ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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・サブタイトルは【石木(いはき)(感情を持たない者の例え)】

・魔改造コンセプトは【各ボスの技】

・組み合わせコンセプトは【不法投棄許せないウーマンズ】


【頼まれたのでウッドマン魔改造するです!】

 

 彼らの仕事は粗大ゴミを山奥に捨てる事……ようするに不法投棄、つまりは犯罪である。

 

 安い金を貰って回収した粗大ゴミを、真夜中の誰も居ない山奥に捨てるだけの楽な仕事だ。深夜なので運転には気を付けなければならないが、それでも日々の糧を(楽に)得る為には致し方ないのだ。

 無論、山奥とはいえ犯罪が起きぬよう監視カメラが幾つか設置されてはいる。更に無線ネットワークで接続されている為に24時間体制で監視・録画されている。

 

 そのカメラを一時的に止めるのが彼らが持つネットナビの仕事だ。

 

 この監視カメラは警備会社のネットナビが定期点検と録画内容を確認しに1日に1回訪れるのだが、それ以外はプログラムくんがいるだけで碌に点検せず、無防備に等しい。つまりはそのプログラムくんを、粗大ゴミを乗せたトラックが通る時だけ黙らせればいい。

 送られたネットナビは2体。片方は固有能力(パッシブ)として相手の視界を暗闇で染める『ブラインド』を持ってプログラムくんを誤魔化し、トラックを通す。もう片方は戦闘に特化した護衛ナビだ。

 更に言えばこのプログラムくんは相当なオバカなのか、目くらまし状態にされても『最近調子ガ悪インデスヨネ。歳カナ?』と全く気づいておらず、今まで犯罪者達の不法投棄を成功させている。

 

 今宵も大量の粗大ゴミを捨てる為、カメラの死角に回り込んだ犯罪者2名がプラグインし、ナビコンビをカメラの電脳に送り付ける。

 プログラムくんを目晦ましにするだけの楽な仕事―――そう思ってプラグインしてきた彼らナビ2人の前に、1人の巨漢ナビが立ち塞がった。

 

 思わず身構える2人が……その正体がウッドマンだと知ると笑い始めた。

 

「なんだよ、この間メッラメラに燃やされてプラグアウトしたウドの大木じゃねーか」

 

「まーだ凝りてねぇかよ! いい加減、環境保護だ自然の怒りだの、無駄だって解れって!」

 

 ウッドマンとそのオペレーターは自然保護活動に積極的で、粗大ゴミの不法投棄をしている彼らを見つけ、咎めた事があるが……そんな事で改心できたら悪党なんてやっていない。

 おバカなプログラムくんは「ナンカ騒ガシイ気ガシマスネ」と全く気づかず、木属性のウッドマンをバーナーや炎属性のバトルチップでプラグアウト寸前まで追い込んでやった。

 監視カメラが動かないのを見計らい、懸命に訴えるサロマの目の前で粗大ゴミを崖に捨てて嘲笑い、悔し涙を溢す彼女をオカズに立ち去ったのだ。彼女が通報したという警察が来る前に颯爽と。

 

 そんなオペレーターとナビが懲りずにやってきたことを、彼らは嘲笑っているのだ。どうせ自分達には勝てないし、止める事などできないのだと。

 プログラムくん=録画を止めている以上、証拠も確証もなくオフィシャルが動く筈もない。表向きはキチンとしたゴミ処理施設の者なので、知らぬ存ぜぬを貫けば良い。

 

 だがウッドマンは嘲笑にも威圧にも屈せず、ドンと構えていた。

 

『今度こそコイツらを止めるわよ、ウッドマン!』

 

「不法投棄に加担する不届き者共め、今度こそ森の怒りを思い知らせてやる!」

 

 オペレーターの女性に合わせて、大きな手をゴキゴキと鳴らすウッドマン。

 

「やっちまってくだせぇアニキ!」

 

「おうよ、メッラメラにしてやんよ!」

 

 片方のナビがプログラムくんを暗闇状態にさせた後、もう片方ナビが火炎放射器となった片腕を向ける。

 

『行くわよウッドマン! バトルオペレーション、セット!』

 

「イン!」

 

 

 

『ナンダカ眠イデス……グースカピー……』

 

 このプログラムくんは引退しても良いと思う。

 

 

 

「ギャハハハ! なんだよ大した事ねぇな!」

 

 確かにウッドマンは『ローリングウッド』で相手の攻撃を防いだり、オペレーターが『カースシールド』や『メットガード』などのバトルチップでウッドマンを守ったりするようになった。

