ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

36 / 112
※コロナにかかってしまいました。医者にも見てもらい、今は体調は良くて出勤日を待つばかりです。
 連休直前で良かったような良くなかったような;

またしても詰め詰めですが、ご勘弁ください。


【クリームランドにご招待・後編】

 熱斗達が巨大メットール及びメットール軍団と対峙している頃。

 メイルとやいとはアケート達に誘われショッピングを楽しんでいた。

 

「これカワイイ~!」

 

「まさかラッシュのヌイグルミがあるだなんて……激レアだわ!」

 

 メイルが犬のようなヌイグルミを抱いて可愛がるが、やいとはそれがレアウィルスだと知っているので一種の戦慄ですら抱いている。

 そんな2人に勝ち誇っているように笑っているのはウールとバストだ。「どうだ、クリームランドの品揃えは」と言っているかのように。

 

「クリームランドではウィルスのヌイグルミもブームなのよ~」

 

「わーつべ様様だよね!」

 

 世界的動画投稿サイトの設立元だからか最先端のウィルス情報も流れてくる。ヌイグルミ専門店であることを差し引いても豊富なラインラップと言えよう。

 自慢げに豊満な胸を張るバストの両脇にも、同じくレアウィルスであるフデローとマグマドラゴンのヌイグルミが抱かれている。

 

「コレは買いね! あとコレとコレも! 全部カード払いで!」

 

「ワタシも買う~!」

 

 やいとはレアウィルスのヌイグルミを次々とカートに詰め込み、メイルはお小遣いの都合上ラッシュのヌイグルミだけだが充分満足だ。喜ぶ少女2人に店主もニコニコ。

 因みに店の前では荷物持ちのアケートとクリスが待っている。荷物の8割がやいとの物だが。

 

「……熱斗達、大丈夫かしら?」

 

 今しがた買ったラッシュのヌイグルミを抱きしめながら、メイルはふと思い出して振り向く。視線の先はキロクラム家の屋敷だろう。

 ウィルスバスティングに自信がある者を呼び止めていたから彼らが妥当だとはわかっているが、呑気に買い物などして良いのだろうかと。

 

「気にしなくていいわよメイルちゃん。光くん達なら大丈夫でしょ」

 

 心配するメイルに対し、やいとはレアウィルスのヌイグルミ達を前にホクホク顔だ。

 

 ウィルス研究者のトラブルとなれば一筋縄ではいかないだろうが、ゴスペルという大ボスを打倒した熱斗や腕の良いデカオが負けるはずないという信頼の現れでもある。

 気にする様子もないやいとをみて「それもそっか」と気分転換、大量のヌイグルミを見て冷や汗を流すアケートとクリスの所へ向かう。

 

 本当は熱斗とデカオともショッピング行きたかったんだけどなー、と少し残念に思いながら。

 

 

 

―――

 

 ウィルスにも礼儀というものがあるのか、その膨大な数に反しメットールはナビ1体に対して3体1組で挑んできている。

 

『ロックバスター!』

 

『ガッツハンマー!』

 

『キングダムクラッシャー!』

 

『ヘビーシェイク!』

 

 各々の得意技で次々とメットール達を蹴散らすが、お代わりはまだまだいる。そして律儀な事に必ず黄色・赤・青の三体で突っ込んでくる。

 たかがメットールと言って侮るなかれ。黄色・赤・青の3色は攻撃速度がバラバラで、ツルハシから生じる衝撃波に当たる事も少なくない。

 

『キ、キリがないでガッツ……』

 

『気張れガッツマン、親玉メットールまでもう少しだよ!』

 

 メットールと侮らずウィルスバスティングに徹しているガッツマンは、HPよりも精神プログラム的に参っている様子。

 そんなガッツマンを鼓舞しようとロックマンが呼びかけるも、こちらはこちらで疲労が蓄積しているからかバスターの照準が甘くなっていた。

 

 そんなガッツマンとロックマンをサポートするのがオペレーターであるデカオと熱斗なのだが、彼らは彼らで精神的に参っているらしい。

 

「ちきしょー、繰り返し作業ってのはホント苦手だぜ!」

 

「うおぉぉぉ目的のバトルチップ手に入れるまで延々似たようなウィルス相手にし続けた時に比べればこんくらいーっ!」

 

 デカオは元々の性分として、熱斗は似たような苦い経験を想起して嫌になっているようだが。

 

 一方のナイトマンとストーンマンはと言えば。

 

