皆さんも無事に年末年始を過ごせますよう。
2023/12/13
感想にて
「ストンナ元日本人の転生者なのに鬼ヶ島通じないのおかしい」
と指摘を受けたので修正することにしました。
因みに【頼まれたのでスカルマン魔改造するです!】にてストンナのちょっとした秘密に触れます。
N1グランプリ本選当日―――全ての予選を通過したネットバトラー達は船に乗っていた。
前日に届いたDNNからのメールによると、ベスト4を決める舞台として島を用意しており、船で移動するのだという。
ビーチストリート(正確にはDNNスタジオ前)に集合し、早い者勝ち順にクジを引かれ、赤・青・黄・緑の船4隻に乗り込んだ。緑川ケロはスタッフ数名を乗せた黄緑のヘリコプターに乗り込み先行していったそうだ。
赤組の注目選手は、炎山・デカオ・アケート・ジョンソン。
黄組の注目選手は、ラウル・エレキ伯爵・白泉たま子・謎のネットバトラーQ。
緑組の注目選手は、ジェニファー・イワン・日暮闇太郎・速見ダイスケ。
そして青組はといえば。
「せやから、カルシウム取るんなら牛乳飲めば手っ取り早いやろ!?」
怒鳴り散らす荒駒虎吉。
「んだとぉ魚食え魚! 煮魚・焼き魚・揚げ物・刺身……どう食っても美味ぇだろうが!」
虎吉以上の気迫と声で怒鳴りつけるマサ。
「因みにビタミンDを一緒に摂取するとカルシウム吸収率が上がるのですよ。青魚はビタミンDも豊富なので、マサ=サンが正しいのです! ついでにキノコ類も豊富なのです、キノコも食えキノコ!」
そんな二人の間に平然と割り込むストンナ。
「ママの作る鮭のホイル焼き美味いんだよなぁ……」
キノコたっぷりのホイル焼きを想像して涎を垂らすマサ・トラキチ・ストンナ、そして熱斗。
突然騒ぎ出したかと思ったら急に静かになった4人組(内3人が原因)を、他の選手4人は不思議そうなものを見る目で眺めている。
以上8名が青組の面子だ。外を見れば青の客船と並んで赤・黄・緑の客船も前進している。
32名の行く先は秘密にされていて不明だが―――徐々に目的地らしき場所が水平線の彼方に見えてきた。
なんというか、海に浮かぶそれは正しく。
「「「鬼ヶ島だ」」」
「オニガシマ? ……ああ、鬼の島ですね!」
「なんでぇ、ストンナも知ってんのか鬼ヶ島?」
「知っているというか、思い出したといいますか」
ニホン育ちの3人の発言に
二本の角に目の如く光る逆三角が二つ……本日の天候があいにくの曇りだったことも合わさり、その全貌は正しく鬼の如し。
船が近づくにつれ、二本の角は電波塔、光る眼は逆三角形の穴の中で燃える巨大な松明だと解ったが、それ以外の物にも目が移る。
数々のアスレチック、重厚な門、大小様々な機械、坂をゴロゴロ転がる何か……仕掛けがいっぱい設置されているのが遠目で見て解るからだ。
人の手が入った島周辺の空を、緑川ケロ達DNN関係者が乗り込んだ黄緑ヘリコプターが飛び交っていた。
『皆様、大変長らくお待たせいたしましたー!』
いよいよ船が接岸しようとする中、船内のスピーカーから緑川ケロの声が響く。
『この島こそがN1グランプリベスト4を決める舞台! 短期間でその名を広めたわーつべ特別番組NAVIREとコラボした、数々の仕掛けが織りなす困難を知恵と勇気と体力で突破する難所!』
『その名も―――』
『灼熱! ジゴク島!』
生放送中のテレビ画面及び【わーつべ】チャンネル画面を見れば、鬼ヶ島ことジゴク島と、力の入った島のタイトルがデカデカと表示される。
良くも悪くもDNNが考えそうな最終ステージだとトラキチは思ったが、隣の3名は違うそうで。
「「「なにそれ楽しそう(なのです)!!!」」」
「そうかぁ?」
遊び心満載のステージに目を輝かせる熱斗・マサ・ストンナを、どちらかといえばインドア派のトラキチは微妙そうに首を傾げる。他の4名もトラキチと同意見だった。
三人の勢いは変わらず、島の浜辺に接岸した途端に上陸を開始。どたどたと階段を下りた大中小の賑やかトリオは「受け付けはどこだ?」とキョロキョロ。
「出場者の皆さん、受付はこちらですよー!」
遅れて5人も島へ上陸したのを見計らったのか、『OFFICIAL』の腕章を付けた青年が声を掛けた。
その青年に見覚えのあった熱斗とストンナは「ミズノさんだ」と呟いた後、知り合いである熱斗とストンナに軽く手を振る青年の前に出場者が集まる。
「緑川ケロちゃんが言っていたように、このジゴク島が皆さんが戦う舞台となります。東西南北のそれぞれに赤・青・緑・黄の4チームに分かれ、島の頂上を目指してもらいます。青組の皆さんは西側からのスタートですね」
あそこが入り口ですよ、と指さす先には『地獄ノ道・西』と書かれた重厚な両開きの扉。両脇には門番らしき鬼……を模したコスプレ男女が立っていた。
そう、コスプレなのである。赤と青の軍服に、仰々しい角が生えたヘッドフォン、そして金棒を模したバズーカ……バズーカ?