 だが炎属性攻撃への対策になるかといえばそうではない。火炎放射の回転率は相手側の防御を上回るし、『トーテム』でトトポールを設置することで援護射撃ならぬ援護火炎で更なる追い打ちをかける。

 

リーフシールド!」

 

 ダブル火炎放射に対してウッドマンは再び『リーフシールド』を展開、大きな葉っぱが周囲を舞い、エリアをクサムラパネルに変えながら火炎放射を防ぐ。

 貫通を持たない火炎放射はたった一枚の葉っぱで防がれてしまうが、今度はバスター射撃に切り替える事で一枚ずつ処理する。その間にもトトポールはこちらを向いて回復させる。

 

 だが彼は気づかない。ウッドマンの後ろにポツンと佇む若葉の存在に。

 

「おらおらこのままじゃジリ貧だぜぇ!?」

 

 もう一度転がって来た『ローリングウッド』を火炎放射で押し出しつつ、『ウッディタワー』を避けてからクサムラパネルごとウッドマンを焼く。

 弱点に加え、クサムラパネルによって炎属性の威力を倍化させたのだ。これでウッドマンは一気にデリート寸前まで……そう思ってトトポールの後ろで一休みした矢先に。

 

―ぷっぺー! ぷっぺー!

 

(ラッパ音?)

 

ウッディタワー!」

 

 ウッドマンは健在だった。地面から伸びて来た『ウッディタワー』がトトポールの後ろで休んでいた炎ナビに直撃、打ち上げられてしまう。

 炎ナビはダメージを負った事に加え、ウッドマンが無事だった事に頭を混乱させてしまう。その間にも上から降って来た『スチールゼリー』がウッドマンのエリアを拡大、移動速度を向上させ『ウッドバスター』でけん制してくる。

 

 それだけでなく、上からリンゴが降って来た。

 

「おごっ!?」

 

 ゴチン、と頭に直撃するリンゴ。続けざまに『ウッドバスター』から放たれたタネ弾丸を何発も受けてしまって更に焦燥感を掻き立て『リカバリー』チップで回復を図る。

 体力を回復して余裕が出て来たのか『トーテム』で再びトトポールを出しながら火炎放射を放つも、ウッドマンは敢えて受け止める。しかしダメージが入った気配がない。

 

―ぷっぺー! ぷっぺー!

 

(またラッパ音……あれか!)

 

 火炎放射や『ウッディタワー』、トトポール、そしてウッドマンと視界が遮られていたが、ウッドマンの後方に何かが立っているのにようやく気付く。

 最後列に存在していのは2体のウィルスだった。『キャノーダム』を象ったような樹と、『ララパッパ』を象ったような樹の二種類。前者が放物線を描きながらリンゴを射出し、後者が間抜けな音色を奏でてウッドマンにバフを掛けていたのだ。

 

「そいつらがオレ様の邪魔を―――あでっ!?」

 

 再び、ゴチン、とリンゴが脳天に直撃する。あのウィルス、妙に狙いが良い。更にあのララパッパは『オウエンカ』の効力を発揮し、ウッドマンを生きた盾と化している。

 ならば見た目からして木属性であろうあのウィルスから……そう思っていると再び『リーフシールド』、さらには『ローリングウッド』で更に邪魔してくる。その間にもリンゴと音色が放たれるし。

 

「どうしたどうした、ジリ貧だぞ!?」

 

「うっせぇ!」

 

 クサムラパネルにしようが関係ないとばかりに『マグナム』を発射、二体のウィルスを弱点を突いた事で蹴散らしパネルに罅を生じさせる。

 二種類のウィルスによる援護は厄介だが、初手にばら蒔いたあのタネから伸びた若葉を火炎放射で纏めて焼けばいい。丸太が転がろうが『ウッディタワー』で邪魔されようが、こちらが有利なのに変わりはない。

 さらに相方さえ生き延びればプログラムくんを妨害し続け、粗大ゴミを乗せたオペレーターのトラックが録画されることはない。長期戦はむしろ望む所であった。

 

 あのウドの大木に決定打が無い以上、こちらに負けはないのだ!

 

「ぐおっ!?」

 

 だからか。油断した所へウッドマンが『エリアスチール』で更に急接近、『グリーンロープ』で束縛されてしまう。

 

『動きが鈍った! 今よウッドマン!』

 

「ハダントツ!」

 

 肩の後ろまで拳を思いっきり引き、同時に猛烈なスピードで踏み込んで必殺のパンチをお見舞いする!!