『一掃する、合わせよストーンマン!』

 

『ゴゴゴ!』

 

 両腕を地面の下に沈ませるストーンマンの前をナイトマンが陣取る。

 メットール達が放つ衝撃波を容易く受け止めながら、ナイトマンは『キングダムクラッシャー』を、彼の両サイドから生えて来た『レーザーゴーレム』を放つ。

 鉄球と極太レーザーによる一斉攻撃がメットール軍団を薙ぎ払いデリート。しかし新たなメットール達がその穴を埋めにかかるが……。

 

「ストンナ、先を譲ります!」

 

「ハイです! ストーンマン、プログラムアドバンスいくですよ!」

 

 ぞろぞろと集まったメットール達を前に、寧ろチャンスとばかりにプライド様が鋭い笑みを浮かべてストンナに指示を送る。

 ストンナは即座に応じ、ストーンマンに命じた直後にバトルチップ……『メガキャノン』をアルファベット順に3枚送信した。

 

「『ゼータキャノン3』―――変形です!」

 

 インビジブル状態となって一定時間『メガキャノン』を撃ち放題になるプログラムアドバンス『ゼータキャノン3』が発動。

 

 突如として跳び退いたナイトマン。すると『レーザーゴーレム』だけでなくストーンマンの口までもが再び大きく開かれ、そこから砲塔が伸びる。

 これはストンナの遊び心で『ストーンハンマー』に施した、プログラムアドバンス『ゼータキャノン3』対応の専用プログラムだ。

 

『ゴゴゴゴゴゴ!』

 

 半透明となったストーンマンと『キャノンゴーレム』2本の口から伸びる砲塔で『ゼータキャノン3』を撃ちまくる。

 一斉射撃ではないので発射間隔はノーマルナビが発動したの大差ないが、3門の砲台でメットールを次々とデリートしていく様は見てて圧巻だ。

 

 しかし撃ち抜かれデリートすればそこへ新たなメットールが補充される。

 次々とツルハシを振るって放たれる衝撃波が障害物である『キャノンゴーレム』を貫通するも、『インビジブル』状態のストーンマンや、『ストーンボディ』状態となったナイトマンには通じない。

 

『時間切レダ!』

 

「プライド様、代わります!」

 

 そして『ゼータキャノン3』の効果時間が切れた頃、ストーンマンは『キャノンゴーレム』を一度地面に沈めて己の両腕として戻す。

 その直後に『ストーンボディ』状態になると、今度はナイトマンが前へ躍り出る。

 

「プログラムアドバンス!」

 

 普段ならその巨体故に『短くて頼りなく見える』と使いたがらないナイトマンだが、『ソード』系統のプログラムアドバンスなら話は別だ。

 その使い勝手の良さとダメージの高さ、そして攻撃範囲の広さは熱斗とロックマンもお墨付き。眼前のメットール全てを射程内に捉え、一気に振り抜く!

 

『ドリームソード!』

 

 ナイトマンで漸く釣り合いが取れる巨大な刃がメットールを切り裂きデリート。

 2種のプログラムアドバンスで仲間が一掃されたことで、大元であるメットール・ダディへ近づく為の空間が出来た。

 メットール達で埋め尽くされない内にと4人は走り出した。

 

「息ピッタリだなプライドとストンナ!」

 

「付き合い長いですからね」

 

「です!」

 

 パシン、と手を叩き合うプライドとストンナ。

 

 ナイトマンの鉄球とストーンマンのレーザーによる弾幕、強固な防御力を持つナビを入れ替えながらプログラムアドバンス。

 あれだけの数のメットールを的確に狙う正確さと纏めて薙ぎ払う大胆さを併せ持った連携プレイにはロックマンとガッツマンも感心する一方だ。

 

『あ、危ないでガッツ!』

 

『ゴゴッ!?』

 

 哀れしゃがみ込みガード状態になったメットールに足を乗り上げてしまい、すってんころりん!

