ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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※結局中編になってしまった。後編でクリームランド旅行編を完結させたい。

IF改造ナビに関するアンケートありがとうございます。3体とも採用させてもらいます。
3体の中ではフレイムマンの投票が多かったです。ヒノケン味方ルート希望多いのかな。


【クリームランドにご招待・中編】

 

「バトルチップ『エリアスチール』、スロットイン!」

 

 プライドが送信した『エリアスチール』によってエリアが拡大、重量級とは思えぬスピードでナイトマンが突進する。

 赤く変色しているロックマン目掛けて腕を振り抜き、鎖を伸ばさず鉄球パンチを繰り出す。

 

「こっちも『エリアスチール』だ! スロットイン!」

 

 熱斗が即座に反応した時間は、プライドが送信してから1~2秒といった所。平均的なレベルのネットバトラーが見れば呆気に取られるであろう反応速度である。

 ナイトマンが加速すると同時に熱斗も『エリアスチール』を送信、ロックマンは瞬間的に生み出す加速に振り回されることなく行動に出る。

 大地をも砕く鉄球を寸前で回避し、それどころかナイトマンの背後を取る。同じ『エリアスチール』下なら、鈍重なナイトマンより身軽なロックマンに軍配が上がるのは当然だろう。

 

『なんの―――ウラァァッ!』

 

 しかしナイトマンの重量はパンチに上乗せするだけではない。

 地面に食い込んだはずの鉄球が即座に抜け、振り向き様に鉄球を振り回す。

 重量級のボディを使いこなすパワー、そして据わった重心を用いた行動速度はロックマンと大差ない。

 

 遠心力とナイトマン自身のパワーが乗った剛速鉄球をロックマンは背面跳びで躱し、巨大化した右腕に左手を添えてバスター射撃を行う。

 ヒートガッツスタイルとなったロックマンのバスターは連射力を犠牲に高い火力を誇る。

 通常時のロックバスターなら容易く受け止めれるナイトマンのボディに明確な傷をつけた。

 

「もう一歩ですナイトマン! 『パネルスチール』、スロットイン!」

 

 だが多少のダメージが入った程度で止まるナイトマンではない。

 続けて送信された『パネルスチール』による短時間の高速移動で大きく跳び、轟音を鳴らして着地。

 ナイトマンを中心に地面が罅割れて地震を起こす。そうしてロックマンの機動力を奪いにかかる。

 

 その着地の隙を前に、熱斗とロックマンは待っていましたとばかりに笑みを深めた。

 

「プログラムアドバンス!」

 

 ナイトマンが跳び上がったと同時に三枚のバトルチップを送信。

 

 『ソード』・『ワイドソード』・『ロングソード』……扱い易さと入手のし易さ故に発動しやすく、しかし強力なダメージソースとなるプログラムアドバンス。

 

『ドリームソードォ!』

 

 ロックマンの右腕に巨大な緑の刃が浮かび、ナイトマンを袈裟斬りにする。

 

『ぐっ……申し訳ありません姫様……!』

 

 『ストーンボディ』を発動できず、強化されたロックバスターで削れた体力では『ドリームソード』の高攻撃力に屈するしかない。

 HPが0となったナイトマンは強制的にプラグアウト、プライドのPETに転送される。

 

 程よい解放感と達成感を噛み締めながら息を吐くプライドは、己とナイトマンの敗北を清々しく受け止めた。

 

「……参りました」

 

「やったぜロックマン!」

 

『はぁ……はぁ……熱斗君もナイスオペレートだったよ!』

 

 『ドリームソード』の発動を狙って粘りに粘ったロックマンの健闘を称える熱斗。

 プライドは握り拳を造って喜ぶ熱斗を見て微笑みながら、ネットマシンからプラグを抜いてPET内のナイトマンを回復させる。

 

「流石ね熱斗。よくぞナイトマンを打ち倒しました」

 