 

「ぐおおぉぉぉっ!?」

 

「ア、アニキーっ!?」

 

 

 

―――

 

「ふわぁ……眠っ」

 

「ふんばれー、さっさと終わらせて帰ろうぜー」

 

 深夜零時を過ぎた頃、一台の大型トラックが田舎の山道を走っている。金と共に受け取った膨大な数の粗大ゴミを、この山奥に捨てる為に。

 今頃は自分達のナビが監視カメラの電脳に入り込み、トラックが通る間にカメラ機能を停止させている頃だろう。これまで何度も成功させているからか、何の警戒もしていない。

 更に眠気もあって運転に集中するので精一杯だから、ナビ側からなんの連絡が無いにも関わらず、そのまま目的地点まで到達する。

 

 さてゴミを捨てるか……そう思って止めた所へ、前方にライトで照らされ浮かんだ人影に気づく。

 

 ショボショボする目を擦って再度確認して……その人物とは前に会った事を思い出す。確か偶然ここを通りかかった際に見られてしまった、自然保護を訴える五月蠅い女だ。ナビをコテンパンにして泣かせて帰らせたが……。

 こちらの視線に気づいたのか、彼女はPETを掲げて見せつける―――画面には粗大ゴミを乗せたトラックが山道を通る映像が映っており、男達の眠気と血の気が一気に引いていった。

 

「これまで散々悪さしたようだけど、これで終わりよ! 既にオフィシャルに送信したから、直に来るわ!」

 

「こ、このアマ! 温情で逃がしてやったのに!」

 

「つ、捕まえちまえ!」

 

 眠気から無理やり覚まされた反動からか、男2人はトラックから降りて女性……サロマに詰め寄る。

 襲い掛かろうとする二人組に対し、サロマは力強く睨んだままだ。かつてウッドマンをコテンパンにして調子に乗ってゴミを目の前で捨てられた悲しさ・悔しさ・そして怒りを胸に宿らせ……。

 

師匠(ストンナ)直伝―――ドロップキィーック!」

 

「ぐぶふぇっ!?」

 

 助走してからの跳び蹴りが男の腹に直撃! 

 

 余りにもショッキングな映像を目の当たりにしてしまった相方が硬直してしまい、それをサロマは逃すまいと蹴られた男を足場に跳び上がって着地。

 

師匠(ストンナ)直伝―――ヘッドバッドォ!」

 

「おっぶぇっ!?」

 

 着地した状態から一気に飛び跳ね、腹部に頭突きをお見舞いする!

 

 蹴られた男と同様の大ダメージを負った男はゆっくりと倒れる。サロマは咄嗟によけ、男達は地面に倒れ伏すのだった。

 

 ピクピクと痙攣して動かなくなった男達をチラっと見た後、天を仰ぐ。木々の間から見える星空を眺めながら、サロマは彼女……ウッドマンを魔改造してくれたストンナの事を思い出す。

 

師匠(ストンナ)……アナタの教え、確かに役立ったわ」

 

―悪党に情けは無用! なのです!

 

―ええ、そんな非道は許されません。なのでストンナ……許可します!

 

 プリンセス・プライドの許可の下、ストンナはウッドマンを魔改造しただけでなく、得意技だというドロップキックやヘッドバッドをサロマに教えた。悪党をぶっ飛ばす為に。

 時には暴力に訴えなければいけない事もある……護身術だと言っていたから教わったが、こんな過剰防衛学んで良かったのかと時折疑う事もあった。

 

 だが、実際にやってみて解った。

 

「悪党をぶっ飛ばすのは気分が良いわね!」

 

 自然を破壊する悪党を自身の足と頭でぶっ飛ばしたサロマは、とてもいい笑顔をしていた……。

 

 

 この後、サロマが送られた証拠映像を元にオフィシャルの関係者が到着。

 真っ当に働いていたと思われたゴミ処理業者が不法投棄を、それも幾度となく繰り返した事も明らかになり、男二人組どころか関係者までお縄となった。

 これを機に監視カメラの機能を一新、ガタが来てバカになっていたプログラムくんを引退させ、新しいプログラムくんが導入され、より監視体制を強化する事となった。

 

 勿論、不法投棄されたゴミの数々は更生プログラムの一環として逮捕した男達に回収させ、キチンとしたごみ処理施設で処理。

 サロマも積極的にゴミ処理を手伝った事で自然保護活動の広告にもなり、多くのボランティアや保護活動の同意者を集う事に成功した。

 

