ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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投稿遅れました、すみません;
もっとイラスト描いたりゲームしたりしたいんですが、折角定期更新続けているし頑張りたいって気持ちにもなりまして。

今回かなり独自設定かつ原作に食い込んでます。


【キロクラムと浦川】

 そわそわ、そわそわ。

 

『熱斗くん、そろそろ休もうよ。もう3時間も立ちっぱなしじゃないか』

 

まだ(・・)3時間だろ……落ち着いていられないよ」

 

 落ち着いていられないのは熱斗だけでなくロックマンもだ。二人とも不安なのだ。

 

 遂に始まった浦川まもるの手術。長く彼を苦しめた心臓病『H.B.D』を断ち切る為の大事な日。

 この日が来る前にと熱斗とロックマンは可能な限りの依頼を受けてゼニーとバグの欠片を貯め、日暮闇太郎に助言を求めたりと奔走してきた。

 

 まもるが直接求めたわけではないが、憧れのプログラムアドバンスを使えるようなネットバトラーになりたいとは言っていた。

 その発動条件の一つとなるチップを漸く手に入れ、手術前に友情のチップとしてまもるにプレゼントできたのだ!

 

 

―――『パラディンソード P』を受け取った時のまもるとストンナの顔は今も忘れられなかった。

 

 

しょもしょも(そもそも)ろうやっへ(どうやって)ぱらでんそぉどを(パラディンソードを)てにいれはでふは(てにいれたですか)

 

「秘密」

 

 手術室前のロビーチェアに座って寝ぼけているストンナに即答する熱斗。

 

 脳裏に浮かぶのは、グレーゾーン(ウラ行き)ギリギリを攻める熱斗をゲンコツしてでも踏み留めてくれた日暮さんと、病持ちとは思えぬ程に喜び手術に勝つと宣言してくれたまもるの笑顔。

 彼ら二人の為にも口を閉ざすのだ。熱斗は善人ではあるが、時には手段を選ばない危険性を併せ持った小学生なのである。

 

『ストンナちゃん呂律回ってないよ……君こそ休んだら?』

 

『ゴゴゴ……無理モナイ。PC作業ニ集中シテイタラ既ニ夜ノ9時ダカラナ』

 

 PETのロックマンとストーンマンも、頭を振り子のようにユラユラと揺らす寝ぼけ眼のストンナを心配そうに見つめている。

 

 まもるが手術を始めた途端、ストンナは持っていたノートPCとサーバーを繋いでネットナビ作成を始めた。無論、まもるの為のネットナビ・バラードの作成である。

 カスタマイズに時間をかけたのか、それとも気を逸らしていたのか……大いに集中力を発揮し、ストンナの眠気がピークを迎えていたのだ。

 

だいろうぶ(だいじょうぶ)だいろうぶでなふへも(だいじょうぶでなくても)だいろうぶなにょでふ(だいじょうぶなのです)

 

「ダメじゃん」

 

 大きく欠伸をするストンナを見れば誰だってそう思う。熱斗ですらそう思う。

 

 遂にスースーと寝息を立てて眠ってしまったたストンナを見て肩を竦めた熱斗は、ノートPCを畳んでソファの上に置き、ストンナをおんぶする。

 

『優しいね熱斗お兄ちゃん』

 

「揶揄うなよロックマン」

 

 よりによってロックマンにそう言われるとは思わず、ボっと顔を赤くする熱斗。

 背負ってわかったが、ストンナはとても小さくて軽い。普段から頭が良くて礼儀正しい子だが、こうしていると本当に年下なのだと改めて思い知らされる。

 

らいろうぶ(だいじょうぶ)らいろうぶ(だいじょうぶ)……まもるくん……」

 

「……ああ、きっと大丈夫さ」

 

 耳元で寝言を囁くストンナに同意し、熱斗は諭すように呟いた。

 

 まもるは言っていた。コミュニティに出会う前の自分は、どうせ無理なんだと諦めていた。

 しかし【WorldTube】を通じて、世界には自分と同じように苦しんでいる人々が居て、治療を受けて克服した人々が確かに居る。

 そして世界には、自分が歩き出して探したいと思える素敵な物が沢山あると知った。

 

