ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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※本編ですが、ガッツマン改造(仮)しちゃいます。

ガッツマンスペックいいよね。作ったデカオくんって割と天才じゃないか?


【暇なんでガッツマン魔改造するです!】

 

 どうして……どうしてこんなことになってしまったんだろう……?

 

『デカオ、ガッツマン! こんな事をして何になるっていうんだ!?』

 

『へっへっへ、オメーには解らねぇよ熱斗!』

 

 現実世界で対峙しているであろう、熱斗君とデカオ君……だけどいつもと雰囲気が違う。

 デカオ君はいつも以上に意気揚々としているけど、僕と熱斗君は目の前の光景が信じられず、今のデカオ君は可笑しいのだと実感する。

 

『ふひひ、今こそ私達の成果を試す時ですよ!』

 

 隣に立つ小さな女の子……すっかり日本語に馴染んだストンナが、デカオ君を狂わせたんだ。

 そして僕……ロックマン.EXEの目の前にいる存在が、今日一番の異常であると実感している。

 

 そこに居るのは、いつもの倍は大きい、足が戦車となったガッツマンだった……!

 

『いっけぇガッツタンク! ロックマンに目に物見せてやれ!』

 

「フンガァ! でガッツ!」

 

 ガッツマン改めガッツタンクが、強固な手甲(ガントレット)を装着した両腕を振り上げる!

 

「本当にどうして……こんなことになったんだ……!?」

 

 案外マトモそうで全然マトモでなくなった友達を目の当たりにして、僕の記憶はバグが発生したかのように混濁するのだった……。

 

 

 

 あれは三日前……ガウス元会長が起こした飛行機ハイジャック事件が終息し、デンサン空港から真っ直ぐマリンハーバーのオフィシャルセンターに向かったのが始まりだった。

 

 事情聴取や警護の為にプリンセス・プライドはオフィシャルセンターに匿われる事になるから、ニホンに居る間は熱斗君がストンナの面倒を見る事になった。ストンナは先にママに挨拶してから宿を探すみたい。

 ストンナはデンサンシティに家族旅行で訪れた事があるらしく、日本語も少しは出来ると聞いて驚いたよ。「テヤンデェ! デス!」とか「スットコドッコイ! デス!」なんて何処で覚えたのか気になる言葉もあるけど……。

 

 そういえばあの時、プリンセス・プライドは熱斗君の肩を掴んでこう言ってたっけ。

 

「いいですか熱斗、ストンナから目を離さないでください。あの子は好奇心旺盛でやりたいと思ったらすぐ行動しますし、興味が湧けば誰にでもネットバトルを仕掛けます……苦労をかけますが、あの子の事をお願いします」

 

 プリンセス・プライドが真顔で熱斗君に告げた事は本当だった。

 

 「オクデンダニ! デス!」と言って勝手に電車に乗っていくストンナを追いかけ。

 

 「オベント! デス!」と言ってサロマさんからお弁当を買ってネットバトル。

 

 「コットウ! デス!」と骨董品屋のみゆきさんから扇子を買ってネットバトル。

 

 「サカナヤ! デス!」と行って魚屋のマサさんから刺身をご馳走になってネットバトル。

 

 ゴスペルに誘拐されたのによくここまで行動できるよね……。

 

 驚いたのは、三人ともストンナと知り合いだったことだ。ストンナは家族旅行の時に三人と出会っていて、リンク先を交換し合う仲になっていたみたい。

 特にマサさんとは出会って早々気が合ったらしく、日本語は彼から教わったんだって。さっきストンナが言ってた妙な日本語はそういうことだったんだね。

 その頃にはストーンマンは居なかったから、ストンナは三人にネットバトルを挑みに行きたかったんだって。それならそうと言って欲しかったかな……。

 

 そういえばこの時、サロマさんと何か話し合ってたっけ……改造がどうのこうのとか……。

 

 それは置いといて、紆余曲折あってようやく秋原町へ帰って来た僕達。熱斗君ヘトヘトだったね……。

 家に帰ってママにストンナの事を紹介したら、「早速海外の友達が出来たのね」って喜んでたね。けど熱斗君の宿題をストンナが教えてくれたって聞いたらもっと喜んだよ。

 

 次にメイルちゃん達と公園で合流。アメロッパで活躍して帰国した僕らを労ってくれた。

 その時にストンナを紹介したんだけど……思えばこの出会いから事は始まっていたのかもしれない……。

 

