N1グランプリも遂に大詰め……世界一のオペレーターと世界一のネットナビが決まるです。
ジゴク島を勝ち抜いた私ことストンナ、熱斗さん、炎山さん、エレキ伯爵は一足先に高速船に乗り込んで決勝舞台であるDNNスタジオへと向かっている最中です。
各々の控室で待機中なのですが……。
『―――以上でお説教は終わりです。はい復唱!』
「報告・連絡・相談はしっかりと! 詳細は特にしっかりと!」
『よろしい』
テレビ電話でプライド様にコンコンとお説教を受けたのです。うぴぃ。
キングマンの『クイーン』については本当にスミマセン。デザイン案を見せて「まぁいいでしょう」と許可は頂いたけど、何に使うかはボヤけてました。
トラキチさんとキングマン魔改造案で盛り上がり、勢いで進めていきましたからねぇ。トラキチさんも事情を聞いてプライド様に謝りましたが、主犯は私なのでお叱りも私に向けられました。
『では改めまして……コホン』
プライド様が咳き込んだ直後、『お姉さんのような良き友人』から『一国の王女』へと変貌。
姿勢を正し凛とした眼で視線を合わせるプライド様に、私はPETを握る手に力を入れて背筋を伸ばす。
『キロクラム家時期当主ストンナ・キロクラム。クリームランドの王女として申し上げます―――よくぞここまで勝ち上がりました』
「ありがとうございます」
片膝をついて跪きたくなるのを懸命に堪え、背筋を伸ばすだけに留める。
プライド様も申し上げた通り、私はキロクラム家の時期当主―――つまり父メガト・キロクラムの正統なる後継者。
プライド様の友人ではなく、祖国を支える科学者として、そしてプリンセス・プライドの未来の臣下として、しっかりと対応しませんと。
『アケートとバストが帰国中なのが残念ですが、私達クリームランドは貴女を応援しています』
「はい」
友人だけでなく大勢のクリームランド国民から応援メッセージを貰ったですからね。先程までストーンマンがメールで埋もれていたですよ。
PET画面に向けて深くお辞儀をし、再び私達は目を合わせ無言で頷き合う。そしてプライド様のディスプレイが縮小され、ナイトマンのディスプレイが表示される。
ストーンマンはゆっくりとディスプレイ前に歩み、体を前へ傾けて頭を下げる。
ディスプレイ内でナイトマンが自らの鉄球を突き出す……ストーンマンの頭に向けて。
『ストーンマンよ、クリームランドに勝利の凱旋を』
『コノ身ニ賭ケテ』
これはクリームランドのネットバトラー組織【ネットナイツ】が設立されたと同時に定められたネットナビの儀式―――いわば騎士の誓いなのです。
PET画面に映るストーンマンの背中は相変わらず大きくて重そうですが、覚悟を持って挑めという激励を受けた彼の背中はいつも以上に重く見えるです。
『優勝しろとは言いません……良き決闘のみを期待します』
「ストーンマンと共に最後まで戦い抜く所存です」
誓いの儀は終わり、プライド様が優しく微笑んでディスプレイが閉じる。
「……頑張るですよストーンマン!」
「ゴゴゴ、任セロ!」
相手はいずれも強豪ばかりですが、戦う前から諦めるような私達ではないのです!
気分滾ってきたのです! 大好きなクリームランドの為に頑張るのですよ!
