ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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〇前回のあらすじ:アラシは犠牲となったのだ……

ストンナは原作知識を持っていますが殆どをプライドとクリームランドに費やしているので他は朧気です。

※今回は活動報告の読者のアイディアを採用させてもらいました。


【ストンナとガウス】

 

 空の上からこんにちは、ストンナです。

 

 私達は今、アメロッパ空港からニホンのデンサン空港までの空の旅を楽しんでいるのです。

 まぁオフィシャルの人の監視付きなのですが。プライド様も私も、ニホンのオフィシャル支部で保護も兼ねて取り調べを受けに行く予定なので。

 

 それでもプライド様はオフィシャルネットバトラーにしてクリームランドのプリンセス。ゴスペルに密告した罪があるとはいえ、丁重に扱わなければ国際問題に発展しかねないのです。

 よって自費かつオフィシャルの監視を付けることを条件に、このように居心地の良いファーストクラスを獲得できたのです。流石はプライド様、お財布(クレジットPET)が暖かいのです!

 因みに熱斗さんは普通の席です。我々は一緒の席はどうかと誘ったのですが、値段を見て引き下がっちゃいました……流石の熱斗さんもあの値段じゃ厚かましくはなれないですか。

 

 でも良い出会いがあったです!

 

「いやはや、プライド様とキロクラム嬢も災難でしたな。よもやゴスペルの手によって誘拐されたり命を狙われる事になるなど……よくぞご無事で」

 

「ご心配ありがとうございますマグネッツ会長」

 

「だがテレビのアレは頂けないなキロクラム嬢。うら若き乙女がドロップキックなどと」

 

「あれぐらいの度胸がなければ閃きは実現しないのですよ、ガウスおじさま」

 

「ストンナっ」

 

「はっはっは、相変わらず生意気な小娘ですな!」

 

 グリグリと私を力強く撫でる、おじさまことガウス・マグネッツさん。

 

 ガウスおじさまは【WorldTube】の世界進出に対して一早く食いつき、我がクリームランドと企業連携を申し出たナイスガイなおじさまなのです。

 【ガウスコンツェルン】の企業CMや新製品及び新企画のアピール動画に手を出しており、中でも【わーつべ】でアンケート調査を実施した【ネットナビ同士のチーム戦】が題材のゲーム開発に力を入れているです。

 これには私も食いつきました。チーム戦ゲーム、即ちFPSは前世でも世界規模で人気になったゲームジャンルの1つ。ネットバトルとは違った新しい遊び方はネットバトラーだけでなく観客も盛り上がり、娯楽の幅を広げるチャンスなのです!

 

「そういえばおじさま、例のゲーム開発は順調なのです?」

 

「無論だ。何せ我がガウスコンツェルン一世一代の大勝負だからな。なぁマグネットマン?」

 

『開発進行度は未だ60%未満ですが、【WorldTube】を利用して得た膨大なアンケート調査結果をデータグラフ化、世界規模で流行るオンラインゲームの完成も時間の問題かと』

 

 ニヤリと笑うガウスおじさまと、PET内で同じく不敵に笑みを浮かべるマグネットマンが相変わらず頼もしいのです!

 

『相変わらず多忙なのだなマグネットマン。主に仕えるのは良いが、働きすぎてバグが出ては遅いのだぞ?』

 

『ふん……貴様らのように主に引っ付いててばかりいられんのでな。バグなら欠片として抽出してトレーダーにでも回すさ』

 

『ゴゴゴ……ヨクワカランガ、なびニモ色々ナ使命ガアルノダナ』

 

『貴様らが鈍重なだけだ。主の守りとはドッシリ構えるだけが仕事ではない』

 

 つっけんどんなマグネットマンの態度もなんのその。日頃からドッシリ構えている我らが重量級ナビコンビは大抵の事では揺らがないのです、えっへん。

 

 話を戻しますが、「発想力豊かな子供」としてアイディアをガウスおじさまに言ってみた所、おじさまはそこから更に閃いた事でゲーム開発計画が大きく進展、かなり気に入られるようになったのです。

 今ではプライド様と同じく個人的な付き合いが続いているです。おじさまは「生意気な小娘」と弄ってきますが、意地悪な親戚の爺さんみたいな親しみがあって私は好きです!