 デカオ君はストンナの事を動画で知っていて大興奮してたし、ストンナも動画『NAVIRE』でガッツマンの事を知っていたから、初対面なのに凄く気があったんだよね。

 そのままストーンマンとガッツマンのネットバトルが始まったんだけど、それはもう凄いガチンコバトルだったなぁ。僕達でも梃子摺ったストーンマンの防御力を、ガッツマン自慢のパワーでボッコボコにして倒したんだもん。

 

 戦い終わった2人と2体は無言で拳を突き合わせた……熱斗君は「おお、パワーで繋がる友情」と言っていたけど……。

 

 メイルちゃんとやいとちゃんも女の子だけど、ストンナは素直だけど変わった子だねって。当人は性分なものでしてって気にせず笑うし、強い子だなぁ。

 その後はデカオ君とストンナがガッツマンの事でアレコレ話し合い、夕方になったので解散。皆とリンク先を交換してホテルへ……行く前に熱斗君の家へ。

 

 熱斗君の宿題は少しでも片付けないといけないから、僕も心を鬼にしてストンナに協力を願い出たんだ。ストンナは教え方が上手いから宿題が捗るんだよね。

 

 社会の宿題を片付け終えた後、ママがお礼にってことでストンナと夕飯を共にし、今度こそホテルへ。熱斗君も精神的にヘトヘトで、食べ終えたらすぐに寝ちゃった。

 

 この時はホテルに真っすぐ帰ってたと想っていたけど、どうやらデカオ君の家にお邪魔していたみたいだね……。

 

 

 

(そしてこうなっていたと……!)

 

 ハンマーと化した片腕を地面に叩きつけて生じた衝撃波を横に飛んで避ける。前と変わらず真っ直ぐだから避けやすいけど、やっぱりパワーがこれまでと桁違いだ。

 

 あの夜にデカオ君とストンナはガッツマンを魔改造する計画を立て、丸一日かけて電気街で必要なパーツを買い集めてガッツマンを魔改造してのけたんだ。やっぱり2人の技術力は凄い。

 2人曰く「レギュレーションに使えないお遊び改造」としてPETに取り付ける外付けHDDを開発、ガッツマンに装備品のように【強化プログラム】が取り付けられて、今のように下半身が戦車となったわけだ。

 

「フンガーッ! でガーッツ!」

 

 ぐおん、とエンジンが唸る。ギュルギュルとキャタピラを回転させて猛スピードで突進してくるガッツマン、いやガッツタンク。

 【強化プログラム】で二倍の大きさを持ちながら、さっきの衝撃波並のスピードで突撃してくるのは脅威だけど、やっぱり単調なので避けやすい。

 避けるついでに転送されたバトルチップ『ワイドソード』で履帯を狙って攻撃するけど、装甲に傷は走ったけど履帯にはダメージが入らず、ふらつくことも無くガッツタンクは走り続ける。

 

 がら空きの背中にチャージバスターでも……と思ったら両腕で自分の戦車部分の片側を掴み、強引に持ち上げて無理やりUターンしてきた!?

 ドガンっと音を立てて着地し、ビックリして止まっちゃった僕にまた突進をしかけるガッツタンク。慌てちゃったけど、咄嗟に右へ跳ぶだけで避けれ―――!?

 

「う、うわっ!?」

 

 しまった、右足を掴まれた!?

 

『ロックマン!』

 

『ぶん投げろガッツタンクーっ!』

 

「ガガガーッ! でガーッツ!」

 

 『インビジブル』で逃げられる可能性を考慮してか掴みなおすことはせず、そのまま僕を片手でぶんぶんと振り回して投げられる。

 幸いにも地面に向けてではなく上へ放り投げられたので、空中で態勢を立て直す。ガッツタンクは狙いを定めて再び突進を仕掛けるけど……っ!

 

『バトルチップ『パネルアウト1』、からの『カンケツセン』! スロットイン!』

 

 熱斗君が送信した『パネルアウト1』でガッツタンクの行く手を塞ぎ、チップトレーダーで偶然手に入れた比較的レアなチップ『カンケツセン』を着地と同時にその穴へ放り投げる!