 それでも怖いと、シーツを握り震えていたまもるの姿を、熱斗とロックマンは覚えている。

 

 3度も手術に失敗した自分は本当に病に打ち勝てるのかと思ってしまった。何度も受けても治せず命を絶った人も少なからず居る事も知ってしまった。

 ストンナのネットナビと熱斗のバトルチップは、そんな不安や恐れを振り払い、一歩を踏み出す勇気を与えてくれた。

 

「『だから勝つ。負けても次に勝つ』……か。漢だぜ、まもる」

 

「まったくだヨ。少し見ないうちに成長したものだ」

 

「うぉっ……メガトおじさんにニーチおばさん」

 

 突然声を掛けられ顔を上げれば、そこにはストンナの父と母、メガトとニーチが居た。

 相変わらずの無表情で一瞬ビクっと来たが、ストンナを迎えに来たのだろうと察して背中のストンナを差し出すと、メガトは何も言わず彼女をそっと抱き上げる。

 

 そのまま歩き出し、キロクラム夫婦が熱斗に声をかける。

 

「ごめんなさいね、熱斗くん。私達夫婦に似て頑固に育っちゃったものだから」

 

「頑固と言えばまもるくんも大概だがネ。いや本当に明るくなったものだよ……君たちのおかげだ、ありがとう」

 

 熱斗に頭を下げるメガトと、彼の腕の中で眠るストンナを優しく撫でる母ニーチ。表情こそ何も変わらずとも、熱斗のパパとママのような優しさを感じられた。

 

「ねぇおじさん、まもるとはどういう関係なの?」

 

 そんなメガト達とまもるの関係が気になったので聞いてみた。

 

「ふむ……彼の父が科学者なのは聞いたかね? ……よろしい。私と妻、それにまもるの父……浦川かんじとは同じ職場で働いてね。クリームランドを離れニホンで研究に勤しんだものだよ。私とニーチがトラブルを起こし、その度に浦川かんじくんに助けられたものだ」

 

「『あー……』」

 

 熱斗とロックマンの脳裏には、若くなったメガトとニーチ(妄想)が無表情でおろおろしている所を、まもるの父らしき男(妄想)に助けられている光景が浮かんだ。

 

「いや恥ずかしいことに、クリームランドに帰国するまで世話になりっぱなしでネー。彼が各国を回るようになった際に『息子を頼む』って頼まれた時は勿論と即答したものさ。それ以来、うらかわ旅館のリピーターとなり、その度にまもるを見守ってきたのだが……ここ1~2年で大きく成長したものだ」

 

 君たちのおかげでね、と言って娘の頭を撫でるメガト。熱斗は照れくさそうに頭を掻いた。

 そのままエレベーターに乗り込み、1階へと降りていく。

 

「まぁ心配なのも無理はないが……ニホンのコトワザに『病は気から』と言うのだろう? あれだけ勇気づけられたのだ、きっとうまくいくとも」

 

「メガトおじさん……」

 

「それに手術室の電脳には、私の自信作である大型ウィルス『メカドラゴン』を配置してある。万が一……いや億が一にも手術室の電脳は奪えないとも!」

 

 前半の良い話が台無しになるぐらい、後半の話に自慢が大いに混ざっているメガト。

 娘のストンナが心配しているのに対し両親がコレなのだ。徐々に悩みすぎも良くないと思えるようになってきた熱斗は背伸びをしてリラックスする。

 

『熱斗くん、ママに遅くなるってもう伝えてあるし外に出て気分転換しようよ』

 

「そうだな。メガトおじさん達は?」

 

「私達は娘を寝かしつけるとするヨ。ストーンマン、今夜のメンテは妻が代わりにしよう」

 

『ゴゴゴ、ヨロシク頼ム』

 

 さぁ後はまもるの手術が終わるまで自由時間だ。そう思っている間にエレベーターが1階に到着し。

 

 

 茨が1階の廊下を塞いでいる光景を目の当たりにした。

 

 

「……いけないネ、寝ぼけているのカナ?」

 

「ロックマン、もしかしてオレ今寝坊していたりする?」

 

