ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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また投稿が遅くなりましたが、当日中に上げれて満足。


【病院での戦い・前編】

「下らん、ああ本当に下らん! 誰だ命を預かる病院でこんなトンチキ起こすアホは!」

 

「鳥海さん落ち着いて落ち着いて!」

 

 地団駄を踏んで怒鳴るナイスバディの薬剤師・鳥海(とりみ)日向(ひなた)を宥める熱斗。

 しかし怒りたいのは彼も同じだ。今でこそ手術は続行しているが、蔓が扉をこじ開け侵入してしまえば、最悪まもるの命が失われる可能性がある。

 それを阻止すべく命の木のコントロール装置がある地下室へ向かいたいのだが、とうとうエレベーターにも蔓が浸食してしまい故障。

 非常階段は何者かの手によって電子ロックが掛けられ外に出ることもままならない。

 

 そこへ偶然立ち会ったのが、仮眠していた所を起こされて不機嫌だった鳥海日向だ。

 共に非常階段の電子ロックを解除しようと団結し、ロックマンとアシッドをプラグイン。 

 病院の電脳はウッドプログラムの暴走によって生み出された植物プログラムだけでなく、木属性ウィルスのバジリコとアゾマータが大量発生していた。

 

「落ち着くのは君の方だと思うがね熱斗少年。友を想う君の心は美しいが、怒りに変え、手元が震えてるというのならそれを正したまえよ。君達の方が遥かに強いから頼りたいのでな!」

 

「うわ正直だこの人」

 

『けど鳥海さんの言う通りだ、ボク達が頑張らないと!』

 

『そうそう頑張りなさい!』

 

 表示チップを増やすアクアカスタムにスタイルチェンジしたロックマンが自らの足元に出現した蔦を『ソード』で攻撃、本体であるアゾマータをデリート。

 試験管を模したバスター・レッグアーマー・ブレストアーマーを装備した三角帽のようなヘッドギアを装備した女性ナビ・アシッドがパネル下へと潜行、バジリコの背後から奇襲を仕掛けデリート。

 

 毒煙を吐く盾を構えるバジリコはアシッドが、蔦を攻撃しないとダメージを与えられないアゾマータはロックマンが担当することで先へと進む。

 しかし植物プログラムがセキュリティゲートのスイッチを塞いでおり、それを燃やす為にナビカスパーツ『エナジーチェンジ』の燃料となる炎属性チップが必要だった。

 

 しかしここでもアシッドの強みが出る。

 

「アシッド、前から2番目の蔦よ」

 

『了解、アシッドショット!』

 

 強酸プログラムを放つアシッドショットが植物プログラムを溶かしスイッチが出現。

 スイッチの配置は所属である鳥海が記憶している為、スイッチ探しはスムーズに進んでいる。

 

「ああしかし面倒だな! 炎属性ナビでも居れば一気に行けるのだが!」

 

「ごめん鳥海さん、エナジーチェンジはあるのに炎チップが心許なくて……」

 

『チップトレーダーに殆ど注いじゃったからね』

 

 「どうせ沢山あるしアチコチ見かけるし」と使い込んでしまった過去の自分達を軽く呪う熱斗とロックマンであった。人生何が起こるかわからないね。

 本来ならトトポール系が豊富にいるのだが、悲しきことに木属性ウィルスが大繁殖してて影が薄い。アシッドがいなければ詰んでた。

 

「まぁ現実の雑草に関してはアテを呼んである、暫く待て」

 

「アテ? オフィシャルの事?」

 

「オフィシャルには院長が連絡してある。私が呼んだのはオフィシャル以上に頼もしい連中だよ」

 

 現状においてはね、と後付けする鳥海に首を傾げる熱斗。

 

 蔓と茨は徐々に人間の行動範囲を狭めつつある。非常階段の扉めがけてジワジワと植物が伸びていることもあり、一刻も早く電子ロックを解除しなければ。

 

 だが侵入者は甘くない。

 

『ヒーッヒッヒッヒ、そこまでですぞ!』

 

 癪に障る甲高い笑い声を上げながらロックマンとアシッドの前……しかも電子ロックを解除するコンソール前にプラグインしたネットナビ。

 ヒールナビ数体を背に立つネットナビは、蛇腹状の長い腕を伸ばした、笑い顔と泣き顔を重ねたようなボディをしていた。

 

 かつてバブルマンとロールちゃんを痛めつけ誘拐しようとした、自称ワイリーの忠実な(しもべ)