 だが実際は「すってんころりん」なんてカワイイ表現ではない。

 四角い巨体が仰向けに倒れた事で、追走していたナイトマン、そして追いかけていたメットール達を纏めて踏みつぶし轟音と振動を上げた。

 

「これぞストーンマンハンマー……」

 

「止めとけって」

 

 ボケてる場合じゃねぇだろ、とデカオに脳天チョップされるストンナであった。

 因みにナイトマンは無事だった。『潰れるかと思った……』と苦言は申していたが。

 

 

 

―――

 

 そうしてメットール達を蹴散らしながら進み、ついにメットール・ダディとご対面となった。

 

 改めて対峙すると、ストーンマンとほぼ同じ大きさ、そしてカイゼル髭がその威圧感を増長させている……気がする。

 メットール・ダディはじっとロックマン達を見下ろし、その間にもハッチが開いてメットールを生み出している。

 

 何もしてこない、というのが帰って太々しい。

 

『よし、追い詰めたぞ!』

 

「ここまで来ても逃げる素振りもありませんね」

 

『太々しいウィルスですな……』

 

 4体のネットナビを前にして、寧ろハッチから出て来た3体のメットールの方がやる気らしい。

 続々とツルハシを振るう中、バスター射撃でまずはメットールを1体デリートする。

 

「とりあえず先制パンチだ! 『ダッシュアタック』、スロットイン!」

 

 そのチャンスを逃さなかったデカオが『ダッシュアタック』のバトルチップを送信。

 ロックマンの場合はキオルシンが出現してそれに捕まり突撃するが、ガッツマンはキオルシンの推進力を背面のバックパックに反映、ブースターを吹かし低空飛行を行う。

 

 所謂ブーストダッシュというやつだ。

 

『ダッシュガッツパーンチ!』

 

 推進力をそのままに腕を振りかぶって拳を叩きつけ―――メットール・ダディは吹っ飛ばされて倒れた。

 

「『は?』」

 

 思わずそう口にしたのはガッツマンとデカオだけではない。熱斗やプライド、ロックマンとナイトマンもだ。ストンナとストーンマンに至っては固まって動けずにいる。

 呆然としている中、残されたメットール数体が「おとうちゃーん!」と叫んでいるかのように涙を流し、メットール・ダディの消滅を見届けていた。

 対してメットール・ダディは「ふむ」とカイゼル髭を揺らし―――諦めたように目を閉じて眠るようにデリートしたのだった……。

 

「よ、弱ぇ……」

 

「ウィルス生成プログラムの試験中だったからネー」

 

「耐久性を付けるのはその後でもいいかなーって思って目を離していたら、いつのまにか対処しきれない数にまで増やされたもので……」

 

 デカオの呟きに即答えたのは、やはりというかキロクラム夫婦だ。

 彼らとしてはウィルス生成プログラムの試験がメインだったらしく、大きいだけで耐久性や攻撃性はメットールのままだったらしい。

 

 予想外な弱さはそういうカラクリだと解ったが、熱斗達は「はぁ」と呟くしかない。

 

「さて、親玉さえ倒せれば後はメットールの対処だけだ。いやありがとう!何かお礼をせねば」

 

「皆様ありがとうございました。礼は後程致しますので、メイルちゃん達を安心させてあげてくださいね」

 

 優雅なお辞儀をするメガトに対し、慣れた手つきで掃除の準備を始めるニーチ。

 「手伝うです」と言って、固まるネットバトラー組から抜け出すストンナ。これが科学者家族の日常なのだろう。

 

 とりあえずメットール・ダディという大型ウィルスをデリートできた。

 しかし、シクシク泣いて空を見上げるメットール達の後ろ姿を見ていると、あまりデリートしたくない。

 ストーンマンを含めた4体のネットナビが居た堪れない空気で佇むのを見て、ネットバトラーも想う所があるらしく。

 

「……放っておいてあげましょう。この数ならキロクラム家のサーバーが破壊されることはありません」

 

「……そうだな、なんか暴れる気配もなさそうだし……」

 

「武士の情けってやつだな」

 

 プライド・熱斗・デカオの発言にほっとするロックマン達。

 そのまま促されるようにしてプラグアウト。ストンナも遅れてストーンマンをプラグアウトさせ、現場の片付けに入るのだった。

 

 

 後に、このキロクラム家のサーバーに残されたメットール6兄弟は世にも珍しい『無害ウィルス』としてプログラムが変貌していたことが発覚。

 クリームランド及びニホン科学省のウィルス研究を大きく躍進させることになったのだが……やたらと哀愁が漂っているメットールは、科学者達の心をセンチメンタルに染めたそうな。

 

 

 

―――

 

 片付け終えた熱斗達は買い物帰りのメイル達と合流。話を聞いたメイル達は微妙な顔をした。

 それを忘れようとプライドが発破をかけ、なんとクリームランド城を案内することになった。

 