―――
『レディィィィス! アァァァァンドォ!! ジェントルメェェェェン!!!』
巨大スクリーンの正面を陣取る砂山ノボルさんの叫びがマイクからスピーカーへと出力され、彼のテンションがDNNスタジオの大舞台の隅にまで伝わっていく。
それに応じるように、観客席を埋め尽くす人々の大歓声が爆音となって響く。桜井メイルも負けじとメガホンのように両手を添えて声を上げる程だ。
中には大山デカオのように腕を振り上げて騒ぐ者も居れば、綾小路やいとのように「大げさねぇ」と肩を竦める者もいる。
『会場と視聴者の皆、大変長らくお待たせいたしましたぁ! 世界一を決めるネットバトルが遂に始まるぜ! 実況はこのボク! DNNディレクターの砂山ノボルが務めまぁぁぁす!』
そう叫ぶノボルだが、この時を誰よりも待っていたのは恐らく彼だろう。視聴率が未だ伸び続けている事もあってハイテンションだった。
『ここでイかれた解説者達を紹介するぜ! まずは我らがDNNのマスコットガールにして【ケロケロチャンネル】の
『そこはDNNのアナウンサーって紹介してくださいよ! そもそもなんですかイかれたって!』
『続いてN1グランプリ選手から有名
『いや誘拐みたいに強引に連れてこられたでホンマ……』
『最後もN1グランプリ選手から選出! 【思い知ったでマスか】動画シリーズでバズって一躍有名人! 自称宇宙一のレアチップオタク・日暮闇太郎!』
『バトルチップショップ・ヒグレ屋をよろしくお願いするでマス~、ドヤァ』
解説席から跳びあがる緑川ケロ、嵐のように連れ去られて困憊する荒駒虎吉、動画で広まったドヤ顔をサービスで披露する日暮闇太郎。
確かに世界一を決めるネットバトルの実況解説に相応しい面々と言えるだろう。しかしこの場に居る全員が求めているものは違う。
『前置きが長くなっちゃったが、ここからが本番―――世界一を争う4人のネットバトラーが入場だぁ!』
湧き上がる大歓声。まるで爆音のように轟く中、全ての電源が落とされた事で暗闇と静寂に包まれる。
最初に点いたのは巨大スクリーン。青いネットナビのこれまでの活躍がPVとして映像化されている。
『見せてやれ人間とネットナビの絆! 最強のコンビネーションはあらゆる障害を突破する!』
一つ一つの動作に惑いが無く、果敢に『ソード』や『キャノン』を構えて戦うロックマン。
画面が切り替わり、突如としてボディが赤く染まり、巨大化した右腕で高威力のバスター射撃を行う。
最後は彼らの切り札なのか『ドリームソード』で大型ウィルス・ハンニャ
『蒼き流星! 光熱斗&ロックマァァァン!』
スポットライトに照らされるは、緊張して起立している光熱斗。スクリーンに映されるはロックマン。
観客達の歓声をその身に受け止めた熱斗は一瞬だけ怯み、「ど、どーも」と軽く挨拶。
『オフィシャルのエース・オブ・エース! 潜ってきた修羅場の数は強さの証!』
再び画面が切り替わり、『バリアブルソード』で変幻自在の斬撃を繰り出すブルースが映される。
相手の攻撃を持ち前のシールドで防ぎ、カウンターで『フミコミザン』を繰り出す。
ピックアップなのかタップマンとの見事な斬り合いが映され、最後は『エレメントソード』で斬り伏せる。
『紅き閃光! 伊集院炎山&ブルゥゥゥス!』
次いでスポットライトが照らすのは伊集院炎山。スクリーンにはソードを構えるブルース。
炎山はいつも通りの仏教面。しかしその目は父・伊集院秀石が居る特別席を見据えていた。
『アメロッパ有数の貴族にして電気工学の権威! 高電圧で明るい未来へと這い上がれ!』
今度はエレキマンだ。レアチップである『ライトニング』を惜しみなくウィルス戦に用いている。
クイックマンの斬撃を受けて倒れかけたが、背後の『バッテリー』の電撃を受けて瞬時に回復。
『プラズマボール』や『ビーアロー』を仕掛け自らも電撃を放つ姿は、サンダーマン以上の火力を示している。
『
スポットライトに照らされた直後、エレキギターをかき鳴らしてシャウトを上げるエレキ伯爵。
身に纏った電飾を派手に輝かせる彼を見たエレキマンが「やれやれ」と肩を竦めている。
『クリームランドが誇る天才少女! 難攻不落のコンビを破れる者は現れるのか!?』
〆はストーンマン。両腕を地面を叩きつけ、複数の落石がウィルス達を一気に押しつぶしている。
グレネードマンの爆破攻撃を物ともせず前進し頭頂部の『マグナム』で反撃。
最後は彼の必殺技『パワーストーン』で豪快にメタルマンを踏みつぶすシーンだ。
『超重量級の巨壁! ストンナ・キロクラム&ストーンマァァァン!』
大歓声を物ともせず……というか表情を変えれないので無表情のまま、ダブルピースサインでアピールするストンナ。
同じくストーンマンも微動だにしないが、ナビカスプログラム『ヒョーゲンリョク』でVサイン。見た目は大差あれど中身が似た者と知って観客達は微笑ましい笑いに包まれた。