「因みにあの金棒型バズーカはアジーナ国が開発したネット弾バズーカで、撃つと網が広がって目標を捕まえるんですよ」
「なんつー仰々しいモンつくるねん」
ご丁寧に解説してくれるミズノの豆っぽさと、アジーナ国の防犯意識の高さに呆れてツッコむトラキチ。その間にも「すぐにでも行かせろ」と言わんばかりにはしゃぐストンナを抑えてくれているが。
「万が一があっても困りますから」と返しているミズノに、青鬼の男が自身の腕時計をトントンと指先で叩くジェスチャーを見せ、彼に先に進めるよう促す。
「では皆さん、すみませんがPETを拝借させてください」
「What? なんでダ?」
「このジゴク島ではDNNが用意したチップフォルダに差し替えて挑んで貰います。むろん、OFFICIALが責任をもって預かります」
大柄なアメロッパ人の選手の疑問に確固たる姿勢で応えるミズノ。流石はオフィシャルといった所だ。
熱斗は、今頃レアチップ入りのチップフォルダを没収されてショックを受けているんだろうなー、と苦笑い。
『オペレーターとネットナビの基本能力のみでどこまで行けるかを競う』
それが、DNNを主催と舌各国の会合の下で決めた、ジゴク島というアトラクションに挑む課題なのだそう。
DNNが所有する、特定の電脳エリアにルールを強いる『エリア機能』。これを活用し、ネットナビ本来の性能と、オペレーターの知恵と体力を試すのだ。
「まずアトラクションを突破しながら『ビクトリーデータ』を探し出し、第1階層を突破することで16名。次いで第二階層で2人×8組のネットバトルを同時行い、8名の勝者を。そして島の頂上で本来のフォルダを返却し、8人のネットバトラーの中からベスト4を決めます」
これがそうです、とミズノは己のPET画面に映る『VICTORY』と描かれた金色チップを見せる。
この『ビクトリーデータ』はジゴク島の電脳にのみあり、プラグインできる様々な場所を、オペレーターはアトラクションをクリアしながら探す必要がある。
『ビクトリーデータ』はキープログラムくんと違って奪取も譲渡もできない。つまりは早い者勝ちということだ。
「まぁつまりや、まずはこの島の電脳を片っ端から探せっちゅーやろ?」
「その通りです。道中にある宝箱には、ビクトリーデータが隠された場所のヒントが出てきますよ」
ますますアドベンチャーっぽい。熱斗・マサ・ストンナはワクワクが止まらずソワソワしだすほどだ。
すると青鬼が「時間です、打ち合わせ通りに」と言うと、ジゴク島周辺を飛んでいた黄緑のヘリコプターが低空飛行を始める。
『では皆さん、準備は良いですかー!?』
緑川ケロのアナウンスが入ると、いつでも開けられるよう、赤鬼と青鬼の軍人が扉の取っ手をそれぞれ掴む。それを合図に8人の選手は各々で気合を入れ、スタート地点に並び立った。
『世界一のネットバトラーになりたいかー!?』
『『『おー!』』』
『ファイナルトーナメントに行きたいかー!?』
『『『おー!』』』
緑川ケロお約束の口上にノってくれるのは数名だった。ケロちゃん寂しい。
『こほん―――それではジゴク島編、スタートです!』
かくして、ジゴク島の試練の扉が開かれるのだった。
―――
最初に飛び出たのは、やはりというかストンナ・キロクラムだった。
重厚な両開きの扉が開かれたと同時に駆け込み、僅かな隙間に小さな体を捩じりこませて入ったのだ。
遅れてマサ・熱斗と後に続いた頃にはアトラクションに挑んでいた。予め目についたモノに駆け寄るつもりだったのだろう。
『おおっと早い、早いぞストンナ選手ーっ! 我先にと困難に挑むその行動力は流石ね!』
ケロちゃんに褒められるも、いくつものプロペラを避けつつ狭い足場を駆け抜けるストンナに余裕はない。楽しいから。
しかし遅れてきた参加者はその下を見て絶句する―――なぜなら真っ赤なマグマが見えるからだ。
『因みにそのマグマはトロンプルイユで描いたクッションでーす。登るのが大変ですけど、落ちても平気ですよー』
「偽物かいな!」
ずっこける参加者を代表してか、わざわざケロちゃんに届けとばかりに叫んでツッコむトラキチ。
その間にもストンナは中継地点らしき場所に置いてあったマシンにプラグイン。巨大なスクリーンにマシンの電脳とストーンマンが映し出され、ストンナはPETを抜いてまたコースを走り抜ける。
どうやらこのマシンはアトラクションと連携しているらしく、ストーンマンが電脳内の課題をクリアしないとアトラクションのゴールが開かない仕組みらしい。