『スタンダードフォルダを少々弄った程度であの強さ……敵ながら天晴と言わざるを得ませんな』

 

 ゴスペルの最終決戦後、強力な電磁波によってチップフォルダデータが全て消失したと聞いた。

 それでも、ヒートガッツスタイルでバスターの火力を上げ、熱斗の的確な指示と直感でプライドとナイトマンから受けるダメージを最低限に抑え、ナイトマンのHPを削った上でプログラムアドバンスの一発勝負に持ち越したのだ。

 おかげでプライドもナイトマンも長期戦を意識してしまい、プログラムアドバンスを考慮し損ねてしまった。熱斗の知謀とロックマンのガッツも成功の秘訣だろう。

 

 そういえば、と回復を終えたナイトマンがPETからロックマンに問いかける。

 

『そのスタイルチェンジとやらはアジーナの国宝が元と聞いていたが、如何様にして譲り受けたのだ?』

 

 アジーナ電脳はゴスペルに壊滅させられ、現在は復旧中だとプライドから聞いていた。

 故にナイトマンが疑問に思って聞いたのだが、ロックマンどころか熱斗までが言葉を詰まらせた。

 

「ロックマンのスタイルチェンジの元になったのは『チェンジ.bat』っていうんだけど……」

 

『その時はアジーナはゴスペルによって壊滅されてて、その、そのまま黙って借りちゃって……』

 

「今すぐにアジーナスクエアに行って返してきなさい」

 

 とん、と熱斗の肩を掴んで諭すプライドの顔は真剣そのもの。

 国際問題の重さを知る一国の王女として、熱斗とロックマンのしたことは非常に拙いと理解しているからだ。

 かつてインターネットの最先端を進んでいたクリームランド民として、アジーナの国宝『チェンジ.bat』について耳にしていたのも大きい。

 

 するとプライドの気迫を前に熱斗が慌てて弁解する。

 

「だ、大丈夫だって! アジーナの王様やナビの皆に謝ったし、『チェンジ.bat』はまだ持っていて良いって言われたし!」

 

 その後、アジーナ国とのメールを見てもらいながらロックマンが説明する。

 

 ゴスペル壊滅後に一度アジーナスクエアに向かった事。

 バックアップで復活したクックマンと対面し、裕一郎と一緒に『チェンジ.bat』を黙って持って行ったことを謝罪した事。

 クックマンとアジーナ国のナビ達はそれを許し、アジーナスクエアが復旧するまで『チェンジ.bat』をロックマンに預けるよう頼んだ事。

 その後はちょくちょくアジーナスクエアに訪れて復旧作業を手伝っている事などを教えて貰った。

 

「まぁ双方の同意があったのなら問題ない……のかしら?」

 

 それを聞いて納得もしたし安心もした。まぁ不安要素がゼロになったわけではないが。

 熱斗とロックマンの人柄を考えれば、他国の宝を借りパクしたままにするわけがないと思ったからだ。

 

「んで、夏休みの終わりも近いし、復旧も進んだから残りは遊んでおいでってクックマンが勧めてくれたんだ」

 

『この旅行から帰ったらクックマンに返しに行くよ』

 

『ふむ、クックマンがそう言っていたのなら問題なかろう』

 

 クリームランドもアジーナとは交流があり、ナイトマンはクックマンと交友関係にある。

 クックマンの人柄を考えれば彼らへの対応は納得できるし、ロックマンの「お土産何がいいかな」と言う疑問にも答えてあげられる。

 

 クックマンの土産についてアレコレ話していると、反対側のネットバトルマシンが何やら騒がしい事になっていることに気づく。

 気になった熱斗とプライドは小走りで向かい、マシンに映し出される映像を目の当たりにする。

 

「今度はこれよ! 『ファイターソード』、スロットイン!」

 

『ファイターソードぉ!』

 