 

『クラウンマン!』

 

「またお前かよ!」

 

『こちらのセリフですぞ、またしても我らの邪魔をしにきたのですか』

 

 仮面のように動かぬ笑い顔だが、クラウンマンの声には若干の苛立ちが混ざっている。

 熱斗とロックマンが遭遇したのはこれで三度目であり、一度二度とWWWの企みを阻止されたからだ。

 

「そこをどきたまえよヤジロベエマン。さっさと電子ロックを解除して先に進みたいんだ」

 

『誰がヤジロベエマンですか! サンダークロー!』

 

 鳥海の挑発……というか地雷ワードに腹を立てたクラウンマンが蛇腹状の腕を地面に突き刺し、ロックマンとアシッドの足元から出現させる。

 2人とも予測していたのか横へ跳んで回避するも、後方のヒールナビ達が放つ『キラーセンサー』の照準や『バッドスパイス』の胞子が飛び交い、それを走り抜いて逃れる。

 

『N1グランプリから全く反省していないのねコイツら!』

 

『今度は何が目的なんだ!』

 

 問いかける間にもヒールナビ達は次々とバトルチップを転送。麻痺や混乱といった症状の波状攻撃を避けるべくロックマンとアシッドは走り続ける。

 それを嘲笑いながらクラウンマンは腕を伸ばし、その場で逆立ちをし始めた。一見するとふざけているようだが、下半身の大きな泣き顔がジロリと睨みつけ……。

 

『強いて言えば(ワタクシ)の役目はあなた方を足止めすることでしてね―――ムカムカビリビリ!』

 

 泣き顔から真っ赤な怒り顔に転じ、黄色く光る眼から放たれる電撃が二人に襲い掛かる。

 見るからに電気属性かつ麻痺属性が付与されているであろう電撃ビームだけは回避するも、飛び交う『プラズマボール』が眼前に迫り―――

 

「『ユカシタモグラ』、スロットイン!」

 

パネルダイブ!」

 

 ロックマンは熱斗が転送した『ユカシタモグラ』で生じた穴に逃げ込み、アシッドは強酸ウィルスを全身に纏わせることでパネルを溶かし潜行。

 『プラズマボール』は避けられるも、ヒールナビ達はこぞって笑い、次々と付近の植物プログラムを増殖させていく。やりたい放題だ。

 

「病院の電脳をこれ以上雑草まみれにするな! 笑えんぞ!」

 

『ギャハハハ、悔しかったら身代金ぐらい払えってんだ!』

 

『我らWWWを侮るとこうなるのですぞ。ヒーッヒッヒッヒ!』

 

「くっそー!」

 

 一刻も早く命の木の暴走を止めたいのに足止めを食らい熱斗は焦り出す。

 

(なんとか踏ん張ってくれ……まもる……!)

 

 

 かつて熱斗の兄(サイト)が命を落とした難病と闘っている友の為に、なんとしてでもこの場を乗り切り、先へ進む。

 ロックマンも熱斗と同じ気持ちなのか、穴から出たと同時にロックバスターを構え―――熱斗が転送したキャノン系統で発動するPA『ゼータキャノン2』の砲座へと変貌する。

 

 

 

―――

 

 一方のキロクラム一家はと言えば、個室に備え付けられたPCの前で冷や汗をかいていた。

 周りを見れば、いつの間にか個室へ侵入してきた茨が三人を取り囲んでいる。逃げ場どころか自分達を飲みこまれる可能性もあり二重の意味で身動きが取れない。

 

『自ら虫籠に入るなんて、美しき花々を汚す害虫にしては気が利きますね』

 

「おやおや、虫程度で怯えるなんて随分と軟弱な雑草ではないかネ?」

 

 PC画面内で薄笑いを浮かべる木属性ナビ・プラントマンに対し、メガトは無表情のまま鼻で笑って挑発する。

 未だ眠っているストンナを抱きかかえるニーチもジッとプラントマンを見つめて警戒している。当人は挑発も警戒も気にせず肩を竦めて言葉を続けた。

 

『念には念を、というヤツですよ。さて、ご用件はお分かりですか?』

 

「なんのことカナー? 人材に困ったWWWが私と妻を誘拐しにきた、とか?」

 

『確かに人が増えればより現実世界を悪の華で染め上げられますが、そうではなくてですね―――認証コードを渡してもらいたい』

 

 プラントマンの要求に、メガトは内心で彼らの目的に確信を得る。

 

