ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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※今回はオリジナル展開や独自解釈、キャラ改変、クロスオーバー要素が強いです。

さっと書いて纏めるつもりが一々書かないと気が済まなくなってた……。


【バグとゴスペル】

 

 この日、オフィシャルと科学省の助力を得た光熱斗と伊集院炎山は、ゴスペルの真の拠点であるコトブキ町のマンションに突入していた。

 

 このマンションから発生する膨大かつ強大な電磁波の影響か、周辺は現実世界と電脳世界が混合してしまったかのような外観となっている。アメロッパとニホンの科学省が編み出した防磁スーツが無ければ人体に悪影響を及ぼし、まともに近づく事もできなかっただろう。

 マンションの電脳もアドレスが滅茶苦茶に入り乱れ、複雑怪奇なエリアと化していた。アメロッパ産の宇宙服(綾小路やいとが購入したもの)を着こんだデカオ・やいと・メイルが先行しウィルスの大半がデリートされていた為、電磁ビットを修復しつつ順調に電脳を進んでいった。三人組は帰還後にオフィシャルの説教コースが待っているが……。

 

 ロックマンとブルースの見事な連携プレイで突き進み電脳を正常化、エレベーターを起動させ30階に辿り着く。

 

『―――そこだ!』

 

 黒猫を乗せた二つの棺の間を抜け『フミコミザン』で棺のようなネットナビを切り裂くブルース。

 

『プログラムアドバンス・ドリームソード!』

 

 三種類のソード系チップを送信して発動する巨大な斬撃が、惑星のようなネットナビを周囲の惑星ごと切り裂くロックマン。

 

「よし、デリート確認! やったぜロックマン!」

 

『はぁ、はぁ……手ごわかった……』

 

 緊張が解れ疲労感に襲われるロックマンだが、紫の高火力ネットナビとの連戦にも関わらず、蒼と紅の英雄2人は勢いを増すばかりだった。

 

「ブルース、コントロールプログラムを」

 

『解りました、炎山様』

 

 ブルースが電磁波コントロールプログラムを破壊した後、決戦は目の前と察した2人は休憩も兼ねてサブチップで回復させる。

 

 そんな中、熱斗は思った疑問を炎山にぶつけてみる。

 

「なぁ、さっきの奴らもバグで改造されたコピーナビなのか? てことはこの先には本物が……」

 

 膨大な電磁波で来る者を拒む扉を開く為に電磁波コントロールプログラムを探し出した直後に現れた3体のネットナビ。いずれも自動プログラムで機械的な反応しかできなかったが、高い攻撃力と強固なボディを宿していた。

 ここまでの道中に倒してきたクイックマンやマグネットマンといったゴスペルのネットナビら同様、炎山らオフィシャルの情報で知ったバグ改造コピーなのだという(ナイトマンも居たのは驚いたが、表面だけのコピーだと言うのなら多少は納得できた)。

 ならば彼らのオリジナルがこの先に……熱斗の予想を否定するように炎山は首を横に振る。

 

「聞いたことがある。WWWが表舞台に出没するようになる前、各国の機密データが盗まれる事件があった。いずれも強力なネットナビの設計データだ」

 

 炎山の話に曰く。

 

 アッフリクのオカルトパワーを解明し造られるはずだったファラオマン。シャーロの最先端技術を詰め込んだ軍事用ネットナビ・ナパームマン。ガウスコンツェルンとアメロッパ国際宇宙局が合同で開発していた衛星用ネットナビ・プラネットマン。

 いずれも開発途中のデータだったが、当時最高のセキュリティを擦り抜け、これらの機密情報全てが盗まれてしまった。当時のオフィシャルはウラインターネットも含めて探し出したが、有力な手掛かりは掴めなかったという。

 

「そんなネットナビのコピーが出たってことは、データを盗んだのはゴスペルなのか?」

 

「さぁな。これから聞き出せばいい……行くぞ」

 

 熱斗の疑問には答えたし、ブルースもロックマンも回復した。電磁波が弱まった事で隣の部屋へ通れるようになった。熱斗は先に歩み出す炎山を追い、互いに頷いた後に扉を開いた。

 

 広々とした一室の壁を埋め尽くすサーバーの数々に圧倒される中、ひときわ目立つ存在が居る。

 壁と一体化したモニターを背に立つ、薄緑色の長髪に黒い目の男……彼がゴスペルの首領と見て間違いないだろう。

 

『ようこそ光熱斗、そして伊集院炎山。生憎と茶菓子は無いが歓迎するよ』

 