 前方3マスをソードで攻撃するバトルチップ『ファイターソード』。『シークレットチップ』と呼ばれる激レアチップだ。

 更に『エリアスチール』でストーンマンの『レーザーゴーレム』から放たれるレーザーを避けつつ接近。

 『ストーンボディ』を発動できない攻撃の隙を狙いレアチップで攻撃。これが決まれば勝利は確実なのだが……。

 

「甘いですっ!」

 

 グライドが『ファイターソード』を振り抜いたと同時にストンナがPETを操作。

 あらかじめ送信していた『カースシールド2』が発動、巨大なストーンマンと比べると小さく見えるカーズナが立ち塞がる。

 薄くも強固な壁型ウィルスは『ファイターソード』の刃を受け止め、あまつさえグライドに噛みついた。

 

『ぐあっ!?』

 

「ぐ、グライド!?」

 

 会心の『ファイターソード』を防がれた上にカウンターを決められた事に焦るやいと。

 ストンナとストーンマンは意固地なまでに己の防御力を当てにしていた。常備機能(パッシブ)の『ストーンボディ』に加え『リカバリー』系のバトルチップを大量に使ってきたのがその証拠だ。

 

 だから『カースシールド』なんてカウンターしてくるなんて思わなかったのだ!

 

「思い込みは禁物なのです! やっちゃうですストーンマン!」

 

『ヘビーフィスト!』

 

 『エリアスチール』で得たスピードを用いた蒸気機関車のような突撃。

 その勢いに乗じて片腕を振り上げ、そのままグライドに叩きつける。

 そこそこ減らされた事もあってグライドのHPは0。ペラペラになってプラグアウトするのだった。

 

「やいとちゃん強いですね、レアチップの脅威を改めて思い知ったのです」

 

「あんたこそ、あたしと背丈変わらないのにPET操作上手いのねぇ」

 

 とてとてと互いに歩み寄って握手を交わすストンナとやいと。身長が同じぐらいなこともあって互いに親近感が沸いているらしい。

 数々のレアチップやそれを防ぐストーンマンとストンナの防御力を称えるように拍手が飛び交う中、ストンナはやいとにPET操作のコツを教えている。

 

「やいとちゃんもやりますね、ストーンマンをあそこまで追い詰めただなんて」

 

「まぁやいとはレアチップありきだけど頭良いからなぁ」

 

 終盤だったとはいえストーンマンとグライドの戦いを見たプライドが思わず口にし、熱斗がそれに答える。

 

 多種多様なバトルチップの特徴を暗記しているという彼女は、一般的なネットバトラーから見ればバトルチップへの対応は早い方だ。

 自身の背丈に対してPETが大きく操作しづらい事、執事としての能力を優先したが故にグライド自身は戦闘に向いていない事がネックだが、経験を積めば間違いなく強敵クラスになるだろう。

 

 そんなやいとが「ほー」とか「成程!」とか感心しながらストンナからPET操作テクを学んでいるのだから、ネットバトル大好きな熱斗としても期待せざるを得ない。

 

「次はオレとガッツマンが相手してやるぜ、誰でも来ーい!」

 

「次あたし~!」

 

「ぼ、ぼくもやりたい」

 

「ボクもボクも!」

 

 熱斗VSプライド、やいとVSストンナが終わった事で、次はデカオとガッツマンの番だ。

 スポーツ動画『NAVIRE』で活躍したデカオ&ガッツマンに挑みたいクリームランド勢は多く、内気なクリスや大人びたアケートもハイハイと挙手してはしゃぐほど。

 

「いやー、子供って成長早いですねぇ……」

 

「デニッシュさん、気を落とさないで?」

 

 ワイワイはしゃぐ子供達を涙を浮かべて眺めるデニッシュと、そんな彼女を宥めるメイル。

 

