愛い妹分に頼られたらアニキ分として黙ってられないプク! やってやるプク!』
ヤケクソ感が強いが、腰に力が入ったバブルマンは物怖じせずにスパークマンと対峙する。
馬鹿にされたこと、あのチビナビがビビらないこと、そして連中が勝てる気になっていることに腹を立てたスパークマンは、頭からバチバチと漏電する。
奇しくもテルオもスパークマンと同じ気持ちだ。天才だかなんだか知らないが、蓋を開けてみればこんなクソガキだったのかと憤慨して頭に血が上る。
「あったまきた! やっちまえスパークマン! クソガキどもに世間ってのを教えてやれ!」
『どうせお前はオペレートが下手なんだ、オレ一人でも戦えラァ!』
この時だけは心が一致し、溢れんばかりの怒りを電気に変えんとばかりに構えるスパークマン。
やはり慄くものの、ふんっと鼻を鳴らしたバブルマンは四股を踏んで腰に添えていた銛銃『アクアシュート』を構える。
『いくですよバブルマン! バトルオペレーション、セット!』
『イン! でプク!』
『シビレさせてイジメてやらァ!』
テルオとスパークマンは知らない。
デンサンエリアにやってきたストンナとバブルマンは今日だけでも14戦10勝4敗という好記録を叩き出していること。
ストンナ開発の防御特化ウィルスを用いた害悪戦法の恐ろしさ故に【クリームランドの海魔】と呼ばれていること。
そして外野が事前にストンナとテルオに許可を貰って動画撮影していることを……。
その日の夜、こっぴどく負けて罵り合うテルオとスパークマンに活を入れる、たまたま動画を見つけてお怒りな祖父の一喝が周囲に響いたという。
「ふひひ、私なんかしちゃったですぅ?」
『あまり人を誂うとまたプリンセス・プライドに怒られるでプクよストンナ……』
★バブルマン(魔改造)
・オペレーター:ストンナ・キロクラム
・属性:水
【主な技】
〇『アクアシュート』:
通常攻撃。ロックマンで言うロックバスター。威力は下がったが連射性はそのまま。
〇『バブルリード』:
ぷーっと大きな泡を吹き出して真っ直ぐ飛ばす。ぶつかるとダメージを受けて、少しの間動けなくなる。
速い上に耐久もそこそこあるので壊しにくく『バブルパレード』と合わせると厄介。
〇『バブルパレード』(改:
改造前と大差ないが、泡に紛れて『ミドス』をモチーフにしたクラゲウィルスが出現。
攻撃を受けると執拗に追いかける他、電気属性の攻撃を受けると移動スピードが上がる。
攻撃を受けないままだと一定時間後にどこかへ消えるのでスルーしたい。
〇『マンドマンタイル』:(『シオマネキ』がオミット)
『ロックマンDASH2』に登場する水中リーバードをモチーフにした水属性ウィルス。
『ストーンキューブ』並の耐久力を持ち、ゆっくりと前進してどこかへ消える。
乗り物としても好評で、よくバブルマンはマンドマンタイルに乗ってゆったりしている。
〇『パワードゲル』:(『バブルラップ』がオミット)
体力が半分を下回ると発動する。『リンブルメンジ』のようなゲルで身を包む。
発動中は無敵で、ゆっくりとした速度で追いかけて体当たりを仕掛ける。
攻撃範囲も2×2と広めだが長続きせず、息切れして無防備になるという弱点も。
【戦闘コンセプト】
ストンナの発想により『ロックマンDASH2』に登場するボスリーバード・リンブルメンジをモチーフに魔改造した。カラーリングはそのまま。
防衛型ウィルスの研究もしていたので『ミドス』『マンドマンタイル』などといった妨害系ウィルスの召喚権を与えたり、バブルマンが発する泡の耐久性を強めたりと、防御性能が大きく向上した。本人のHPも高く、かなりしぶとい。
高耐久のウィルスと泡で相手の攻撃を阻害しながらバブルマンがチクチク攻撃、その間にオペレーターがバトルチップで強力な一撃をお見舞いするのが基本戦術。
【オペレート】
臆病なバブルマンに合わせた耐久寄りの戦法。初手はADDしてオープンフォルダを増やし、バブルマン自身が持つ耐久戦術を盾に高威力のPAやチップコンボを狙っていく。
『パワードゲル』後の隙を『インビジブル』や『カワリミ』などで克服、保険として『リカバリー』を入れるなど、取り乱しやすいバブルマンを如何にフォローするかが勝利の鍵となる。
【性格】
臆病で狡猾なのは変わりないが、オペレーターを得たことで明るく前向きになった。ストンナのリアクションの激しさも合わさって愛嬌の良さとそれなりの賢さが目立ち、中々憎めない。
人前ではストンナを「可愛い妹分」と言ってお兄さん振っているが、普段はストンナに甘えたりお説教を受けたりと、立派な「ストンナの弟分」。
【経緯】
苛められてクリームランドの電脳を彷徨っていた所をツンドラマンと遭遇。同じ水属性のよしみとして保護し、ナビを持たないストンナに引き渡された。無表情のストンナに怯えてしまうが、リアクションが激しくて逆に冷静になった。
ナイトマンによく騎士道精神とは何かと長々語られてからは苦手意識も持つが、その高い防御力と精神力に憧れて「ナイトマン先生」と慕っている。
バブルマンはストンナを上から目線で扱っているが、なんだかんだストンナとは仲の良い姉弟のような間柄である。しかし、よく暴走するストンナを落ち着かせたりと、彼女のツッコミ役として板が付きつつあり、プライドから「ストンナのお目付け役」という大義も与えられる程。
クリームランド独自のネットバトラー組織【ネットナイツ】ではそこそこの地位。強さと防御力もそこそこ見込まれているが、彼の強みは戦術の狡猾さと、上にも下にも慕われる愛嬌の良さだろう。
そんなわけで「もしバブルマンをナビとしたら」でした。アニメのバブルマンが好きです。
生意気ですが憎めない。なんで自立型になって彷徨ってたんやら……。
ストンナと掛け合わせたら、互いに互いをフォローしあう仲良し姉弟といった感じ。
いざとなったらバブルマンが泣きながらストンナに喝を入れる頼れるお兄ちゃん。
〇テルオ&スパークマン
普通にスパークマン強いんだけどなぁ……もうちょっと努力しようよテルくん。
この2人だったら絶対バブルマンイジメてる。そしてオペレーターを恨む原因になる。
〇リンブルメンジ
『ロックマンDASH2』の「カリンカの遺跡」のボスリーバード。ゲルに包まれてる。
ボスステージのギミックやこいつの特性が色々と厄介。
バブルマンの必殺『パワードゲル』の参考にした。ゲルの色合いもコイツのと同じ。
〇ミドス
『ロックマンDASH2』の「ニーノ島の遺跡」のボスリーバード。三体で出てくる。
体当たりを受けると痺れるし水中だから動きづらくやりづらい。水がないと……?
こちらではウィルスとして登場。原作よろしく痺れ体当たりをしかけてくる。
〇マンドマンタイル
『ロックマンDASH2』の「ニーノ島の遺跡」に登場するエイみたいなリーバード。
敵対しない珍しいリーバードで彼の背に乗って先に進む。執拗に攻撃すると……?
こちらではウィルスとして登場。めっちゃ硬いのにゆっくりと進撃してくる。
マンドマンタイルに乗ってのんびりするバブルマン……可愛くない?
ロックマンはオペレーターにお兄さん面するバブルマンと共感して仲良くなれる。
番外編【●●マン拾ったんで】シリーズでした。読んで楽しめたなら幸いです。
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