「娘よー! がんばれー!」
そんなストンナに特別席のメガト・キロクラムがペンライトを振って応援していた。
親バカを堂々と見せるメガトに、ストンナは嬉しそうに手を振っていた。
『以上の4名が世界一の座を賭けた戦いに挑む! では熱斗選手から順に意気込みを!』
「えっ!? えーっと……ゆ、優勝はオレとロックマンが頂きだぜ!」
『熱斗くんと一緒なら、世界一も不可能じゃないと思ってます!』
唐突に言われて少々戸惑ったが、熱斗とロックマンは自信を持ってそう答える。
「……此度の世界大会で、世界は広く驚きに溢れていると思い知らされた。この大会を糧に、オレ達はより強くなる」
『そういうわけだ。世界一の座を炎山様に捧げるため、オレは戦う』
予想外の強敵と戦った事で一回り成長したオフィシャルのNo.1は尚も成長せんと勝利を狙う。
「皆様には最高のエンターテインメントをお見せいたしましょう!」
『伯爵様の仰せのままに』
勝利の栄光よりも華々しい戦いを。誰も彼もを魅了せんと輝く彼は本当に改心したのか否か。
「クリームランドとプライド様の為に踏み潰してやるです!」
『邪魔スル奴ラは踏ミ潰ス!』
意外とヒール寄りな発言をする少女。ベスト4のダークホースは彼女達かもしれない。
『コメントありがとう! 注目のトーナメントは……こちらだ!』
〇第一試合:光熱斗&ロックマンVSストンナ・キロクラム&ストーンマン
〇第二試合:伊集院炎山&ブルースVSジャック・エレキテル&エレキマン
砂山ノボルがスクリーンを叩いて表示された決勝までのトーナメントは、どう見ても狙っている。
決勝戦に炎山VS熱斗という狙い目だけでなく、何の因果か準決勝の相手はどちらも元WWWのネットナビ。
二つの意味で好カードの戦いとなるだろう。そして注目の選手が歩みを進める。
『第一回戦はロックマンVSストーンマン! 難攻不落の巨体をどう崩すかが注目です!』
解説は変わって緑川ケロ。DNNが用意した、幾多ものコードで繋がれた特別製のネットバトルマシンに両者がプラグイン。
流石というか巨大スクリーンの映像はハイビジョンとなっており、クッキリかつリアルにロックマンとストーンマンが映し出されている。
クリームランドに遊びに行った際に戦った事のあるストーンマンだが、その時とは違った魔改造が施されている。
それが楽しみで仕方ないのか、熱斗もロックマンも笑みを浮かべている。ストンナとストーンマンは表情は変わらないが、そわそわと体で表現していた。
『それでは始めましょう! バトルオペレーション・セット!』
「イン!」
「潰してやるですーっ!」
緑川ケロの宣言と共に両者が叫び―――
『パネルスチール』で瞬時に接近し!
『ドリームソード』を振るう!
「ふひひ、ババロア並に甘いのです♪」
『ゴオォォォ!』
ストンナの笑いに応えるように、ストーンボディ状態を解除し叫ぶストーンマン。
「博打は失敗! 次だロックマン、スタイルチェンジだ!」
『うん!』
渾身の不意打ちを防がれた事に驚愕することなくスタイルチェンジ。
赤いボディとなったロックマンの右腕から強烈なバスター射撃が繰り出される。
『え、え、なに? なにがおこったのー!?』
『初手プログラムアドバンスとはやるでマスね熱斗くん! それをストーンボディで瞬時に防ぐストーンマンも流石でマス!』
『今のが決まれば大ダメージは必須、アドバンテージを得られたやろうな』
一瞬の攻防に戸惑う緑川ケロに対し、日暮とトラキチは冷静に解説する。
流石はN1グランプリの参加者というか、今の攻防を理解し解説まで出来るとは頭も回るというもの。
『不意打ちジャンケンでもせぇへんと、ストーンマンは落とせんからな!』
『しかも両者のバトルチップフォルダはまだ未知数! ストンナちゃんのチップフォルダが防御重視か攻撃重視かで、熱斗くん達は苦戦を強いられることになるでマスよ!』
冷や汗をかくも強気の笑顔を浮かべる熱斗に対し、ストンナは無表情のままバトルチップを転送する。
転送されたバトルチップは―――『ディスコード』!
〇プライド様のお説教
勝手にN1グランプリ出場者の魔改造に自分をモチーフにしたデザインを採用した罪。
因みにプライド様はナイトマン風プライドを気に入っているが、ナイトマンは恐れ多いと批判的。
〇王女として臣下として
時にはシリアスにもなれる幼女。プライド様は憧れの王女なので。
ナイトマンとストーンマンのは騎士の儀式的な。
〇ストンナパパ
秀石(うるさい男だな……)
因みに秀石さんと一緒の特別ルーム。原作だと秀石は……。
〇ジャンケンプログラムアドバンス
初手PAとかゲームじゃ中々でないだろうなー余程集めないとなー。
まずはロックマンVSストーンマン。さぁ私の描写力とニワカ知識がどこまで通じるか。
いつも感想や誤字報告ありがとうございます。