 ボイスチェンジャーでも使っているのか、雑音交じりの声が響く。

 彼は侵入者である熱斗と炎山に警戒することなく、むしろ来ることを当然と受け止めているのか、落ち着いた様子で歓迎していた……悪の組織のボスに歓迎されて喜ぶような2人ではなかったが。

 様々なデスクトップPCが並ぶデスクによって隔たれてはいるが、ついに対面した2人は彼に詰め寄る。

 

「ようやく会えたな! お前がゴスペルのボスだな!?」

 

『いかにも。だがオレ自身は名を持っていない故、まずは名乗らぬ非礼を詫びよう』

 

「御託は結構だ。貴様をネット犯罪者として逮捕する」

 

『まぁ少し待ってくれ、今良いところなんだ。 まずはこれを見て欲しい』

 

 追い詰めたにも関わらず余裕綽々といった姿勢を崩さない首領は一番近いPCのキーボートに手を伸ばし、カタカタと操作し背後のモニターに電源を入れた。

 

 そこに映っていたのは凄惨な光景だった。

 

 アメロッパエリア。OFFICIALと描かれた肩当を装備したエアーマンやノーマルナビ達の攻撃を、3体のファラオマンが無数の棺桶で防ぎつつ前進する。

 クリームランド中枢エリア前。3体のナパームマンが次々と砲撃を行い、中枢ゲートを死守するナイトマンとストーンマンを苦しめている。

 そしてデンサンエリア。衛星を侍らせた3体のプラネットマンが逃げ惑うネットナビ達や周辺に無差別攻撃を仕掛けている。

 その他にもバグ改造コピーであろうネットナビ達が各国の電脳を襲撃している映像が入り乱れ、世界中の危機を示していた。

 

「デンサンエリアが! それにアメロッパ、クリームランドまで!」

 

『ナイトマン、ストーンマン! が、頑張れ! コピーなんかに負けないで!』

 

「たった3体で一国の電脳全てを蹂躙するとは……」

 

『驚いてくれたようで何より。だがこれでも実験の副産物でしかないのだよ』

 

 2人だけでなくネットナビまで驚愕させた事実に満足しつつも、困ったものだ、と言わんばかりに首領は肩を竦める。なんというか、余裕綽々というより人を小馬鹿にしているような男だ。

 

「お前、こんな事をして心を傷めないのか!」

 

「待て熱斗。実験の副産物と言ったな? まさか本気で究極のナビを作り出そうと考えているのか?」

 

『残念ながら違う、いや違った(・・・)んだ、光熱斗の言う心を傷めない人間2号君。

 確かにオレの当初の目的は究極のネットナビ………破壊の化身と名高きネットナビ・フォルテを造る事だった』

 

「ふぉるて?」

 

「見たものの力を己の力にする事ができる能力を持つ、無限に強くなるネットナビ。ウラインターネットでもその名を口にする事すら恐れている」

 

『解説ありがとう。そのフォルテをバグから生み出す為にハイパワーシステムとマンションを埋め尽くす程のサーバー、そして大量のバグの欠片を揃えた。

 だが実験を繰り返し、あのようなバグ改造コピーを次々と生み出し、さらなる研究を重ねた結果―――ついに!!』

 

 デスクに両手を叩きつける首領を前に、熱斗どころか炎山ですら怯んで首領の言葉を待った。

 くつくつと笑う首領を見て、まさか、と戦慄する炎山。本当にバグからフォルテを……!?

 

『造れないと解ったわけだ』

 

「いや造れないのかよ!」

 

 あっけらかんと答えた首領にツッコみを入れる熱斗、思わずコケかける炎山。PET内のロックマンとブルースですら唖然としてしまったほどだ。

 そんな彼らを指さして、あっはっは、と高らかに声を上げて笑う首領。まるで悪戯に成功した子供の様に笑っていた。

 

『こんな時でもツッコミを入れる余裕はあるんだな光熱斗。この度胸、炎山も見習ったらどうかね?』

 

「ふざけるのも大概にしろ! もう良い、今すぐにお前を―――」

 

『オレにとって他人なんかどうでもいいんだよ炎山。それに……ほら、新しいお客様が来た』

 

 目に余るふざけっぷりに堪忍袋の緒が切れて一歩前へ出る炎山だが、唐突に警報が鳴り響いて歩みを止める。首領はくつくつ笑いながらキーボードを操作、PCを見てより一層笑い声が大きくなる。

 

『くははは、ヤツ(・・)もウィルス程度では無駄だと解って痺れを切らしたか。だが何もかも遅いんだよ―――待たせたね2人とも。ネットナビをプラグインするといい』

 

