新登場のオリメイクネットナビが登場します。
ぶおーって音と温風が頭に襲いかかってくるのを感じて目覚めたです。
「起きられましたね、お嬢様」
家政婦のデニッシュさんがストンナの髪をドライヤーで乾かしていたみたいですね。どうやらお風呂に入れられてたみたいで、身体はホコホコ、お肌はツルツルです。
「また作業に夢中になって寝落ちしてましたよ。これで何度目だと思っているんですか」
「面目ないです。いつもありがとうございます」
初めてストーンマンを魔改造した時も死んだように寝落ちて、それを見つけたデニッシュさんに「ぎゃー!」と叫ばせましたからねぇ。今じゃ慣れたもんです。
『先程も話したが、無茶をさせた私にも責任がある。そう責めないでやってくれ』
「ガウスさんがこうおっしゃっていますし、許してあげます」
PC画面には、同じく夜更かしして目の下に隈が出来てるガウスおじさまと、よーやく形として纏まったジャンクデータの塊みたいなネットナビ……スリープ状態のジャンクマンの全貌が映っています。ストーンマンは私のPETにいます。
ネットマフィア・ゴスペルの幹部として悪事を働き、今ではオフィシャル監視下の下、更生プログラムの一環として様々なボランティア活動をしているガウス・マグネッツおじさま。
先日はガウスコンツェルンからグラビティマン(マグネットマンは娘にして現会長テスラ・マグネッツの所有ナビとなっている)を借りてアジーナ電脳のゴミプログラムの掃除をしていました。おじさま曰く「罪の清算」として積極的だったそう。
山のように膨大なジャンクデータを掃除していた中に見つけたのが、このジャンクマンなのです。
『コイツはいわば、私の罪が形になったものだ。ゴスペルが仕掛けたアジーナ襲撃、その犠牲となったネットナビ達が集まって出来た恨み辛みの集合体。元ゴスペルとして無関係ではないから、見て見ぬふりはできなかったのだよ。
……なんだその、いつもと違う目つきは』
(Φ_Φ)←こんな目をしています。
言う事はご尤もなのです。おじさまは責任感の強いお人ですからね……ですが。
「いいから本音を言うですよ」
『諦メロがうす、コウナッタすとんなハ言イ逃レデキン』
解っているですねストーンマン。あの墜落未遂以降、おじさまの隠し事なんてお見通しなのです。その証拠に画面内のガウスおじさまは目を逸らしまくった後、観念したように溜息を吐いたです。
『……コイツは、かつての私だ』
ガウスおじさまは語ります。
両親が死に、弟がどこかへ行き、金も希望もないまま一人残され、それでも死に物狂いで働いて巨大企業のトップとなった過去。
ジャンクマンは、そんなガウスおじさまの生い立ちによく似ていました。しかしジャンクマンは、藻掻く事も足掻く事もできぬままジャンクデータの山に沈み、いつ消えても可笑しくない状態でした。
ここで「もう助かりはしまい」と手放せば、かつての自分に手を伸ばしてくれなかった「社会」と同じになってしまう……それより先に「助けられる、手を伸ばそう」と咄嗟に考えたのだそう。
『そして真っ先に浮かんだのが、その、お前なのだストンナ。無論、恥を忍んでテスラに頼んでみたのだが……ガウスコンツェルンの技術でも無理だと断念されてな』
きっとテスラお姉さまも不本意だったでしょうね。
「頼ってくれてストンナは嬉しいのですよ、おじさま」
おお、照れてますね珍しい。おじさんの照れ顔なんてキショイとか言うでしょうが、ストンナの尊敬するおじさまなのでそんなことはないのです。
『ゴゴゴ……ダガ、マダ不安定ダゾすとんな。ココカラドウスルツモリダ?』
デリート寸前から魔改造されたストーンマンから見ても酷い状態でしたからね。そんな中でネットナビとして形作れたのだから、ストンナも科学者として成長したのです。えっへん。
「ストーンマン、ストンナ達は知っているじゃないですか―――ネットナビ開発の専門家を!」
首を傾げるデニッシュさんに対し、「ああ彼か!」と言わんばかりに目を見開くガウスおじさま。ネットナビとして形作れれば、後は
―――
「ネットナビにも色々あるんだな……」
『うん……』
ストンナからの電話で「Dr.ヒカリに頼みたい事がある」って頼まれて、科学省のパパがいる研究室で見たのは、すんごい複雑なネットナビだった。
ジャンクマンと名付けたそのネットナビは、アジーナのジャンクデータの山からガウスさんとグラビティマンが見つけ出した、ジャンクデータが重なり合って出来た特殊なデータ体……みたい。
『複雑な気持ちだね、熱斗くん。アジーナでやられたネットナビ達のデータ残骸から生まれたネットナビだなんて』
ロックマン自身も特別な生まれだからか、突然変異で生まれたジャンクマンに何か思う所があるらしい。何か遠いものを……いや、尊いものをみるような目でジャンクマンの解析データを傍らで見続けている。
そんなジャンクマンを、ロックマンに補助してもらいながら解析しているのはパパなんだけど……凄い真面目な顔をして、モニターを見ながら物凄い早くタイピングしている。
『どうですかDr.ヒカリ。なんとかなるです……かね?』
「素晴らしい腕前だストンナ。これだけ複雑な……人間で言えば全てが別の遺伝子で造られた細胞で、仮想とはいえ指先の骨から筋肉繊維の一本まで結び付け、一つのパーツとして成り立っている。キミの発想力と根気強さには驚かされるよ」
オレが見てもわけわかんない解析データを見ながらモニター内のストンナを褒める褒める。というか、指先の骨から筋肉繊維まで……? オレの指とか腕を見るけど、細胞を一から組み立てたってマジか……?