 アケート達『ラウンズ』と護衛を交えたクリームランド城観光ツアー。祐一朗の息子と綾小路家の娘がいるということもあって城の者達も納得してくれた。

 古くも改修工事で新しさも感じさせる城。その城中には最新鋭設備が幾つも備え付けてあり、クリームランドのインフラ設備を管理するコンピューターは熱斗達を圧倒させた。

 

 メガトが主導者であるウィルス研究所では、近日になって見つかった新種のウィルス『ヘビーアレイ』系とそのバトルチップの出力化を見せて貰い、二ーチ率いるセキュリティと【わーつべ】公式HPを支えているサーバーを見学させて貰った。

 ここではストンナが諸々を解説しており、自慢の両親なのだと胸を張って答えてくれた。あんな両親だが、ストンナとクリームランドにとっては立派な科学者として映っているのだ。

 

 夕方はプライドもお気に入りだというレストランでディナー。熱斗とデカオのなってないテーブルマナーをストンナとやいとが訂正していく様は中々にシュールだった。

 

 夜はプライド達と別れ、熱斗達デンサン組とストンナを交えてキロクラム家でお泊り会。

 新作ゲームの発売日が近い事もあって話題は尽きない。5vs5のチーム戦が中心のゲームなので、ストンナも入らないかと誘いをかけている所だ。

 

 そうして夜が明け、キロクラム家の屋敷でモーニングを頂き、クリームランドの街を散策して……。

 

「「「「お世話になりましたー!」」」」

 

「はい、どういたしまして!」

 

「楽しかったのです! また遊びに来て欲しいのですよ!」

 

 キロクラム家の屋敷の前で熱斗達は横に並び、お世話になったキロクラム一家や使用人に頭を下げた。

 それに応じたのは使用人代表のデニッシュ、そしてストンナだ。プライドは残念ながら公務で出迎えできないらしい。アケート達は学校だ。

 

「もっとゆっくりしていても良かったのだがネー?」

 

「またいらしてくださいね」

 

 無表情ながらもひらひらと手を振るって見送るキロクラム夫婦ではあるが……衣服の所々が焦げていた。

 更にあのメットール・ダディ事件以降あまり公に出てこなかった事もあって、後処理が思っていた以上にかかったらしい。

 それでも平然を装うとする夫婦に苦笑いを浮かべる熱斗達だった……。

 

「それじゃあ、オレ達はこれで!」

 

「またネットバトルするですよー!」

 

 クリームランド空港へ向かって歩み出す熱斗達を、ぶんぶんと袖が伸びる程に手を振るストンナ。

 多少のトラブルはあったものの、概ねクリームランドを楽しんだ熱斗達。お土産のヌイグルミや洋服は既に郵送に出しており、自宅に帰る事には届いているだろう。

 

 

 

 熱斗達の姿が見えなくなった頃。メガトのPETから着信音が鳴り、誰も居ない個室に足を運ぶ。

 

「もしもし―――ああ君かね―――無論覚えているとも、先程完成したからネ」

 

「―――いやいや楽しそうな改造に首を突っ込みたがるのはキロクラム家の性でネ、依頼とはいえ楽しかったとも!」

 

「―――その件についてはツッコミは無しだヨ、それ以外はキミの要望になるべく添えた設計を施したのだからネ」

 

「―――オーケー、では楽しみにしているヨ。精々頑張りたまえ! ではアデュー☆」




〇ラッシュのヌイグルミ
レアウィルスは認知度が低く大半の客が「これオリジナル?」と言ってくる。
ウィルスを知っていたらかなりのマニア。日暮さんなら全部わかる。

〇キャノンゴーレム
ストンナお遊びプログラム。『レーザーゴーレム』が2門残ってキャノン撃ちまくり。

〇ナイトマンのドリームソード
ナイトマンクラスの巨体はドリームソードを使ってやっとソードっぽく見える。
巨ナビがソードを使ったらショボそう。上記のキャノンゴーレムもそんな理由で造った。

〇ずっこけストーンマン
実はここから新技アイディアのフラグ。

〇HP40の大型ウィルス
実はウィルス生成機能を搭載し大きくしただけのメットールだったりするダディ。
本気のメットール・ダディならHP400はある。攻撃はメットール任せ。

〇メガトの電話
そろそろN1グランプリ編に入りたいのでそれっぽいフラグ。

次回はストンナ&ストーンマンのエグゼ3編。その間にウラ掲示板のあれこれを投稿予定。
いつも感想や誤字報告ありがとうございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。