 

 そんなガウスおじさまが同じ飛行機に乗っていたとは! 彼にしては珍しく普通の席に座っていたのですが、折角だからと私達がいるファーストクラスに遊びに来てもらった次第です。

 これが本部襲撃事件の後じゃなければもっと良かったんですが、空の旅はますます楽しくなるのです。オフィシャルの監視付きで。

 

「……しかし君、少しはゆっくりしてもいいのだぞ?あまりじろじろ見られては私も落ち着かん」

 

 ガウスおじさまもオフィシャルのお兄さんが気になるですか。

 

「そうしたいのは山々なんですが、私も仕事ですので……」

 

 しょんぼりするオフィシャルのお兄さん。折角のファーストクラスだもの、のんびりしたいですよね。

 席をご一緒しているとはいえ、彼の仕事はプライド様の監視と護衛。ですがネットバトラーとしての実力もある彼のナビ、私のストーンマンとプライド様のナイトマンが入るなら並大抵の刺客ナビは踏み潰せるですから、少しぐらい羽目を外してもいいと思うのです。

 

 しかしガウスおじさま、やけにお兄さんの視線を窺ってますね? オフィシャルが居るからって落ち着かなくなるようなおじさまじゃないと思うのですが?

 

「あ、あの、またお邪魔します!」

 

 おや、その声は熱斗さん。さっき操縦席を覗きに行った時にもすれ違いましたが、今度はなんか慌て気味ですね? 突然入って来た彼をガウスおじさまが訝しい目で睨むです。

 

「誰だね君は?」

 

「おじさま、彼は熱斗というニホン人です。先の本部襲撃事件で私達と共にゴスペルと戦った1人で、私とプライド様のお友達なのです!」

 

「ほぅ、君がか……」

 

 私の紹介が効いたのか警戒を解き、今度はジロジロと熱斗さんを品定めしているような目で見る。

 

「どうしたのです熱斗?」

 

「あのプライドさん、ちょっと相談があって……ウィスキーってあったりしない?」

 

「ウィスキー……ですか?」

 

 首を傾げるプライド様。それに続いて私も首を傾げるです。なしてそんなものを?

 ガウスおじさまも気になったのでしょうが、一応とばかりに備え付きの冷蔵庫からウィスキーを取り出し、すぐには渡さずソワソワしている熱斗さんを見下ろすです。

 

「あるにはあるが……どうして子供である君がこのようなものを欲しがるのだね?」

 

「どうしても必要なんです……えっと、実はですね……」

 

 話があるからとオフィシャルのお兄さんも呼び止め、私達4人が熱斗さんを中心に輪を作る。

 

―かくかくしかじか四角い(ストーン)キューブ

 

「ど、ドクグモですって……!?」

 

「アメロッパの一部にしか生息しないドクグモが何故この飛行機に……」

 

「しかも被害者が出ているって、パニックモノじゃないですかぁ!」

 

「確かに大事にはできませんね……」

 

 他にもう1人ファーストクラスのお客さんがいるので、騒ぎを大きくしないよう小声です。

 

 この機内にいるというメアカモッサドクグモの被害を食い止める為、たまたま搭乗していた昆虫博士の助力の下、捕獲する罠に必要な道具を熱斗さんが集めているそうです。

 残すはドクグモが好むというウィスキーで、後はそれを昆虫博士に渡すだけだそう。

 

「典型的な罠だな……仕方ない、持っていきたまえ。くれぐれも気を付けたまえよ。

 それとオフィシャルの君。万が一の事を考えてプライド様とキロクラム嬢を……そうだな、操縦席に誘導しておいてくれ。見学と言っておけば機長も納得はするだろう。

 マグネットマン、お前を飛行機の電脳に送る。客がパニックを起こしたらハッキングしてでも機内放送で呼び止めるんだ」

 