 3台目のネットバトルマシンの電脳では、ガッツマン級の巨体を持つパワーローダーのようなネットナビ『コンパゲース』が倒れていた。

 対戦相手はロール。特に激戦だったとか逆転勝利とかではなく……ロールが戸惑う程に弱かったのだ、この重機型ネットナビは。

 

「どうせ私のコンパゲースは古いしオペレート下手ですよーだ……」

 

 しゃがみこんで地面に「の」の字を指で書くデニッシュを、メイルとロールは何とも言えない表情で眺めるしかなかった……。

 

 そんな時、バタンっと大きな音が鳴った。

 

「ちょーっと失礼していいいカナー!?」

 

 勢いよく開いた扉から出てきて大声を上げるメガト・キロクラム。

 突然の登場に一同がビクっと震えて一斉に振り向き、メガトの様子を見る。

 

「ウィルスバスティングに自信のある人、どうか助けてくれないかネ!?」

 

 鼻につく焦げ臭い匂い、少々煤で汚れているメガト、扉の奥から薄らと漂う黒煙。

 どう見てもトラブルを起こしたようにしか見えない光景に、ストンナを除いた一同は「あー……」と声を上げたのだった……。

 

 

 

―――

 

 早歩きで先陣を切るメガトの後に続く熱斗・デカオ・プライド、そしてストンナ。

 進むにつれて焦げ臭さは増していき、嫌な機械音まで耳に入ってくるようになる。

 

「知っての通り私はウィルス研究を主としていてね。大型ウィルスの開発も手掛けているのだヨ」

 

「それってクリームデビルの事?」

 

 話しかけられて少しは不安が紛れた熱斗が質問する。

 

「左様。クリームデビルの発案は我が娘だが主な開発者は私でね。以後は研究の一環として『ナビにのみ反応する大型ウィルスの開発及び研究』にも着手している」

 

「彼の研究チームの成果がそのままクリームランドのセキュリティ強化にも繋がるんですよ」

 

 メガトの解説にプリンセス・プライドが付け足す。

 元々クリームデビルはセキュリティ強化の一環として試験的に開発された大型ウィルス。

 識別コードを持たないナビにのみ反応するプログラムを用いた結果は大成功だった。

 

 バグ改造ナビの襲撃の際にデリートされてしまったが、現在はマスターデータを元に再構築した二代目がクリームランド中枢エリアを守っている。

 

「現在は悪用されない為の対策などを重点に開発と研究が中心だと聞いているのです!」

 

「……で、この先の原因にも繋がってるってか?」

 

 ストンナが自慢げに胸を張って言うが、デカオの一言で現実に引き戻され、全員が「はぁ……」とため息を溢してしまう。

 

 そうこう言っている内にメガトと妻ニーチの研究室前に辿り着く。

 扉が閉まっているにも関わらず黒煙が隙間から漏れ、バチバチと音が鳴っている。

 メガトが振り向き、一同は覚悟を決めたように無言で頷き……意を決して扉を開ける。

 

「ああ良かった、助けてくださーい!」

 

 無表情だが全身で「困っているんです」と体現するストンナ母さんことニーチ・キロクラム。

 

 換気扇が回っているにも関わらず、大きなサーバーから溢れる黒煙の量が部屋中を満たしており。

 巨大なモニターでは電脳内の様子を映しているのであろう、黄色・赤・青の三種類のメットールが画面一杯に埋め尽くされており。

 これらの機器を操作するキーボードからはブスブスと煙を上げて、いかにも操作を受け付けませんと言った様子だ。幸いにもプラグの差込口は無事らしいが……。

 

「……まぁ、ご覧の有様でネー。詳しい話はプラグイン後に説明するヨ」

 

 困ったように肩を竦めるメガト・キロクラム。無表情だがその仕草には諦めが見て取れる。

 しかし熱斗達はモニターに映っている大量のメットールに目を奪われていた。

 

「すげー数のメットール」

 

「もしかすると外部から侵入者が?」

 