 面白い物が見れるぞ?と揶揄いながら差込口を向ける。罠とも見れる首領の行動に炎山は怪しむが、隣のネットバトラーはそうではない。

 

「やってやるさ! お前らに世界を滅茶苦茶にされてたまるかってんだ! 頼むぞロックマン!」

 

『うん! ゴスペルが何をしようとも、僕らで止めてみせる!』

 

 果敢に挑もうとする熱斗とロックマンを見て、炎山は改めて彼の良さを理解し笑みを深める。

 

「気後れしていたオレがバカみたいだな……やるぞブルース」

 

『はい、炎山様! 必ずやゴスペルの野望を阻止してみせます!』

 

「プラグイン! ロックマン.EXE、トランスミッション!」

 

「プラグイン! ブルース.EXE、トランスミッション!」

 

 

 

 プラグインしたロックマンとブルースを待ち受けていたのは、氷漬けにされたドリームビットの数々と、デリート寸前の3体のネットナビ―――ファラオマン・ナパームマン・プラネットマンだった。

 

『よもや……この我が……グオオォォォッ!』

 

『マサカコレホドマデトハ……キョ、キョキョキョーッ!!』

 

 言葉を発する所を見ると彼らはコピーではなくオリジナルなのだろう。ファラオマンとプラネットマンは断末魔を上げて爆発に飲まれ、デリートされてしまった。

 しかしナパームマンだけは小規模の爆発が収まり、片膝を着くも生存していた。

 

『冗談じゃねぇ、オレは降りるぞ! 恨むなら自分の迂闊さを呪うんだな爺!』

 

 重傷を負いながらも、捨て台詞を吐いた後にプラグアウトして逃げるナパームマン。

 残されたのは3体のネットナビを倒したであろう存在―――フリーズマンらしき(・・・)存在だった。

 

『フリーズマン!? まさか彼もコピー……いや』

 

『待てロックマン、なにか様子が……なんだアレは……!?』

 

 フリーズマンと戦い勝利したロックマンも、フリーズマンと初対面のブルースも、彼の今の(・・)姿を目の当たりにして呆然とした。

 

『ガルァ……!』

 

 その姿はまさに二本足で立つ獣。童話に見るような【狼男】そのものだった。

 

 辛うじてフリーズマンの面影こそ残っているものの、その姿はまさに氷の人狼。理性を感じぬ獣の唸り声が二人を威嚇する。

 いつでも飛び掛かれそうな前屈姿勢のまま氷の尾を揺らし、鋭い爪と氷の刃を携えた両腕を2人に向けていた。

 

「な、なんだこりゃ……コイツもバグで改造されたヤツと同じだってのか!?」

 

「その時のオレ達はザコ共を抑えてたから知らないが、今までのコピーとは桁違いの―――まさか!?」

 

『流石はオフィシャルのエース、鋭いな』

 

 いつの間にか両手で複数のキーボードを操作しながら首領はくつくつと笑う。

 

『そいつはオレが所持しているオリジナルデータから復元する際、ハイパワーシステムを用いて無理やりバグを組み込んだ姿さ。コピーナビがバグ60%なら、コイツはバグ80%と言った所か。

 バグが集うと獣の姿を宿すという……姿こそ半獣型に留まっているが、自我は失い文字通りの獣となった。オレはこの現象を【獣化】と呼んでいる』

 

「なんてことを……フリーズマンを何だと思っているんだ!」

 

『オレはお前が言う「心を傷めない奴」だからなぁ。自分のナビがどうなろうと何も思わないな―――これからすることもな!』

 

 憤慨する熱斗を他所に凄まじい速度でキーボードを操作を続けると、両側にぎっしりと並べられたサーバー全てからバチバチと嫌な音が鳴る。

 

「ぐ……ぐああっ!?」

 

「が……な、ぜ……ガアァァっ!」

 

『フハハハ、が、Ga、GaGa……Ga、Gi!?』

 

 サーバーが異音を発すると同時に熱斗と炎山、それの首領の体表に微弱な電流が走る。

 微弱とはいえ電流が全身を駆け巡り、三人は悲鳴を上げる。首領は電流の影響でおかしくなったボイスチェンジャーから機械音が入り乱れる。

 

『電磁波が急増していく! 熱斗君!』

 

『危険です炎山様! 早く脱出を!』

 

 オペレーターを心配するロックマンとブルースに対し、フリーズマンは動かず唸り声を上げて威嚇するだけだ。

 やがて電磁波が収まり、3人は落ち着く為に軽く深呼吸し―――ゴスペルの首領が雑音交じりに笑いだす。

 

『は、はは、フハハハハ! 今の電流はサーバー出力を更に上げた結果だ! このまま上げればオレもお前らもタダでは済まないが、そんなことはどうでもいい!