ストーンマンに与えられた課題はウィルスバスティング。相手はハルドボルズ数体と、時間稼ぎの為に置かれましたと言わんばかり。
だが残念、ストーンマンの攻撃の殆どがブレイク属性持ちで、『クエイクストーン』で難なくデリート。ストンナがプロペラ地帯を抜ける前にゴールが開かれ、無事にクリアとなった。
『ストンナ選手初クリア! さぁさぁ、ゴールの先に待つ宝箱の中身は!?』
ゴール地点のマシンでストーンマンを回収した後、ストンナは宝箱型マシンにプラグイン。
「『カイフクチップフォルダ』を手に入れたですーっ!」
高々と掲げるPET画面には、『インビジブル』や『リカバリー120』といった防御向けバトルチップが沢山入ったチップフォルダ。
「ざんねーん、ビクトリーデータにあらず! しかしご安心を、宝箱マシンには大会内で使えるチップフォルダやゼニー、レアチップなども入っておりますので!」
ケロちゃんの解説を聞き流しながら、ウキウキ気分で次のアトラクションに挑むストンナ。次はターザンするらしい。
その他の選手も様々なアトラクションを進めていく。
デカオが巨大なナイトマン像を押したり、炎山が難解なパズルを解いたり、ジョンソンがロッククライミングをしたり、外回りの坂を走っていたマサが転げ落ちる大岩クッションを避ける為に落ちてネットに引っかかったり。
シャークマンが坂を次々と飛び越えたり、エレキマンが反り立つ壁を駆け上ったり、エリア機能により飛べないホーネットがトランポリンから跳んでネットに捕まろうとして失敗したり。
特に優勢を保っているのがガッツマンとメタルマンだ。ウィルスバスティング以外は『NAVIRE』で経験済の為、スムーズに課題をクリアしつつある。
そして『ドラゴングライダー』という仰々しい名前が付いたアトラクションをこなした熱斗に至っては。
『おおっと熱斗選手が大当たりにして大外れを引きましたね!』
クリアした先でロックマンをプラグインさせ、電脳に待ち構えていたのは―――巨大な般若だった。
「『でっか!?』」
思わず熱斗とロックマンの叫びがフルシンクロ。
『必』と『殺』の字が描かれたミサイルポッドを両肩に背負った巨大な般若の顔が浮かんでいる。
『クリームランドのウィルス科学者メガト・キロクラム氏が、本大会の為に作ってくれました! ジゴク島の門番・ハンニャ
ケロちゃんの応援も空しく、目からビームを放ち両肩のミサイルポッドから花火爆弾を放つハンニャ
派手な攻撃に反して威力は低いが、浮遊していて機動力も高く、大型ウィルスらしく耐久性もピカイチ。更に威力が低いとはいえ、次々と攻撃を仕掛ける為に攻撃性は高かった。
「頑張れロックマン、ヒートガッツスタイルで一気に攻めるぞ!」
『うん―――ってうわぁ金棒振り回してきた!?』
ヒートガッツスタイルの攻撃力を持ってHPを半分以下に持ちこんだ途端、ハンニャ
そしてブースターとして機能していた金棒を引っぺがし、それをブンブン振り回してきたではないか。
「攻撃は激しいけど動きは単調だ、慌てずに行こう!」
『熱斗君こそ慌てずにね!』
『流石は熱斗選手とロックマン、見事なコンビネーションです!』
ケロちゃんだけでなく視聴者ですら称賛を送る程、二人のコンビネーションは見事な物だった。
道中で手に入れた『キャノンチップフォルダ』のプログラムアドバンス『ゼータキャノン2』で一気に攻め立て、ハンニャ
そこから出てきた黄金のチップ『ビクトリーデータ』を手に入れたロックマンは、それを高々と掲げるのだった。
N1グランプリ・ベスト16は決まりつつある。
〇灼熱!ジゴク島!
天を突き高く聳え立つこの島を人はジゴク島と呼ぶ! 今!まさにこの島を巡って壮絶なる戦いの火蓋が切って落とされようとしていた!
モチーフは当然ながら風雲たけしキャッスル。
実は作者は実物をちゃんと見たことがない(ぇ
〇ハンニャ
元ネタは『ロックマン7』に登場する巨大な般若面のようなボスメカ。
ミサイル・花火爆弾・体当たり・目からレーザーと攻撃手段が多彩。
ただし何れも攻撃力10だが、それを攻撃の回転率を高めることで解決した。
当作品では砂山ノボルがメガトに依頼して作った大型ウィルスとして登場。
砂山氏「リクエストではオニっぽくって伝えたはずだけど?」
メガト氏「え? ニホンでジゴクでオニと言えばハンニャじゃないカネ?」
砂山氏「まぁコワかっこいいからヨシ!」
次回はベスト16を決めるネットナビ(ダイジェスト)を書く予定。
いつも感想や誤字報告ありがとうございます!