「これは研究成果と言いますか……とりあえずハッキングやウィルス爆弾の類ではないのでご安心を」

 

「要するにいつもの事ですね」

 

「いつもの!?」

 

 プライドの何気ない一言に振り向く熱斗。

 メガトを始めとしたクリームランド組は目の前の惨状を見ても落ち着いている為、つまりはそういうことなのだろう。

 

「細かい事は置いといてプラグインするですよ、また壊れたらたまらないのです!」

 

「また!?」

 

 今度はデカオがストンナの何気ない一言に振り向く。

 トテトテとモニター前に走って行くストンナと追いかけるプライドの後ろ姿を、熱斗とデカオは怪訝な表所を浮かべて見送る。

 

「……パパの仕事って大変だけどマシな方なのかな」

 

「……まぁストンナん家だからなぁ」

 

 光祐一朗の職場はややブラックだが良好な人間関係と安全性に配慮した職場だと熱斗は感じている。

 ウィルスの研究だからこのような状態に陥っているのか、それともデカオの言う通りキロクラム家が研究しているからか……あるいは相乗効果か。

 

 いずれにしても誘われて一泊させてもらう身としては放っておけない。

 覚悟を決めたように互いに顔を見て頷き、プライド達に並ぶ。

 

「プラグイン! ロックマン.exe、トランスミッション!」

 

「プラグイン! ガッツマン.exe、トランスミッション!」

 

「プラグイン! ナイトマン.exe、トランスミッション!」

 

「プラグイン! ストーンマン.exe、トランスミッション! です!」

 

 各々がコンピューターの電脳にプラグイン。

 

 電脳では数多くのメットール達が隊列を組んで行軍していた。

 黄・赤・青の三組が横一列に並び、それが延々続いている。どこかを目指しているわけではなく同じところをグルグル回っている。

 ロックマン達がプラグインしても止まることなく不気味さですら感じられる。

 

『凄い数のメットールだ……』

 

『しかも一糸乱れぬ行軍。壮観だな』

 

 こちらを気にせず歩み続けるメットールの大群を見渡しすロックマンとナイトマン。

 数に圧倒されるも、綺麗な並びを見せる隊列には惚れ惚れすらする。何が彼らをそうさせるのだろうか。

 そうして見渡しているとガッツマンの大きな手がロックマンを掴み、揺らし始めた。

 

『アレ見るでガッツ、アレ!』

 

 振り向いたロックマンとナイトマンの注目を集めたガッツマンが空を指さしている。

 隣ではガッツマンが指さす方向を向いたストーンマンが微動だにしておらず、何事かとその先を見あげ―――絶句する。

 

 

 立派なカイゼル髭を生やした、ストーンマン並の巨躯を誇る巨大メットールが居た。

 

 

「新開発の大型ウィルス、その名もメットール・ダディ。攻撃性を消して増殖機能を特化させ、周囲のバグやバグの欠片をリソースとして各種メットールを生成する、いわばウィルスを製造するウィルスだ」

 

 メガトの説明通り、メットール・ダディという名称の巨大メットールのヘルメットにはハッチが取り付けられており、そこが開いてメットールが飛び出て来た。

 

「しかしウィルス生成プログラムの制限を設けるのを忘れてしまって……サーバー内のバグを食い尽くして次々とメットールを作り出しているんです。その結果、このような電脳渋滞を起こしてしまったんです」

 

 メットール・ダディ自体は動かないが、生成した(飛び出た)メットールに何か話しかけてている。

 するとメットールは「わかりましたー」と言わんばかりに頷いて隊列に加わっていく。

 そしてハッチが再び開いて次は赤いメットール2が飛び出て、メットール・ダディの説明を受けて隊列に加わっていく。以後繰り返し。

 

「このままだとサーバーがパンクを起こし機能停止……要するに爆発してしまう。重要なデータは避難させたし、クリームランド電脳に散らばらないよう、私のナビとニーチのナビがエリアを塞いでる」