 オレはこのハイパワーシステムとサーバー、そして【獣化】のバグシステムで更なるバグ改造ナビを量産―――それがダメなら最終手段として【意図的な電脳獣の創造】に踏み込む!』

 

「なんだと!?」

 

「電脳獣って、パパが言ってた最悪のケースっていう!?」 

 

 ようやく明かされたゴスペルの目的に、炎山と熱斗は今度こそ危機感を覚える。

 

 オリジナルであるファラオマン・ナパームマン・プラネットマンを退けたバグ改造フリーズマン。それを設立した【獣化】なるバグ改造システムを確立させ、世界中の電脳に送り付ける第一プラン。

 その第一プランが果たせなかった場合、裕一郎博士が最も恐れている存在であるバグ集合体・電脳獣を意図的に作り、ネットワークを破壊する。

 ファラオマンらのバグ改造コピーですらモニターのように世の中に混沌を齎したというのに、どちらか一方だけでも成功してしまえば最悪のケースになりかねない。

 

『丁度2人もいるんだ、決着を付けようじゃないか!』

 

『この獣化フリーズマン……否! 【フェンリー・ルナエッジ】を倒し!』

 

『バグ融合で創り出す新たな電脳獣、【ゴスペル】を倒す!』

 

『どちらかが負ければ、そこで世界は終わりだ! オレはどちらでも構わないがな!』

 

 先ほどまでの態度が一変、狂気を感じさせる気迫を放ち熱弁するゴスペルの首領。

 フリーズマン改めフェンリー・ルナエッジが、彼の意志を理解したかのように遠吠えをする。

 身も心も凍えるような遠吠えに一瞬気圧されるロックマンとブルースだが、逆に意を決する。

 

『どんな相手だろうとも、僕達は皆の為に戦う! オペレート頼むよ、熱斗君!』

 

『このブルース、無様に背を晒すようなプログラムは受け付けていない! 炎山様!』

 

 そして当然ながら、決死の覚悟でここまで挑んでおいて、今さら逃げ出すなどという選択をするような2人ではない。

 

「熱斗、ロックマンを先に! フェンリー・ルナエッジはオレとブルースに任せろ!」

 

「ああ! 頼むぜ炎山、ブルース! 行くぞロックマン!」

 

『来いよ! こんなくだらない世界に破滅の福音音楽(ゴスペル)を唄ってやる!』

 

 

―――首領の叫び、そして獣の遠吠えが電脳世界に轟いた。

 




○ゴスペル首領
独自解釈。冷酷な癖に人を小馬鹿にするのが好きなボスになりました。イメージは千葉トロン。
世界の掌握か破壊の2択を迷わず選択できる胆力の持ち主。それぐらいには人もナビも信じていない。エビチャーハン。

〇三体の裏ボスナビ
独自解釈。それぞアッフリク・シャーロ・アメロッパ国際宇宙局の極秘データから生み出されたという設定。要するに爺さんがデータパクって作った。
ファラオマンのデータがアッフリクなのは、ファラオのモチーフ元であるエジプトがアフリカ大陸にあるからという理由。
ナパームマンは命惜しさに逃げ出し、残り二体は開発中のマスターデータがあるので各々復帰予定。

〇ゴスペルの目的(当作品において)
当初こそ「バグ融合で究極のナビ・フォルテを造る」を目標にしていたが、度重なる実験の末に不可能だと悟り路線変更、「獣化ナビの量産」及び「意図的な電脳獣の創造」とした。前者は世界征服を、後者は前者が失敗した場合の最終手段とした。
更にファラオマンらの基となった機密データをスポンサーから盗み出し勝手に量産、これをスポンサーは怒りドリームビットやファラオマンらを派遣したが返り討ちされた。

〇フェンリー・ルナエッジ
首領のナビであるフリーズマンに大量のバグを融合させ変貌した姿。狼男のような姿をしており自我は失われている。
ロックマンエグゼ6の獣化のパクリ。バグに完全に侵食されて後戻りできない状態。
状態異常にならずスーパーアーマー状態、しかも動きが早く次々に攻撃してくる上に高HP。ただし相変わらず電気が弱点だし床は全てアイスパネル。
元ネタも姿も「ロックマンゼロ4」に登場するアインヘルヤル八闘士そのもの。名前も同じだったのは偶然。

ここから先は炎山が混ざるだけで大体原作通りなので省略しようか悩む所。

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