 穴パネルに放られた直後、そこを中心とした巨大な水柱がガッツタンクに襲い掛かる。その巨体が下から掬い上げられそうな程に水流は強烈だけど、ガッツタンクは体重を前へかけることでひっくり返るのを阻止する。

 

 『カンケツセン』が終わる頃には、ガッツタンクはヒィヒィ言っていた。

 無理もない。確かにパワーもスピードもHPも高まったけど、攻撃自体は実はガッツマンの時より単調なものが多い。デカオ君は『サテライト』や『メテオ9』といった遠距離支援を行っているけど、なんで癖のあるバトルチップを使っているんだろう……ガッツタンクの大きさとスピードを頼りにしすぎているのでは……?

 

『へへへ、ここからがガッツタンクの真骨頂よ! 『リカバリー150』、スロットイン!』

 

 意味深に笑ったデカオ君は、ガッツマンの時にもよく使う『リカバリー』系統のバトルチップを送信……あ、あれ?

 

「ファイトーっ! イッパーツっ! でガーッツ!」

 

 ムキムキポーズをとって叫ぶガッツタンクだけど……『リカバリー150』にしては回復量が多くない? 切り傷も殆ど直っちゃったし……。

 その疑問に答えてくれたのは、隣で「ふひひ」と笑うストンナと、ニヤリと笑うデカオ君だ。

 

『どうですか! これぞガッツタンク最大の特徴なのです! すなわち!』

 

『リカバリー系統の回復量が倍になるんだぜ!』

 

『「なにそれずっる!」』

 

 思わず僕と熱斗君は叫んでしまった。こんな所でフルシンクロしちゃう僕らは悪くない。

 

 そんな僕らを無視して『リカバリー150』と同時に送信していた『エリアスチール』によって急加速、ガッツタンクが再び突進してくる……ん?

 

「ガ……ガガガ……ッ!」

 

「ガッツマン!?」

 

『ど、どうしたんだガッツタンク!?』

 

 なんだかガッツタンクの様子が変だ! 苦しそうなガッツタンクは勢いを徐々に弱め、僕を通り過ぎてそのままエンジンを停止させる。その間もガッツマンは苦し気で、僕は思わず駆けつける。

 きっと無理な改造を施されたから不具合が生じたのかもしれない。下半身を戦車に替えられたんだ、きっと無茶なカスタマイズを施されて―――んん!?

 

 ズポン、と戦車からガッツマンの足が出て来たんだけど!?

 

 

「足が……痺れたでガッツ……!」

 

 

『「ずこーっ!」』

 

 思わず僕と熱斗君はずっこけてしまった。こんな所でもフルシンクロしちゃう僕らは悪くない。

 

 起き上がって再度見て見ると、戦車から足を抜いたガッツタンク、いやガッツマンはそのまま痺れたであろう足を上げて倒れ込んだ。僕はガッツタンクの下半身だと思っていた戦車を見ると……そこには正座で座れそうなスペースが空いていた。

 

『正座して乗り込んでたのかよ!』

 

『そりゃそうだろうよ、ロックマンみたいに易々とチェンジできるかってんだ』

 

『これはストーンマンのローラー移動プログラムを参考にした、いわば外装なのですよ』

 

 熱斗君のツッコミに対し、何言ってんだオメー、みたいな反応を示すデカオ君とストンナ。

 うん……けど巨大化した程なんだし、てっきり下半身丸ごと変わっていたのかと……というかネットナビって足が痺れるものなの……?

 そのまま敗北を認めたようで、デカオ君は外付けHDDをPETから外すと、ガッツマンのタンクと手甲が消えて、彼の大きさも元通りになった。

 

「フゥ、足の痺れがとれたでガッツ」

 

 足の裏を摩って落ち着くガッツマン。やっぱり強化プログラムの不具合だったんだろうか?

 

「大変だったねガッツマン、あんな改造されて」

 

「なんで大変なんでガッツ? ワガハイ楽しかったでガッツよ?」

 

「え?」

 

「デカオ様とストンナは『戦車になってみたい』っていうワガハイの要望を叶えてくれたでガッツ。夢はいずれ叶う物なんでガッツねぇ」

 

 そう語るガッツマンは、あんな目にあったりろくに攻撃が当たらなかったにも関わらず楽し気だった。まさかガッツマンまでデカオ君とストンナみたいになっていただなんて……。

 

『……で、どうだったよ? ガッツタンクは強かったか?』

 

『元々ガッツマンはスペックは良かったですから、尖った改造をしてみたですよ!』

 