 

 いつの間にか手に持っていたPETを操作するとモニターの映像が移動、『アイスキューブ』や『ストーンキューブ』で壁を作って道を塞いでいる様子が映し出される。

 その壁の向こうで白いノーマルナビが手をブンブン振っている。恐らく壁の向こう側にメガトとニーチのネットナビがいるのだろう。

 

「君達の任務はたった一つ……増殖の原因であるメットール・ダディをデリートすることだ」

 

「バックアップは取ってあるからデリートしても大丈夫です。だからお願いします!」

 

 無表情ながらも熱斗達に両手を合わせて頭を下げる夫婦の姿からは必死さが伝わってくる。

 PETを見れば隊列を組んで歩むメットール軍団とそれを見守るカイゼル髭の巨大メットール。

 

「因みにさ……このメットール・だでー、だっけ? なんで作ろうと思ったの?」

 

「この研究が成功した暁には、メットール警邏隊を組ませクリームランド電脳のパトロールテストをする予定だったのだヨ」

 

「クリームデビルには特定の認証コードを持ったナビを攻撃しないプログラムを搭載しているんです。そのプログラムを応用してウィルスセキュリティの普及に役立てたかったの」

 

 熱斗の質問にしかと答えるキロクラム夫婦。成程、クリームランドの為の研究ではある。

 

 今度はデカオの質問だ。彼の方がストンナと付き合った時間が長いが故の、確信がある質問だ。

 

「本音は?」

 

「「「面白そうなアイディアが浮かんだので!」」」

 

 唐突に一人娘(ストンナ)も加わって謎のポーズを取るメガトとニーチ。犯人はストンナ。

 こんな非常事態でもキロクラム家のノリを「やっぱり」と冷えた目で見る三人であった……。

 

『とにかくオペレートお願い!』

 

『このままではサーバーから溢れ出てクリームランド電脳に雪崩れ込みますぞ姫様!』

 

『デカオ様、さっさとぶっ飛ばして皆の所に戻るでガッツ!』

 

『ゴゴゴ……すとんな、オ前モ後デ両親ト一緒ニ片付ケトケヨ!』

 

 ロックマン達どころかストーンマンですらキツく言われる始末。

 「面目ない」と頭を掻いて反省するキロクラム一家を放っておいてオペレートを開始する熱斗達。

 

 

「作戦名【メットール・クライシス】を開始します! 皆さん、よろしくお願いします!」

 

「プライドもノリノリだなぁ……」

 

『一国の姫として皆を引っ張るノリも必要でしてな』

 

『頼もしい王女様で助かるよ……』




〇チェンジ.batについて
当作ではクックマンの許可を貰ったので新学期ギリギリまで搭載したまま。
アジーナ復興のボランティアもしているとなると、本当に過密な夏休みだなぁ熱斗君。

〇コンパゲース
デニッシュのネットナビ。元ネタは『トロンにコブン』に登場するパワーローダー。
警官デニッシュ・マーマレードが署長に予算を出してもらって投入したが敗北。
コンテナを投げ飛ばしたりとパワーには優れているが操縦テクが壊滅的だった。

〇メットール・ダディ
ロックマン4に登場する大型メカ。踏みつぶし攻撃をすると空からメットールが降ってくる。
ストンナ父ことメガトが開発した大型ウィルスとして登場。立派なカイゼル髭が特徴。

〇いつもの事
優秀だけどトラブルが多いが自己解決の確率も高い。良い家族なのはプライド様も保障する。
光祐一朗博士が如何に優秀で真面目なのかが解る。

〇メットール・クライシス
プライド様「ノリで名付けました」(ドヤ顔
ストンナ「流石プライド様かっけー!」
熱斗&デカオ(やっぱストンナの友人なんだよなぁ)

次回VSメットール・ダディ編。その次にエグゼ3編に突入したい。

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