『パパ、やっぱりジャンクマンは……』
「杞憂だよロックマン。ネットナビとして象った以上、より精密に組み立てをデータとして正当化させるのは私の得意分野だ。しかし……本当に奇跡としか言いようのないネットナビだ。ジャンクデータの塊でありながらネットナビとして結び付こうとしている……何が彼を生かそうと、いや生きようという気持ちが湧いてくる? ロックマンとも違う新たな可能性……ココロが持ちうる力……?」
あ、パパが研究者モードに入った。こうなったらママの「いい加減に帰ってきなさい(怒)コール」が無いと戻ってこないんだよなぁ。前はママも仕方ないと割り切ってたけど、仕事が落ち着いて早く帰れるようになった今じゃ「つい趣味で研究を」って理由じゃ怒るようになったし。
「よし、出番だライトット」
え? パパのPET?
『お任せダス~! はりきってメンテナンスするダスよ!』
「え? 誰?」と目を丸くするロックマンの隣に現れたのは、角ばった顎に赤い目が特徴の、緑色の太ったロボットみたいなネットナビ。パパが言っていたライトットってのは、このネットナビの名前なんだろう。
ライトットは肩を回した後、目にも止まらぬ速さでジャンクマンの周りを行ったり来たり。溶接の火花が飛んだりトンテンカンと金槌で叩いたりしながら、解析データにペンを走らせる……なんか仕事人って感じでかっけぇかも?
「……あの、パパ、このネットナビって?」
「紹介するよ。ストンナに発注したサポート特化……というか研究者としてのボクの助手を務めるネットナビ『ライトット』だよ」
『ストンナが造りました!』
『ヒカリ博士とストンナ博士の合作ナビなんダス! よろしくダス、熱斗さんにロックマン!』
『あ、なんか納得……』
妙な見た目と喋り方にストンナの趣味が感じられる……。
『この調子なら……約1時間後にはネットナビとして安定できるはずダス!』
「仕事が早い!」
前言撤回、ライトットの解析力はパパの技術力と知識あってこそだ!
「うん、初仕事だが良い仕事をしているね。これなら今後のロックマンの調整サポートも頼めそうだ」
え……もしかしてライトットに話すの? ロックマンの秘密を……。
『……ネットナビにも色々あるね、熱斗くん』
ジャンクデータで出来たネットナビに、パパのネットナビが初登場するとか……。
・ジャンクマンとガウス
実はエグゼ二次小説を書き始めた時から温めていたネタの一つです。
社会に見捨てられたガウスと世界に見捨てられたジャンクマン。この組み合わせの為にガウスを更生させ、切欠を与えたストンナにジャンクマン救済を頼みました。
イメージ図ではガウスの服が少しボロくなっているのがポイントです。
・ジャンクマンと裕一郎
あの裕一郎博士にとってジャンクマンは他人事ではないだろうなぁと。
・ライトット
光裕一郎の助手を務めるネットナビ(メイドインストンナ)。おとぼけな雰囲気に似合わぬ職人技と知識を持つメンテナンスの達人。
元ネタは無印ロックマン7から登場するライト博士のお手伝いロボット。
高度な知識と技術を求められるジャンクマン復活の為にここでお披露目となりました。
それでは皆さん、良いお年を。(更新が来年になるので)