『あの醜い風船ドラゴンには困っていましてね。広範囲かつ高威力の炎属性ブレス、劣化コピーとはいえウッドプログラムの力を得た私でも対処が難しい』

 

「はっはっは、偶然にも炎属性の大型ウィルスを配置してよかったヨ! 手術室への侵入は現実・ネットワーク共に無理だったようだネ?」

 

『悔しいですがその通りだ。加えてワイリー様はクリームランドのネットナビを誘拐しては認証コードを利用と試行錯誤を繰り返し、全てが失敗した。やはりオリジナルの認証コードを持つであろうメガト氏への説得(・・)が必要不可欠と判断したようです』

 

「そりゃそうだとも。大型ウィルスの認証コードは下手に複製や抽出、洗脳ですら試みれば自壊するようプログラムされている。人間で言う臓器を抜くような所業だ……それを手に入れて我がクリームランドのデータバンクの有り金全部奪う気かね?」

 

『話をはぐらすのがお上手なようだが、ワイリー様はもう確信してらっしゃいますよ』

 

 軽い雑談のようなノリで会話するプラントマンとメガトだったが、ここでプラントマンは真剣な表情を浮かべ、メガトを冷たい眼差しで睨む。

 

『ニホンでアナタが放った大型ウィルスは、よかよか動物園とココ湾岸病院の二か所……ここまで露骨な答えもないでしょうに』

 

 

『ご存じなのですよね? テトラコードと、それを用いて目覚める例の存在(・・・・)の事を』

 

 

「……なら要求は通らないと思いたまえよ」

 

 WWWの要求には「No」と応えるが、質問には口外に「YES」と答えたも当然だった。

 ニーチもストンナを抱きしめる腕に力が入っている。両者ともに答えを聞いてプラントマンは満足そうに頷き、話を進める。

 

『ここで娘諸共、茨を使ったあやとりをしても構いませんよ? ボンレスハムなんかどうです?』

 

「おいおい脅しの才能がないねチミぃ―――あんなもの(・・・・・)を起こしたが最後、家族どころか世界そのものが終わりだからネ」

 

 一人娘だけでなく夫婦ですら傷つけられると脅迫するも、それでは意味が無いとメガトは笑う。

 何せWWWの目的が、メガトが知る「最悪の存在」の封印を解く事であることは明確だ。

 

 あれが解き放たれたらどうなるか解りきっている―――認証コードどころか、テトラコードですら渡すわけにはいかない。

 

 それはプラントマンも理解しているらしく、困った仕草を見せつけるように顎に手を添える。

 

『ふむ、困りましたね……アネッタ、今からメガト氏のいる部屋へ向かえるかい?』

 

『ドシタかプラントマン、イノチノキの調整は終わてるヨ?』

 

 プラントマンの隣に、妙なニホン語を話す南アメロッパ人らしき女性のディスプレイが開かれる。

 

『このネットワーク社会の敵から奪い取るべきものがある。それさえ手に入れば自然を守る力を得るだけでなく、ボク達の故郷を取り戻せる』

 

『ほんとカ!? 流石にゅープラントマンね、ワイリーに感謝ヨ!』

 

(おいおいもしかしなくてもこのオペレーター、騙されやすいタチかネ?)

 

 堂々と目の前で会話している二人を前にメガトが脂汗をかく。

 どうやらこのアネッタは自らのネットナビ――正確には唆しているワイリー――にまんまと騙されているらしく、喜んだ後にディスプレイを切った。

 

『さて、少しうるさいがボクのオペレーターがそっちに行くよ。力づくは好みじゃないけど雑草取りと考えれば彼女もやる気が出るだろうさ』

 

「レディをエスコートするのはクリームランド紳士の務めだが、あいにく私は妻一筋なのだがネ」

 

 こうして会話している間にもジワジワと茨が迫っている。

 先ほど言ったのが単なる脅しではないと警告しているのだろう。娘は未だに起きる様子はない。

 

 

(早く来ておくれよ……キミならやれると信じているとも)

 

 

 だがメガトもニーチも諦めない―――ここへ来るまでに一手打っておいたのだから。

 

 

 

―――

 

 湾岸病院前には、脱出したものの取り残された親族や患者を案じている人だかりが大勢いる。

 中には職員に文句を言う者もいたが、後ろを振り向いた後にササーっと蜘蛛の子を散らすように退いていった。

 

 彼らが道を明ける理由は二つある。

 