『しっかりして、もう夜だけど目は覚めてるでしょ!?』

 

『ゴゴゴ!』

 

 取り合えずエレベーターから降りるも、ごしごしと瞼を擦って現実逃避する人間三人。

 対するネットナビ二体は冷静で突っ込むも、廊下を塞いでいるのはどうみても茨だ。

 

 何事かと思って茨を辿って見ると、湾口病院の象徴である『命の木』から伸びている事が解った。

 

「ど、どうなってんだ?」

 

「この命の木は究極プログラムが一つ『ウッドプログラム』……それもWWWから取り戻したオリジナルの方で管理されているはずよ」

 

「文字通り究極の植物管理能力を演算するプログラムでね、これのコピー品は各国の野菜栽培で使われているのだが……流石に茨を生やすとかないネー」

 

「けど生えてる……」

 

 事前に命の木について医師や職員に聞いたことがあるが、ニーチとメガトからより深い知識を得ることができた……まぁ事態を解決できたわけではないが。

 しかもこの茨はとても鋭いトゲを生やし、見るからに太くて頑丈そうだ。うっかり棘に触れれば衣服どころか肉をも貫通してもおかしくはない。

 

『緊急事態発生! 緊急事態発生! 皆さん落ち着いて聞いてください!』

 

『館内放送だ!』

 

『先程、命の木から謎の蔦が発生しました!』

 

 ロックマンの言う館内放送に耳を傾けた三人は、壁や床など、周辺の至る個所に蔦が浸食していた事にようやく気付く。

 先ほど雑談する前は何もなかったのを考えると、この植物は突如として発生し、命の木を中心に急成長したと考えられるが……。

 

『蔦によって病院内の殆どの医療機器と機械が動かなくなりました! 現在も蔦は成長しています、速やかに外へ避難してください!』

 

「なんだって!? ま、まもる!」

 

「大丈夫だ、まもるの手術室は特に頑丈で蔦程度なら入り込めない! 手術は続いているはず!」

 

「けどこの成長速度……ウッドプログラムに匹敵する何かでハッキングされたと考えると時間の問題ね」

 

 更なる館内放送に驚愕する熱斗をメガトが宥めるも、それでも確実ではない事をニーチが告げる。

 

「熱斗くん、すまないが娘が心配だ。安全な場所に避難するがキミはどうするかネ?」

 

「俺は3階へ戻ってまもるの様子を聞きに行く!」

 

「まもるをお願い……けど無理だけはしないで」

 

 ストンナを抱きしめる腕に力を入れるメガトに対し、ニーチは熱斗の肩を掴んで視線を合わせる。

 熱斗は、二ーチが無表情ながらも心の底から心配してくれていることを察知して頷き、エレベーターへ戻る。

 

 熱斗を見送ったメガトとニーチは頷き、連れ添いや親族などが宿泊に使う個室へと向かう。

 

 

『―――ようこそキロクラム夫婦。お待ちしておりました』

 

 

 そこで待っていたのは、個室に置かれているPCの画面に映る、優雅にお辞儀する花のようなネットナビだった。 

 




〇友情のチップ
原作では「コオリホウガンM」を欲してたが当作では手術に前向きな為に特に要求していない。
しかしN1グランプリの炎山が放った「アクレツザン」に強い憧れを抱いており、いつか「アクレツザン」を放てるようになりたいと夢見ていた。
それを少しでも叶えてあげようと自ら首を絞める熱斗。当作の熱斗は自らハードルを上げて苦労する変態(つまり作者のせい

〇浦川寛治(うらかわかんじ)
オリ設定。まもるが「うらからまもる」なのに対し、父かんじは「うらからかんし」から。
特に個性はないが、若い頃のメガトとニーチの世話をしていたおかげで周囲から苦労人のイメージが定着してしまった(つまり作者のせい

〇ウッドプログラム
Dr.ワイリーが手に入れた究極プログラムの一つ。
出所がわからないこともあって独自設定として、命の木の管理プログラムとして採用。
当時奪われた時は手動で木を世話していたらしく、ものすごい大変だったそうな(つまりさくしゃのせい

キロクラム夫婦は結構深い所まで知っている様子。

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