 感想聞かせてくれーって目で僕らを見るデカオ君とストンナ……はいつも無表情だから解りにくいね。キラキラした目に耐え切れなかった僕と熱斗君は互いに頷き、言う。

 

『正直ガッツマンの時の方が強いぜ!』

 

「うん。あのパワーとスピード、リカバリーの回復増加は凄いけど、攻撃が単調すぎるかな」

 

『『そっかー』』

 

 僕達の言った内容に思う所はあるらしく、デカオ君とストンナちゃんの反応はあっさりしたものだった。ガッツマンは普段の自分の方が強いと言われて嬉しいのか照れているけど。

 

『制御系統に問題があるみたいですし、巨大化は諦めるですかねー』

 

『キャタピラでのスピードアップ悪くなかったから、キャタピラ付きブーツでも作るか?』

 

「ワガハイ、次は重機みたいなアームがつけてみたいでガッツ! 巨大ペンチみたいな!」

 

『『採用!』』

 

 まさか改造はまだ続けるつもりなのかな……目の前で意見交換しあっているんだけど……ここにメイルちゃんとやいとちゃんが居ればなぁ。

 

『おやつの時間だし、ほっといて帰ろうぜロックマン』

 

「そうだね……」

 

 そのまま熱斗君は二人と別れて家に帰る事に。なんかドっと疲れたな……。

 

 

 

 次の日。

 

『グレードHDD、インストール!』

 

 昨日よりも格好良くなって小型となったガッツマンカラーの外付けHDDを、ブッピガンッ!と音を立ててPETに装着するデカオ君。

 

「へんし~ん! でガッツ!」

 

 マッスルポーズを取ったガッツマンが一回り大きくなり、外付けHDDからインストールされた外装が転送、ガッツマンの片腕と両足にゴツいパーツがセッティングされる。

 最後に右肩に「G」のイニシャルが刻まれ、上半身を「G」となるようにポーズを取る。一回り大きくなった、強化アーマーに包まれたガッツマンの誕生だった。

 

「見るです、新魔改造ガッツマンを! 巨大化こそ諦めたものの、装甲とHPを強化し、デカオさんリクエストのリカバリー回復機能はそのまま搭載! 足にはキャタピラブーツを装備してスピードと機動性アップを実現! 右腕にはストーンキューブですら一撃で破壊するパワーアーム! その名も!」

 

「ガッツマングレード! 略して!」

 

『ガッツマーン……G!』

 

「『もういいって』」

 

 思わず僕と熱斗君は言ってしまった。こんな所でもフルシンクロしちゃう僕らは悪くない。

 

 とりあえずネットバトルしたけど、ガッツタンクよりは攻撃が複雑になったけど、やっぱりいつものガッツマンの方が強いかな……リカバリー回復倍化はやっぱりズルいと思う。

 

 

 結論的に言うと……ストンナの魔改造欲は恐ろしい。

 ガッツマンをあんな風に尖った改造をしてみせるんだもの……ストーンマンが最初の時より強くなったのも頷ける。

 

 だけど僕達はこの時知らなかった……ストンナの魔改造はこれで終わりでなかった事に。

 




〇無警戒ストンナ
オリ主はやりたいと思ったら真っ先にやるタイプなので防犯意識もすっ飛ばす。

〇外付けHD
外装式の強化プログラムが入ったハードディスク。PETに追加で付けれる玩具的要素。
主人公のライバルだしこういう強化要素あってもよさそうと思い書きました。

〇ガッツタンク
元ネタは『ロックマン2』に登場する超巨大戦車ボス。なんと動力源はLPガス。
こちらでは2×2のデカさがある。戦車なカートに正座して乗り込んでます。
元々ガッツマン自体のスペックが良いので、これらの改造はお遊び。
こんなネットナビを作ったのデカオくんってマ?

〇ガッツマンG
元ネタは『ロックマン7』に登場する展示用ガッツマンを改造したロボット。
こちらはキャタピラブーツに巨大ペンチアームを装備したガッツマン。
巨大ペンチアームのパワーは凄まじく、ストーンキューブですら一撃。
ストンナ曰くどんなものだろうとも壊せる自信があるらしい……。

〇リカバリー回復力倍化
リカバリー100がリカバリー200の回復力を得られるパッシブ。
なんて思いつつガッツマン戦でデカオが使っているし改造要素として加えてみました。


次回も本編なのに魔改造ネットナビが出る予定。

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