 一つは「OFFICIAL」の腕章を付けたオフィシャルネットバトラー達が下がるよう命じた事。

 

 もう一つは―――防護用のゴーグルとマスクをつけた作業着姿の団体がチェーンソーを持って先行している事。

 

 この異様さに恐れをなしたから人々は退いたのだ。

 

(おいなんとかしろよ、リーダーはお前だろ)

 

(なんとかってなにしろっての、声かける勇気が無いよ)

 

(気合入っているなー彼女ら(・・・)

 

 

「命の木は!」

 

 

 1人の女性が大声を出したことで、ヒソヒソと話し合っていたオフィシャルが飛び跳ねる。

 

「私達、自然保護団体にとっても大きな意味を持つ樹です!」

 

『然り! 然り! 然り!』

 

 背丈からして少女らしき彼女の声に賛同するようにチェーンソーを掲げ叫ぶ者達。

 その気迫と熱意は周囲の人々の心に響き、これから突入する気満々なのだと示唆していた。

 

「人間がプログラムで植物をコントロールするという傲慢の象徴! しかしその傲慢は、病に伏せる者達の希望の象徴でもあります―――故に!!」

 

 少女―――サロマはチェーンソーの切っ先を病院に向ける。

 

「私達は許してはいけない! 大樹と病気と闘う人々を! 茨によって汚すなどという犯罪者の暴挙を!!」

 

『然り! 然り! 然り!』

 

 速見ダイスケを筆頭とした、自然保護団体メンバー達が叫ぶ。許してはならないと。

 

「しかもあの茨は外来種の雑草! ならば一掃し道を切り開くのが私達の務め―――いいですね!?」

 

「は、はい!」

 

 防護ゴーグル越しにサロマから睨まれたオフィシャルネットバトラーのリーダー格がコクコクと頷く。気迫に押されてしまったのだ。

 許可もとったところで、チェーンソーを再び天へと持ち上げ……振り下ろす!

 

伐採(じゅうりん)せよぉぉぉ!」

 

雄雄(オオ)ォォォォォォ!!!

 

 除草作業―――開始!

 

 

「おーおー、熱いこって」

 

 熱意溢れる自然保護団体の後ろ姿を見送る、オフィシャルネットバトラー達に混ざる一人の男。

 彼が持つ赤いPETから着信音が鳴って出れば、PET画面には眼鏡の男―――名人の姿があった。

 

『解っていると思うが、本来なら君は科学省に残るべき処を、メガト氏たっての希望で呼び出したんだ。君のナビの内2体(・・)は突入メンバーに預けてあるが、もしもの事があれば―――』

 

「解っているさ名人さんよ。ポイント稼ぎだと思ってあくせく働きますよっと」

 

 隠れられないし、そもそも隠れる気もないしな。そう言って赤いPET……IPCが更に改良した監視ユニットの強化版……プリズンPETを掲げる。

 

『エレキ元伯爵の件で肩身が狭いだろうがオフィシャルの指示には従うように。それと、さんはいらない』

 

「オーケーオーケー、上手く扱ってくれさえすればそれでいいさ」

 

 そういって名人は頷き、ディスプレイを閉じる。

 出遅れるなとリーダー格の男の指示に従いオフィシャルネットバトラー達も突入、男は悠々と後に続いた。

 

 

「さぁて、ちゃちゃっと恩人の危機を救いますかっと……仕事の時間だファイアマン(・・・・・・)!」

 

『お任せを―――ヒノケン様!』

 




Q:プラントマン編でやりたいことが沢山あるよー
A:横の繋がりの強み、見せてやるよ!

〇鳥海日向&アシッド参戦
本格的に参戦。恐らくこの病院編がエグゼ3での最後の出番になる。
『パラディンソード』の為に余分なチップがスッカラカンな熱斗に代わって奮闘。
ナビゲート役もあるから正確にスイッチの場所を当てれる。

〇ビリビリムカムカ
活動報告で募集したオリメイクナビクラウンマンのオリ技(ややこしい

〇サロマとダイスケ率いる自然保護団体
サロマ「みんな、チェーンソーは持ったわね!?」
日向が呼んだ助っ人とは彼女たちの事。命の木の生育のアドバイサー的な関係。

〇ヒノケン&ファイアマン参戦
メガトが呼んだ助っ人。名人の許可と監視用PETを得て参戦。他二体もいるよ。
ファイアマンを選んだのはアニメ意識。オラ除草剤くらえプラントマン!


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