 クリームランドに帰国したプライドとストンナにもその事が伝わり、サロマとより仲良くなったのだった。

 

 

「とほほ、もう悪事なんてこりごりだぁ……」

 

「アニキぃ……」

 

 因みにウッドマンにぶん殴られたナビ達は、オフィシャルの監視の下でボランティア活動に尽していた。

 

 

★ウッドマン(魔改造)

・オペレーター:サロマ

・属性:木

 

【主な技】

〇『ウッディタワー』:

 性能は改造前と特に変わらない。

 

〇『トラフィックログ』:

 こちらも性能は改造前と変わらないが、ウッドマンだけでなくサポートウィルスも当たり判定無し。

 

〇『タネデッポウ』:

 こちらも性能は改造前と変わらない。

 

〇『グリーンシード』:

 自エリアの最後列に2発タネを放ち、若葉が伸びる。暫くするとキャノーダムに似た木属性ウィルス『ウッドキャノーダム』或いはララパッパに似た木属性ウィルス『ウッドララパッパ』に成長する。

 『ウッドキャノーダム』は放物線を描いて飛ぶリンゴをランダムに発射。『ウッドララパッパ』は一定時間ごとに奏でてウッドマンに無敵バフを掛ける。若葉はHP10だがウィルスに育つとHPが100以上になる。

 

〇『リーフシールド』:

 9マスかつ中央がないと発動できない。自身の周り8マスを葉っぱが回転しクサムラパネルに変える。回転している葉っぱはどんな攻撃でも一回だけ防ぐが、逆に言うとバスター攻撃ですら破れる。

 

○『ハダントツ』:

 最前列から相手へ目掛けて横2列の突進パンチを放つ。出が速く威力も高い魔改造ウッドマンの必殺技。

 

【戦闘コンセプト】

 ストンナの発想により『ロックマン2』のウッドマン、『ロックマンゼロ4』のノービル・マンドラゴ、『ロックマンX8』のバンブー・パンデモニウムの技を採用され魔改造した。カラーリングはそのまま。

 性能はそのままだが技が豊富になり、シールド・火力支援・必殺パンチと長期戦に強くなった。

 『ウッドキャノーダム』に育ち切れば盾にも矛にもなるが育ち切るまでが大変。また自軍を圧迫しかねないので『スチール』系統で機動力戦に持ち込まれると弱い。

 

【オペレート】

 兎に角『グリーンシード』を育てなければならない為、妨害系チップが基本。『サンダーボール』や『ブラインド』などの行動制限で敵の動きを封じ、サポートウィルスが育ちきるよう立ち回る。また『エリアスチール』などでこちらの行動範囲を広げると良い。

 サポートウィルスが育てば継続的な支援が得られる為、チップフォルダは継続力を高めるか火力を補うかでオペレート内容が変わってくる。そこはサロマ次第だろう。 

 

【性格】

無口で物静かな性格なのはそのままだが、ウィルスを育むようになってから心優しい一面が目立つようになった。

 

【経緯】

 不法投棄の常習犯に環境保護を訴えようとして惨敗し目の前でゴミを捨てられた悔しさからストンナにウッドマンの改造を依頼。クリームランド的にも不法投棄は許せないとストンナが魔改造を施した。

 更にストンナのアクティブさを見習ってサロメ自身も護身術を学び、ストンナ必殺(?)のドロップキックも習得。

 




今回の魔改造はウッドマンでした。活動報告を参考に技が増えました。

・ノービル=マンドラゴ
ロックマンゼロ4に登場する植物型レプリロイド。
彼女のばら蒔いた種が縦横無尽に小さな砲台を生やす。これを真似た。

・ウッドマン(原作)
本家のリーフシールドを習得しました。クサムラパネルに変えてくれる機能付き。

・バンブー=パンデモニウム
ロックマンX8に登場するパンダ型レプリロイド。哲学パンダ。
彼の必殺技を真似た。踏み込みパンチだが、パンデモニウムのは爪を伸ばす。

・ウッドキャノーダム&ウッドララパッパ
若葉から木目のキャノーダムとララパッパになります。

・ストンナ直伝ドロップキック&ヘッドバッド
ストンナの得意技。何故かサロマが習得することになった。

やることが増えて大変になったウッドマンでした。

いつも感想と誤字報告ありがとうございます!
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