『解りました、マイマスター』

 

 流石は大企業の会長、キビキビと指示を下すのです。

 ガウスおじさまはA級ライセンスをお持ちなので、機内放送の為にマグネットマンにハッキングさせるのは緊急時の対応として問題ないはずです。オフィシャルのお兄さんからもOKを頂いたです。

 

「プライド様にお兄さん、ここはおじさまの指示に従うのが得策なのです」

 

「その方が良さそうですね……熱斗君、もしもの時は私にも連絡してくれ」

 

「はい、ストンナとプライドさんを頼みます!」

 

「マグネッツ会長は如何なさるので?」

 

「私は平静を装って座席に戻るが、もしもの時は少年に手を貸そう」

 

 事情を知っている人が現場にいるだけでも心強いですもんね。

 おじさまの指示通り、私とプライド様はオフィシャルのお兄さんを連れて操縦席へ、熱斗さんとガウスおじさまは一般席へと戻って行くです。

 

 最初は原作知識故にガウスおじさまを警戒していたですが、今じゃ頼れるおじさまです!

 

 ガウスおじさまもクリームランドの防衛プログラムの技術を盗もうと近づいたようですが、今じゃ立派なお友達だとストンナは自負しているのです。

 ゲーム開発で繋がり、お互いの利益の為に近づき、いつの間にかガウスおじさまに可愛がられるようになったです。

 マグネットマンもナイトマン、新参者のストーンマンとも良き関係を築いているようですし、プライド様もガウスおじさまは信頼できると太鼓判を押しているです。

 

 ふははは、今のスーパーガウスおじさまじゃゴスペルなんかに捕まらないですよーだ!

 

 

 

 

 

「ふふふ……よもやこの飛行機にプライドとキロクラムの娘が乗っていようとはな……」

 

 熱斗と別れ何事もなかったかのように座席に座ったガウスは、周囲に聞こえないよう呟く。

 

 オフィシャルの手の者が搭乗しているという想定外もあって手出しがしにくかったが、ファーストクラスからのプラグインというアドバンテージを得られた。

 あそこからプラグインすれば目的の物……この飛行機に搭載されている【ハイパワープログラム】の奪取がしやすくなる。

 

 それだけでなく、ゴスペルを退けたという三人をまとめて始末できる機会にも恵まれた。

 

「世界はようやく私にチャンスを与えたわけか……世界を滅ぼそうとしているにも関わらず」

 

 くつくつと笑いながら座席に体重を預けるガウス。その笑みは勝利を確信していた。

 

 

 

「ストンナ・キロクラム……世界に愛された女よ……この飛行機が貴様の墓場になるのだ……!」

 

 




〇ガウスおじさま
【WorldTube】で利益を得る為に接近したガウス会長。
最初はストンナはガウスを警戒していましたが、いつの間にか仲良しに。
FPSゲームの再現を目標にガウスにあれこれ助言しています。

〇ネットナビ同士のチーム戦ゲーム
活動報告の「ネットバトル以外のイベント」や「フォートナイトみたいなネットバトル」などを参考にさせてもらいました。
ガウスコンツェルンがどんな企業なのかはハッキリしていませんが、アニメ版みたいな幅広く慈善活動にも積極的なイメージで書いております。
成功すれば前世で言うFPSゲームの先駆けになり、莫大な富とゲームの新たな歴史を刻まれるとストンナが予測。

〇メアカモッサドクグモ
厳重に保管しなさいよ!なんでクモ程度って甘い認識なの!?

〇マグネットマン
ガウス・マグネッツのネットナビ。あの電脳の磁場化って彼の影響なのかな?
つっけんどっけんだけどナイトマンやストーンマンとはそれなりに交流がある。

〇オフィシャルのお兄さん
プライド様の監視役。ファーストクラスの豪華さに浸りたい。
ガウスおじさまがマグネットマンを送った理由に納得してOKしました。


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